死亡フラグが倒せない(BY転生者)短編集 作:かりん2022
「ほんまに逝くんか」
「むしろ生きられると思います? 私、改造人間にされるのも拷問されるのも嫌なんですが」
「そらそうやな」
「知っていることは出来る限り思い出して、書きだしておきました。これと引き換えに、縛りを結んでください」
「なんや」
「さ来年のお盆に、真希ちゃんに侍る直哉さんと釘崎さんと真依さんの写真をお花に備えてください」
「……締まりのない顔やな」
「こ、これでもかなり譲歩して……!」
「縛るわ。再来年まで、その三人は守ったる。非術師一人守るよりは楽や」
「ありがとうございます。直哉さん。私、リョナ好きで腐女子でどうしようもない女ですが、ほんっとうに直哉さんのファンでした。さよなら」
そうして、私は橋の上から身を投げだした。
「内密に東京校の10年前の任務の詳細を知りたいですか?」
「せや。ああ、悟くんと虎杖君、恵くんについての任務も……ああ、いっそ資料全部見せてくれへん?」
「一体何故。虎杖とは?」
「あ、まだ入っておらん? ちょっと調べたいことがあるねん。あ、傑くんの部屋と食堂も見たいわ。10年前やから、なにか残っとるとも思えへんけど」
「理由がわからないことには……」
「最悪の呪詛師夏油 傑に興味を持つのはおかしい事やないやろ? それとも隠し立てするんか」
「そういうわけではないが」
「じゃあ、調べてもええな。僕、しばらくこっちに滞在するから、部屋用意したって」
「はあ……わかりました」
「ああ、近々夏油 傑がこっちに来るいう話やから、きたら自分の事も呼んだって」
「はあ!?」
「なんや宣戦布告に来るかもしれんって話や。それまでに調べときたいことがあるねん」
そうして、僕は調査を始めた。
なにせ、資料は膨大な上に古い。
「げほっ こほっ 流石に量多いなあ……!」
「手伝おうか?」
脈絡もなく声を掛けられ、心臓が跳ねるのを悟られないようにする。
「ええよ。悟くんには関係ないし」
「傑の部屋にはもう何も残ってないよ。その後他の人が使ってるし」
「一応、見るだけ見ておかんと」
「何故?」
「僕の追ってる呪詛師が傑くんに接触しとるかもしれへんのや。調べておきたい。これ以上は言わん」
「10年前から接触してたって?」
「傑くんと接触してはいると思うんやけど、いつから接触しとるかはわからん。本当は、傑くんが産まれた時点から今まで調べたいとこやけど」
「は?」
「とにかく、邪魔せんといてよ。案外最近の接触かもしれんし」
「僕も調べるの手伝おうか? 追ってる呪詛師って誰だよ」
「何度でも言うけど、関係ないから手伝ってもらわんでええよ。不確かな情報やし、教えられへん。というか、そもそも夜峨学長には内密や言うておいたんやけどな……」
「傑に関係あるんだろ?」
「あくまでも接触しとるかもや。直接傑くんを調べてるのとちゃうし」
当事者の証言なんかも聞きながら、色々調べていく。
悟くんに対する攻撃エグっ!! 何人も生徒死んどるやん。
口が重い相手には、甚爾くんを殺されて本当は悟くんのこと憎んでるって言えば軽くなった。後は、調べてるのは別の件で、悟くんは関係ないと安心させれば、特に。悟くん、敵多いわぁ……。
食堂を隅々まで探して、怪しげな薬品も見つけてしまった。
これは成分調査をしてもらうとして、と。
書類を漁っている間に、傑くんが来た。
「傑くん! 待っとったで」
「やあ。なんだか私の事を調べているらしいね、直哉。私のファンかな?」
「ちゃうわ。ちょっと追ってる呪咀師がおって、傑くんと接触しとるかもしれんのや。それでお願いがあるねんけど」
「ふむ。私の家族に目的の子がいるということかな。家族は売らないよ?」
「血液検査と尿検査さして」「は?」
「あと、こっちのアンケートに答えてや」
事前に準備していたアンケートを渡すと、傑くんは目を通し、答えた。
「直哉は私が洗脳されていると? クリスマスイブの襲撃の話はどこから聞いたのかな」
「「夏油様!??」」
「僕独自の情報網。傑くんが洗脳されてるされてないは、正直どうでもいいねん。僕の追ってる呪詛師が傑くん狙っているらしいから、手口が知りたいねん。様子見しとるだけか、呪咀師になった所まで手の内なのか、手の長さが知りたいねや。それによって追うの諦めるかどうか決めるわ」
「……これは私も興味あるかな。その呪詛師の情報をもらおうか」
「血液検査と尿検査とアンケートを全部、今ここで正直に答えれば、ちょっとは情報分けたるわ」
「尿検査を今、ここでは恥ずかしいかな。……いや、困ったね。一応ここへは宣戦布告に来たのだけれど。何で今更? 仮に私が洗脳されているとしても、もう手遅れだろ?」
困ったように言う傑くん。そうやな。10年前に介入できたら良かったんやけど、さすがにそれは無理や。
「傑くんはどうでもええいうてるやろ。いや、その呪咀師に傑くん捕まると面倒やから、捕まる前に死んで火葬されろとは思うてるし、そういうふうに動くけど。直接狙われはせんけど、ピタゴラスイッチで僕困るんや。あと、多分これを機に仕留めに来るから、傑くんに本当のこと聞けるタイミング、今しかないねん」
「ふぅん。直哉はその呪詛師に私が負けると思ってるわけね。一応私は特級なんだけれど」
「むしろ勝てる要素ないやろ。あったら情報流して焚き付けて時間切れまで逃げさすなり返り討ちにさすなりするわ。でもないから大人しく殺されて火葬されろ」
「そこまで言う? うーん」
そう言いながら、傑くんはアンケートを眺める。アンケート見れば、何を聞きたいかはわかってしまうからな。でも、交渉するならここが最後のチャンスや。情報だけは出来得る限り抜いておきたい。
「夏油様、夏油様を狙うやつがいるってどういう事?」
「私達の中に裏切り者がいるの?」
美々子と菜々子が心配そうに問う。
「いや、ここにある呪詛師の特徴は、僕の家族にはないかな。ただ、心当たりが皆無かと言うと、違うんだよね。調査結果は後で送るけど。うーん困ったな。本当になんでこのタイミング? 今更中止には出来ないし」
「別に百鬼夜行を中止にしろなんて言うて無いわ。むしろ用心深い呪詛師が見つけられるタイミングあるとしたら、傑くんが仕留められる時だけやろうし、そういう意味ではチャンスやし。あと、すり替えられると嫌やから直接手渡しで欲しいわ。注射器持ってきたし、今や今」
「そこまで?」
「そこまで」
「思い出すのに時間掛かるし、今日は無理だけど、そうだね。直哉に確実に渡るようにはするよ。縛っても良い。なんで私が狙われているのか教えてくれればね」
「言えへんわ」
「何故?」
「傑くんは利用価値高いから、誰が狙っとってもおかしくない。ここまでやったらまだギリギリセーフや、と思う。でもこれ以上踏み込んだら傑くんの前に僕が排除されるわ」
「そういえば、追うの諦めるのも選択肢に入れるって言ってたね。まあ、このアンケートだけでも何を心配してるかは多少わかるし、一方的に縛られてあげよう」
「やった!」
「それで直哉。私の計画、どこまで知ってる?」
「今回、僕は呪詛師を追うから、邪魔せーへんよ」
「私も呪詛師なんだけどね。うーん。気が削がれちゃったな。どうしてくれよう。まあいいや。一応宣戦布告はしていくよ。調査結果は後で送る」
「じゃあ、用事済んだし、僕は戻るわ。調べなならんことが多くて敵わんわ」
そこで、僕は首根っこひっつかまれた。
「2人で完結しないでくれない? 僕も混ぜてよ。傑が洗脳されてるって? ……傑が呪詛師になった理由があるなら、僕も知りたいんだけど」
「最強が関わると警戒されるから嫌や」
「まあまあ、悟。せっかくの私の晴れ舞台なのだから、宣戦布告を聞いてよ」
傑くんに庇われ、その間に僕は校内に戻った。
その後、クリスマスの襲撃は夏油 傑の緊急入院により中止になった。
嘘予告
「余命一年て何。病院では至って健康って出たけど?」
「もし東京に1000万の呪霊が出たら、東京が全滅やろ?」
「うん? そうだね。1000体でも大変だったからね」
「勝ち目がなくても知ってもうたら一応防ぎにいかんとやろ? 勝ち目がなくとも」
「まさか……」
「自分が追ってる呪詛師、1000年間精力的に呪霊と呪具のコレクションしとって、来年作戦開始が予測されてるんや」
「言えよ!! 相談しろよ!!!」
「そんなん無理に決まってるやろ!!! 規模考えてみいや、めちゃくちゃ怖いわ!!」