それからというもの、僕は時間がある時には日本にいるみことへと会いに行く。
男の子みたいに短い髪も、日に焼けて小麦色の肌も、元気いっぱいに走り回り、海に潜るみことが可愛くて可愛くて仕方ないから、スキンシップが過剰だったかもしれない。
たまに「いつまでも子供扱いしないで!」「誤解しちゃうからぁ」とそう頬を膨らますみことに「可愛い!流石僕の天使ちゃん!」と頬にキスを落としていたり、抱きしめたりしていたのは記憶に新しい。
時を重ねていくにつれて、みことはあんなに可愛いのに、自分が女性として愛されるとは信じなくなってしまった様に思う。
都会で外見だけ着飾った女性達を知ったからだろうか。
「お兄様はモテるから彼女作ったら、もう遊びに来てはくれなくなるね、きっと」
彼女は中学生に上がる頃にはそんなことを言い始めた。
みことさえいればいいという僕の気持ちは上手く伝わってないようだ。
だからといって、自身を卑下しているわけでもないみたいなのだけど…。彼女を尊重しすぎて、手加減してしまってたのが良くなかったのか。
男の子の様に短い髪も、くるくる変わる表情も愛してやまないのは、みことだけなんだけどな…。たまにしか会えない事も手伝って、感情のコントロールが上手く行かない。
高校に上がる頃には斉藤優吾と言う名の同級生が出来たらしい。メールなどの文面から親しさは伝わってくる。
彼女がユウくんと彼女が親しげに呼ぶ少年。遠目に見かけた事があるが、短めのミディアムヘアに眼鏡をかけている少年。整った顔立ちをしていて、磨けば光るものを持っているように感じる。既にみことに好意を抱いているようだった。
僕がスキンシップ過多なのが原因なのか、みことは男子構わず気軽に触れる。そのせいで馬鹿な男に誤解させないだろうか、少しだけ過去の自分が悔やまれる。
みことには僕だけがいればいいのに。
一通り根回しは終わっていて、もしもみことが僕を求めてくれたなら、父にも叔父さんや叔母さんにも、結婚の許可を取っているのに、彼女の気持ちだけままならない。
「アルフォンス程のルックスなら、うちのみこと以外だって、選び放題な気がするのに。またモデルの誘いを断ったのでしょう?」
叔母は悪びれずにそんなことを言う。
「自分を晒すのも性に合わないし、みこと以外の異性には興味はありませんから」僕はいつも通りそう答えるけど、「昔から相変わらずブレないね」そう叔父に苦笑いされた。
大人になったらのんびりと、意識してもらえればいいかと鷹を括っていたけど現実はそう甘くないみたいだ。
18歳を過ぎたら異性として見て欲しいからもう遠慮はしない。