みことから楽しげに胡蝶の恋について話を聞くと、僕の記憶とリンクする部分があった。
みことは近くにある段差に座り込み、先程手に入れた本の人物紹介を見せてくれた。
妹の婚約者だったフィリップ王子、僕と同じ騎士になったノエル…。公爵家令息のエイデン、妹の執事だったマクシミリアン、南国にある国の王子王女であるメイカとミルカ等。
…ビアンカに多少であれ関わる人物であり、悪役の令嬢の描写が記憶の中の妹に酷似していた。
長くサラサラと風になびく銀髪、湖面を写し出したような瞳は少しつり上がっていて、小柄でまるで記憶にある妹を絵にしたらこんな感じであろうか。
「ふぅん……」
見知った顔ばかり書き上げられた人物紹介を眺め見りと、そんなつぶやきが漏れてしまった。
「それでね。私の推しはこの人なんだけど、お兄様……。 さっきの人、似てると思わない??」
みことが指差すところに目線をやると、褐色の肌、黒髪黒目の青年がいた。さっき見かけたとおり身重は僕より少し低いくらいだ。
「みことは僕より彼みたいなタイプが好みなの? 身重はどうしようもないから…、日焼けすれば少しは好みに近づくのかな?」
自分なりに好意は伝えてたつもりだけど、伝わってすらいなかったのか…。従兄妹としての好意としてしか受け入れて貰えてなかったのかと、そう思うと少ししょんぼりしてしまう。
「お兄様はお兄様の素敵なところが沢山あるから、無理はしないで。昔も日に焼こうとして肌が赤くなるだけだったでしょう?」
ワタワタしながら、みことがいう。
「お兄様は充分素敵ですから!いつもモテてるのだし自信を持ってください!」
「みことが愛してくれないのなら、意味がないのだけど…」ぽそりと独りごちると、その言葉を上手く拾えなかったであろうみことが「大丈夫?」心配そうに声をかけてくるから、可愛くて仕方ない。
「みことは優しくて可愛くて…、本当に大好きだよ!!」
つい嬉しくなって、
天使ちゃんお風呂上がりなのか、石けんのいい匂いがする。
周りにいる人達はその光景を見慣れているからあまり気にしてない。
「みことちゃんとアルフォンスくんは、いつも仲が良いねぇ〜」そんなことを言いながら知り合いのおばちゃんが通り過ぎる。
「お兄様ここになじみすぎじゃないかな?」
ぽそりとみことが呟くけど、可愛いからそのまま抱きしめる。
「みんな見慣れてるから気にしないよ、天使ちゃん可愛い!!」
まだ祖父の家にはついてないけど、気にせずみことを堪能する僕だった。