黒き馬、世紀末を駆ける 作:馬券童貞は東京優駿に捧げた男
今回は、本作での学園内に存在するチーム紹介です。
※ナリタトップロードがウマ娘化した事により、そちらに合わせた内容に修正致しました。
―――基本的に、トレセン学園とは中を一般に公開していない。
トレセン学園での指導技術の流出防止なども理由にあるが、一番は『全生徒が女性かつ美人ばかり、かつアイドル性がある』という、防犯上の問題がある。
言ってしまえば、トレセン学園とはアイドル事務所と女子高の合体したようなモノ、そう簡単に他所の人間を入れる訳にはいかない。
そんな学園が外に解放される貴重な日というのが、所謂学園祭である『聖蹄祭』、同じく学園祭に近いが趣向が違う『ファン感謝祭』、そして入学希望者及びその保護者に向けて開かれる『学園案内・見学』である。
さて、そんな学園案内の日、なのだが。
学園内に数多くあるチームの中から選ばれたチーム達、その中から更に選ばれた代表1名が、見学者たちを案内することになっている。
チーム『アルタイル』からは代表者として、自分ことブラックテイルが案内人を務める。
オペから聞いた話では、学園最強格であるチーム『リギル』からは、『女傑』ヒシアマ姐さんことヒシアマゾンが来るらしい。
因みに今は、今日の案内担当の待機場所に指定されてる教室に居る。
集合時間よりだいぶ早めに来ている為、今は自分だけ―――
「おはよう、クロ」
「リラ、おはよう」
リラがやってきた。
普段はやや不愛想、という印象を持たれる事が多いリラだけど、幼馴染である私の前では笑顔の事が多い。
今も、教室に入って来たリラは、優しく微笑んでいる。
「クロ、コーヒー貰える?」
「勿論」
机の上に用意していた紙コップを1つ取り、コーヒーを注ぐ。
保温ボトルに『他人用』1Lを3本、『個人用』500mLを2本用意してある。
他人用は飲みやすい濃さ、個人用は私好みの濃さだ。
「チーム『ベガ』代表、か。他の人は?」
「マーベラスは『アヤベさんが代表になったほうがマーベラス☆』って辞退、バンブーさんは風紀委員として運営側で仕事、タイシンさんは『あたしが子供受けすると思う?』って辞退、シャカールさんも同じく、ファルコンさんは特別ステージがあるから辞退、って感じ」
―――チーム『ベガ』。
それが、リラの……アドマイヤベガの所属するチームの名前だ。
リラ自身が名前に惹かれたというのもあり、彼女は『ベガ』に入ったのだ。
「まぁ、なんというか……マーベラス以外は断り方に納得だね」
「えぇ……私も、子供受けしないと思うんだけど……」
「そんな事ないよ。リラなら大丈夫」
「……そう、かしら……」
そんな事を話しながら、教室で待つ事数分。
教室のドアが開いて、誰かが入って来た。
そっちに顔を向けると、1人のウマ娘が。
「あら、テイルさんにアヤベさん、おはようございます」
「キングさん、おはようございます」
「おはようございます……此処に来たという事は、つまり……」
「えぇ、そう!チーム『プロキオン』代表は、このキングが勤めるわ!!」
黄金世代が1人、黄金世代の中では短距離を得意とするウマ娘、キングヘイロー。
そんな彼女が所属するチームは『プロキオン』で……
「ちなみに、他のメンバーは……」
「ドトウさんが『ドジ踏んで見学に来た子に怪我をさせそう』と辞退、ダイユウサクさんが『気分が乗らない』と辞退、ステイさんが『ガキの面倒見るのメンドクセェ』と辞退、レガシーさんが『不愛想で子供泣かせそうだから』と辞退しましたの」
「あー……」
ドトウが所属するチームが、『プロキオン』だ。
自分の知っているチームはどこもかしこも個性派だらけと思っているけど、『プロキオン』は、中々『濃い』と思っている。
「ダイユウサクさん、それで良いのか……」
「あの人、気分が乗っている時と乗ってない時で差が激しい人なので、まぁ……」
「まぁ、うん、そうね……あの人、気分が乗っている時は本当に凄いけど……」
キングさんの言葉に納得してしまう。
ダイユウサクさん……『名優』と称えられるステイヤー、メジロマックイーンを相手に有マ記念の舞台で大波乱を巻き起こしたウマ娘である。
本人曰く、『あの時は完全に【波が来てました】わね!』との事。
思わずリラと並んで遠い目をしていると、また1人入って来た。
「おはようございます!!テイルさんにアヤベさん、それと……キングヘイローさん、ですね?」
「えぇ、そうよ。貴方は確か……ナリタトップロードさん?」
「はい、そうです!チーム『ベテルギウス』の代表として来ました!!」
栗毛のウマ娘、ナリタトップロード。
私やリラ、オペとドトウの同期である。
「……他のメンバーは、どうしたの?」
「他の方、ですか?他の方は、えーっと……タキオンさんが『研究データを纏めるのが先』と言って辞退、ゴッホさんが『聖蹄【祭】とファン感謝【祭】ならともかくこっちは気乗りしない』と辞退、ロケットさんが『すみません、緊張しすぎて無理です』って辞退、って感じですね」
「皆、結構自由だね……」
「プロキオンよりは控えめだとは思いますけれど、こっちはこっちで個性的ですから……特にタキオンさん」
彼女が所属するのは『ベテルギウス』。
本人も言っているが、【あの】アグネスタキオンが所属するチームとして色んな意味で有名である。
あの人1人だけで話題に事欠かないからね……
「こう、その……ここに居るってもしかして、貧乏くじを引かされた感じだったりします?私はあまり気にしませんけれど」
「……私は、否定出来ないかも……ファルコンさんはまぁ、仕方ないけど」
「正直、私も否定しきれませんわね……テイルさんは?」
「うん?ライスちゃんとデジタルちゃんは辞退したけど、私とグラスさんとビコーの3人から、所属メンバー全員の投票で決めたんだ。だから貧乏くじ、って訳じゃ無いよ」
因みに、ライスちゃんは『ライスが案内すると、不幸な目に遭わせちゃいそうだから』と辞退、デジタルちゃんは『いえいえいえ!デジたん子供の相手なんかとてもとても!!』と辞退していた。
……デジタルちゃんの場合、子供たちの無邪気な笑顔や、学園内のウマ娘との微笑ましい光景で耐え切れず昇天してしまうと自分で分かってるからこその辞退なんだろうなぁ……
「それで、今4人ですよね?後はどこのチームから来るんでしょう?」
「8チームって話じゃなかった?リギルのヒシアマ姐さんは知ってるけど」
「それじゃあ、残り3チームですね……」
何処のチームからどんなウマ娘が来るのやら、とみんなで話し合っていると、教室の扉が開いた。
「皆さん、おはようございます。チーム『カノープス』代表、イクノディクタスです。よろしくお願いします」
「あぁ、イクノさん。おはようございます」
1つはチーム『カノープス』だったらしい。
眼鏡を指でクイッと上げている姿がサマになっているウマ娘、イクノディクタスさん。
彼女が今日は代表として来たようだ。
「今全員から聞いているんだけど、他のメンバーは?」
「ネイチャさんは『他のメンバーがキラキラしすぎてるだろうからネイチャさんは耐えられません』と辞退されました。ターボさんは今日の特別イベントに備えて待機、タンホイザさんは……実は本来タンホイザさんが担当だったのですが、今朝石ころを踏んで足を滑らせ、顔から地面にぶつかって鼻出血を……」
『『『『あー………』』』』
容易に想像出来てしまうのが、タンホイザさんの悲しい所……
そんな事を思っていると、1人教室に入って来た。
「おはようございます!」
「おはようございます、スカーレットさん」
スカーレットさんという事は、2つ目のチームは『スピカ』か。
『濃い』チームであるが、スカーレットさんは1番への執着が強い以外は常識人であるので、納得の人選かな?
「スカーレットさん、一応聞いてみますが、他のメンバーは?」
「スピカの他のメンバーですか?私達、メンバー内で投票して決めたので……多分、学園案内でスピカの所に見学者が来ても良いように、ゴールドシップさんをトレーナーが監視しながら練習してるハズです」
「そうだね、監視必須だよね……うん、納得した」
スピカの、というかトレセン学園有数の問題児、ゴールドシップさん。
何と言うか、その……説明出来ない理不尽さを持っているウマ娘だよ、うん。
トレーナーが監視でもしないと、何をしでかすか一切分からない恐ろしさがある……監視しててもなにかしそうだけど。
全員で遠い目をしていると、1人入って来た。
「お、揃って……ないか、1人足りないね」
「ヒシアマ姐さんおはようございます」
「テイル、おはよう!今日は頼りにしてるよ!」
美浦寮寮長、ヒシアマゾンさん。
『女傑』と謳われるウマ娘であり、学園内最強と名高いチーム『リギル』のメンバーだ。
今日は、彼女がリギルの代表………
「実は、別件に参加する事になってね、代わりを連れて来たんだよ」
「別件ですか?」
「寮の案内もやる事になったらしくてね、そっちはそれぞれ寮長が担当するんだ。フジと私はそっちの対応だよ」
「なるほど、じゃあ誰が代わりに?」
リギルで代わり、となると……オペ?
生徒会メンバーは生徒会で仕事だろうから、やっぱオペかな?
などと考えてると、ヒシアマ姐さんの奥から、1人入って来た。
少し小柄な、鹿毛のウマ娘だ。
言ってしまうと少し申し訳ないが、ウマ娘の例に漏れず美少女ではあるが、特徴と言うべき特徴はそこまで無い。
だが、それらが全く気にならなくなる程の、圧倒的なまでの『存在感』が、そのウマ娘にはあった。
「ほら、挨拶しな」
「おはようございます、皆さん―――『ディープインパクト』、ヒシアマゾンさんの代わりを務めさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願いします」
彼女の名前は、ディープインパクト。
前世にて自分が現役引退した後に現れた、『無敗三冠』と『七冠』を達成した稀代の名馬。
その、生まれ変わりのウマ娘だ。
「まぁ、その……ちょっと『硬い』だろう?こうしたイベントに慣れて欲しくてね、ちょっと我儘言って推薦したんだよ。迷惑かけるかもしれないけど、宜しく頼むよ」
「……分かりました。ヒシアマ姐さん、貸し1で」
「今度寮の夕飯で好きなモノ作ってやるから!」
「分かりました、全力でサポートさせて頂きます」
「テイル……」
リラ、呆れないでくれ。
人間誰しも、好きなものを腹いっぱい食べたいものなんだよ。
さて、何を頼もうかな?
ちゃんちゃん焼きか?ジンギスカンか?濃い味の豚丼も捨て難い……あぁ、寮にラムカレーの良さを広めるというのもアリかもしれない。
今から楽しみだなー……
「あ、そうだ。あと1人は『アンタレス』から来るからね!」
『『『 えっ 』』』
チームアンタレス……スピカ、プロキオン、ベテルギウスと負けない程の『濃い』チーム。
誰が来るんだ、と若干警戒すると、丁度ヒシアマ姐さんが誰か来るのを見つけたらしい。
「お、来たね!他の連中は揃ってるよ!」
「……あぁ、貴方でしたか」
「あ、ディープ……おはよ……」
「貴方も、挨拶を」
「うん……」
ヒシアマ姐さん、ディープインパクトの奥から、1人入ってくる。
栗毛の少女で、マスクをしている。
どこか気だるげな、そんなウマ娘。
「オルフェーヴル、です……よろしく、お願いします……」
「正直、貴方が来るとは思いませんでしたが」
「本当はカレンさんだったけど、風邪で……スイープさんは興味無かったし、姉さんも乗り気じゃなくて……デュランダルさんと、じゃんけんで決める事になって、負けたから……」
オルフェーヴル、彼女もまた、前世では『クラシック三冠』を達成した名馬だ。
ウマ娘になるとこうなるとは、中々分からないモノだ。
「ま、これで全員揃ったね!じゃあ私は私で案内の準備があるから、後は頼んだよ!!」
「分かりました」
「大体の流れは分かってると思うけど、4グループに分かれて貰うから2人1組作っといてね!」
ヒシアマ姐さんの言葉を聞いた瞬間、リラがスッと隣に移動してくる。
『ペア組みましょう』という無言の催促だ。
断る理由は一切無いし、じゃあそれで―――
「あ、アヤベとテイルは別のペアだよ!」
「な、何でよ!?」
「テイルにはディープのサポートして貰うからね。テイルそう言うの慣れてるだろうしさ」
「そ、そんなぁ……」
「……なんか、すみません」
「いや、謝らなくて大丈夫だよディープインパクトさん……アヤ、泣かない泣かない」
若干涙目になってるリラをギューッと抱きしめる。
背中をポンポンと叩いて、優しく撫でる。
「お昼は一緒に食べようね。だから我慢、出来るね?」
「……………うん」
「よし。じゃあ、他の人とペア組んで、しっかり案内役を務める事。良いね?」
「………うん」
「良い子、良い子」
最後に頭を撫でて、褒めてあげる。
……なんというか、あれだ。
前前世で親戚の子供を相手にしてるときの気分だな、これ。
「……なんか、悪いね、テイル」
「ヒシアマ姐さんも気にしないでください。ほら、準備あるんですよね」
「あー、うん、じゃあ頼んだよ!」
手を振り去っていくヒシアマ姐さんを見送って、一呼吸。
そして、リラ以外の教室の面々を見て、一言。
「……誰か、アヤのサポートしてくれる人、居るかな?」
―――返事は、残念な事に無かった。
チームまとめ
チームスピカ:皆さんご存知、アニメでのメインチーム。
チームリギル:所謂ライバルチーム。ただしグラスワンダーが抜けており、ディープインパクトがメンバーに。
チームカノープス:アニメでも登場していた、GI未勝利馬チーム。
チームアルタイル:ブラックテイル所属。鞍上をM氏が勤めた競走馬達で構成。
チームベガ:アドマイヤベガ所属。鞍上をT氏が勤めた競走馬達で構成。
チームプロキオン:メイショウドトウ所属。GⅠ1勝馬で構成されたチームの1つ。
チームベテルギウス:ナリタトップロード所属。GⅠ1勝馬で構成されたチームの1つ。
チームアンタレス:オルフェーヴル所属。鞍上をI氏が勤めた競走馬達で構成。
他にもチームは考えてますが、取りあえず現状はこのようなチームです。
この世界線でのアプリメインストーリーは、きっと各チーム内から1人ウマ娘をピックアップして、その子を中心としたチームでの物語&ライバルチームとの対決を描くストーリーになります。