黒き馬、世紀末を駆ける 作:馬券童貞は東京優駿に捧げた男
本当に申し訳ない、11月末~12月末まで仕事ラッシュで気力体力持っていかれてしまい小説に手をつけていませんでした。
まことに勝手ながら、『クリスマスイベントにブラックテイル(元元人間、元競走馬入り)が居たら』で小説を考えたので、暫くこれで書く感覚を取り戻させてください……
競走馬編は、クリスマスイベントの話を書き終えたら再開させて頂ければと思います。
「―――思い出作り、か」
冬のある日、オペラオーが発した言葉から、彼女のしたいことを推測する。
「そう、思い出作りさ!僕たちはあの黄金世代を越えようと挑み、戦った……そして確信したんだ!他の世代にはない輝きが、ボクらにはある!」
「だが、レースだけではない、ターフ以外でも、その輝きを―――ボクたち世代がNo1なのだと、証明したいんだ!」
ふむ、と少し考える。
黄金世代―――グラスさんとスペシャルウィークさんを筆頭とした、レースでの私たちの1個上の世代。
私たちのクラシック期後半、馬で言うところの古馬混合戦が始まったとき、私たちは正面からぶつかり合った。
いやはや、アレは楽しかったな、と、少し懐かしむ。
「みんなで思い出作り……す、素敵ですぅ~!私もそれっ、やりたいでふっ……痛ぁっ!」
「私もいいと思います!久しぶりに、みんなで一緒に……ワクワクしちゃいますね!」
そういえば、全員で何かを、というのはあまり無かったなぁ最近。
リラと出かけたりとかは頻繁にしていたけれど、トップロードやオペ、ドトウとの外出は……個人個人ではやっていたが、複数人ではしてなかったな。
最後に複数人外出したのは……ドトウの辛い物巡りにトップロードと一緒に付き合った時、か……?
「……で、思い出作りって、具体的に何をするのよ?」
「んー……一泊旅行とか?昼にオペラ鑑賞をして、午後にキャンプ……」
「昼にオペラ鑑賞からのキャンプは強行軍になりかねない気がするけれど……時期が時期だ、クリスマス会を私たち主導で開催するとか、どうかな?」
トップロードの提案に、待ったをかける。
オペラ鑑賞が出来るような場所からキャンプ場となると、利用する交通手段次第だがかなりきついスケジュールになりかねない。
オペラ鑑賞となると少し身だしなみも気を付けないといけないだろうが、しっかりした服装でキャンプに行くのも気が引ける。
そんな私の提案に、オペラオーが頷く。
「テイルさんの言う事も一理ある、あるのだが……もっと強く、『証』を残したいね!」
「『証』?」
「そう!ターフで築いたボクらだけの蹄跡!極限まで研いだ剣をぶつけ合い、火花散らしたあの瞬間―――これぞボクらの世代という熱を!強さを!!一体感を!!!」
「見るもの全てに感じさせ―――ボクらがNo1だと、言わしめる!ボクたちだけが成せる偉業を、形に残したいのさ!!!」
「「「「 偉業? 」」」」
思わず、全員で首を傾げる。
偉業、とは……どのようなものを指すのだろうか?
それも、レース成績とかではなく、これから私たちのする『何か』で表現しようというのは……うーん、分からん。
「なるほど……ボクたちはまだ、同じフィナーレが描けていないと見える。偉業の前に、描くビジョンを同じくする準備が必要なようだ……トップロードさん、雑誌を借りるよ」
トップロードが持っていた雑誌を、オペラオーがペラペラとめくり始める。
―――そういえば、リラとトップロードがあの雑誌を図書館に戻そうとしてた所を、オペが捕まえてカフェテリアに来たのがこの集まりの始まりだったか。
で、偶々偶然カフェテリアでのんびりしようとしてた私が居て、といった具合だったね、うん。
「ふむ……『クリスマススポット特集』。おあつらえ向きだね!週末、ここで5重奏のハーモニーを揃えよう!」
「フェアリーパークですか!クリスマスといえば、ですねっ!」
「フェアリーパーク……久しく行ってないなぁ」
フェアリーパーク……言ってしまえば、『夢の国』、だ。
時期が時期だけに、恐らく非常に混み合うことが考えらえる。
が、イベントも盛りだくさんだろうから、思い出作りという意味ではいいだろう。
「……本当に行くの?であれば、準備が必要なんじゃないかしら……」
「そうですね、混雑しそうですから。クリスマスイベント中ですし……」
「―――いや、その必要はない。テーマパークを楽しむのではなく、親睦を深めるのが目的なのだから、ここは台本なしのエチュードといこうじゃないか!」
エチュード、は確か……即興劇、だったね。
オペの言葉には歌劇の用語が盛り込まれるため、そういうのも調べることが多い……なんなら、何度も劇の鑑賞してるしね、オペと。
言ってしまえば行き当たりばったり、といったところか。念入りな下調べをしたイベント参加というのも良いけれど、そういうのも良いじゃないか。
じゃあ、今週末の予定は空けておくとしようか。
「ふぉおおっ!みんなでフェアリーパークですと……!?親愛度上昇確定のクリスマスイベントじゃあないですかっ!見たい、絶対スチル化間違いなしのレアイベント連発ですよ!全イベント仕草も表情も細部までこの目に焼き付けたい!……でもさすがに尾行はご迷惑ですよね……押しに迷惑をかけるなんてファン失格!ダメ絶対!!……でも、見たいっ!!……………ご、ご迷惑にならないよう、離れて見守ります……絶対ばれないように気を付けますので、先輩すみませんが……お許しください……!!」
待ち合わせ時間の1時間前にドトウさんが集合地点に到着、したけれど転んで服が破れてしまい着替えに戻られる。
そんなドトウさんの連絡を受けて、ドトウさんと合流してから来ることをトップロードさんが決められた模様。
流石気遣いの出来るお方……良き。
ここで我らアルタイルのリーダー、テイルさんが集合場所に到着された様子。
あぁ朝日すらをも吸い込まんとする、漆黒の御髪の美しさたるや!
どうやらアヤベさんとは一緒に来られなかった様子……?
「ドトウが絶対早く来ると思って来たけれど、入れ違いになっちゃったか……仕方ない、時間を潰すか」
あぁ~テイルさんの言葉にしない気遣いっ!ご馳走様ですっ!!
トップロードさんとはまた違う気遣いの仕方ですねぇ……どこか一歩退いた場所から、そっと支えるような、そんなやり方がテイルさんの気遣い。
デジたんも何度助けられたか……数えられぬっ。
集合地点からあまり遠くない雑貨屋を見始めるテイルさん。
手に取りながら何かを考えられている様子ですが……
「……これ、ルドルフが好きそうだな。色合いも落ち着いた感じだし……勧めてみようか。そうなると、生徒会の面々への日頃の礼として出すのが良いかな。じゃあ、エアグルーヴさんとナリタブライアンさんにも……」
うーん何処までも他人至上主義っ!!!
何度か見かけることがあるのですが、いつもテイルさんは「これはあの人が好きそう」「これはあの人に合いそう」と、自分のためというよりは他人のために買い物をされるんですよねぇ……
デジたんもそれで幾つも頂いてしまいまして……最初は断ろうとしたんですけども……
『デジタルちゃんの為に買ったんだ。だから、受け取ってくれないかな?』
あの囁きに私は勝てなかった……!
頂いたものはありがたーく、ありがたーく使わせて頂いております……
っと、今はテイルさんの観察を優先せねばっ。
幾つか雑貨を購入して、テイルさんは喫茶店へ。
どうやらコーヒーを飲んで時間を潰すようですね。
カップを手に取り、香りを楽しみながらコーヒーを飲むテイルさんは絵になりますなぁ……眼福眼福。
あれから暫くして、集合場所に移動するテイルさん。
そこにはアヤベさんが……
んんん~~!!アヤベさんの優しい微笑みぃ~~!!!
アヤベさんとテイルさんは、誕生日が数日違うだけで同じ病院で生まれ、実家は隣、幼稚園からずっと一緒に育ってきたという……もう、なんと言い表せばいいのかっ!?と思わず頭を抱えたいレベルのふかーい間柄。
テイルさん曰く『アヤは……家族同然の存在、かな?幼馴染で、大切な親友で、っていうのもあるけれど……うん、家族、って言った方がしっくり来るかな』、との事。
アヤベさんからしてもそういう認識のようでして、もうお互い相手への好意が凄いのなんの!
クールな印象を受けるアヤベさんですが、テイルさんの前では御覧の通りっ!表情豊かな、普段見られない一面を見られるんです!
お二人が合流してから少しして、ドトウさんとトップロードさんが一緒に来られましたね。
ペコペコと申し訳なさそうに謝るドトウさんに、少しあきれたような、しかし無事でなによりと言いたげな少し優しい表情のアヤベさん。そして、謝り倒すドトウさんを宥めるテイルさん。
うーん、良き……
集合時間ちょうどに、オペラオーさんが到着。
朝日で御髪が艶めいてキラキラと……自信に満ち溢れたその表情と合わせて、なんと麗しい……!
『時間に余裕を』と少しムッとするアヤベさんを宥めながら、オペラオーさんを適度に褒めつつ、ドトウさんを気にして……と、結構大変そうな事を、トップロードさんとテイルさんが2人で上手くやっていうのが見えますね。
合流したので、ここからフェアリーパークへ移動!
あぁトップロードさんがドトウさんの隣に!これはまさか、よろけたりしやすいドトウさんを即座に支えられるポジション取り!?
エモ!気遣いエモ……!
そのすぐ近くではアヤベさんとテイルさんが隣り合って……ご馳走様です……!
テンションが昂ぶりやすいオペラオーさんの事は、他の4人で上手い具合に抑えながら、電車移動が続きます。
「うわぁ……凄い混雑ですね!」
「だねぇ……アトラクションは、1時間以上待ちのがほとんどかな」
「案の定、ね……並ぶだけで、1日が終わりそう」
フェアリーパーク到着、なのですが……見渡す限りの人、人、人っ!
夏と冬の即売会には流石に及ばないものの、かなりの人口密度です……!
あーデジたんは即売会で鍛えておりますので、人込みに紛れ、しかしながら流されないようにするのは得意ですとも。
「はーっはっはっ!御伽の世界に居ながら、何を言うんだい?きらめくクリスマスの街に、覇王たるボクが降臨したのだ……さぁ!存分にボクを愛でるがいい!そして好きなだけ写真を残したまえ!!」
「オペラオーちゃんは記念撮影がしたいんですね!アヤベさんは?」
「……どこかで、ゆっくりしたいかしら……」
「ゆっくりするのも悪くないけど……ドトウは?」
「あ、ああああのっ!み、耳飾り……!お揃いの耳飾りを、付けたいですぅ!」
「耳飾り……そうだね、折角フェアリーパークまで来たんだし、お揃いのグッズを付けるっていうのは良いかもね」
「そうだね!宴はとことん酔いしれるのが作法。僕らもオルロフスキーの夜会に興じようじゃないか!」
「……今日だけよ」
「ほ、本当ですか!?うれしいでしゅう~!!」
ほ、ほあぁぁぁぁっ……!!!
かの覇王世代が!全員お揃いのグッズを!?
な、なん……なんたる、お宝ショットっ!!!
自信満々に自らを飾りたてるオペラオーさんに、そんなオペラオーさんから耳飾りを付けてもらうドトウさん!
その横では、恥ずかしがるアヤベさんの耳に、優しく耳飾りを付けるトップロードさん!
そして、そんな皆さんを優しく見守るテイルさん……!!!
ありがとうございます、ありがとうございます…!!!
「あっあっ、見てください!『エンディーラ』ちゃん!かわいいですぅ~!!……い、一緒に写真、取りたいなぁ……」
「なら、撮ってもらいましょう!…あ、アヤベさんも、一緒にどうですか?」
あれから、皆さんでパーク内を歩き回って少し経ち…
お宝ショットの連続で、デジたんハート&デジたんアイズに焼き付けるのに必死になっていた所、パークのマスコットキャラクターに目を輝かせるドトウさんのお姿が。
「……どうして、私まで……」
「ドトウちゃん、1人写真だと顔が強張っちゃってたんですよね」
「あー……緊張しちゃうよね、ドトウの性格だと」
「そ、そうなんですぅ……1人だと緊張しちゃって……でもあの、ご迷惑でしたら……」
んん~、ドトウさんの困り顔での上目遣いっ!!!
庇護欲を掻き立てられるあの表情っ!!!堪らんっ!!!
「……いい、分かったから。別に……迷惑じゃ、ないわ」
「フワフワだもんねぇエンディーラちゃん……75点くらいは、君の評価で取れるんじゃないかな?」
「…………そう、ね。よく見ると、確かに、フワフワな所も、あるわね……」
「エンディーラちゃんさえよければ、交代交代で何枚か写真を撮ろう。オペ、君もどう?」
「パークの主役と覇王の共演、というのも良いね!!では、後でお願いしようかな!!」
良―――――はっ、意識が飛びかけた!?
いかんいかんこんなところで意識を途切れさせるなアグネスデジタル、こんな貴重なイベントを見逃すなんて一生モノの後悔になってしまう!
「ほら、ドトウもアヤも、もっと寄って寄って―――はい、チーズっ」
「次はオペとトップロードさん―――はい、チーズっ」
「じゃあ今度はアヤベさんとテイルさんで―――はい、チーズっ!」
「オペラオーちゃんとドトウちゃんで―――はい、チーズっ!」
「え、エンディーラちゃんも次の場所がありますから、これで最後ですぅ……お、オペラオーさんとテイルさんで、チージュっ!!!」
んはぁぁぁぁ………!!!!!
普段あまり無い組み合わせもあって最高です!!!
「お待たせしてすみません、ポップコーン、買ってきました!……あれ、他の3人は……?」
「オペラオーはあそこで……ドトウが迷子になったから、テイルが探しに行ったわ。私はオペラオーが迷惑をかけないように監視しながら2人を待っていたところ」
「なるほど、そういう事だったんですね……じゃあ、オペラオーちゃんを迎えに行ってきます!」
「私が行ってくるわよ」
「いえ、テイルさんがアヤベさんの所に戻ってくる前提で動いているハズですから、ここで待っていてください!ポップコーンも預かってもらえると助かります!」
エンディーラちゃんとの撮影会も終わって、休憩タイムに入られる模様。
ドトウさんがはぐれ、オペラオーさんが先ほどまで行われていたパレードの熱が伝播したのか1人公演を始めようと離れてしまい。
アヤベさんに『ここでオペラオーを見守っていて。私がドトウを探してくるよ、地図はだいたい覚えたから』とテイルさんがドトウさんの探索に向かわれました。
テイルさん、地図とか覚えるの凄く早いし正確なんですよねぇ……アルタイルの面々で新宿駅とかに何度か行ったことがありますけど、迷わないし、迷子が出ても必ず連れて帰ってきて下さるしでホントに凄い……
「『ドネルケバブ味』、なんとも独特の味わい深さがあるね」
「塩バターとかのシンプルな味も良いけど、こういう時くらいは変わりダネもいいよね……オペ、ちょっともらっていいかな?私のやつ食べていいから」
「では早速頂くとしよう!………テイルさん、これ何味だい?これまた独特な味がするけれど」
「ソーダ味。面白い味だよね」
世代の皆さんでポップコーンタイム、うぅ~んすばらっ!!
やや変わりダネの味を交換しあうテイルさんとオペラオーさん!
その隣ではシュガーバター味のポップコーンを食べながらエンディーラちゃんとの写真を眺めるアヤベさん!!
そしてそして……
「あれ、開かない……んんんん~~~!!!」
「ど、ドトウちゃんそんなに力を加えちゃ……!」
「あ、開い……ひゃああっ!!」
―――あぁ、やはりと言うべきか!
ドトウさんのハプニングがここでも炸裂!!
ポップコーンが散らばってしまった事は勿体ないですが、ドトウさんの慌てふためく姿が、あぁとても素敵ぃ……
―――あれ、トップロードさんはどちらに……?
「―――あっ、デジタルちゃんじゃないですか!」
「ギギギギクゥッ!!!……ア、アハハ~~、ぐ、ぐぐぐ偶然、偶然ですねっ!」
―――バレたっ!バレてしまったぁっっっ!!!
何たる不覚!壁際の鉢植えと同化するレベルで気配の遮断をしなかったばかりに!!!
だ、だだだだ大丈夫、トップロードさんは他人を信じやすいお方、なんとか誤魔化せばワンチャン……!
「デジタルちゃんも、お友達と遊びに来てたんですね!」
「ア、イエ、お1人様デス……で、では失礼しま―――」
「―――あ、デジタルちゃん。奇遇だね」
ア、アイエエエッッ!?
センパイ!?センパイナンデ!?
「トップロードさんが1人でスタッフさん呼びに行くから付いていこうと思ったら……トップロードさんは当初予定通りにスタッフさんを探してきて貰えるかな?」
「あ、そうですね。ドトウちゃんがこぼしちゃったポップコーンを早く掃除して貰わないと……それじゃあデジタルちゃん、また!」
「アッ、ハイ……」
「―――で、だ。デジタルちゃん?」
「ハヒッ!?」
先輩の言葉に、変な声が出てしまう。
先輩を怒らせてしまった……!
先輩が怒りを露わにしたのは、1度だ……そう、1度だけ見たことがあります。
その時に近い雰囲気を感じて―――――あれ、収まった?
「……おおかた、食堂で話しているのを聞いて好奇心が抑えられなかった、って所かな?」
「え、あ……は、はいっ!ももも申し訳ありません先輩!!皆様の邪魔をするつもりは無かったのですけれど魔が差してしまいまして尾行を……!」
「………正直に今話してくれた事、ちゃんと悪いことだって認識している事。この2つに免じて、注意で済ませよう。君の趣味趣向については、多少理解しているつもりだけど……危ないことはしちゃ駄目だよ?私たちみたいな一般のウマ娘の尾行ならこういう注意程度で済むけれど、トレセン学園にはいわゆる『お嬢様』達もたくさん居るんだ、そういった子たちの尾行なんかしたら、護衛の人たちに捕まってしまうかもしれない……気を付けるんだよ?そうなったときに、私程度じゃ助けられないかもしれないんだ」
―――ざ、罪悪感が……罪悪感が、凄い……!
本心から私の事を案じてくださっているのが分かってしまう、分かってしまうから、本当に申し訳なさで胸のあたりが締め付けられる……!
「ファインモーション殿下のSPの方々なんかは特に厳しい方ばかりだからね、本当に気を付けてね?……いや、隊長さんは比較的話が通じる人ではあるんだけど、それ以外の方、特に真面目な人たちとかの場合は本当に捕まって国際問題になりかねないからね?」
「はい、気を付けます……」
「……うん、その言葉を信じるよ。メジロとシンボリ相手なら何とか頼み込んで助けられる……サトノ家も何とかなるか?『薔薇一族』もまぁ伝手はあるし、『華麗なる一族』もどうにかなる……ホント怖いのは殿下の護衛の方だけど、殿下と姉君に伝手があるから……いやでも国際問題になった場合本当にどうしようも……」
―――相変わらず顔が広いお方……!
出るわ出るわビッグネームの数々、学園内どころか、街中でも聞くことがある名家の名前がズラリと。
先輩本人は絶対否定するでしょうけど、顔の広さで言えば学園一という評判も納得ですねぇ。
「……よし、とりあえずこの話はこれで終わりにしようか」
「は、はい!それではあとは皆さんでごゆっくり……」
「―――いや、君も一緒に来てもらうよ?」
「アイエッ!?」
まさかの提案に、思わず反応してしまう。
「いや、長いこと勝手に離れてたから、合流する際に口裏を合わせて欲しくてさ。『偶然デジタルちゃんと会った。せっかくなので一緒に回ろうと誘ってそれにちょっと時間がかかった』、って言う事にしたいんだよね……尾行の件は内密にしてあげるし、一緒に回ったら堂々と私たちの事を見れるよ?」
「うぐっ……………いや、でも……皆さんの邪魔をするわけには……」
「おーいテイルさーん!ここでパークの衣装を借りられるらしいから、みんなで着替えて撮影するよー!!!」
「先に行ってますからねー!!」
「れ、レア衣装の撮影会……ここを逃せば見る機会なんて二度と訪れないかも……!」
「……どうする?」
「……………………あ、あの、か、カメラ係などご入用でしたら………」
「うーん……『カメラ係』、って立場じゃなくて、『一緒に遊んでくれる後輩』が今は居てくれないかなぁ……?」
あ、あくまで、先輩が誘ってくれたという立場を確保してくださっている!?
わ、私が尾行したという事実を、徹底的に隠してくださる!?
や、優しい……優しさが染み渡る……!
どこまでも御供致します……!!!
「ふーむ……どの衣装にしようか、悩んでしまうね」
「こうした衣装と君の相性はどれも良さそうだね、オペ―――」
「嬉しいことを言ってくれるね、テイルさんは……テイルさん?」
「……ちょっと。どうしてまだ着替えてないの?」
「すっごくすごい綺麗ですね、アヤベさん!氷の国の衣装ですね!」
「え、えぇ……これが、1番シンプルだったから……て、テイル?」
「―――綺麗だよ、アヤ。うん、素敵だ」
「ッ……あ、ありがとう……」
―――楽園とは、この場所の事でしたか。
アヤベさんの衣装は、『氷の国』の女王の衣装。
白を基調としたドレスで……アヤベさん自身の雰囲気も合わさって、まさしく『冷徹なる氷の国の女王』そのもの。
―――ですがっ!そんなアヤベさんにグイグイ迫って褒めちぎるトップロードさんと、唯々本心からの言葉を伝えるテイルさんの前にたじたじなその姿!!!
堪らん……ッ!!!
「へぇ、アヤベさんは氷の王か。ならボクは、対極の黒で……テイルさん、今回はボクが『黒』を着て良いかな?」
「わざわざ許可を求めなくてもいいよ、オペ」
「わ、私も……オペラオーさんと同じ、黒にしてもいいですかっ?」
「もちろんさ、ドトウの好きに選ぶといい……2人は、どれにする?」
な、なななんとオペラオーさんが黒基調!?
アヤベさんの衣装を見たうえでのこの発言、良いですねぇ色々と考えさせられます……!
そして、やっぱり我々の認識では、『黒』と言えばなテイルさんですが、オペラオーさんが『黒』を纏う事を承諾されました。
ドトウさんがオペラオーさんとお揃いにしたいというのも良き……
さて、残るお二方は……?
「そうだね……じゃあ、折角の機会だし―――アヤ、選んでくれないかな?」
「……あなた自身が選んだ服を見てみたい所だけれど」
「自慢じゃないけど、ファッションセンスは皆無でね……君が選んだ服なら、なんでも」
「―――そう、分かったわ」
テイルさんの全幅の信頼!そしてアヤベさんもそれに応えてすぐに選び始めて……!
御二人の関係はやっぱり他の方々に対しての『それ』とは一味違いますなぁ……!!
―――でも、デジたんも、テイルさんが自分で選んだ服って見てみたかったなぁ……
思えば、確かに先輩が服を自分で買ったりしてるところって見たことない気がしますねぇ。
「あ、私は撮影しますので!」
「そそそんな!カメラ係はわたしが!!」
「いえいえ、私はもうたくさん撮りましたから!デジタルちゃんはまだ1枚も撮ってないじゃないですか」
トップロードさんまさかの辞退!?
しかも皆さんとの写真撮影の機会を、まさかデジたんに譲って!?
「いえいえ!そのお優しいお心遣いだけで十分です!!むしろ貰い過ぎてます!!!折角の同期でのイベントなんですから!!!」
「じゃあ……2人で一緒に着替えましょうか!で、順番に撮影しましょう!」
「あ、私も撮影に回るよ。トップロードもデジタルちゃんも、撮影云々は気にしないで着替えて」
「テイルさんもこう言っていますから、ね!」
「は、はいぃ~……!」
「―――ボクは、『2人はどれにするか』と訊いたのだけれどね……」
「……そうね。あの2人は、いつも……」
「考えていることはきっと同じかな?」
「おそらく、ね」
クリスマスイベント(ブラックテイル入り)その1でした。
これを書く間に少しずつ書く感覚を取り戻してきましたので、この勢いでクリスマスイベントの話を書ききって本編へ戻りたい所……本当に申し訳ありません……