夕刻の少年の夏色サンシャインデイズ   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で最終回になります。

それではどうぞ。


第6話 夏はまだ終わらない

「あ、また1チーム脱落したみたいだね~」

「あとは私達ともう1チームだけ……ひまりちゃんの為にも絶対優勝しようね!」

「あぁ! ひまりに助けてもらったこのポイ、無駄にはしないぞ!」

 

試合も大詰めになり、残りのチームは自分達と相手の1チームだけとなった。

 

「ひーちゃん……リーダーとして立派な最後だった……」

「けど、作戦はどうする? 敵チームも減ったし、ひまりも脱落したから、今までの作戦は通用しないと思うけど……」

「実況のスタッフさんが話してたけど、向こうはまだ6人全員無事みたいだね……」

 

蘭の言う通り、今までの作戦は通用しないという事になる。相手もバカじゃないという事だ。

 

「流石ここまで生き残ってきた強者だね~。こうなったら奇襲しかないんじゃない?」

「奇襲?」

 

モカが作戦を提案した。

その作戦というのが、誰か1人が囮になって、注意を集めてる間に残りのみんなで相手の不意を突いて倒すという。

 

「不意を突くか……、そうだよな……こっちが不利な状況だから、そういう作戦しかないかも」

 

巴がそういう作戦しかないかもと言う。

実際にこちらの人数は5人。相手の人数は6人という、僅差的に厳しいのは明白だった。

 

「となると、囮になる人が必要だけど……」

 

つぐみがそう言った時だった。

 

「それならボクが囮役……というか、殿(しんがり)をやるよ。要は6人全員倒せばいいんでしょ?」

 

夏々が自分がやると4人に志願した。

いつもの明るく陽気な表情とは違い、真剣な表情で口調も淡々としていた。

 

「みんなは相手チームから逃げるフリをして、隙が出来たら相手を撃墜してもらうって形で。さて……少しだけ、本気で遊ぼうかな」

「「「「は、はい……」」」」

 

偶にこんな感じの雰囲気になる夏々に4人はただ頷くだけだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「モカちゃん、トモちゃん、右手に回って! そっちに2人行った!」

「りょうか~い。スナイパーモカちゃんの銃が火を吹くよ~」

「よし! こっちはアタシ達に任せとけ!」

 

相手の内2人がモカと巴の方に向かったのを確認した夏々は直ぐ2人に指示を出す。

 

「わ! 向こうも一気に攻めてきたよ! 夏々君、気をつけて!」

「……へー。そう来たかー」

 

気づけば夏々は、相手チームの残り4人に囲まれてしまった。しかし当人は囲まれたのにも関わらず不敵に笑っていた。

 

「「「「もらった!」」」」

 

相手が夏々のポイを狙って、集中攻撃するかの如く水鉄砲を放った時……

 

「残念ー♪ それは()()()()()()だよ?」

「「「「ええええっ!?」」」」

 

いつの間にか相手の背後に夏々がおり、相手が驚愕の声を上げて振り向いたと同時に夏々は水鉄砲で薙ぎ払い、相手4人の内2人のポイを破った。

 

「ふっふっふ……ボク達、モカちゃんズの力、思い知るがよーい♪」

 

未だに唖然としてる相手チームをドヤ顔で宣言する夏々だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いや~、今日は楽しかったですな~」

「ほんとだねー♪」

「うんうんっ! サバゲーも、すっごく燃えたよね!」

 

帰りの電車の中。

一同は、今日1日の感想をそれぞれ述べていた。

 

「蘭も最後の方は、ノリノリだったもんね~」

「モカ、うるさい。……でも勝てて良かった」

「ひまりちゃん、すっごく喜んでくれたもんね!」

「だからって感動して泣くとは思わなかったけど」

 

結果的に6人は無事に勝利。トコナッツスプラッシュで優勝したのだ。ちなみにひまり、真っ先に夏々に抱きついて、ヤキモチを妬いた蘭達によって引き剥がされたのだが。

 

「……あれ? 巴とひまり、なんか静かじゃない?」

「蘭ちゃん、しー。トモちゃんとひーちゃん、疲れて寝ちゃったみたい」

 

夏々の言う通り、巴とひまりはぐっすりだった。

 

「ホントだ。今日は一日中遊び通しだったもんね」

「でも、まだまだ遊び足りない気がするよね~。身体は疲れてるのに不思議~」

「……あ」

 

すると何かを思い出した蘭。どうかしたのかと思い、つぐみが訊く。

 

「いや、ちょっと歌詞思いついたから、メモしてただけ」

「へ~、見せてみせて~」

「ボクにも見せてみせてー」

「まだダメ。もうちょっと形になってからね」

 

それを聞いたモカと夏々は、ぶーぶーと言いながら頬を膨らませていた。

 

「ふふっ、蘭ちゃんってこうやって遊んだ後とか、結構曲とか歌詞が思いつく事多いよね」

「そういえば、井ノ島に行った時とかも蘭ちゃん、そんな感じだったよねー」

「そう? 自分ではそんなに意識してなかったけど……」

 

蘭はそう言うが夏々から見れば、蘭のそれはある意味、才能だなと思う。

 

「私はライブとか練習で曲を演奏する時、その曲を作った時の事とか思い出したりするよ」

「蘭の曲は、まさにあたし達の思い出のアルバムって事ですな~」

「何それ。全然上手くないんだけど」

「またまた~。嬉しい癖に~」

「はいはい」

 

モカの話を軽く流す蘭。しかし心なしか表情は嬉しそうだ。

 

「まだまだ夏休みも終わらないし、またみんなでどこか行きたいよね!」

「さんせ~。みんなでちゃんと予定空けとこうね~」

「はーい♪ 次はどこに行くー?」

 

早速と言わんばかりに次はどこに行くという話になる一同。

 

「さっき話にも出てたけど、井ノ島とか?」

「おっ、井ノ島いいな!」

「と、巴ちゃん! 起きてたの!?」

「絶対行こ! いつがいいかな!?」

「わっ、ひまりも起きてきた。2人共、疲れてたんじゃないの?」

 

いつの間にか巴とひまりが起きており、会話に参加していた。これには4人もびっくり。

 

「いやいや、こんな楽しそうな話聞いたら、飛び起きるって!」

「そうそう! 仲間外れにしないでよね~!」

 

なんとも2人らしい理由だった。

 

「あたしは『グランプリ・ド・パン』に行きたいな~。全国各地の有名ベーカリーが集う一大イベントなんだよ~」

「それならアタシはラーメン万博だな! 本場の超有名店が、新作ラーメンを限定で売るんだよ!」

「えー、それなら私は……」

 

次にみんなで遊びに行く場所を話してる3人を見て……

 

「あはは、みんなまだまだ元気みたいだね」

「ま、こういうのも悪くないよね」

「そうだね♪ 偶には……ね♪」

 

こういうのも悪くないなと思う夏々達なのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。

それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。

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