ただの薬売りの弟子ですよ   作:WATAHUWA

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座敷童子

 

それを聞いた退魔の剣は鳴った。

 

「え?どういうことなの?」

 

「モノノ怪は斬らないといけない。ただし形、真、理が揃わなければ退魔の剣は抜けない」

「モノノ怪の【形】を成すのは、人の因果と縁。【真】とは、心の有り様。【理】とは心の有り様。」

 

先ほど薬売りは形を示した。後は真と理

 

「よって、皆々様の――」

 

薬売りが手を出すと剣はひとりでに薬売りの方へ飛んでくる。受け止めた薬売りは剣を構えて言った。

 

「真と理、お聞かせ願いたく候」

 

そう言った後 薬売りは皆に言う

 

「この宿屋には、何かがある」

 

部屋全体を警戒するように見回す。

 

「痛っ……!」

 

恐ろしかったのか女性のお腹に痛みが走った。悪阻があるようなので心労もあるだろう。

 

「身重の娘と、この屋敷……何か思い当たることが、ありませんか?」

 

女将と徳次は答えない。

 

「姉さんがこの部屋に案内されることになった時、番頭「あの部屋」って言ったよね。何かあるの?」

 

常世がじっと徳次を見るが、彼は答えない。しかたがないので死体の男について聞いた。

 

「あのモノノ怪に殺された男、知っているのか?」

「……」

 

薬売りの問いには本当に知らないのか女将と徳次は無言。でも常世には思い当たることがある。

 

 

「………師匠。あの人刃物沢山持っていましたね」

「ああ。刀に短刀だ」

 

常世の言う通り、男は刀と短刀を持っていた。

 

「お姉さん。ここに来た時言ったよね」

 

『実は私、追われているんです!見つかったら……命がありません!』

 

「お姉さんを狙っていたのはあの男?」

 

常世の言葉に腹を括ったのか女性は答えた

 

 

「あの男、直助と言います……殺し屋です」

 

以前、仕えていた家の若旦那と恋に落ち、お腹にやや子を宿した。当然怒るのはご両親である大旦那と奥さん。なので二人は産まれる前に女性とやや子を殺そうとしていたのだ。

 

「あーあ、ごちゃごちゃうるさいねぇ。モノノ怪だろうと、アヤカシだろう、と  この屋敷に何かあるってんなら、出て行けば済む話じゃないか」

 

そう言って襖を開く女将。

 

「え?」

 

廊下が無い。自分たちが居る部屋がずっと向こうまであったのだ。徳次も反対を確認してみるが

 

「うぉおおお!?」

 

同じ部屋がずっと向こうまであった。すると遠くから部屋の装飾が変わっていく。

 

「子供?」

 

女将と徳次に色んな色の子供たちがしがみついている。女性と常世の目の前にも緑の肌をした子供。

 

「おっ母」

 

子供が言った瞬間だった。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「師匠!?」

「常世!」

 

常世と女性だけが引き離されて行くのだった。

 

 

 

 

 

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