「モノノ怪め。いい度胸」
常世と女性は異臭がする部屋にいた。部屋の中心には異臭の原因であろう液体がある四角い穴。その真ん中に一つの台がある。
「師匠の薬箱と退魔の剣はある。天秤、出ておいで」
常世が薬箱に向かって言うと
ザザザザザザ
天秤複数が出てきた。
「よしよし。モノノ怪との距離は?」
常世の問いに天秤は並ぶだけで示さない。
「今のところ近くにはいないか。それじゃあ」
常世は気絶している女性に近づく。
「もし…お姉さん。起きて」
「う…臭い」
「失礼な。部屋の臭いだよ」
「え?」
常世に言われ、女性の頭がはっきりしていく
「貴方は…え?」
「ん?」
二人の視線の先には膨らんだ女性のお腹。そこにやや子を模した達磨がある。
ぱ
「やああああああ!!!」
「お姉さん下って!!」
達磨がさっきの子供になったのだ。当然、女性は驚き、常世は女性を連れて離れる。しかし
「……消えた?」
「え?」
子供が消え、達磨が倒れていた。常世はつついてみようかとかんざしを取る。すると
「うふふふ」
「あははは」
「人?」
「声が聞こえるねぇ」
男女の楽しそうな声が聞こえてきた。その声は隣の部屋から聞こえてくる。気になったのか女性が少しだけ障子を開けると動かなくなった。少しして男女の声が聞こえなくなる
「お姉さん?」
「ご、ごめんなさい!!」
常世の声と隣の部屋にいるだろう男女の様子に女性は慌てて障子を閉めた。
「隣に何かあったの?」
「だ、だめよ。お嬢ちゃんには……ちょっとね。とりあえず行っちゃ駄目だからね」
「……うん。わかった。行かない」
興味を持ったのか隣の部屋へ行こうとする常世に女性は慌てて言い聞かせる。子供が見てはいけない物があるようだ。さすがに行ったら女性が可哀想なので常世はいかないことにした。
「……でも……ここは一体、どこ……?」
女性は不安そうに言った。
(とりあえず師匠に)
常世は退魔の剣の下へ行く。
(師匠聞こえますか?)
カタカタ
心の中で退魔の剣に言う常世。すると
(ああ。聞こえる)
薬売りの声が聞こえてきた。薬売りと常世が同じ存在だからこそできることだ。
(私もお姉さんも無事です。天秤を出してみたらモノノ怪との距離はあります。ただしお姉さんのお腹に達磨が付いていたと思ったらあの子供になりました。離れたら達磨に戻っていました。)
常世は自分たちが無事だという事とモノノ怪とは距離があること。達磨が子供になったり戻ったりしたことを伝える。それを聞いて薬売りは聞いてくる。