薬売りから花嫁にピッタリの薬を見せてくれたお礼に加世は屋敷の裏事情を教える。
なんでも長男・伊國は酒癖、性格が悪いあまり、父であるご隠居が次男である伊顕を当主に選んだ。伊顕自身は良い人なのだがお金のやりくりが下手だったばかりに(さらに奥さんの水江には頭を押さえられている)財政が悪化した。そして塩野が借金の肩代わりをしてくれたのだがその代わりとばかりに真央が嫁ぐこととなったのだ。
その後、お礼とばかりにある物を見せようとしたとき、ネズミが出たり、中年女性のさとが現れた。
「弥平から聞いて来てみればこんな所で油売ってるなんて」
(告げ口したのか)
常世はジロっと弥平を見る。その様子に怖かったのか弥平は隠れた。その後、常世と薬売りは加世を庇うために頭を下げる。
「鼠取りの薬をお薦めしていたところで」
「師匠の薬は効果テキメン。鼠なんてイチコロですよ」
実際、鼠取りの籠が沢山ある。鼠取りの薬を薦めていたと言えば、ちょっとはマシになると思ったのだが「結構よ!」だった。
「それは残念」
そう言って薬売りは顔を上げる。
「あ…/////」
さとは薬売りの色男な顔を見て顔を赤くする。
「(さすが師匠)使用人さんあなた美人ですねぇ。」
「え/////」
常世の言葉にさとはまた赤くする。
「そんなあなたにはこの薬がお薦めですよ。塗ったら肌のハリがよくなります。」
「師匠の言う通りです。そしたら周りから若返っていると褒められますよ」
「………」
こうして薬売りと常世によってさとの機嫌が直った。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
「「「!!?」」」
その悲鳴に驚く弥平と加世とさと。そして気づく。
「あ、あの声って水江様!?」
「水江様!!」
三人は悲鳴が聞こえた場所へ走る。
「出た」
「出ましたね」
薬売りと常世の言う通りある物が出た。二人も悲鳴が聞こえた場所へ向かう。
「真央!!」
「斬られているぞ!!」
花嫁が血に染まりこと切れていた。
「おのれ、どこか曲者は!!」
朱色の羽織を着た小難しそうな侍が刀を抜こうとする。しかし、それは屋敷の奥から現れた薬売りによって止められた。彼は手の平を刀の頭に当てて、トンと押し返すようにして刀を収めてしまった。キィンと刀が鞘に収まる音が響き、慌ただしかった場は一気に静まる。
「これは、曲者の仕業じゃない」
「師匠の言う通り。そしてその刀じゃ斬れない相手だ」
「お前らは何者だ! どこから入った!」
「怪しい奴らめ……」
「怪しいのは、その通り、ですがね」
「服装は仕方がない」
そう言って薬売りは右を。常世は左に紙を貼る。その紙は真っ白だったのに目のような絵が浮かび上がった。