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ー江戸の港ー
「それでは私たちはここで」
「加世。ついでに周り。元気でね」
なんとか江戸に着いたそらりす丸。薬売りと常世は加世たちに別れの挨拶をする。ただし
「ついでとはなんだ!ついでとは!」
常世の「ついで」発言に幻殃斉は怒り、加世たちは苦笑いだ。
「でも常世ちゃん。薬売りさん。本当に元気でね」
加世はちょっと寂しそうだ。
「加世。意外とまた会えると思う。ねえ師匠」
「世間は広いようで狭い。常世の言う通り また会えますよ」
「…はい!」
こうして薬売りと常世はどこかで薬を売るために歩き始めた。
***
「水虫が酷くってよぉ。薬売りなんか良いのあるか?」
水虫に効く薬を希望する男性。
「常世。水虫に効く薬はなんだ?」
「
薬売りの問いに答える常世。薬売りは「正解だ」と言い、薬箱からある薬を出す。
「この子は言う十味敗毒湯は皮膚炎に応用が可能です。もちろん水虫によく効きますよ」
「おう、ありがとよ!」
男性は薬代を出し、十味敗毒湯を受け取った。
「薬売りさん。うちの旦那が風邪をひいたせいでくしゃみとか鼻水とかで辛そうなの。何かあるかしら?」
小さい子供を連れた奥さんが旦那のために薬を買いに来た。
「それでしたら
「まあ、ありがとう」
薬代を払った後、薬を受け取った奥さんは子供を連れてご機嫌よく帰った。
「常世。葛根湯加川芎辛夷はどの漢方に何を入れたものだ?」
「葛根湯に止痛効果がある
「その通りだ」
常世に問題を出しながら薬を売る薬売り。
「さて今日は色々薬が売れたので懐が暖かい。たまには贅沢に甘い物でも食べるか?」
「団子が良いです!みたらし!」
即答する常世。薬売りは「はいはい」と言い、常世を連れて団子屋へ向かった。
ー団子屋ー
「みたらし団子とお茶を二人分お願いしたいのですが」
「は、はい!」
給仕の娘さんは顔を赤くしながら奥へ行った。
(また師匠の虜になった)
しばらくしてみたらし団子とお茶が来た。ご機嫌よく団子を食べる常世。
「なあ聞いたか?佐々木家の話」
「ああ。日置藩士の佐々木家だろ?」
男二人が日置藩士の佐々木家について話しをしていた。その程度なら全然気にしていない薬売りと常世。すると退魔の剣がカタカタと動く。それに気づいた薬売りと常世は寛いでいるふりをしながら男たちの話を聞くことにした。
「すげーよな。嫁に入った……お蝶だっけ?鬼嫁って呼ばれてるやつ」
「そうそう。まあ佐々木家も佐々木家だよなぁ。妻を飯盛女のように扱ってるし。そのせいで前の嫁さん首吊ってるし」
「亭主に姑、義弟夫婦惨殺したくなるよなぁ………やりすぎな気がするが」
当然、お蝶という女性は死罪だそうだ。
「師匠」
「ああ。」
男たちの話を聞くとモノノ怪が出る可能性がある。薬売りと常世はお蝶について詳しく調べることにした