お蝶について調べていく薬売りと常世。調べると疑問が浮かび上がった。
「亡骸の状態が違う。」
「梅の木に吊るす。首から下を地面に埋める。更にははりつけ。死罪の内容は同じなのに」
どれも女の手でやったとは思えない。やはりモノノ怪の可能性が出てきた。
「こうなったらお蝶さんに会ってみるか……常世」
「はい」
「おれは番所へ向かう。常世は呼ぶまで待ってろ」
「えー」
常世は薬売りについていけないのが嫌そうだ。
「これは本当に仕方がない。お前が番所へ行ったら父母の下へ帰りなさいと……間違いなく言われる」
「………はい」
薬売りの言う通り、常世が番所へ行ったら「父ちゃん母ちゃんのとこへ帰りな」と言われる可能性がある。常世は渋々待つことにした
***
常世は薬売りが書いてくれた教本を読みながら薬売りを待つ。
(師匠のことだから牢に入ってるかな?)
薬売りの事だから手っ取り早く牢へ行くために、悪いことをやらかしたふりをするだろう。
(【真】と【理】もその時、話してくれるといいねぇ)
そう思いながら次の教本に手を伸ばす常世。その時だ
(常世)
(退魔の剣?)
薬売りじゃなくて退魔の剣に呼ばれた
(薬売りが危ない)
「!?」
薬売りが危ないと聞き、常世は急いで片付け、番所へ走った。
ー番所ー
番所の者達にバレない様に進む常世。そしてとうとう牢に着く。
「師匠!」
牢の中にはお蝶らしき女性はおらず、薬売りが倒れていた。
(顔が無い!…なら!)
常世は薬売りの薬箱から筆と硯と墨を出す。以前、薬売りは教えてくれた。「人の顔など、“表”に現れている【形】に過ぎない。俺がこの面を“表”と認めればいとも容易く、俺の顔になる」と
(私が師匠の顔を書く!)
墨をつけた筆を持った常世は素早く顔を書く。
「師匠?師匠?顔を書きましたよ?」
薬売りを揺さぶる常世。すると薬売りがゆっくりと起き上がってくれた。
「ふう。よく覚えていたな。おかげで助かった」
「でも師匠ごめんなさい!……お顔が」
「?」
薬売りは首にかけている手鏡を見る。薬売りの命がかかっているため、普段の薬売りの顔ではなく、ほんの数秒でかけるへのへのもへじになっていたのだ。
「まあ……非常事態だったのでいいだろう。戻すまでの間はこれを付けよう」
そう言って落ちているお面を被り、番所を出た。
「しかしなぜ顔を消されたんですか?」
「お蝶さんと話していると獣の面を被った男が現れた。モノノ怪の形かと思えば違う。煙管の煙がかかったと思いきや顔を消されていた」
暫く進むと例の男はお蝶と話していた。