ただの薬売りの弟子ですよ   作:WATAHUWA

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坂井家とその家臣たちはこんがらっていた。お輿入れするはずの真央が突然死。その直後に現れた謎の男と少女。更に謎の札を貼り、「奥にも早く結界を張らないと」となんて言う。唯一落ち着いていて、伊國が興味深く二人に聞く。

 

「おい 薬売り共 お前ら何を知っている?」

「まだ何も」

「まだ全然わからないもんで」

 

その返答が面白かったのか大笑いする伊國。娘が誰かに殺された水江はそんな伊國に怒り狂った。

 

「それでは師匠。行ってきます」

「はい 行ってらっしゃい」

『?』

 

薬売りと常世の言葉に疑問符を浮かべる周り。次の瞬間だった。

 

ビュン

 

「なぁ!?」

 

物凄い速さで奥へ走った。

 

「待て小娘!!」

 

我に戻った割れ顎の家臣が慌てて追いかけた。更に薬売りが奥へ向かおうとする。

 

「入るな!」

 

顔に大きなほくろがある家臣が慌てて掴むが。

 

「邪魔しないでくれ」

 

ビシ!

 

「うぐ!」

 

掴んだ腕に手刀を入れられた。その痛みのせいで薬売りを放してしまう。その隙に薬売りは常世の後を追いかけた。

 

***

 

 

たたたたたたたたたたたた

 

廊下を走る常世と彼女を一生懸命追いかける家臣。

 

「待て!待て小娘!!奥にご隠居様がいるんだぞ!!」

「やだね。」

「やだってお前!?」

「鬼さんこちら!手のなるほうへ!!」

 

ワザとらしく煽る常世。そうしていると

 

「常世。手を鳴らしてないぞ」

 

薬売りが追い付いてきた。そして薬売りが代わりに「ほらほら手のなる方へ」と手をパンパンと鳴らす。

 

「えぇい待てぇ!!」

 

家臣は一番近い薬売りを捕まえようとしたが

 

「とぉ!」

 

バキ!

 

「ぐお!?」

 

ドタ

 

常世の蹴りによる膝カックンで倒れた。

 

「師匠!勝ちました!」

 

家臣をそのまま踏んづけ、嬉しそうに薬売りに駆け寄る常世。そんな彼女に薬売りは「えらいえらい」と頭を撫でる。

 

「待てお前ら―!!」

 

後から2人の家臣が現れた。薬売りと常世はまだ倒れている家臣を踏んづけ、逃げる。二人の家臣は流石に仲間が倒れているで「小田島殿!?」「しっかりしなさい」と心配する。こうして薬売りと常世は逃げるなり、怪しい体術で攻撃するなりして奥へ走ったが…

 

屋敷内は向こうがよく知っているのと一人を相手に三人がかりで来られたのでとうとう捕まってしまった。

 

「動くなよ、お前らが一番怪しいことには変わりないんだからな」

 

小田島は薬売りと常世を睨みならが言う。まあ怪しいからというのもあるが薬売りと常世に踏んづけられた恨みもある。

 

「せめて、奥に札を貼らせてもらえませんか」

「札ぁ?」

 

薬売りの言葉に疑問符を浮かべる小田島。

 

「今ならまだ、結界をはっておけば防げるかも知れない」

「奥に結界を張れば安全だよ。嫁さんの様にはならない」

 

二人の言葉に「黙れ黙れ! そんなこと言って逃げるつもりだろ!」と怒鳴る。まぁ、そう簡単には信じてもらえるわけはない。

 

「おい、もっとキツく縛ったらどうだ? そいつらはおかしな体術を使うぜ?」

 

伊國は面白がっている。

 

「っ……腕が折れちまう」

「そりゃあいい。ざまぁみろだ」

 

いい気味だと言う感じに言う小田島。そんな彼の様子に常世は薬売りに聞く。

 

「師匠。大人気ないってこういう人ですよね」

「ああ。こういう人が大人気ないだ」

「お前らぁ!!」

 

二人の失礼な言葉に小田島は怒鳴った。すると家臣の1人である勝山が「荷物は調べたか?」と聞く。曰く毒にやられたかもしれないだ。しかし

 

「おいおい、さっき斬られてるって言ってたぜ」

「うん。私も同意見。嫁さん血を吐いてなかった」

 

 

伊國の言う通り、真央は斬られていた。常世の言う通り、血を吐いていなかった。なので死因は毒ではない。二人の正論に勝山はぐうの音が出ない。少しして弥平が薬売りと常世の薬箱を持ってきた。

 

「それじゃあ小娘のものから」

 

子供らしい小さな薬箱を開ける弥平。一番下の引き出しは色んな薬だ。

 

「なんだこれは」

「ただの薬。効果は色々だよ」

 

小田島の問いに素直に答える常世。しまった後、弥平は真ん中の引き出しを開く。

 

「櫛に手鏡。髪紐と簪か」

「綺麗でしょ」

 

真ん中は常世が使うのだろう。女の子らしく身なりを整える物ばかりだ。弥平は一番上の引き出しを開く。

 

「本?」

「師匠が書いてくれたの」

 

一番上はたくさんの本。開いてみると薬草の見分け方。他の本は調合の仕方など、いわゆる教本(教科書)。常世の薬箱は女の子らしさと弟子らしさが詰まっていた。異常はなかったので小田島は薬売りの薬箱を確認する。

 

 

「なんの薬だ?」

「色々です。毒じゃありませんよ」

 

一番下の引き出しは常世と同じく色んな薬。

 

「なんだこれは?」

「子供のおもちゃですよ」

「やじろべえだよ」

 

真ん中の引き出しは蝶を模した何か。子供のおもちゃらしい。

 

(変なやじろべえだな)

 

小田島は一番上の引き出しを開く。中にあったのは

 

「……おぉおお!?////////」

 

大量の春画集だった。あまりの不意打ちに真っ赤になる小田島。

 

「………大人って皆ああなのか」

「!! いや違う!!違うぞ小娘!!次開けろ!!!////////」

 

「引くわー」とばかりにじと――――…と白い目で見る常世に小田島は慌てる。弥平は最後。薬箱の一番上に備え付けられている箱を降ろす。開けようするが何か重たい。そう思いながら開けてみると

 

「おい、この刀はなんだ! なんで薬売りが刀なんぞ持っている!」

 

仕舞われていたのはたくさんの札が貼られた短刀。持ち手がまるで獅子だ。その問いに薬売りは答えた。

 

「斬る為、ですよ」

 

空気がざわりと、凍りつくのを感じた。

 

 

モノノ怪をね、斬るんです」

 

 

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