常世は歩いてる。しかし墓石だらけ。それ以外の異常は見つからない。
「んー」
これでは尊敬する薬売りに報告できない。違う場所へ行こうとすると
あははは
「?」
誰かの声が聞こえた。振り返ると
あははは
また違う場所から聞こえる。その方向を見ると
「
常世と同年代の少年が離れた場所でニコニコ笑って立っていた。
「ねえあなた」
常世が話しかけようとすると
キィィィィィ……キィィィィィ……。
「……
遠くの方から甲高くも、低くも聞こえる不気味な鳴き声が聞こえてきた。これは虎鶫という鳥の鳴き声なのだがあまりにも不気味な声なので妖怪【鵺】の鳴き声だと言う人も居る。
「……いない」
少年はいつの間にかいなくなっていた。
(常世)
「師匠」
(組香がそろそろ終わる。戻って来い)
(わかりました)
薬売りに言われ、常世は戻ることになった。
ガラ…
「お疲れ様です。師匠」
「「「ぬお!?」」」
付いて来てもないのに常世が丁寧に頭を下げて部屋の前に居た。そのことに驚く婿候補三人。薬売りは気にしていなく「全然。どれも個性的な香りで面白かった」と感想を言いながら常世を連れて歩く。
「け、結局実尊寺殿は来られなかったですな」
「ほほほ。よいよい」
室町と大澤が話しているとだ。
「こ、今宵はよう冷えまんなぁ」
半井がワザとらしく言う。老婆が「そこを奥へ行きはったら
「こ、これはご親切に!」
そう言って去る半井。すると大澤と室町も厠へワザとらしく行った。
「ではお二人はこちらへ」
老婆は薬売りと常世を先ほどの縁側へ案内した。案内の後、老婆は去る。
「常世。何かあったか?」
薬売りの問いに常世は答える。
「墓石だらけ。虎鶫の鳴き声。同い年の少年が居た事しか。でも先ほど」
「ああ。三人の様子……ここに何かがある」
半井、大澤、室町はワザとらしく厠へ行きたがった。どう見ても厠を理由に屋敷内を歩きたがっている。この屋敷に何かがあるということだ。薬売りは天秤たちを出す。しかしだ。
「迷って……いるのか」
「距離を示しませんねぇ。お前達どうしたの」
天秤たちはカチャカチャ揺れて鳴るだけで距離を示さない。常世が手を出すと天秤たちはすり寄る。
「常世。先ほどの部屋へ行くぞ」
どうやら組香をした部屋に天秤を並べるようだ。
「分かりました。ほら、お前達お戻り」
天秤たちは常世に言われ、薬箱へ戻った。それを背負った薬売りは常世を連れて部屋へ戻った。
カラ
「さあ、お前達出ておいで」
常世の言葉を合図に天秤たちはザザザザザと大量に出てきた。部屋中に出てきた天秤たち。すると
ちりん
「「動いた」」
モノノ怪が動いたのだ。