化猫にやられた市長と門脇の亡骸を見た周りは必死に薬売りと常世に助けを求める。
「助けるもなにも そいつはあなた方次第ですよ」
「あなた達が 嘘偽りなく節子さんにあったことを話せば助かるんだけどねぇ」
化猫を斬る為には【形】【真】【理】を示さないといけない。薬売りと常世の言う通り、周り次第なのだ。するとハルは当選券を破り捨てる。彼女曰く代わりに乗っただけと言った。
「誰が当てた券なんです?」
「もしかして姑?」
「そ、それは」
二枚に破れ、くしゃくしゃに丸めた当選券を落とすハル。彼女は答えない。薬売りは言い聞かせた。皆の証言を組み合わせればそれが【理】になるからだ。するととうとう正男が言った。本当は目撃していた。正男曰く逃げ出した人影を見たと。
「ま、正男くんあんた!!」
チヨは青ざめる。犯人は男かもしれないと答えた正男の目がおかしい。正男自身も気づいたのか「目がかゆい」とがりがり引っ掻く。
「見えないよぉ!!」
叫んだ瞬間、正男は【消えた】。
「なんで正男くん消えちゃったのよ!!」
(捜査中の時に話せば助かったのに)
新聞に自殺と載っていたとしても、逃げる人影を見たと素直に警察に証言すれば良かったのに。もっと早く証言すれば正男は消えなかった。
「市川は!市長の手下に殺された……俺はそう睨んでいる。」
そう言ったのは節子の上司である森谷。曰く市長は地下鉄建設に関して黒い噂があるとのこと。色んな裏金が動いていると節子は睨んでいたそうだ。
「そして事故の前夜、市川は重大な証拠を掴んだと報告してきた」
しかし森谷は忙しくて聞かなかったと言った。だから節子のために尻尾を掴み、仇を討つために参加したのだ。すると
「なんだ!?かゆい!!」
森谷が全身をがりがり引っ掻きまわる。そして森谷も【消えた】。
「後三人」
チヨ、ハル、木下だ。
「三つの証言が必要だ」
「早く喋った方が身のためだよ」
「い、いやよ!」
ハルは恐怖のあまり拒否をする。するとチヨは木下に文句を言う。その隙に常世はハルが捨てた当選券を拾った。
(師匠どうぞ)
(ああ)
受け取る薬売り。
(常世。面白いのが書いてるぜ)
(おやおやどなたでしょうねぇ)
その間でもチヨと木下は言い争う。チヨ曰く木下が節子を轢いたからだ。木下はその時は猫かと思ったとのこと。人だろうが猫だろうが轢いたので「命はどうだっていいわけ!?ひどぉーい!」とチヨは怒鳴った。
「大体自殺だと証言したあんたはどうなんだ!?」
「う……実は一、二回しか見た事ない」
小さく答えるチヨ。実は節子は常連じゃなく時々来る程度だったのだ。なのでハルは「どこが常連よ!」と呆れる。チヨは証言したことで新聞や雑誌とかに載って有名になれるかと思って答えた。
「「坂井正二郎」」
「「「え?」」」
薬売りと常世が見たハルの当選券。そこには坂井正二郎と書かれていたのだ。ハル曰く代わりに乗ったとのこと。つまりだ
「浮気!浮気だァ!!」
ハルは浮気をやらかしていたのだった。しかも
『ワタセ!!』
『絶対ニワタサナイ!!』
言い争っている声を聞いていた。でも姑が居る時に聞き込みに来たので言えなかった。お互い証言をしなかったことを言い争う三人。三人も自らの体をガリガリ引っ掻き始める。
(皆も消えるな)
そして常世が思った通り、残った三人は消え、市長たちの傍で亡骸になった。
「おや…まだありましたか」
「どんなお話隠してたの?」
隣の車両から足音が聞こえる。薬売りは退魔の剣を構えた。
ガラ
現れたのは
「そろそろ 終わりにしましょうか」
「ねえ。 聞屋」
死んだはずの森谷清だった。