「ふー……まだまだ良く分からないことばっかりだけど昨日霊夢からは色々と聞くことができたな」
俺がこの幻想郷に来てからの翌日、神社の中央で腕を組んで考え事をしていた。その内容は勿論元の世界、風賀の国に戻ることだ
野球人形作成の任は終わってるはずだからそこまで急ぐ必要はないかもしれないが皆待ってるだろうしな……もしかしたら誰も待ってないかもしれんが……部下や同僚も戦争で結構失ったからな……
「……悲しくなるからあんまり考えないでおこう」
とにかく、イルが違う世界から来たって言ってたしそれが今だと本当の言葉だったと分かる。この幻想郷に来ることが出来たなら帰ることだってきっと出来るはずだ……多分
「なーに朝っぱらから一人でブツブツと言ってるわけ?」
色々と考えていると賽銭箱を置いている前にある社から一人の巫女姿の少女が欠伸をしながらでてくる。この人物が博麗霊夢、この神社の巫女らしい
一応俺の恩人……になるかな。一晩泊めてもらってるしな、というか俺は一つこいつにツッコんでおきたいことがある
「朝じゃなくてもう昼前だと思うけど……」
そう、さっきは朝っぱらからなんて言われたがもうとっくに昼前の時間である。神様に仕えてるわりには随分と自由な楽園の巫女様だな
「うるさいわね、私が朝と言えば朝。昼と言えば昼よ」
「あ〜はいはい、分かりましたよっと」
う〜ん、こいつ相手にツッコミや正論は意味なさそうだぞ
「それで、あんたはこれからどうするの?元の世界に戻りたいんでしょう?」
「そりゃ戻れるもんならすぐにでも戻りたいが……何か元の世界に戻れそうなアテとかないのか霊夢?」
「ない」
即答しやがった……少しぐらい考えてくれよ。こりゃお先は真っ暗だな
「この幻想郷に来た人間で元の世界に戻れたという話は聞いたことないわ」
「まじでか」
戻った人間はいない……か、なら俺がその最初の人間になってやるだけさ
「そう言えば、幻想入りした人間は何かしらの能力に目覚めることがあるみたいだけど、あんたはどうなのかしらね」
の、能力?なんだそりゃ?口から火を吐いたり変身でもしたりするのか?
「能力ってなんだよ?姿でも変えれるのか?」
「まぁそんな奴もいるかもね、私の場合なら……ほら」
「なっ!?」
こっこいつ浮いてやがる……空が飛べるってわけか!体に凧をつけて飛んでる忍者ならいたが霊夢にはそんな仕掛けは一切なさそうだ……こっこれがその能力ってやつか!
「これが私の能力、空を飛ぶ程度の力よ」
「なるほど、幻想郷には不思議な力を使える奴がいるってことだな。それにしても空を飛べたら移動が便利そうだな」
「……そうね」
あの凧忍者よりもっと自由に空を飛べたら爆弾を投下し放題で俺だけ無血勝利も夢じゃないな
「なんでニヤついているのかは分からないけど……まぁもしかしたらそのうち能力が使えるようになるかもね」
えっ?俺ニヤついてた?
「能力……能力ねぇ。忍術なら当然使えるが能力とは違うよなぁ」
「忍術?」
霊夢が恐らく忍術という言葉を聞いて不思議そうにしている。まぁ忍者とか話聞いてた限りいなさそうだし忍術も知らなくて当たり前か……一つ見せてみるか
「こんなやつだ」
俺は霊夢に忍術を見せるために集中して力を込めた。するとどこからともなく大量の水が現れその水は何かにぶつかり辺りは水しぶきが舞う
「水遁の術……これが忍術さ。この幻想郷だと霊夢が言うところの能力に近いのかも……な……?」
目を瞑って自信ありで話していたところ気がつくと何故か霊夢がずぶ濡れの状態だ
いや、確かに手応えはあったが……あれ?地面じゃなくて霊夢に直撃してたのか?いやまっまずいぞ……なっ何も喋らねぇ、これは絶対怒ってる!
「……あの〜霊夢さん?今のはちょっとわざとじゃなくてですね。実際に体験してもらったほうが分かりやすいと思って当てさせていただいたわけで決してわざとでは……」
「そうね、わざとじゃないなら仕方ないわね」
そう言いながらゆっくりと歩いて霊夢は近づいてきてる。下を向いてて顔が見えないからめちゃくちゃ怖いんですけど
「だから私のこれもわざとじゃないから」
「えっ?」
俺が聞き直してる最中に物凄く重い衝撃が頭から全身に走り俺はとんでもない勢いで地面に叩きつけられた
てっ鉄拳……これが博麗霊夢……なっなんて強さだ……
「全く……着替えてくる」
制裁を加えた後霊夢は着替える為に神社の小さな社の中に入っていく。その様子を丁度上空から箒に乗った一人の少女が見ていた
「なんだぁ?茶でも飲みに来たんだが……霊夢の奴ご機嫌斜めだな」
箒に立って乗っている少女はゆっくりと降りて地面に叩きつけられたパワプロの元に行く
「よう、息はあるかい?」
「……はっ!?あれ?ここは……俺はさっき川の前にいたような」
何か鎌を持った女が目の前にいたような気がしたんだけど
「そりゃ三途の川だな、私が声をかけなきゃきっと逝ってたぜお前。だとしても霊夢の本気の攻撃を受けて死なないとは大した奴だぜ」
なっなんだ……このいかにも魔法使いです!みたいな服装の女は
「……霊夢か?着替えただけで人間変われるんだな」
「いやどーみても別人だろ。私は霧雨魔理沙だ、霊夢とはまぁ……腐れ縁ってやつだな」
人違いだった、そりゃそうか。しかし霊夢の本気の攻撃か……じっ地面に顔が埋まりかけたもんな、しっ死ななくて良かった
「あら?魔理沙じゃない。何の用?」
霊夢が戻って来たようだ。さっきは赤と白の巫女服だったが今は青と白の巫女服に変わっている
「よう霊夢、ちょっとばっかし茶でも貰いにな……それでこの男は誰だ?お前の恋人か?」
「しばき倒して吊るし上げるわよ」
「はっはは、おっかないな。軽い冗談じゃないか」
こっ恋人だと!?霊夢……出会ってばかりの俺にそんな感情を……
「すまない霊夢……君の気持ちは嬉しいが俺は元の世界に心に決めた人がいるんだ」
俺は真剣な顔で答えたが俺の言葉を聞いた二人はキョトンした表情だ
「さっき本気で地面に叩きつけたから頭がおかしくなったようね」
「面白い奴じゃないか……元の世界ってことはお前もしかして幻想入りした人間か?もしそうだとしたら初めてこの目で見るな」
当然だが話しぶりからしてこの魔理沙とかいうやつもこの世界の住民か
「あぁ、どうやらそうらしい。俺はパワプロだ」
「パワプロか、よろしくな!しかし変わった名前だな」
「悪かったな変わってて」
初対面で言うようなことじゃないだろと思っていたところ俺はある一つのことが気になった
「?どうしたの空なんてじっと見つめて」
俺のその状態に霊夢が気づいたらしく問いかけてくる。俺が気になったのはたった一つ、二人の後ろの遠い空だ
「この世界の夕方ってあんなに赤いのか?」
俺のその発言に二人は不思議そうに振り返り空を見上げる。段々と赤が広まっていく謎の空の現象を
「い〜や、あんなに赤くはないぜ。空を隠すように広がってる、ありゃどう見ても自然の現象じゃないな」
黒い帽子を押さえながら魔理沙はその空を見て言った
「自然じゃないってことは人の仕業か?なぁれい……」
霊夢に聞こうと彼女の顔を見たその瞬間、俺は一瞬肝を冷やした
この一日じゃ見なかったその容姿からは想像できないほどの恐ろしい何かだ
「久しぶりに来たわね。これは……『異変よ』」
異変!いへぇーーーん!いい辺!