ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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この小説も本編が四十話に到達しました!これからも頑張って書いていこうと思うのでよろしくお願いします!

今回はタイトル通り遂に……!最後まで楽しんで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


第40話『新たな命』

「ふんふふんふふーん♪」

 

「あれ?フブキちゃん随分ご機嫌だね、何かあった?」

 

「まあね♪今日はレイくんと一緒にプリン食べようと思ってロイヤルプリン買ってきたんだ~♪」

 

とある平日の午後、フブキはおかゆところねと一緒にリビングでお茶会を開いていた。玲二や他の娘は学校だったり仕事だったりで出払っており、今は三人だけで少し高めのクッキーを用意してゆったりとした時間を過ごしていた。

 

「それにしてもいよいよだねフブちゃん♪」

 

「うん、もうじきこの子に会えるね♪」

 

「予定だと来週だっけ?妊娠発覚してから本当にあっという間だったよね」

 

フブキはそっとお腹を撫でて嬉しそうに笑う。妊娠発覚してからいろいろと辛い時期もあったが、もうすぐで初めての我が子に会える。そう思うとフブキの顔が思わず緩んでいく。

 

「ねぇねぇフブキちゃん、確かお医者さんの話だと女の子なんだっけ?名前とかもう決めてるの?」

 

「うん、レイくんと考えてちゃんと良い名前にしたよ~♪」

 

「へぇ~♪一体どんな名前?」

 

「エヘヘ~♪この子の名前はですねぇ、こ…………ッ?!」

 

子供の名前を言おうとした瞬間、突然フブキがお腹を抑え苦しそうに踞ってしまう。その顔からはかなりの汗が出ていて只事ではないのが容易に伺える。

 

「ふ、フブちゃん?!急にどうしちゃったの!?」

 

「う、うぅ……ご、ごめん二人とも、救急車呼んでくれない……?もしかしたら、来ちゃったかも……」

 

「えぇッ?!ちょ、ちょっと待ってフブキちゃん!?えぇっと救急車、110番!」

 

「おかゆそれ警察だよ!?救急車は117番だよ!」

 

「いやそれ時報……ボケなくて良いからは、早く……うぅッ!?」

 

「ご、ごめん!?えぇっと、確か……そうだ!119番!」

 

苦しむフブキから救急車を頼まれ、番号を一瞬度忘れしてしまったがおかゆは慌てて救急車を手配する。果たしてフブキは無事に病院に行けるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃―

 

「んしょ……よし、これで一先ずオンラインライブの準備はオッケーだな」

 

「そうですね、後はみんなの衣装が到着すれば全ての準備完了です♪」

 

よし、これなら予定通り来週にはholoXのオンラインライブが開けそうだ。にしても今思えばまともにチームで動けるのってholoXだけなのか……なんだかファン達に凄く申し訳ない感じがする。

 

「それにしても佐々木さん良いんですか?フブキさん来週には出産ですよね?社長からも折角休んでも良いって言われてるんですから無理に仕事しなくても……」

 

「まあな。でも、なんか身体動かしてないと落ち着かないっていうか……すまん、俺も初めてだから緊張してんだよ」

 

「気持ちは分かりますけど、それを言ったらフブキさんも不安なんですから旦那さんが傍にいてあげないといけないじゃないですか」

 

………確かにAちゃんの言う通りだよな。俺が緊張している以上にフブキも不安だもんな。夫である俺が近くにいなきゃいけないのに……はぁ、俺ってこうした配慮しねぇで何此処で仕事に逃げてんだか?

 

「………済まないAちゃん、今日はもう家に帰るよ」

 

「そうしてやって下さい。後今後そらもそうですが他の娘の時も同じ事したら問答無用で帰ってもらいますからね」

 

……肝に銘じます。じゃあAちゃんに叱られた事だし、今日は大人しく帰るか―ピリリリリッピリリリリッ―ん?電話……おかゆからか?

 

―ピッ―

 

「はいもしも『レイくん大変だよッ!!』ッ?!あぁびっくりした……どうしたんだおかゆ、そんなに慌てて?」

 

『そんな呑気にしてる場合じゃないよ!フブキちゃんが……フブキちゃんが産気づいちゃって!!』

 

「はあッ?!う、嘘だろ?!予定だと来週じゃないか!?」

 

『そんな事言われたって……と、兎に角今すぐ病院に来て!!もう他の娘にも連絡してあるからッ!それじゃッ!!』

 

「あ、おいおか―プッ、プーップーップーッ……―ああもう!何でこんなタイミングで!?」

 

「と、兎に角タクシー手配するので佐々木さんは今すぐに病院へ向かって下さい!」

 

クソッ!こんなフブキが辛い時に何で俺は此処にいんだよ?!兎に角今すぐ病院に向かわないと!待ってろフブキ、今いくからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一時間後―

 

「ハァ、ハァ……み、皆、フブキは……?!」

 

「玲二君!?汗びっしょりだけど大丈夫なの?!」

 

「だ、大丈夫だ……それよりフブキは?」

 

「今分娩室に入ってるよ。破水もしていて産まれるまでそう時間が掛からないって言われたけど……」

 

そ、そうか、取り敢えずは無事なのか。けど……クソッ!こんな事ならAちゃんに言われた通り仕事なんてしてないでフブキの傍にいてやれば良かった!折角社長が休みをくれたのに、俺って奴はッ!!

 

―ガチャッ―

 

「失礼しまーす。あ、佐々木さん丁度良いところに来ましたね」

 

「あ………?あ、お前は確か、名取だったか?」

 

俺が自分を責めていると分娩室から独特なナース服を着た女の子『名取さな』が出てきた。そういやこいつ病院で勤務してるんだったか?にしてもなんでこんな時にこいつがいるんだ?

 

「はい♪実はフブキさんが出産すると聞いて微力ながらもお手伝いに来たんです」

 

「そ、そうなのか……それにしても丁度良いところってどういう事だ?」

 

「えぇ、もうすぐ赤ちゃんが産まれそうなので佐々木さん、是非ともフブキさんの傍にいてあげて下さい。そのほうがきっとフブキさんも安心して産めると思いますから♪」

 

「ッ!?そ、そういう事なら是非そうしたい!名取、良いのか?!」

 

「はい、ではこちらにどうぞ♪」

 

良かった……このご時世だから出産の立ち会いは無理かと思ったけど、それなら喜んでフブキの出産に立ち会わせてもらおう。そして案内され分娩室に入ると、其処には苦しそうに息をするフブキの姿があった。

 

「フブキッ!」

 

「ハァ、ハァ……れ、レイくん、来て、くれたんだ、ね……ウゥッ!ハァ、グゥ……ッ!」

 

フブキが苦しそうにしながらも俺に向かって笑いかけてくれる。けど目に見えて辛いのが分かる、痛みと苦しさを我慢して俺を心配させまいとしているのを見ると俺は思わずフブキの手をとっていた。

 

「フブキ!ごめんな、俺が傍にいなきゃいけなかったのに肝心な時に仕事に逃げてしまって……」

 

「ハァ、い、良いんです、よレイく…ん。レイくんが皆の為に、頑張ってくうぅッ!?くれ、てるの、知ってます…から…ウグゥッ!?」

 

「フブキッ?!」

 

「落ち着いて下さいッ!もう赤ちゃんが大分下りてきてるんです。ここから呼吸を整えていきますので佐々木さんはフブキさんの手をしっかり握ってやって下さい」

 

……そうだ、此処で俺が慌ててしまったらフブキが余計に心配してしまう。なら俺に出来るのはフブキの手を握って安心させる事だけだ。頼むフブキ、頑張ってくれ!

 

「ひぃッひぃーッふぅー…ウグゥッ!あうぅッ!ああぁッ!!」

 

「……あ!漸く頭が出てきましたよ!」

 

「よし!もう少しだ、頑張れフブキ!」

 

だけどやっぱり苦しいのか途中から呼吸が乱れ歯を食い縛るフブキ……頼む!フブキの為にも、無事に産まれてきてくれッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フギャ…オギャアァ!フンギャアァァッ!」

 

「ッ!!産まれました!佐々木さん、フブキさん!無事に産まれてきてくれましたよッ!!」

 

「ッ!あ、ああ……やったぞフブキッ!無事に産まれてきてくれたぞッ!俺達の子だッ!!」

 

「ハァ……ハァ……わ、私の……私達の赤ちゃん……」

 

分娩室に元気な産声が広がり、名取は手際よく胎盤やへその緒の処理を済ませ産湯へと浸からせ、それらを終えた後タオルで綺麗に拭いてくれフブキへと赤ちゃんを渡していく。

 

「はいフブキさん、ゆっくり優しくお願いしますね♪」

 

「う、うん……やっと、会えましたね♪」

 

赤ちゃんを受け取った瞬間、フブキの目からこれまでの辛さを払拭するかのような嬉し涙と笑顔で溢れていた。産まれたての子はフブキと同じような狐の耳と尻尾があり、全体的に白い髪だけど前髪の真ん中部分だけ黒髪が特徴的な女の子だった。今は泣き疲れたのかフブキの腕の中ですやすやと眠っている。

 

「フブキ、よく頑張ってくれたな」

 

「うん……レイくんがいてくれたから、私は安心して産む事が出来ました♪有難うレイくん、私の旦那様♪」

 

フブキはすっかり疲弊しきってたが、それでも我が子が産まれた事が嬉しいのか赤ちゃんの頭を優しく撫でていく。

 

「なあフブキ、この子の名前は……」

 

「勿論、レイくんと話し合って決めたあの名前です。これからよろしくね“こゆき”♪」

 

そう、『こゆき』それがこの子の名前だ。あの聖夜の雪の降る日に妊娠を聞かされた事と、深々と降る雪のようにいつまでも綺麗な心でいて欲しいと願い俺とフブキが考えた名前だ。そしてこゆきは名前を呼ばれると少しだけニパッと笑ったように見えた。フブキも言ってたが、これからよろしくなこゆき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして三週間後―

 

「へぇー、確かに佐々木さんとフブキさんの特徴がしっかり出ていますね」

 

「えっへへ~♪そうでしょAちゃん、こゆき可愛いですよね~♪」

 

あれから無事に退院してフブキはこゆきと一緒に家に戻り、そして今は遊びに来ていたAちゃんにこゆきを会わせていた。ベビーベッドの上ですやすやと眠るこゆきを見てAちゃんの顔も思わずにやけてしまっている。

 

「……それにしても佐々木さん、今頃大変な状態なんでしょうね」

 

「あ、あはは……確かに今頃バタバタしてそうですね」

 

そう、実は今此処に玲二はいない。折角こゆきが産まれてきたのに一体何処で何をしているのか?それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、病院―

 

「……まさか三人同時に出産とは思ってなかったぞ」

 

「あ、あはは……こんな偶然あるんだねぇ♪」

 

「さなちゃん曰く貰い陣痛ってヤツらしいけど、そんな事あるんだね」

 

「見て見て玲二様、ほらこの子まだ角が生えきってないからぷにぷにしてる余♪」

 

あれからフブキが退院したと思ったら今度はそらが産気づいてしまい、更にそれに同調するかのようにミオとあやめも産気づいてしまい、まさかの三人同時に出産する形となってしまった。三人の手を代わる代わる繋いでいってたから凄く忙しい状態だったが、ともかく皆無事に産まれてきてくれて良かった。

 

「これからよろしくね“かいり”♪」

 

「立派に育つんだぞー“マオ”♪」

 

「これから沢山一緒に遊ぼうな~“玲菜”♪」

 

三人は産まれてきたそれぞれの子の名前を呼びながら頭を優しく撫でていく。因みに全員女の子だった。女の子でも良いけど、やっぱり父親としては男の子も欲しかったな……けど、それでも俺の子には変わりないし、出来る限りの愛情は注いでいくつもりだ。これからどんなふうに成長していくか楽しみだな。

 

 

 

 

 

遂に産まれた玲二の子供達。更に賑やかになるホロライブマンションでこれからどんな成長をしていくのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「ですから会長は多忙なお方なのでアポイントがない方はお引き取り願ってるんですって!!」

 

「だったら今すぐ会う約束取りつけてよ!この僕を置いてきぼりにするなんて、絶対に許さないからなぁッ!!」

 

「あれ?まだあの子居座ってるんスか?」

 

「ああ、なんでも会長に会うまでは会社の前にずっと張り付くって言ってきかないらしいんだよ」

 

相変わらず劉斗に面談を求めるたまき。流石に他の社員の迷惑になりかねないので受付嬢は仕方なく劉斗の秘書へと事情を伝えていく。

 

「……はい、はい……分かりました、そのようにお伝えします……今確認しました、貴方が会長の義弟様のお知り合いなのは確認出来ましたので三日後に義弟様の住む場所へと送る事になりました」

 

「ホントッ!?よっしゃオラァッ!待ってろよみしろぉッ!お前だけ良い思いなんてさせないからなぁーーーッ!!」

 

こうして無理矢理だがホロライブタウンへと行く事を許させたたまき。そして三日後………

 

 

 

 

 

「……いや何処だよ此処はぁーーーッ?!」

 

なんとたまきが送られた場所はホロライブタウンの南側にある森林エリアであった。見渡す限りの樹木にたまきは足をとられ何度も転ぶ。

 

「ちくしょーーーッ!こんな事で諦めたりしないからなぁーーーッ!待っててねご主人様あぁーーーーーーッ!!」

 

頑張れたまき!お前の信じる明日へと向かって!!

 

因みにたまきが進んでいる方向は街側と真逆であった。




はい、という事でこゆき、そして玲二の子供達誕生回でした!これから沢山出てくると思いますのでどうぞよろしくお願いします!

次回は男同士のお付き合い回です。気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!

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