ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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ガンダムグレモリー、かなり良いキットですよね。素組でもかなり良かったです( ≧∀≦)ノ

今回は前回のアンケートで取った上位五人の過去話を総集編みたいな感じに纏めました。今回も最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ( っ・ω・)っ


第20話『貴方と出会って』

ホロライブメンバー、そして一部他のアイドル達から好かれているスタッフリーダーである男、佐々木玲二。

 

何故彼はそんなに慕われているのか?何が切っ掛けで彼女達は彼に好意を持ったのか?

 

これは、そんなスタッフと恋する女の子達の出会いの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―1.白上フブキ―

 

あれはそうだな……俺がまだ八歳の頃、俺の家の隣に一組の家族が引っ越して来た時の話だな。思えばこれが、俺の今後を大きく変えたターニングポイントだったのかもしれない。

 

「玲二、ちょっと良いかしら?」

 

「んー?どうしたの母さん?」

 

いつものように俺はリビングで本を読んでいると母親に呼ばれた。また何か手伝えって感じかな?

 

「実はお隣に新しい人達が引っ越して来てね、それでお引っ越しのご挨拶に来てくれたんだけど玲二も一緒に来てくれる?」

 

「俺も?挨拶なら母さんだけで良いじゃん、なんで俺も?」

 

「向こうのご家族にも子供がいるのよ。だからご挨拶のついでに仲良くなってほしいなって」

 

成る程、そういう事なら仕方ないか。俺は本を読むのを止めて母さんと一緒に玄関へと向かっていった。

 

 

 

「こんにちは、お隣に引っ越して来ました白上といいます。これからご近所という事でどうぞよろしくお願いします」

 

「あらあら、こちらこそよろしくお願いします♪何か分からない事があったら遠慮せず訪ねて下さいな」

 

玄関につくと其処にいたのは白い髪に狐の耳を生やした美しい獣人の女性だった。俺は子供ながらに思わず見惚れてしまうほど綺麗な人だったのは今でも覚えてる。

 

「あら?そちらが息子さんですか?」

 

「えぇ、本当は娘もいるんですが今は部活で出てまして。ほら玲二、ご挨拶して」

 

「あ、うん。えっと、佐々木玲二です、よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくね玲二君♪そうだ、うちの子も紹介しないとね。ほらフブキ、ちゃんとご挨拶して」

 

白上さんがそう言うと先程から後ろにいたちっちゃい子がビクッと反応し、こちらに向かって恐る恐る顔を出して様子を伺っていた。

 

「は、はじめまして、しらかみフブキでしゅ……///」

 

「あらフブキちゃんっていうの?可愛いわねぇ♪今いくつなんですか?」

 

「先月三歳になったばかりですね。玲二君、この子人見知りが激しく恥ずかしがりやなんだけど、どうか仲良くしてあげてね」

 

「は、はい。よろしくね、フブキちゃん」

 

「………………///」サッ!

 

ありゃ、本当に恥ずかしがりなんだな?俺が挨拶するとその子はすぐに顔を赤らめ白上さんの後ろに隠れてしまった。こんなんで本当に仲良くできるのかな?

 

 

 

 

 

 

―一週間後―

 

あれから一週間が経ち、うちの両親と白上さんご夫婦はすっかり仲良くなっていた。今日も白上さんがフブキを連れて遊びに来ていた。けどフブキは俺の近くには来ようとはせず白上さんの足元でずっとお絵かきをしている。何度か一緒に遊ぶよう誘ってみたけどすぐに避けられてしまい、俺も途中から諦め一人本を読んでいた。

 

「……ねぇフブキ、そろそろ玲二君に慣れてきたんじゃない?たまには一緒に遊んで「ヤ!しらかみままといっしょがいい!」えー……?困ったわねぇ、この子の人見知りが此処まで酷かったなんて……」

 

「まあまあ、こういった人見知りは無理して治そうと思うと余計に酷くなっちゃうからね。焦らず徐々に慣らしていくのが一番なのよ」

 

そういうもんかね?にしてもこのままだと何かしら支障は出そうだよな………なんとかしてやりたいけど、どうすればいいんだか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………んん………ん、いけね、寝ちゃってたみたい」

 

本を読んでたらいつの間にか寝ちゃってたみたいだ。あーあ、この本お気に入りだったのに下敷きになったせいで少しくしゃくしゃになっちまった………ん?

 

「くー……くー……」

 

ありゃ?どうやらフブキもお昼寝中みたいだな。初めて寝顔を見るがなんだか可愛らしいよなコイツ。というか母さん達はどうしたんだ?見た感じ近くにはいないみたいだが……ん?何この紙?

 

―ママちょっと白上さんとお買い物行ってくるから留守番お願いします。フブキちゃんの事、よろしくね♪―

 

「……いや八歳と三歳置いて買い物行くなよ」

 

何か昔からあんたはしっかりしてるとか言われてこういった留守番を当たり前のようにさせられる。しっかりしてると言われて嬉しくない訳じゃないけど、まだ俺八歳だぞ?それで良いのか母上よ?

 

「……うー……あれ、ままは?」

 

お、どうやらフブキも起きたみたいだな。さて、今この家に二人しかいない状況、どうしたもんかな?

 

「おはよフブキ、気持ち良さそうに寝ていたな?」

 

「え…………っ!?///」ササッ!

 

俺に声をかけられ、眠気が吹っ飛んだフブキは顔を赤くし凄いスピードでソファーの影に隠れてしまった。おお、三歳児とは思えない俊敏さ、流石獣人族……は関係あるのか?

 

「あぅ……ま、まま……どこいったの?」

 

「え?あー……フブキのママは俺の母さんと一緒に買い物に行ったよ。今は俺とフブキの二人でお留守番中だ」

 

「!!」ダッ……

 

俺がフブキに説明した瞬間、フブキは驚き慌てて玄関へと走っていった。あいつ、まさか?!

 

「うーっ!うーっ!」ピョンピョンッ

 

「お、おいフブキ?!どうしたんだ急に!?」

 

「しらかみままのとこいく!」ピョンピョンッ

 

やっぱりか!フブキは母親の元に行こうと必死に玄関を開けようとするが、流石に三歳児の身長じゃどう頑張っても届くわけがない。

 

「無理言わないでくれフブキ!母さん達が何処に買い物に行ったか分からないし、一人で行ったら危ないだろ?!多分もうすぐ帰って来るからそれまで大人しく……」

 

「ヤー!しらかみままといっしょじゃなきゃやだぁっ!あぅっ!」ピョンピョンッ…ペタンッ!

 

俺が止めてもフブキは母親を求めて外に出ようとする。けど途中で足を滑らせてしまいその場で倒れてしまった。幸い怪我は無さそうだが、フブキは起き上がらずその場で蹲ってしまった。

 

「ふ、フブキ、大丈夫か?」

 

「ふうぅ、ふえぇぇん…ままぁ……」ヒッグ、エッグ…

 

あぁ、泣いてしまった……今この家には俺しかいないし……そうだ、あれでもあげてみるか。

 

俺はすぐに和室に行き仏壇にあるお菓子を少し取って玄関へと戻っていく。じーちゃんばーちゃんごめんなさい、後で新しいお菓子買ってくるから少しもらいます。

 

「ほら、フブキこれ食べるか?」

 

「ヒッグ……ふぇ?」

 

泣いているフブキに俺は仏壇から持ってきたお菓子の中からお饅頭を選びフブキに見せる。するとフブキは少し泣き止んで俺をじっと見てくる。

 

「俺等だけで外に出たら危ないからさ、母さん達が帰って来るまで一緒にお菓子食べて待ってよ、な?」

 

「…………………うん」

 

良かった、なんとか泣き止んでくれた。フブキを連れて居間に戻りソファーに座らせ、お饅頭をフブキが食べやすい大きさにちぎってあげるとフブキはあむあむと食べ、全部食べ終わると満足したのか満面の笑みを浮かべていた。

 

「良かった、泣き止んでくれて。それじゃ母さん達が来るまで何か遊ぶか……って言っても俺と遊ぶの嫌だったら一人でお絵かきでも―クイックイッ―ん?どうしたんだ?」

 

「……あのね、えほんよんでほしいの……///」

 

フブキは俺の服の袖を引っ張りながら持っていた絵本を俺に渡してきた、こんな事初めてだな。

 

「ん、いいよ。それじゃ早速読んでいくか」

 

「はーい」

 

俺が絵本を読むためソファーに座るとフブキはなんと俺の膝の上に乗ってきた。たったお菓子あげただけなのに急に懐いてきたな?

 

 

 

 

 

 

「……こうして悪い魔女は逃げ出し街に平和が戻りました。平和に戻った国で騎士はお姫様になり王子といつまでも幸せにくらしましたとさ。めでたしめでたし」

 

「わーい♪」パチパチッ

 

本を読み終わるとフブキは楽しかったのか笑顔で拍手していた。なんか妹が出来たみたいで可愛らしいな。

 

「…………れいじくん、ごめんなしゃい」

 

「ん?どうしたんだ急に?」

 

すると先程まで笑っていたフブキが突然俺に謝ってきた。一体何を謝ってるんだコイツは?

 

「あのね、しらかみずっとぱぱとまましかいっしょにいなかったから、ほかのひとがいるとはずかしくて……れいじくんのことずっとちかくにいないようにしてたの」

 

成る程、人見知りして俺を避けてた事を謝ってたのか。そんな事あんま気にしてなかったけどな。

 

「大丈夫だって気にすんなそんな事、誰だって苦手な事があるんだからこれから少しずつ慣れていけばいいだけさ」ナデナデ

 

「ふみゅぅ……///」

 

俺が頭を撫でてやるとフブキは恥ずかしいのかまた顔を赤く染めている。しかし嫌というワケでは無さそうだな、だってしっぽフリフリしてるし。

 

 

 

 

 

 

―二時間後―

 

「玲二君、今日は本当にありがとうね♪まさかフブキが私達以外の人に懐くなんて初めてだわ♪」

 

「いえ、自分もフブキと遊べて楽しかったです」

 

「しらかみもたのしかった!」

 

あれから少しして母さん達が帰って来て、俺とフブキが普通に遊んでいるのを見て驚いた顔をしていた。まああれだけ俺を避けていたフブキが俺と一緒に本を読んでいたらそうなるよな。

 

「それじゃあフブキ、今日はそろそろおうちに帰ろっか?」

 

「え……おうちかえるの?」

 

白上さんが家に帰ると言うといつもならすぐにくっついて帰るフブキだが今日は俺の方を見て帰りたくないと目で訴えてきていた。

 

「フブキ、また明日になったら遊べるからその時になったら遊ぼうな。だから今日はそろそろおうちに帰りな」ナデナデ

 

「うみゅ………うん///」

 

俺がフブキの頭を撫でるとフブキは照れながらも俺の言う事を聞いてくれ、その日は白上さんと一緒に家に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

しかし、それも一ヶ月が経つと……

 

 

 

 

 

 

「ほらフブキ!そろそろご飯の時間だから帰らないと!」

 

「ヤダヤダ!しらかみれいくんとずっといっしょにいるもん!」ギュウゥッ

 

「……はあ、またか……」

 

フブキは完全に俺に懐いてしまったようで、今じゃ両親よりも俺に引っ付くようになり、今もこうして帰りたくないと俺に引っ付いて離れない状態である。

 

「ほらフブキ、おばさんも困ってるしそろそろ帰らないと「ヤーーーッ!!」……困ったなぁ」

 

結局その日はフブキが俺の家に泊まる事になり、その間ずっと俺に引っ付いていた。それこそご飯の時も風呂の時も寝る時も、挙げ句の果てにはトイレにまでついて来ようとしていた。

 

その結果、フブキは週に二回程泊まるようになった。母さん達は俺とフブキが仲良くなって喜んでいるようで、将来は仲の良い夫婦になりそうねとも言われた。流石に其処まではいかないだろ、後何十年後の話だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―現在―

 

「………あの頃はそう思ってたんだけどなぁ。まさかこんな事になるなんてな……」

 

「あれ、レイさんそれってアルバム?もしかしてその写真小さい時のレイさんとフブキ?うわぁ、可愛い♪」

 

「ん、ミオか。まあ、ふと懐かしく感じてな」

 

あれからすっかり時が経ち、俺もフブキも今じゃ同じ屋根の下で暮らす仲になっている。といっても別に夫婦ってワケではないしフブキ以外にも同居人は沢山いるけどな。

 

「へぇー、フブキにもこんなちっちゃくて可愛い時があったんだね♪」

 

「まあな………それなのに今じゃどうしてこうなったんだか?」

 

「むふぅーー、このキャラ同士の濃密なシチュ、大変良きですなぁ~♪むふぅ♪」

 

「ちょっとフブキさん!リビングでそんな成人向け同人誌見ないで下さい!未成年の子だっているんですよ!」

 

今じゃフブキはリビングのソファーの上で寝っ転がり成人向け同人誌を堂々と見てファンには見せれない程気味の悪い笑顔を浮かべていた。部屋の掃除しているみしろにもめっちゃ怒られてるし、本当に何処で接し方間違えてしまったのだろうか?

 

 

―白上フブキ編 完―

 

 

 

 

 

 

―2.ときのそら―

 

玲二君と最初に出会った時の事?うーん、そうだなぁ……正直に言うと最初の出会いはちょっと嫌な思い出なんだよね。あ、玲二君に対して嫌な思いしたワケじゃなくて、その少し前に起きた事が嫌な事だったんだよね。あれはそう、私がホロライブに入る当日の話だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―六年前―

 

―ガタンゴトンッガタンゴトンッ……―

 

(………うぅ、どうしよう?注意した方が良いのかな?でもあんまり大事にはしたくないし……ん……)

 

「ブフフ、良い尻だなぁ…♪」

 

私は今、後ろにいる男の人にお尻を触られている。満員電車だから人同士が密接するから多少触れ合う事はあるかもしれないけど、この人は明らかに故意で触ってきてる。どうしよう、注意するべきかな?でももし知らないふりとかされたら?それにこれから大事な用事があるのにあまり大事にはしたくないし……

 

―トントンッ―

 

?いきなり隣にいる男の人に肩を叩かれたけど、どうしたんだろう……?何かスマホの画面を見せてきたけど……

 

[もしかして痴漢にあってる?]

 

ッ!この人、私が今お尻触られているのに気づいてくれたんだ。私は後ろの人に気づかれないよう軽く頷くと男の人は更にスマホを打ちまた画面を見せてきた。

 

[捕まえる?それとも大事にしたくない?前者なら頷いて、後者なら首を降って]

 

この人、私の事考えてくれてる……私は大事にしたくないから首を軽く降ると、男の人は軽く笑った後少しずれ後ろの人の横に立った。そして……

 

―ドスンッ!―

 

「ブヒャアッ!?」

 

なんといきなりその人の足をおもいっきり踏んで怯ませ、そのタイミングで駅に到着すると男の人は私の手を掴んで急いで駅へと降りた。ど、どうしよう?何だか今凄くドキドキしてる……///

 

 

 

 

 

「済まなかったな、助ける為とは言え少し強引だったな」

 

「い、いえ、助けて頂きありがとうございます!」

 

駅から降りて一息つき、私達は近くの公園のベンチで休んでいる。結構走ったから喉が渇き、彼は私の分も含めてスポドリを買ってきてくれて二人で一緒に飲んで気持ちを落ち着かせていた。

 

「それにしても本当に済まない、助ける為とは言えいきなり駅に降りてしまって……目的地は何処だ?その駅の分まで出すよ」

 

「い、いえ!丁度此処の駅で降りる予定でしたし、それより私こそ助けてもらった上にこんなジュースまでご馳走になって申し訳ないです!私の方こそ何かお礼させて下さい!」

 

「いや、そんなつもりで助けたワケじゃ「お願いします!私の気が済まないんです!」……分かったよ。と言っても今何にも思いつかないから俺のライン教えるから決まったら連絡するわ」

 

彼はそう言うと私にラインアドレスを教えてくれ、そのままその場を後にして何処かに行ってしまった。また会えると良いな……

 

「って私ももう時間がないんだった!急いで行かないと!」

 

私も目的地に向かう為、急いでその場から走って向かっていった。

 

 

 

 

 

 

―目的地―

 

「はあ、はあ……や、やっと着いた」

 

ちょっと道に迷ってしまったけど、なんとか目的地に辿り着いた……ホロライブプロダクション。此処で私は今日から新人アイドルとして活躍するんだ!よぉーし、頑張るぞぉーッ!ぬんぬんッ!

 

「あれ、お前さっきの娘か?」

 

「……え?」

 

気合いを入れていると横から声をかけられ、振り向くと其処にはさっきの男の人がいた。

 

「え?ど、どうして貴方が此処に……?」

 

「いや、俺この建物に用があったんだけど……あれ、もしかしてお前も?」

 

何という偶然なのだろうか?さっき助けてくれた男の人がまさか私と同じ事務所に勤めてる人だった。何というか……これってもしかして、運命なのかな?

 

 

 

 

 

「いやぁ、それは災難だったね?まさか出社初日にそんな事があったなんて」

 

「全くですね。今時あんな変態行為を堂々とする馬鹿がいると思うと情けなく思いますよ」

 

あれから事務所の中へと入り、私と彼は社長室に招かれ今社長と話をしていた。どうやら彼は今日からアルバイトスタッフとして入社したらしく、つまりは私と同期という事になるらしい。すっごく格好いいからてっきりアイドルなんだと思っちゃった。

 

「それじゃあ今日から佐々木玲二君はスタッフとして、ときのそらさんは新人アイドルとしてこれから頑張ってくれたまえ。我々も出来る限りのサポートはさせてもらうよ」

 

「「はい、よろしくお願いします!」」

 

いよいよ始まるんだ、私の新しいアイドルとしての生活が。そして……私の運命の人と、佐々木玲二君と一緒に絶対にトップにいってみせるよ!///

 

 

 

後に玲二にフブキという幼馴染みや同級生のぼたんの存在を知り、一度はこの恋を諦めかけるがその後に現れる沢山のライバル達を見て再び熱を入れるそらなのであった。

 

 

―ときのそら編 完―

 

 

 

 

 

 

―3.獅白ぼたん―

 

んー?あたしがレイっちと出会った時の話?そんなん聞いてどーすんの?多分聞いても大して面白くないよ?え、それでも良いって?しょーがないなぁ………あれはそうだね、高校一年の時かな……

 

 

 

 

 

―十年前―

 

―キーンコーンカーンコーン…―

 

放課後のチャイムが鳴り、皆が部活に行ったり下校したりする中、あたしは教室で一人漫画を読んでいた。入学してからあたしには友達と呼べる子はいなかった。と言うのもあたしの出身地が原因でもあるんだけどね。

 

あたしの出身はギャングタウンと言われていて其処にはガラの悪い連中で溢れている。中には平気で法に触れるような危ない仕事をする奴もいる。

 

そんな場所の出身のせいであたしには変な噂が広がっていた。『あたしのバックには危ない組織がいる』だとか『危ないクスリを大量に所持してるしやってる』だとか、後は『金さえ払えば誰とでも寝る』とか。はっきり言えば全部嘘だし、でもかといって一々否定するのもめんどくさい。だから今噂がどんどん拡大され、あたしに声を掛けて来るのは殆ど噂を鵜呑みにして金を持ってあたしからクスリを買おうとする不良だったり身体目当ての男子しかいない。

 

ホント、なんであたしこんな所にいるんだろうな?おやっさんが高校まではせめて通えって言うから来てるけどちっとも楽しくない。これだったら家でFPSやってた方がずっとマシのんだけど?

 

―ガラガラガラッ―

 

「ん?なんだ、まだ人がいたのか?」

 

「あ?……ってなんだ、佐々木じゃん。どうしたのさ放課後なのに教室に来て」

 

漫画を読み終わる頃、教室の扉が開きクラスメートの佐々木玲二が入ってきた。コイツもあたしと同じで基本的に一人でいる事が多い。とは言えあたしと違って周りから頼られる事が多く女子からの人気は高いみたいだけどね。

 

「ああ獅白、丁度良かった。先生からこの間のプリント回収してきてくれって言われて、後はお前だけだからプリント今もらっていいか?」

 

「プリントぉ?……ああこれか、はい」

 

あたしは佐々木に言われ机の中から一枚のプリントを出して渡す。にしてもなんだよこのクラス合同ピクニックって小学校かよ?

 

「ん、ありがと。これで全員分だな」

 

「あんたも真面目だよね。先生に頼まれた事嫌な顔一つもしないで引き受けるなんてさ」

 

ホントに今時珍しいよね、こんな絵に描いたような真面目君は。あたしと住む世界が違うって感じがするよ……

 

「別にそんな事はないさ。寧ろ獅白、お前の方が真面目じゃん」

 

「は?あたしが真面目?冗談でしょ、あたしの何処が真面目なのさ?」

 

「道で迷ってるお年寄りの荷物持って道案内してあげたり、母親とはぐれて泣いてる子供と一緒に探してあげたりしてるだろ?」

 

ッ!?な、なんでコイツそんな事知ってんだよ?!確かに困ってる人がいたら見過ごせないからお節介かもしれないと思いつつ助けたりしてたけど、まさかクラスメートに見られてたなんて!?

 

「あの時の獅白、学校にいる時と違って優しい笑顔をしてたからな。だからコイツは根は真面目な良い奴なんだなって思ったんだ」

 

「ま、真面目だなんてそんな……それにあたしってほら、色々噂あるじゃん?そんな奴に優しいとか良い奴って……」

 

「ああ、あの噂か?そんなの自分の目で確かめないで他人の言葉に踊らされてる奴等が更に広めていっただけの話だろ?現にそんな噂が本当なら獅白がこの学校に入れたのだっておかしいだろ?それに先生達は良い人達ばっかりだから皆お前の事理解してくれてるって」

 

た、確かに言われてみれば先生達からは一切何も言ってこない、と言うかそういった噂を話してる生徒を注意してたような気がする……?

 

「少なくとも俺は噂なんかで人を見るつもりもないし、真に受けてる奴がいたらそんな奴適当にあしらっておけばいいって。そんじゃ俺は用も済んだしもう行くわ、じゃな」

 

佐々木はそう言って教室を後にした。アイツってなんか変わってるよな、妙に達観してるって言うか……本当にあたし等と同い年なんだろうか?

 

そしてあたしも帰ろうと教室を出た時、目の前に一人の男子生徒がいた。確かコイツは……そうだ、A組の金満だ。親が社長をしてるとかで金に物を言わせてる成金野郎だ。そんな奴がなんで此処に?

 

「あ、あの!し、獅白さんにお願いがあって!」

 

「お願い?一体何さ?」

 

「こ、これ!このお金で僕と一晩過ごしてくれないか!」

 

……はあ、またか。さっきは佐々木はそういう奴は気にするな的な事言ってたけど、やっぱりこういった奴は後を絶えないもんだよね。

 

「……何か勘違いしてるみたいだけど、あたしは金で人を釣る奴が大嫌いなんだ。分かったらさっさと帰りな」

 

「そ、そんな!頼むよ本当に、僕女の子達から避けられてるから、獅白さんなら金さえあげれば何でも頼みを聞いてくれるって聞いたから来たんだから!」

 

「いや知らんし。てかそんな金で動くような奴だと思われるのも心外だわ。さっさと帰ってくんない?」

 

生憎あたしは金銭的には全然余裕があるし、ましてや金で人を釣るなんて奴にろくな奴はいないのは知ってるからそんな奴の頼みなんて受けるつもりもない。

 

「た、頼むよ獅白さん!僕本当に女の子と付き合いたいんだ!僕の持ってるお金自由に使っていいから頼むよ!」

 

「……ああもうしつこいってホントに!あたしはそう言った成金的な考えの奴大嫌いなんだ!分かったらさっさと帰れ!」

 

あたしが何度も帰れと言ってるのに目の前で土下座をし始めた金満にしつこく感じて思わず感情的に大声をあげてしまった。けど金満はあたしの前から一歩も動こうとせず、もう無視して帰ろうかと思った。

 

「あ、金満こんな所にいたのか」

 

そう思っていたらさっき職員室に行った筈の佐々木が戻ってきた。え、何で戻ってきたんだ?

 

「え?あ、さ、佐々木君?どうかしたのかい?」

 

「いや、校門前でお前の事探してる女の子がいたから教えようと思ってな」

 

「ほ、本当かい?!」

 

「ああホントホント。だから早めに行った方が良いんじゃないか?女の子待たせるような真似はしたくないだろ?」

 

佐々木がそう言うと金満は喜びながらその場を去っていった。な、なんか単純な奴だったな……

 

「……全く、さっきも言っただろ獅白?あーいう奴は適当にあしらっておけばいいって」

 

「あ、うん……ありがとね、助けてくれて」

 

「良いって、それに金満に用があるって女の子がいたのも本当だったし、偶々そういった偶然が重なっただけだから気にするな。んじゃ、俺ももう用ないし帰るわ」

 

……なんだろう?コイツ、あたしが今まで見てきた奴等と全く違う感じがする。なんかとても興味が湧いてきた。

 

「ねえねえ佐々木、この後何か用事とかあるの?」

 

「ん、用事か?いや、特に何もないけど……」

 

「だったらさ、一緒にラーメンでも食べに行かない?あたしめっちゃウマイラーメン屋知ってるから行こうよ♪」

 

「はあ?なんでまた急に……」

 

「いーじゃんいーじゃん♪あたしさ、あんたに凄く興味が湧いてきちゃったんだよね。なんだか良い相棒になりそうって感じがしてさ♪」

 

「なんだよそれ?まあ、確かに今日は親も遅いからどっかで食べて帰ろうと思ってたし、別に構わないよ」

 

「よっしゃー♪それじゃあ早速行こっか」

 

あたしは佐々木の腕を掴んでそのままラーメン屋へと向かっていった。

 

これがあたしと佐々木……いや、レイっちとの出会い。そして一緒にいる日々を重ねていく内にあたしはレイっちの事が好きになっていた。

 

だからレイっち、いつか絶対あんたの事を振り向かせて見せる。獅子族は一度狙った獲物は逃がさないからね♪

 

「………そういや金満に用がある女の子って誰だったの?」

 

「ああ、D組の猿山さんだよ」

 

「え?!それってあのゴリラの獣人で柔道四段のあの猿山さん?」

 

「そう、なんか金満に一目惚れしたらしくてな」

 

そ、そうなんだ。なんか……金満、御愁傷様。

 

 

―獅白ぼたん編 完―

 

 

 

 

 

 

―4.百鬼あやめ―

 

ん?余が玲二様と出会った切っ掛けか?ふふん、それはまさに運命的な出会いだったぞ♪あれはそう、余が封印されていた時の話だな……

 

 

 

 

 

―四年前―

 

……もうどれくらいの時が経ったのだろう?余が昔、人を喰らう悪鬼と呼ばれ人間様達に追いかけられ、一人の僧侶にこの岩に封印されてしまったのは?

 

十年?それとも百年?……いや、もしかしたらもっと長い年月が経ってるのやもしれない。

 

……どうして余が封印されなきゃいけなかったの?余は人間様を食べてなんかいないのに。余はただ人間様や仲間の鬼達と仲良く暮らしてただけなのに……

 

こうして時々意識が戻ってはまた沈み、これを繰り返して、余はもうこのままずっと封印されたままでいなきゃいけないのか?

 

そんなの……そんなの嫌だ!お願い、誰か余を見つけて!余を……余を助けて!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……れ?今…かこ……聞こえ……うな……―

 

……あれ?何か聞こえる……今までそんな事一度もなかったのに?

 

―……んだ?……っちの……から聞……よう……―

 

ッ!気のせいなんかじゃない!聞こえる……誰かの声が!お願い、余は此処にいる余!余を此処から出して!

 

―あれ?この岩……こっから声が聞こえるけど……―

 

声がどんどんはっきりと聞こえてくる!此処だよ!余は此処にいる余!余を助けて!

 

―いや助けてって言われてもどうしたら良いんだこれ?―ペタッ

 

―ビカアァァッ!!―

 

ッ!?こ、これは……!?

 

声の主が岩に手を触れた瞬間、真っ暗だった世界に突然光が溢れ、その光の壁にどんどん皹が入っていき……

 

―ピシッ……パリイィィィィィンッ!!―

 

この世界が崩れ、余は外の世界へと解放された。

 

―ドサッ―

 

「うわっと!?な、なんだ?鬼人族の女の子?何でこんな岩に……?」

 

「や、やった。やっと出れ……た……」

 

「え?あ、ちょ、ちょっとお前?!しっかりしろおい!?」

 

外に出た際に奇妙な格好をした男の人間様に抱き寄せられ、久しぶりの人肌に安心したのか余はそのまま意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

「………う、うぅ……あれ?此処は……」

 

目が覚めると余は全く知らない所にいた。妙にモコモコして寝心地の良い布団に見たこともないような奇妙な箱。それに外は見えるが何やらキラキラした板が張られたりと余が生まれてから見たことのない物で溢れかえっていた。

 

―ガチャッ―

 

「お、目が覚めたみたいだな」

 

「え?あ、貴方はさっきの……」

 

部屋の扉が開くと先程の人間様が何やら食事のような物を持って入ってきた。けど……な、何なのだその変な容器は?

 

「済まない、最近買い物に行ってなかったから食べ物があまりなくてな。カップ麺しかなかったけどこれで一先ずは我慢してくれ」

 

「か、かっぷめん?」

 

な、何なのだかっぷめんっていうのは……?そう思ってると人間様は変わった容器の上の紙?をペリペリと剥がし、近くに置いていた銀色の袋を開けて中から液体が出てきて容器の中に入れて混ぜ始めた。これは……蕎麦かな?

 

「ほれ、出来たぞ」

 

「う、うむ……では遠慮なく……」

 

見た目は蕎麦に近いが余の知ってる蕎麦はこんな綺麗な色はしてないし匂いもかなり美味しそうな感じがする。初めての食べ物に不信感は多少あるものの、恐る恐る箸を使って一口啜った。

 

―ズズッ……―

 

「ッ!?う、旨い!!」

 

なんだこの蕎麦は!?こんな旨い物を余は今まで食べた事がない!あまりの美味しさに余は勢い良く食べ進め、そしてあっという間に汁も飲み干してしまった。

 

「ぷはぁ♪こ、これはなんて旨い料理なんだ!」

 

「そうか、そんな気に入ったかカップ麺」

 

それから人間様にお願いしてこのかっぷめんとやらを後三個出してもらいあっという間に全部平らげた。出てくるたびに容器の形や味が変わってどれも美味しかったぞ♪

 

 

 

 

 

 

―食事終了後―

 

「……えーとつまり、お前は昔悪鬼と間違われて封印されて、ずっとあの岩の中にいたって事か?」

 

「うん、そうだ余」

 

かっぷめんを食べ終えた後、人間様が余の事を知りたいと言ってきたので余は今までの経緯を全て人間様に話したんだ。

 

「成る程、でももしそれが本当だとすれば……お前、大体1500年間封印されてた事になるな」

 

「せ、1500年?!そ、そんな長い間余は封印されてたのか?!」

 

「ああ、あの石碑に書いていた事が間違いじゃなければな」

 

な、なんて事だ……封印されてからまさかそんな長い年月が経っていようとは……それじゃあもう余の家族や仲間、それに故郷も既に無いという事なのか……?

 

「そ、そんな……それじゃあ余はこれから一体どうすればいいんだ?こんな時代が進み過ぎてこの部屋の中でさえ分からない事だらけなのに……」

 

せっかく封印が解けてもこれでは生きていく術が見当たらない。少し外を見てみたが自然と呼べる物は殆どなく、ましてや頼れる人もいない。これから余は一体どうやって生きていけばいいんだ?

 

「うーん、確かに1500年も時代が変わればどうすればいいかなんてわからないよな……よし!それならちょっと待っててくれ!」

 

そう言うと人間様は何やら薄い板を取り出しそれを耳に当てると何やら独り言を喋り出した。い、一体何をしてるのだ人間様は?

 

「……ああ、ミオ。突然済まない、実はお前に頼みたい事があってな。少しの間で良いから女の子一人預かってほしいんだ。うん、うん……いや、事情は会って話したいから今から大丈夫か?……分かった、ありがとう。なら一時間後にこの間の喫茶店で待ち合わせな」

 

どうやら独り言は終わったようで人間様は板を服の中にしまって余の方に振り向く。

 

「よし、これで当面の衣食住はなんとかなりそうだな」

 

「に、人間様?今の独り言は一体?」

 

「ん?ああ、今のは独り言じゃなくてこのスマホで電話……まあ、遠くにいる知り合いに連絡をとったんだよ。お前の事を預かってもらえないかってな」

 

な、なんだその便利な道具?!いや、それよりも余の事を預かるって一体……?

 

「お前、この時代に来てまだ全然勝手とか分からないんだろ?だったら少しずつでいいから慣れていければ良いんじゃないかと思ってな。とは言え流石に男の家に居候させるのも不自由だろうし、今俺の後輩に連絡して暫くの間だけ預かってもらう事にしたんだ」

 

「え……そ、そんな事まで……」

 

「まあ、流石にあんな助けを求められてたのに見捨てるのは可哀想だしな。助けた以上はお前がこの時代に馴染めるようしっかりサポート……じゃなくて支えてやらないとな」

 

…………なんて優しい人間様なんだろう?今までいろんな人間様を見てきたけど、此処まで余に優しくしてくれた人間様は生まれて初めて出会った。そう思うとふと涙が出てきてしまった。

 

「ふ……ひっぐ……」

 

「えぇ?!ど、どうした?!何か嫌な事でもあったか?!」

 

「ち、違うの……こんなに優しくされた事、両親以外では殆どなかったから……つい、嬉しくて……ひっぐ……」

 

余は気づいたら人間様に抱きついて泣いていた。こんな素性も分からない鬼に此処までしてくれる人間様に余はいつの間にか心を許していたんだ。

 

「……そうか。だったらまだ約束の時間まで少し余裕があるから、落ち着くまで泣いて良いぞ」

 

「うん、うん……!」

 

余はそれから数分程人間様の胸で泣き、すっきりした後人間様に連れられてとある建物に入り、其処にいた狼族の獣人の娘と出会いこれからの事を話し合った。そして余はその獣人の娘、ミオちゃんの家にお世話になる事になったんだ。

 

それから沢山の事があった。ミオちゃんからこの時代の事を沢山教えてくれた事で今では何も不自由がなく過ごす事が出来るようになったし、それから余を助けてくれた人間様、佐々木玲二様と一緒に余が封印されていた場所に行ってみると其処にいた余にそっくりな不思議な生き物ぽよ余がいたりと、本当に沢山の出会いと発見があって楽しかった。

 

それもこれも余を助けてくれた玲二様やミオちゃん達のお陰なんだ。だからこんな幸せな日々がずっと続いたら良いな♪

 

 

―百鬼あやめ編 完―

 

 

 

 

 

 

―5.白雪みしろ―

 

みしろがご主人様をお慕いしてる理由ですか?それを聞いてどうするんですか?…………え、ただ気になっただけ?そ、そんな理由で……まあ、別に構いませんが。あれはそうですね、みしろがのりプロに所属し始めた頃の事です……

 

 

 

 

 

 

 

―一年前―

 

のりプロからデビューして早くも二週間が経ち、漸くアイドルとして少し慣れてきた頃、みしろはレッスンを終えて事務所で一息ついていました。

 

「あ、みしろちゃんお疲れ~♪」

 

「あ、たまきさん……お疲れ様です」

 

「もー、みしろちゃん相変わらず硬いよぉ。そんな他人行儀じゃなくても良いっていつも言ってるじゃん」

 

事務所のソファーで休んでいると其処に先輩でありこののりプロの創設者の息子である犬山たまきさんに声をかけられました。それにしてもこの人男なのに何で女装してるんでしょうか?

 

「す、すみません、まだ慣れなくて……」

 

「ふーん……ま、仕方ないか。時期に慣れてくれれば良いし♪」

 

たまきさんはそう言うと自分の荷物を入れているロッカーを開けてカバンを取り出す。その際にですが、ロッカーの中に写真立てが見え、その中にはたまきさんが見知らぬ男性と腕を組んで写ってる写真がありました。たまきさんの性別を知らない方が見ればカップルのようにも見えますが、一体この方は誰なのでしょう?

 

「あの、たまきさん?そちらの写真に写っている方は……?」

 

「ん?ああ、これ?これね、ホロライブのスタッフさんの佐々木玲二君だよ。僕の仕事仲間さ♪」

 

「へぇ、そうなんですね。でもまるでカップルみたいな写り方した写真ですね?」

 

「か、カップル?や、やだなぁみしろちゃん、玲二君と僕は男同士だよ、カップルなワケないじゃん。只の仲の良い友達なだけ///」

 

……たまきさんはそう言ってますがこの表情、とても仲が良いだけの友達には思えないんですが……もしかしてたまきさん、そっち系だったりするんですか?

 

 

 

 

 

 

それからその日のレッスンを全て終わらせ、みしろはとある家電量販店にやってきました。実はみしろ、趣味でガンプラを作っていまして、今日は新しくHGのヘビーアームズが発売されるので買いに来ました。最近のガンプラブームもあるので売り切れていなければ良いんですが……

 

「えーと……あ、良かった。まだ残ってました」

 

少し遅かったから売り切れてないか心配でしたが、最後の一つが残ってました。ではこれを買って帰りましょうか。

 

「お、良かった。最後の一個だったけどゲットだ」ヒョイッ

 

「あ……」

 

なんと最後の一個を目の前で男性に取られてしまいました。ど、どうしましょう……声をかけて譲ってもらう?いえ、そんな非常識な事出来ません。此処は素直に諦めるしかありませんね……

 

「……なぁ、もしかして君もこれが欲しかったの?」

 

「え?」

 

諦めて帰ろうとした瞬間、先程の男性がみしろに声をかけてきました。一体どうして……

 

「あのさ、これ良かったら譲るわ。俺は他にも売ってそうな場所知ってるし」

 

「え?!そ、そんな大丈夫ですよ!みしろこそ他の所を当たりますので!」

 

「良いって。俺は最悪他のガンプラ買えれば良いし、君みたいな娘に作ってもらえればコイツも喜ぶだろ?ほら」

 

男性はそう言ってみしろにヘビーアームズを渡してその場を去ろうとしました……あれ?というかこの方…………ッ!たまきさんのロッカーにあった写真に写っていた男性!まさかこんな偶然が……

 

「あ、あのすみません!もしかして貴方、佐々木玲二さんでしょうか?!」

 

「え?なんで俺の名前知ってんだ?」

 

やっぱり!たまきさんの友達の方だったんですね!まさかこんな偶然があるとは思いませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかたまきのいる事務所の後輩だったなんてな。妙な偶然もあるもんだね」

 

「そ、そうですね」

 

あれからみしろ達はヘビーアームズを購入した後近くの喫茶店でお茶を飲む事になりました。因みに佐々木さんもあの後行ったお店で無事ヘビーアームズを購入する事が出来ました。にしてもあんな所にお店があったんですね?普通に在庫があってびっくりしました。

 

「あ、今日行ったあの店なんだけど他の奴等には内緒にしてくれよな?知る人ぞ知る穴場なんだよ」

 

「はい、ですがみしろも教えて頂きましたし、今後はみしろも利用させて頂きますね♪それにしてもすみません、こんなお茶やケーキまでご馳走になって」

 

「良いって、たまきの後輩は俺の後輩のようなモンだからな。遠慮なんかしないで食べてくれよな」

 

……なんだかとてもお優しい方ですね。たまきさんが好意を持つのも納得してしまいます。

 

 

 

 

 

 

「へえ、白雪さんはメイドの家系なんだ?」

 

「みしろで良いですよ、さん付けも要りません。はい、白雪家に生まれた女は代々メイドとして教育され、自分が主に相応しいと思う方に生涯仕えるという風習があるのです」

 

それからみしろは佐々木さんと話が弾み、今ではすっかりお互いの事を話すようになってました。こんなに楽しく話をしたのは何時振りでしょうか……?

 

「にしても生涯仕えるかぁ……それってなんか自分の自由な時間がなくなってしまうような感じがするけど嫌じゃないのか?」

 

「いえ、白雪家の血筋のせいなのか分かりませんが、人に尽くす事自体は全然嫌ではありませんね。寧ろみしろも早く仕える主を見つけたいと思ってますし」

 

「はぁー、なんか偉いなぁみしろって」

 

「フフ、そんな事ありませんよ♪」

 

なんだか佐々木さんとお話しているととても楽しい。いつまでもずっとこうしていたいと思ってしまいます……もしかしてこの方がみしろの……いえ、流石に会った初日でそんな考えになるのはおかしいですよね?

 

「あ、そうだ。今度で良いからみしろからもたまきにちょっと注意してやってくんない?」

 

「え?たまきさん、何かやったんですか?」

 

「いや、アイツ最近なんかスキンシップが酷いと言うか、やたらと腕を組んできたりボディータッチが多かったりして少し困ってるんだよ。アイツ見た目こそは女っぽいけどれっきとした男だから流石にキツイって言うか……」

 

「わ、分かりました、みしろからも注意しておきます……」

 

たまきさん、仲が良いとは言え流石にやり過ぎではないですか?まさか本当に佐々木さんの事……そう思ったらなんか知りませんがムカついてきましたね。

 

「そ、それではそろそろお暇(いとま)させて頂きますね。ご馳走様でし―ガタンッ―キャッ!?」

 

「ッ!危ない!」

 

そろそろ帰ろうと立ち上がった時にバランスを崩してしまい、その場で倒れそうになったみしろを佐々木さんが支えてくれました。お陰で怪我をする事はなかったのですが………

 

(ッ!?ち、近い!佐々木さんの顔がみしろの近くに!?)

 

「あ!?す、済まない!助ける為とは言え、嫌だったよな?」

 

い、嫌ではありません!寧ろ嬉し……ってみしろは何を考えてるんですか!?///

 

「?みしろ、どうかしたか?」

 

ッ!///だ、ダメです!佐々木さんを見ていると心の動悸が治まりません!やっぱりそうだったんですね、先程は出会ったばかりだと思ってましたがそんなのもう関係ありません!漸く見つけました……みしろの仕えるべきお方が!

 

「さ、佐々木玲二さん……いえ、玲二様!///」

 

「え?れ、玲二様?」

 

「いきなりこんな事を言うのも失礼だと承知しておりますが……どうか、みしろのご主人様になってくださいまし!///」

 

「は、はあぁッ?!」

 

こうしてみしろは玲二様にご主人様になってもらうようにお願いしました。今思えば喫茶店の中で他のお客さんもいるのに大きな声でみしろは何を言い出してしまったんでしょうか……///

 

それから少し経ってから玲二様に無事承諾を得る事が出来ましてみしろは晴れて玲二様のメイドになる事が出来ました。と言ってもお互いに本業があるのでみしろが本格的に仕えるのはアイドルを卒業してからですね。ともあれこれからよろしくお願いしますね、ご主人様♪

 

 

―白雪みしろ編 完―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「~♪」

 

「あれ?みしろちゃん随分機嫌が良いね。何かあったの?」

 

「はい♪みしろにも漸く仕えるべきご主人様に巡り会えました♪」

 

「へぇ~そうなんだ?どんな人なの?」

 

「はい、優しくて思いやりのあるお方ですね。こんなに素晴らしいお方に巡り会えてみしろは幸せ者です♪」

 

「ふーん、良かったじゃん♪大事にしなよ、そのご主人様♪」

 

「はい♪それではみしろはこれで失礼しますね♪お疲れ様です」―ヒラッ……―

 

「あ、みしろちゃん何か落として―バタンッ―あ、行っちゃった……一体何を落とし…て……?」

 

みしろが落とした物、それは玲二に寄り添うようにみしろがもたれかかっているツーショット写真だった。

 

「み、みしろ……まさか仕えるご主人様って…………フ、フフフ……いい度胸だよみしろぉ。玲二君はずっと僕が狙っていたのにぽっと出のみしろが先に手を付けるなんてぇ!絶対に許さないからなみしろぉッ!!」

 

その後猛ダッシュで玲二の所に行き自分も玲二に仕えるメイドになると宣言し玲二を困惑させるたまきなのであった。




はい、という事でフブキ、そら、ぼたん、あやめ、みしろの五人の過去回でした。流石に一纏めにしたら長くなってしまいましたね(^^;

次回はホロライブの天使のような悪魔っ娘のお話です。また次回も気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ゚∀゚)ノシ
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