ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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急な仕事と裏話のリク小説を書いたりで正直ガンプラを作る時間が減りました……(泣)

でも年末年始はゆっくり出来そうなのでその間でゆっくりガンプラ作りたいと思います。

今回は初のコンテストのお話です。最後まで見て頂けたら有難いです、ではどうぞ!


第30話『開催、ガンプラビルダーコンテスト!』

ヒメヒナからの誘いを受けて出場する事になったガンプラビルダーコンテスト。玲二は自ら決めた選抜チームと共に会場であるイ○ンモールの中にあるガンダムベース出張店へとやって来ていた。回りには玲二達と同じような参加者達が皆各々のガンプラを手に沢山集まっていた。

 

「おぉ、これはまた凄いなぁ。こんなにも参加者がいるなんてな」

 

「ほえぇ~、此処にいる殆どが参加者なんですねぇ?」

 

「それに持っているガンプラもクオリティが高い……本当にアマチュアの人達なの?」

 

回りにいる参加者のオーラにフブキとヒナは圧倒されそうになる。クロも言っていたがアマチュアと言っても中には表舞台に出ていないだけでプロレベルの人もいるからな。動画投稿者とかがそれに当たるし。

 

「そんな気張らなくても良いだろ?俺達はあくまでもイベントを楽しめば良いんだからさ」

 

「そ、そうですよね!私も新しく作ったガンプラをいろんな人に見てもらいたいですし♪」

 

「ヒナもヒメと一緒に作ったアストレイを早く見せたい♪」

 

二人とも緊張が解れたのか逆に早く自分のガンプラを展示したいとワクワクし始める。うん、やっぱりこういったイベントは楽しまないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや?何やら聞き捨てならない事をほざいている奴がいるみたいだねぇ?」

 

「「え……?」」

 

「……は?」

 

そんな中、俺達は後ろから突然嫌味っぽく声をかけられた。振り向くと其処にはビシッと整えられたセミロングの金髪に赤と青のオッドアイが特徴の如何にもキザったらしい男がニヤニヤ笑いながら近づいて来る姿があった。

 

「楽しむ?何を寝惚けた事言ってるんだか?これはコンテスト、自分の素晴らしい作品を周囲に見せつける謂わば戦いなのだよ。それなのにそんな楽しく参加出来ればいいなんて、全くこれだから庶民は嫌だねぇ」

 

「なんだと……?このコンテストはプロ以外なら誰でも参加出来るモノだろ?なんでお前にそんな事言われなきゃいけねぇんだ?」

 

「そうですよ!というかあなた一体誰なんですか?!急に来てそんな事言うなんて失礼ですよ!?」

 

フブキがそう言うと男はフブキの前に立つと急に屈み、フブキの手を取る。

 

「フッこれは失礼、麗しき猫の姫よ。この庶民があまりにもふざけた事を抜かすモノだからつい口を挟んでしまった。どうか、この僕の美しい顔に免じて許してほしい」

 

「ふざけた事言ってるのどっちですか!?後私は狐じゃい!」

 

「おぉ、それは申し訳ない。気を悪くしたならお詫びをしよう」チュッ

 

「ッ?!!!」ゾワゾワゾワァッ!!

 

こいつ、フブキの手の甲にいきなりキスしやがった!フブキもキスをされたのが嫌なのか鳥肌がたっており、その顔は怒りや憎悪で真っ赤になっていた。

 

「おやおや?照れて顔が真っ赤になってるようだね?フフッ無理もないね、この麗しき貴公子である僕の所有物になれる誓いの口づけを受けたのだから―ドグシャアッ!―ぶべほぉッ?!」

 

「なぁにが誓いの口づけじゃあぁぁッ?!オメェの気持ち悪いキスなんて一ミリも嬉しくねぇんだよこのギザ丸出しのナルシスト野郎があぁッ!!」ゲシゲシゲシゲシッ!!

 

「お、落ち着いてフブキちゃんッ!?気持ちは分かるけど!」

 

あーあ、フブキがキレてナルシスト野郎ぶん殴っておもいっきり踏みつけまくってる。ヒナも一生懸命フブキを止めようと必死にしがみついていく。

 

「ほらフブキ、周りの人達にも迷惑がかかるからそろそろ止めな」

 

「フーッ!フーッ!」フシャーッ!

 

あらら、少し野生に還りかけてるぞ?しかしなんなんだこのナルシスト野郎は?

 

「い、痛い……ッ?!ぼ、僕の美しい顔が、僕のお気に入りの一張羅があぁッ!?なんて野蛮なんだこの猫娘は?!」

 

「まだ言うかおいッ!?」フシャーッ!

 

「まあまあ落ち着けって……」

 

まだ暴れそうになるフブキを抑えながら取り敢えずこの場を抜けようとする。しかし……

 

「ちょっとあんた達!ベルツリー様に何してくれてるのッ?!」

 

「ん……?」

 

数人の女性がこの男を庇うように現れ俺達を睨みつけてきた。一体なんなんだこいつ等?

 

「ベルツリー様はいずれ世界を統べる大企業の御曹司様よ!あんた達のような安っぽい庶民なんかが軽々しく話しかけて良いお方ではないわ!」

 

「いや、話しかけてきたのはそっちなんだが……」

 

「うっさいこのダサ男!それに其処の女も、ベルツリー様が折角誓いの口づけをしてくださったのに何よその態度!?恥を知りなさい!」

 

「そんなの知らないよ!寧ろそんな気色悪い事平気でしてくるその神経を疑うよ!後レイくんはダサ男なんかじゃないよ!寧ろそっちの方がダサいじゃん!!」

 

突然現れ俺達の事を貶してくる女達にフブキがまた噛みついていく。にしてもなんなんだこいつ等?ベルツリー様とか大企業の御曹司様とか言ってたけど……

 

「まあまあ君達、この僕の為に争わないでくれたまえ。其処の子猫ちゃんもさっきの事は水に流してあげるよ、なんせ僕は海より広い心の持ち主だからね♪」キラーンッ☆

 

『キャアァァァァァァッ!ベルツリー様ぁッ♡///』

 

…………ダメだ、もう着いていけねぇ。さっさとエントリーに行った他の皆戻って来てくれねぇかな?

 

「あ、あのす……ベルツリー君、コンテストの受付済ませてきたよ……」

 

するとこのベルツリーという奴の更に連れなのかメガネを掛けてダボダボな服を着た地味な感じの娘が近づいてきた。どうやらこの娘もこいつ等と同じチームらしいな。

 

「ふん、漸くかこよみ。全くお前はいつもどんくさいんだからこういう時くらいはさっさと済ませてほしいもんだね。では、僕達もそろそろ準備をしに行こうかハニー達♪そして其処の庶民、君達も恥を晒したくないならさっさと自分のガンプラを片付けて帰りたまえ。子猫ちゃんもそんな男の何処が良いんだから知らないが、さっさと別れて僕みたいな素晴らしい男の元に来るといい。では、アデュー☆」キラーンッ☆

 

なんだかすっげぇねちっこい奴だな?一体何がしたかったんだ?フブキもさっきからずっと威嚇するのを止めないし……

 

「あら?玲二様何かあったのかしら?」

 

「あ、ちょこ。もうエントリーは済ませたのか?」

 

ベルツリーとかいう奴と入れ替わりに今度はちょことヒメとメルがエントリーを終えたのか戻ってきた。因みに本当は他にもメンバーを集めたかったが他の皆はロケやレッスンがあって参加出来なかったので今回は俺を含めて六人で参加する事になったのだ。

 

「えぇ、思ったより混雑してたから大変だったけど……それよりフブキ様一体どうしたの?なんだか凄く怒っているような……」

 

「そりゃ怒るよあんな事されたらッ!レイくん私小一時間ほど手洗ってくるからッ!!」プンスカプンッ!

 

「お、おう……」

 

よっぽど嫌だったんだなフブキ。まあ俺も自分の嫁があんな事されて本当は一発ぶん殴ってやりたかったわ、よく耐えたよ俺の拳。

 

「あ、あの……」

 

「ん?あぁ、あんたは確かさっきの……」

 

そんな事を考えてたらさっきのベルツリーとかいう奴の連れの地味な女の子が俺に話しかけてきた。一体どうしたんだ?

 

「あ、あの……さ、さっきはす……ベルツリー君が皆さんにご迷惑おかけしてすみませんでした」

 

「あぁ、そういう事か……正直めちゃくちゃ腹立ったけどな。でもそれは君が謝るような事ではないし、何より本人が悪いと思ってないなら君がいくら謝っても意味がない」

 

「で、でも、それでもしっかり謝りたくて……本当にすみませんでした!で、では私はこれで……」ダッ……

 

そう言うと女の子はあの男を追いかけるようにその場から去って行った。なんか他の取り巻きと違って律儀な娘だったな。

 

「……ねぇヒナ、一体何があったの?」

 

「えぇっと……実はかくかくしかじかで…… 」

 

「えぇッ?!フブキちゃんそんな事されたの!?」

 

「それは確かに怒るわね、ちょこだったらそいつ二度と日の光が見れないようにしてやったのに……」

 

いや怖ぇよちょこ、そこまでしなくて良いって。にしても本当に何だったんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからコンテストが開催され、俺達のガンプラ以外にも多くのガンプラが展示され沢山の見物客が集まってきてくれた。どれも素晴らしい作品が並んでいて、特に旧キット部門の作品は見ごたえがあった。まさか旧キットがあんなに格好良くなるなんて思いもしなかったな。

 

そして俺達が選んだのはジオラマ部門、そして作ったのは皆の自作ガンプラを集めた『ビルドライバーズ』だ。

 

 

『ビルドライバーズ』

玲二、フブキ、ちょこ、メル、そしてヒメヒナの六人のガンプラをゲームのパッケージ風に展開した作品。以前みしろがやった消臭ビーズを使ったやり方でガンプラを水中で固定させる方法はあったが今回はそれとは違いレジンを使い完全に固定した。玲二のGNドライヴを三つ使用したデルタオークアンタ、フブキのジュピターヴを改造したフォクシードガンダム、ちょこの赤と黄色と灰色に塗装したガンダムデスサイズ(ハートブレイクVer)、メルの全身黄色にハート柄のリボンを着けたプリティベアッガイ、そしてヒメヒナが作ったアストレイ天の両腕をブリッツガンダムに差し替え右半身を赤、左半身を青に塗装したアストレイ姫雛鳥が武器を構えて立ち並んでいる。

 

本当にこれ作るの苦労したよな、何回も試作して失敗する度に動画見て塗装とかも工夫して、漸く出来た作品だ。いつかはこれをホロライブ全員でやりたいな。そして苦労して作った甲斐があった為か、俺達の作品の前では見物客が足を止めじっくり見てくれている。自分でもかなり満足のいく作品になったのでこれは本当に嬉しい。

 

「良かったねレイくん、皆喜んでくれてるみたいですよ♪」

 

「メルのベアッガイも可愛いって言ってもらえた~♪」

 

フブキ達も喜んでもらえて嬉しいようだな、良かった。けど……

 

「……あっちもかなり凄い事になってるみたいだな」

 

展示されている作品の中で俺達の所以外にも一ヶ所、見物客が足を止めている場所がある。それはあのナルシスト野郎のチームが作った作品『戦乱の世』が置かれている場所である。その見物客の量は俺達の所の倍はいるようだ。

 

 

『戦乱の世』

MG武者頑駄無に重塗装とダメージ加工を施し、更には回りには竹藪が広がっており正に戦乱の世を駆ける武者を彷彿とさせている。

 

凄いなあの武者頑駄無、本当にあいつ等が作ったのか?かなり細かく作られていてとてもアマチュアとは思えないな……ん?自慢気に話すあいつ等の影にさっきの娘がいたが、なんだか暗いけどどうしたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、これよりコンテストの最優秀作品の発表を致します!」

 

夕方頃、作品の展示が終わりいよいよ最優秀作品の発表が行われようとしていた。今回は見物客に投票してもらい、最も票数の高い物が最優秀作品に選ばれるのだ。こういったイベントに参加した以上は勿論最優秀に選ばれたいが、果たして……

 

「それでは、発表致します……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最優秀作品は、チームベルツリーファミリーの『戦乱の世』です!」

 

―おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!―

 

「フッ、まあ当然の結果だね☆」キラーンッ☆

 

……やっぱり負けたか、そりゃあんな凄い作品見せられたら勝てないわな、あの自信はハッタリではなかったんだな……

 

「フッ、どうだい庶民君?君のその出来損ないの作品なんかよりも、僕の作り上げた作品の方が遥かに優れているだろう?」

 

表彰されたあの野郎が俺の処に来て一々嫌みを言ってくる……悔しいが、確かに俺達の作品ではあのクオリティには勝てないな。

 

「君達もこんな庶民なんかと一緒にいたらその程度の物しか出来ないよ。これに懲りたらそんな奴とは縁を切って僕の処に来ると良い、何せ僕はいずれ世界を統べる大企業の御曹司だからね☆」キラーンッ☆

 

『…………ッ!』

 

……こいつ、こっちが黙ってたら言いたい事言いやがって……けど此処で騒ぎを起こしたら面倒な事になりかねない。悔しいが此処は無視する他ない……

 

「フッ、僕の凄さに声も出なくなったかい?それではそろそろ表彰式と参ろうじゃないか☆」

 

「は、はい!それではこれより表彰式を「その表彰、ちょっと待て!」ってえ?な、なんでしょうか?」

 

司会者が表彰式を行おうとした瞬間、周りの人混みをすり抜けて突如クロが現れた。その瞳は何時も以上に鋭くナルシスト野郎を睨みつけていた。

 

「やれやれ、暇潰しがてらに見に来て見れば、随分嘗めくさった奴がいたもんだな?」

 

「な、なんだい君は?あ、もしかして僕のこの顔とこの作品に見惚れてしまったのか―ガシィッ!―って痛たたたぁッ?!」

 

ど、どうしたんだクロの奴?!急にナルシスト野郎の腕を掴んで手のひらを眺めているが、一体何があったんだ?!

 

「………やっぱりそうか。このガンプラを作ったのはお前じゃないだろ?」

 

「ッ?!な、ななな、何をいいいい言ってるんだね君は?ここ、これは正真正銘僕が手掛けた……」

 

ッ!?どういう事だ?クロの奴、あいつの手を見ただけであいつが作ってないって判断したぞ?!どうしてそんな事が……

 

「お前、さっき展示してた時自慢気に話してたよな?このガンプラを納得のいく物にするまで当日の朝まで掛かったって。それなのにお前のこの手、これだけの大作を作るような奴にしては綺麗過ぎるんだよ。普通当日まで掛かったならもっと汚れててもおかしくないだろ?」

 

「ッ!?い、いやそれは……そ、そうだ!僕は潔癖性でね、何時も作業する時はゴム手袋を着用してるんだよねぇ☆」

 

?なんだ、あいつ急にしどろもどろになってるが……まさか本当にあいつ自分で作ってないのか?

 

「そうか……なら聞こう。お前、このガンプラは一体何を使った?」

 

「……へ?が、ガンプラ?」

 

「そうだ、一体何を使ったんだ?そして塗料は?工具は?そしてそれらをまとめてこのガンプラを作るのにどれだけの費用が掛かった?」

 

「え?あ、あの、それは、その……」

 

クロの怒涛の質問ラッシュにナルシスト野郎はどんどん追い詰められていく。そして遂に

 

「い、いい加減にしてくれ!僕はアマチュアなんだ!ガンプラだって見た目が気に入ったのを選んだだけだし、工具だって知人から借りた物を使用した!一々覚えているワケないだろ!?」

 

「そ、そうですよ!これはアマチュアのコンテストなんですから、ガンプラに詳しくない人だっていてもおかしくありません!」

 

ナルシスト野郎が顔を真っ赤にしてキレ始め、司会者も思わずフォローするような形で止めようとする。そんなナルシスト野郎を見てクロは深いため息をつく。

 

「はあぁ……確かに、アマチュアのコンテストだからそういったケースもあり得る。そしてビギナーズラックでこんな素晴らしい作品を作る事もある……なんて誤魔化せるとでも思っているのか?」ギロッ!

 

「ヒッ……?!」

 

クロはナルシスト野郎を鋭く睨み、あいつのガンプラを手にとってじっくり見ていく。

 

「こんな明らかにプロが作ったガンプラをアマチュアが作ったなんて無理があるんだよ。こいつはビギナーズラックなんかじゃ出来ない、よっぽどの経験を積まなきゃ作れないレベルのモンだ」

 

そう言うとクロはあいつのガンプラを持って今度は……あ、さっきの地味な女の子の前で止まった。

 

「これを作ったのはお前だな……『黄昏黄泉子』」

 

「ッ?!」

 

黄昏黄泉子?誰なんだそれ……って、なんか周りの見物客が急にざわつき始めた?え、そんなに凄い奴なのか?

 

「黄昏黄泉子だって?!」

 

「ガンプラをはじめとする様々なプラモで和風改造するなら右に出るものはいないと言われている、あの黄昏黄泉子?!」

 

「スゲェ!日本だけでなく海外のモデラーも魅了するトッププロモデラーじゃねぇか!」

 

「あ、あの……その……」アタフタアタフタ……ッ!

 

え、なんだそれ?そんなに凄い娘だったのかあの娘?!フブキ達も知らなかったようでかなりびっくりしている。でもこんなアマチュア限定のコンテストでなんでそんなプロモデラーが参加してんだ?!

 

「私もプロとして活動しているからな、他のモデラーの情報は常にチェックしているんだ。特にお前はここ数年で海外でも活躍する程のトップモデラーだから作品を見ただけですぐに分かったぞ。さあ答えてもらおうか?なんでプロが参加出来ないこのコンテストでトッププロモデラーのお前が正体隠して参加してるんだ?」

 

「そ、それは……」

 

クロが女の子を追い詰めていくと、ナルシスト野郎が間に割って入っていく。

 

「待ちたまえ!君は何か勘違いしているようだが、彼女は黄昏黄泉子なんて名前じゃない!そしてそのガンプラは僕が手掛けた物だ!これ以上僕の事を貶すような事をするなら「そうそう、言い忘れてたな」何……?」

 

「黄昏黄泉子は作品を作る際、必ず入れている物があるんだよ。自分が作った証となる……この刻印をな!」

 

「「ッ?!!」」

 

クロがジオラマの台座をひっくり返すと、その右端部分に夕焼けのようなマークが入った刻印が刻まれていた。もしクロが言っていた事が本当なら、あの娘はやっぱりプロモデラーだったのか?

 

「ぐ、ぐぐぐ……コヨミぃッ!!お前なんであんな刻印入れやがったんだぁッ? !」ガバァッ!

 

「ウグッ……?!ご、ごめんなさい鈴木君!私、何時もの癖でつい……」

 

全てがバレた瞬間、ナルシスト野郎が女の子の胸ぐらを掴み持ち上げる。女の子も苦しそうにしながらもナルシスト野郎に謝ってく。てか鈴木って……あぁ、ベルツリーってそういう事なのか。するとそれを見たちょこが急に何かが引っ掛かるのか首を傾げていた。どうしたんだちょこ?

 

「……あら?鈴木ってもしかして………あ、やっぱり!あなた鈴木太郎じゃない!」

 

「ッ?!ど、どうして僕の事を……」ダラダラダラダラ……

 

え?鈴木太郎?なんだその地味な名前?逆に今時いるのかそんな古典的な名前?てかちょこ、お前こいつの事知ってるのか?

 

「ほら、覚えてない?中学の頃、あなたちょこに告白してきたじゃない?」

 

「へ……………………ッ?!!も、もしかして……癒月、さん?」

 

「あ、やっぱり鈴木君だったんだ。懐かしいわねぇ、中学時代にちょこに告白してくれて、でも好みじゃないから断ったら茂みで隠れて見てた他の男子に言いふらされて翌日には学校中に広められちゃって、一時期不登校になってたわよね?」

 

え?中学時代の同級生だったのかこいつとちょこって?にしてもフラれた事を言いふらされるなんて、そりゃ心折れるわな。

 

「あら?でも確か大企業の御曹司って言ってたけど、貴方の実家って精肉店でしょ?ほら、街の商店街にある庶民の味方、鈴木精肉店で有名じゃない?」

 

「あ、いや、それは……?!」

 

精肉店?もしかしてこの間ちょこと買い物した時に寄ったあの店か?店長さん気前良くてコロッケサービスしてくれたけど……え?あの人柄が良い人からこんな奴生まれたの?

 

「ちょ、ちょっとどういう事……?」

 

「ベルツリー様って年間数十億もの利益を出す大企業の御曹司じゃなかったの……?」

 

「え?それじゃあ何?こいつ、今までアタシ達の事騙してたって事?!」

 

「ちょっと!一体どういう事なのか説明しなさいよ!」

 

周りにいた取り巻き達も鈴木の正体を知って怒りの眼差しを向けていく。鈴木も居心地が悪いのか黙り状態になっているが、漸く口を開き説明しだす。

 

「あ、あの、その……だ、大企業の御曹司って言えば僕と付き合ってくれる女の子が集まってくれるかな~なんて、少し見栄を張ったというかなんというか……」

 

「はあッ?!何処が少しよ!?冗談じゃない!こんな奴と付き合ってられないわ!婚約は破棄させてもらうから!それと慰謝料も払ってもらうかね!」

 

「よくも私達を騙してくれたわね!このお礼はたっぷりするから覚悟しなさい!」

 

「そ、そそそそんなぁッ?!ま、待ってくれ皆!?皆がいないと僕は、僕はあぁぁーーーーッ!!」

 

鈴木の正体を知った取り巻き達はこれまでの態度を一変させ鈴木の下から一人、また一人と去っていく。そして遂には黄泉子以外は取り巻きは誰もいなくなった。

 

「………お前等のせいだ。お前等が俺の正体ばらさなかったり、刻印なんか刻まなかったり、俺の表彰式を邪魔さえしなければ!俺の人生は順風満帆になる筈だったんだぁッ!!それを、お前等のせいでえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

「え……?」

 

全てを失った瞬間、鈴木は怒り狂って黄泉子に向かって拳を振り下ろそうとした。けど……

 

―パシィッ!―

 

「な……ッ?!」

 

「……流石にこれ以上は黙って見てらんねぇわ」グググッ……

 

黄泉子に当たる直前で俺は鈴木の拳を受け止め抜け出せないように強く握りしめる。鈴木も力を込めて抜け出そうとするが、その程度の力で抜け出せるワケがない。

 

「正直、俺には結局お前が何をしたかったのか分からん。けどな、自分の思い通りにならないからって周りの人達に迷惑をかけるような事をするお前を許してはおけない」

 

「う、うるさい!お前だってこいつ等引っ掛ける為に見栄張ったりしてんだろ?!だったら俺とお前はおんなじだろうが!俺は何も悪くねぇッ!!」

 

「……俺はお前とは何もかも違う。俺はあいつ等の事は大切だし、心の底から愛してる。だからこそ俺はあいつ等の事をずっと支えていきたいと願ってる。見栄を張る事でしか人を寄せ付けられないお前とは、一緒にされたくない!」

 

―ブゥンッ……ドッシイィィンッ!!―

 

「うぐおぉッ?!」

 

俺は鈴木の腕を掴み、そのまま一本背負いをかまし鈴木を地面に叩きつけた。痛みからか鈴木は気絶してしまい、そのまま駆けつけた警備員達によって身柄を確保されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから結局鈴木のチームは失格となり、最優秀作品は俺達の『ビルドライバーズ』に決定した。とはいえあれだけの騒ぎを起こしてしまった為、表彰式は景品をもらうだけの簡単なものとなってしまったが。さて、後は彼女だけだが……

 

「あ、あの……こ、この度は本当に申し訳ありませんでした!」

 

「いやまあ、それは別に良いんだが……」

 

あの後黄昏黄泉子……本名伊藤コヨミが俺達の処にやって来て何度も頭を下げてきた。でも、なんでまたあんな事したんだろうか?それを聞くとコヨミはとてもつらそうに語り始める。

 

「……実は私、鈴木君とは幼馴染みだったんです。小さい時から鈴木君とは何時も一緒に遊んでいて、でも中学に入って間もなくの頃に鈴木君が癒月さんに一目惚れしてしまってそのまま告白したは良いんですが……見事にフラれてしまい、しかもそれを学校中に言いふらされてしまって、そのせいで鈴木君は不登校になってしまったんです」

 

成る程、それは確かに辛いな……でもそれと今回の事と何が関係するんだ?

 

「私は子供の頃から好きだったプラモを作り続けていく内にプロモデラーになって幾つかの雑誌からお仕事をもらえるようになって、大変だったけど楽しい日々を過ごせてました。ところがある日、鈴木君から連絡があってこう言われたんです。『俺のハーレム計画の手伝いをしろ』って……」

 

はあ?ハーレム計画ってなんだそりゃ?

 

「久しぶりに会った鈴木君はまるで別人でした……金髪にオッドアイのカラコンを入れて、まるでホステスみたいな格好をするようになって……そして、金遣いが荒くなってしまったんです。両親のクレジットカードを無断で使用したり、久しぶりに会った私にまでお金をせびるようになって……そしてまるで自分が金持ちになったように見せかけていろんな女性を引っ掛けては婚約するようになって……今回のコンテストだって、自分の新しい嫁候補を探す為だって言って私にガンプラを作るように言ってきて……」

 

「それで素直に作ってしまったと?あんたバカじゃねぇのか?」

 

「フフ、確かにバカっぽいですよね……今まで一緒にいた鈴木君から初めて頼られて、利用されているだけだって分かってても嬉しくなってしまって……私、本当にバカですよね……グスッ」

 

……この娘、鈴木の事が好きだったんだな?けど好きな人から頼まれたら断りづらいのは分かるが、流石にそれは許してはいけないだろ?

 

「そう思うなら今度からはあいつがバカな事しないようにしっかり支えてやりな。ああいう奴はちゃんと叱ってくれる人がいないとすぐに調子に乗るからな。あいつが戻ってきたらガツンと一発叱ってやれ」

 

「叱る……そう、ですね。そんな事、考えた事もなかったです。分かりました、彼が戻ってきたらこれまで我慢していた事も含めてガツンと言ってやります!そしてまた、昔の鈴木君に戻ってもらえるように頑張ります!」

 

良かった、どうやら立ち直ってくれたようだな。これで漸く一安心ってとこか。

 

「皆さん、本日は沢山のご迷惑をおかけして申し訳ありません、そして有り難うございました!お陰で私、やるべき事が見つかった気がします!」

 

「そっか、なら今度は間違えないようにな」

 

「はい!それでは皆さん、今日はありがとうございました♪」

 

そう言うとコヨミは笑顔で去っていった。あの娘、普通に可愛かったな……しまった、スカウトすべきだったか?

 

「むぅ、なんかレイくんが何時もより優しい気がする……」

 

「ヒメも玲二くんにもっと優しくしてほしいよぉ~!」

 

何でだよ?何時も優しくしてるだろうが。それ以上甘やかすとお前等すぐに調子に乗るからダメだ。

 

こうして俺達の初のコンテストは波乱万丈の中なんとか終える事が出来た。余談だがあの後鈴木は両親に叱られ勘当され、取り巻き達からは結婚詐欺で訴えられコヨミの処に逃げようとしたが、コヨミはしっかり罪を償ってときっぱり断った事により鈴木は刑務所行きとなったそうな。




はい、という事で初のコンテストは無事?終了しました♪
因みに今回出たオリキャラである鈴木太郎と伊藤コヨミは単発キャラですので今後名前ぐらいは出るかもですが再登場とかはありません。

次回はあの秘密結社の登場の予定です、まったり書いていくので気長に待って頂けたなら幸いです。ではまた!
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