………クソッ、完全に油断した。まさかこんな奴等に捕まるとはな……
「うぅ、パパァ……」ギュッ…
「お兄ちゃん……」ギュッ…
「おうおう、随分と仲の良いとこ見せつけてくれるじゃねぇかあぁん?」
俺は今、とあるヤクザ紛いの連中に連れ去られ捕まってしまった。なんでもこいつ等、以前俺に突っかかってきたヤンキー達のボスらしく、自分達の手下がやられた仕返しに俺を拉致したらしい。
しかし、俺一人だけならこいつ等程度なんとか出来るが、捕まった際に一緒にいたラプとクロヱも捕まってしまった。流石にこの二人を庇いながら戦うのは無理がある。此処は様子を見て、隙を見せた瞬間二人を連れて逃げるしかない……
「おう貴様、調べたところあの有名なホロライブで働く佐々木って奴だろ?なんでも女を侍らせて楽しんでいるクズだとか?」
「人の事拉致してクズ呼ばわりとはな。逆恨みでこんな事するお前等の方がよっぽどクズじゃねぇか?」
「んだとテメェッ?!」
俺の挑発に下っぱの一人が拳銃を取り出し俺達に銃口を向ける。しまった、二人がいるのについ挑発してしまった!?
「おい落ち着け。なぁに、俺達は別にお前等を殺すつもりはないさ。ただお前に俺の部下を潰した落とし前をつけてもらうだけだ」
「落とし前……?」
「そうだ、今からお前に二つの選択肢を与える。一つはお前の会社から一億円を俺達に献上するか、もう一つは其処にいる二人を俺達の慰め物にするかだ」ニヤリッ
「「ヒィッ……!?」」
こいつッ!?い、いや落ち着け!此処で下手に刺激したらこいつ等の思うつぼだ。だったら少しでも時間稼ぎをして二人だけでも逃げれる状況を作らないと!
「……仮に俺が頼んで会社から金が出たとしても、お前等が俺達を解放する保証は何処にあるんだ?」
「んだとゴルァ!」チャキッ!
「止めろ。ふん、確かにその通りだな。だが安心しろ、金さえ払えばすぐにお前等を解放してやるさ」
………よく言うな、解放する気なんかさらさらないって顔してやがるクセに。しかし、それなら幾分かやりようはある。金を運ばせる役にノエルやアキとかが来てくれれば二人がかりでやればラプ達を守りながらこいつ等を倒せる。二人には少し怖い思いをさせてしまうかもしれないが、それしかない。
「……分かった、会社に連絡して金を運ばせる。連絡するから少し待って「待ちな、連絡はこちらがしてやる。ホロライブの所属するアイドル以外の社員でなおかつ純粋な人間一人だけ呼ばせてもらおうか」ッ!?」
こいつ、俺の考えを読んでいたのか?!クソッ、スタッフの中でまともに戦えるのは俺しかいない。これだと金を届けに来た人を含めて三人を守りながら逃げなきゃいけなくなっちまう!そんな俺の気も知らず組長はホロライブへと電話をかけてしまった。
「ああもしもし?ホロライブ事務所でっか?おたくの社長さんに伝えてもらいやせんか?おたくの社員の佐々木とそちらが抱えているアイドル二人を預かってますんで、引き取り料一億円持って極翁組まで来てもらいましょか?ただし、アイドル以外の社員一人で来てもらいましょか。もし約束を破ったりなんかしたら、おたくの社員の額に風穴が空く事になるかもしれないんで……いやいや、そちらがちゃんと指定した人に引き取りに来られれば良いだけですので、ではよろしゅう……」
クッ……このままだと被害が大きくなりかねない。最悪俺の命を捨ててもこの二人を守らねぇと!
―数分後、ホロライブ事務所―
「……そうか、相手はそう言ってきたんだな?」
「はい、ですから奴等の本拠地に今すぐ乗り込み佐々木さん達を「それはいかん!」ッ!?何故ですか社長!?」
「そうだよYAGOO!レイくんやラプちゃん達がどうなっても良いって言うんですか?!」
「そういうワケではない!仮に君達全員が押し寄せてみろ、奴等は間違いなく佐々木君に銃を向けるかもしれん!君達は自分の最愛の夫を失っても良いのか?!」
「ッ!?そ、それはそうですけど……」
極翁組からの脅迫電話を受け、一同は頭を抱えていた。どうすれば玲二とラプ達を無事に救う事が出来るのか……そう考えていたその時だった。
―バアァンッ!!―
「わしが行こうではないか!」
「え……あ、貴方は!?」
「「し、支部長?!」」
突如社長室の扉が蹴破られ、支部長と呼ばれた一人の男が入って来た。その瞬間、社長もAちゃんもフブキも何やら身体を震わせ怯え始めた。
「し、支部長大丈夫ですよ!?このような事、支部長が出る幕もないですって!」
「そ、そうですよ!だからお願いします支部長!貴方が行くのだけはどうぞご勘弁をぉ~!」
Aちゃんとフブキは必死になって支部長を止めようとするも、支部長はただニヤリと笑って社長室を出ていった。
「た、大変な事になってしまった……Aちゃん、済まないが桐生会に連絡してくれ、支部長を止めないといかん!」
「は、はい!」
Aちゃんは慌てて桐生会に応援を呼び、フブキはアワアワと慌てふためくしか出来なかった。果たして一体何が起こるのか……?
―戻って極翁組―
「……おうそうですかい。そんならお待ちしてます、ほな」
組長が電話を切ると満足しているのか俺達を見てニヤニヤし始めた。もしかして社長、条件を呑んだのか……クソッ、本当に不甲斐ない……
「パパ……」
「お兄ちゃん……」
「大丈夫だ、お前等は俺が守るからな」
「おーおー、美しい家族愛ですなぁ。まあ心配すんな、今にお前達の“支部長”が一億円持ってこっちに来てくれるってよ。良かったじゃねぇか仲間思いの会社でよぉ♪」
…………は?支部長?今こいつ、支部長って言わなかったか?俺の聞き間違いじゃねぇよな?だ、だとしたらまずい!?
「な、なあ頼む!俺達を今すぐ此処から解放してくれ!このままだと俺等まで巻き込まれちまう!」
「あぁん?なんだぁ急に命乞いか?やっぱ強がってても本当は怖かったようだなぁ?」
「ちげぇよ!正直お前等なんか怖くねぇんだよ!それよりも支部長が……支部長が来てしまったら……!!」
「「?」」
何時もと違いかなり動揺している玲二を見て首を傾げる二人。すると……
―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………―
「ッ?!な、なんだ地震か?!」
「や、やばい、もう来た!?」
突然極翁組のアジトが揺れ始めた。音と揺れは徐々に激しくなっていってる。そして……
―ドゴオォォォォォォォンッ!!―
極翁組のアジトに突如戦車が突っ込んで来て組員を何人か引いていった。俺は慌てて二人を連れて壁際へ移り難を逃れた。
「な、なんなのだこれは?!」
「お兄ちゃん、これって一体……?!」
「き、来てしまった……ホロライブ、いや世界で最も強い男が!!」
極翁組のアジトを突っ切ると戦車が停まり、乗車口が開き鎧を着た一人の男が現れた。そう、あの人こそ……
「わしが男塾塾長兼ホロライブ支部長!江田島平八であーるッ!!」
我等がホロライブ支部長『江田島平八』である。もうこの人が出てきたらいろいろとめんどくさくなるから普段は男塾の方に行ってもらってるのになんで今日に限ってこっちに来てしまったんだよ?!
「な、なんだ貴様ぁッ?!いきなり戦車で突っ込んで来るとはなんて奴だぁ!?」
「ふははははははははぁッ!!我が塾生とその家族を傷つけた輩にお礼参りに来たまでじゃわい!!」
「いや、俺あんたのとこの塾生じゃねぇよ!?」
「ぱ、パパ!?な、なんなのだあの人は?!」
「あ、あの人がホロライブの支部長なんですか?!」
あ、そういやholoXのメンバーは支部長見た事ないのか?支部長の『江田島平八』さんは男塾という全国で問題等を起こした者達が集まる私塾を経営している塾長なのだが、最近経営難という事で何故かホロライブでも働き始め、いつの間にか支部長の座を得ていた人だ。はっきり言って、あの人が来たら早く逃げないと変な事に巻き込まれてしまうからさっさと逃げ出したかったのだが、それも最早無理なようだ。
「フハハハハハハハハハハハッ!!」
―ギュルルルルルルルルルルルルゥッ!!―
「ッ?!ま、また突っ込んで来るぞぉッ!?」
「うぉッ?!ラプ、クロヱ!こっちに逃げろ!」
「「う、うん!」」
支部長……いや塾長が再び戦車に乗り込みUターンをし再び極翁組のアジトに突っ込んでいく。お陰でアジト内部はすっかり崩壊してしまってる。しかもそんな大事にしてたら……
―ピピィーーーーッ!!―
「止まれ止まれぇッ!き、貴様ぁッ!一体何をしとるんだぁッ?!」
ほら警察がやって来てしまったよ。そりゃこんな大事起こせば警察も動くわ。
「ガハハハハッ!心配は無用!これは映画、ホロライブ監修の新作映画のロケーションじゃあッ!!」
「ほ、ホロライブの新作映画の……?!」
いやいや塾長、それ無理があるって!?幾ら何でもそんなんで騙されるような警官がいるわけ……
―ピピィーーーーッ!!―
「はーい、ロケの邪魔になるから下がって下がって!」
「はい危ないですから下がって下さいねー!」
って騙されるんかい?!それで良いのか日本の警察官!?既に交通整備とかも始めてるし?!
「んぐぐぅ、アホかあの警察官!?くそぅッ!お前等、あいつ等ぶっ殺せぇッ!!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーッ!!!』
ってやば!?こっちに押し寄せて来た!仕方ねぇ、取り敢えずラプ達には既に向こうに逃げてもらってるからやるか!
「死ねやゴルァ!」
「そんなへなちょこパンチで死ぬかってーのッ!!」
俺は相手の攻撃を避けつつカウンター攻撃を繰り出していく。そして塾長も
「バカモンがぁッ!!貴様等のようなチンピラ風情に遅れをとる江田島平八と思うかぁッ!!!」
―ズガガガガガガガガガガガガァッ!!―
迫り来るヤクザ達を拳や蹴り、そして持ってた薙刀を駆使して返り討ちにしている。まさに一騎当千という言葉が相応しいな。
「アクションシーンも凄い迫力ですね!」
「あの青年とじいさんさぞや名の知れた俳優に違いない!」
警官が俺達の事アクションスターか何かと勘違いしてるけど、これ大丈夫か?バレた時絶対大変だと思うが……
「うぎぎぎぎぃ……何をちんたらやってるんだ!?さっさとそいつ等殺せ―ドゴォッ!―ぶへらぁッ!?」
「Hey!お前等、ヨクモ兄貴と元事務所の後輩ドモを可愛がっテくれたナ!この落とし前つけさせテもらうゾ!お前等、ヤッチマイナ!!」
『応ッ!!』
あ、今度はココが桐生会連れてやって来たな。もうこうなったら相手に勝ち目はないか。
「おぉ凄い!あの娘、元ホロライブの桐生ココですよ!?」
「卒業生も友情出演とは、今回の映画はかなり気合いが入ってるようだな……!」
ココが来た事によって警官を含め野次馬達もかなり盛り上がってしまってる。これ後々大変だろうなぁ……もういいや、知らね。俺はもう考えるのを止めてとにかく押し寄せてくるヤクザ達を返り討ちにする事にした。
「グハハハハハハハハハハハハァッ!!」
あ、塾長が戦車に乗って極翁組の組長達を追いかけ回して……あ、踏まれた。けど生きてるっぽいから大丈夫か?そしてそのまま戦車は極翁組のアジトに突っ込み普通の戦車じゃ出来ないような進み方をしながら建物を壊していく。
「おぉ凄い!この大セットを、惜しげもなく破壊するとは……!」
あーあ、もうどうにでもなれ。
「パパァ!」
「お兄ちゃん!」
粗方ヤクザを倒すとラプとクロヱが俺の元にやって来て抱きついてきた。取り敢えず、こいつ等が無事で本当に良かった。
「ごめんな二人とも、怖い思いさせちまって」ナデナデ
「ううん!戦ってるパパ、すっごくかっこよかったぞ!流石吾輩の自慢のパパだな♪」
「さ、沙花叉もお兄ちゃんが無事なら良かった///」
そっか、それなら良かった…………あ、あっちももう終わったみたいだな、塾長がやりきった感じで一服している。
「はいカーット!お疲れ様です、ではラストシーン参りましょう!」
「うむッ」
あ、いつの間にかAちゃん達も来て映画スタッフに変装して周りを誤魔化してくれてる。さてと……
「ラプ、クロヱ……逃げるぞ」
「「はーい♪」」
そして俺達は映画スタッフに扮したAちゃんに誘導され逃げるように撤収していった。これ絶対今晩後処理確定だよな…………はぁ……
「この映画絶対ヒットしますよ!俺、前売り買おう♪」
「サイン貰えば良かったな……」
警官達も涙を流しながら感動していたが、こっちもバレたら大変だよな普通に………一体どうするつもりだろうなうちの事務所?
―そして半年後……―
『ホロライブ監修特別映画
魁!火炉雷舞 大ヒット上映中!主演:佐々木 玲二、江田島平八 友情出演:桐生ココ』
「って本当にやるんかいッ?!」
その後まさかの本当に映画化、しかもそこそこヒットしたらしい。それで良いのかホロライブ?!
そんな俺の心の叫びも虚しく、今日も映画は上映されるのであった。
取り敢えずやりきったので次回とその次はアンケートで多かったラプとクロヱの話になります。少しの間、お待ちくださいませ。