ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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最近HGのジェミナスを新旧一緒に買って組み立てたんですが、やはりガンプラの進化ってヤバいくらいに進んでいるんだなって感じてしまいました。まだ新HGで出てないのもあるので残りのG-UNITの機体も早く出てほしいです(^^)

今回は貴方と出会って第8弾!今回も長くなってしまいましたが最後まで見て頂ければ有難いです、ではどうぞ!


第140話『貴方と出会って8』

ー月ノ美兎ー

 

え、玲二さんとの出会い?誰だが知らんけどいきなり来て何を聞いてきてるんですか?

 

……ふーん、こよりさんに頼まれて皆さんに聞いているんですか?まぁ別に隠す程ではないので良いですが……まぁ思えばあの人がいなかったら今の私も、そしてにじさんじもなかったかもしれませんからね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「……はぁ、また不合格か……これで何回目なんだろ……?」

 

私は手元にあるもう何度目か分からない不合格通知を見て深い溜息を吐く。それはアイドルオーディションの物であり、私はかれこれ難度も受けてはいるものの全てが上手くいかずにオーディションに受けた回数と同じ数の不合格通知が届いてしまう。

 

「……やっぱり私のやりたい事ではアイドルって難しいんでしょうか……?」

 

私はアイドルを目指していましたが、それは今までのアイドルとは違うものだった。かつて突如動画投稿サイトに現れた伝説とも言える新生アイドル、キズナアイ。彼女は今までのアイドルとは違って動画投稿サイトでの活動を中心に歌や雑談、そしてゲーム等でファンと一緒に盛り上げていくというそのスタイルに私は心を奪われていました。

 

だから私もキズナアイさんのような新しいスタイルのアイドルになりたい!そう思って何度もオーディションを受けてみました。ですが世間ではまだキズナアイさんのようなアイドルは浸透しておらず、私のなりたいアイドル像を伝えると

 

「それアイドルじゃなくて唯の配信者でしょ?アイドルのやる事じゃないじゃん」

 

なんて言われる始末……その言葉を聞く度に私の夢を、そして今活躍しているキズナアイさんを否定されたようで胸が苦しくなっていきました。

 

「……やっぱり、キズナアイさんみたいなアイドルはそんな上手くいかないのかな……?」

 

受けては落ち、そしてまた受けてはまた落ちる。それを繰り返す内に自分の目指すものは不可能な事じゃないのか?そんなふうに感じてしまう。

 

「……最後に一つ、此処を受けても駄目だったら諦めよう。えっと……ホロライブ?聞いた事もない事務所だけど大丈夫かな?」

 

なんか説明を見る限りキズナアイさんのような配信をメインに活動するアイドルグループみたいだけど……でも此処で駄目だったらもう他にはないから受けるだけ受けてみよう。事務所も此処から近いみたいだし、直接行ってみようかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、定員オーバー……?」

 

「あぁ、ついさっき今回募集した定員の六名が全部埋まったから申し訳ないけど今回の募集は締め切らせてもらったんだ」

 

そ、そんな……!?折角見つけた理想の事務所なのに一歩遅かったなんて……?!

 

「あ、あの!もし次のオーディションがあるとしたら何時とか分かりますか?!」

 

「次の?うーん……社長も初めての試みだって言ってたから取り敢えずは現状のメンバーだけでやっていくつもりだろうから次回が何時になるかは完全に未定だな。結果次第だがもしかしたらこのメンバーで終わる可能性だってあるし」

 

「そ、そんなぁ……」

 

でも言われてみれば確かに今までにないアイドルとしての活動を方針としている以上無闇にメンバーを増やすなんて出来ないのは当たり前か……やっぱり私にはアイさんのようなアイドルは出来ないって事なんですね……

 

「……分かりました、急に来たのにわざわざ対応して頂き有難うございます。失礼致しました……」

 

もう此処にいても仕方ない。此処で駄目だった以上私は潔く諦めてちゃんと元の生活に戻らないと……そう思って事務所を後にしようと思ってました。けど……

 

「…………なぁ、君はどうしてこの事務所のオーディションを受けようと思ったんだ?正直この事務所の方針はアイドルというよりも配信者に近いのに、なんで君はこの事務所を選んだんだ?」

 

「ッ!?…………別に、この事務所が初めてではないですよ。他の事務所のオーディションも受けましたが、何処も駄目だったら最後に此処を選んだだけです……でも」

 

「でも?」

 

「…………私の憧れたアイドルの、キズナアイさんのやっているのと同じような活動方針を目指しているこの事務所なら、私もアイさんのようなアイドルになれるんじゃないかなって、そう思ってたんです」

 

……でももうそれもどうでも良くなってしまいましたけど。もうこんな話をしても意味ないからさっさと帰らないと……

 

「……なぁ、もしこの後君に時間があるならちょっと付き合ってもらっても良いかな?」

 

「?……なんですか、ナンパなら受けるつもりはありませんが?」

 

「いやそんなつもりじゃないって。君がキズナアイのようなアイドルを目指しているなら、俺にちょっと心当たりがあるから。すぐ準備するからちょっと待っててくれないか?」

 

「あちょっと……!?」

 

……なんなんですかあの人?いきなり付き合ってほしいだなんて、私を一体どうするつもりなんですか?まさか邪な店に売るとかしませんよね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お、着いた着いた。此処だ」

 

「……なんですか此処は?」

 

……結局ホロライブのスタッフさんに連れられて来たんですが、其処は町外れにある小さなビルでした。なんでこんな所に?まさか本当に○Vとかの事務所じゃないですよね……?

 

「……あ、社長さん。今到着したんでそのまま入って大丈夫ですか?あ、はい分かりました……よし、大丈夫みたいだから早速入るとするか」

 

「あ、あの、本当に此処ってなんなんですか?まさか私にいかがわしい事させるつもりじゃないですよね……?」

 

「まさか、寧ろ君の夢を叶える為の手助けさ」

 

夢を叶える?それって一体……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ佐々木君久しぶりだね。今日はどういった要件かな?」

 

「はい、社長さん以前お話していた新しいアイドル事業についてなんですが、まだアイドルの募集とかは……?」

 

「あぁそれね?実は漸く事業開始の準備が整ったからこれからオーディションを始めようと思ってたんだけど、それがどうかしたのかな?」

 

「そうでしたか!それならそのアイドル第一号としてこの娘とかどうでしょうか?」

 

「…………え?」

 

……え?え?な、何が起こってるんですか?ホロライブの事務所を訪れたら何時の間にか別の事務所に売り込みされてるんですけど?ど、どういう状況ですかこれ?!

 

「この娘?へぇ、ホロライブの新人スタッフがわざわざ自分の所じゃなくて僕の所に連れてくるなんてね?」

 

「えぇ、実はうちの事務所は既に一期生のオーディションが終わってしまったんですが、そのタイミングでこの娘が来たんですよ。けどこの娘から感じる熱意と輝きを見たらこのまま返すのは勿体ないと思いまして。それで社長さんが新しいアイドル事業を展開しようとしているのを思い出しまして」

 

ッ!?こ、この人、私の事をそんなふうに評価してくれてたんですか……!?

 

「成る程ね……君、名前は?」

 

「は、ひゃい!?つ、月ノ美兎といいます!あの、その、わ、私キズナアイさんのようなアイドルに憧れてこの業界に入りたいと思いました!よ、よよよろしくお願いしますッ!」

 

「キズナアイさんか……うん!それは僕等の目指す新しいアイドルの理想像だ!そんなアイさんのようなアイドルを目指す君ならうちできっと、いや絶対にトップアイドルになってくれそうだ!けどアイドルになる以上歌やダンスなんかの厳しいレッスンもあるけど、それでもやっていく覚悟はあるかい?」

 

「はい!それは覚悟の上です!」

 

「…………うん、それなら僕等も君を受け入れるとしよう。ようこそ美兎さん!僕等の……えっと……」

 

?どうしたんだろう?社長さんが何か言おうとしてるけど言葉に詰まってしまってるみたいですが……?

 

「……社長さん、もしかして事務所の名前まだ決めてないんですか?」

 

「あ、アハハ……はい、実はまだです。新事業を立ち上げるまでは良かったんですが肝心の名前は後回しにしてしまいまして……佐々木君、何か良い案とかありますかね?」

 

「いやいきなり良い案って言われても…………」

 

そうですよね、いきなりそんな事を言われてもそんなすぐには……あれ?彼処にあるのって……

 

「あの、彼処にある虹の絵は一体……?」

 

「え?あぁ、あれは僕が昔海外に旅行に行った時に思わず買っちゃった絵なんだ。ほら、虹の絵ってなんだか心が晴れやかになるでしょ♪」

 

成る程、そういう事だったんですね。それにしても虹ですか……

 

「…………“にじさんじ”」

 

「え……?」

 

「社長さん、事務所の名前なんですがにじさんじっていうのはどうでしょうか?」

 

「にじさんじ?一体どういう意味ですか?」

 

「あの絵を見てピンと思いついたんです。空に輝く虹のように、いやその虹を上回るような輝きを目指していく。2を超えて3へ、だからにじさんじって思ったんですが……どうですかね?」

 

にじさんじ……なんだか凄くしっくりくる名前ですね。輝く虹を越えたその先に、憧れたキズナアイさんを超える勢いでその先を目指す。それってなんだか凄く素敵だと思いました。

 

「にじさんじか……うん、凄く良い名前だね♪では改めて月ノ美兎さん、ようこそにじさんじへ!一緒にこの事務所を大きくしていきましょう!」

 

「はい!よろしくお願いしますッ!」

 

こうして私はホロライブのスタッフさんによって新しく設立したアイドル事務所、にじさんじに所属する事になりました。後に楓ちゃんや凛ちゃんも入り本格的に新生アイドルへの道を進める事が出来ました。

 

 

 

それから暫くの時が経ち……

 

 

 

「あの、佐々木さん。あの時は本当に有難うございました」

 

「ん?あぁあれか、別に気にしなくて良いって。単純に俺の自己満足だったんだから」

 

偶然街中で再会したホロライブのスタッフさん、佐々木さんと一緒にカフェでお茶をしてました。あれから私達はお互いに忙しくなってしまったのでこうして街中で再会出来たのはラッキーでした。

 

「…………佐々木さん、少しお聞きしたいんですが、どうしてあの時私をにじさんじに紹介してくれたんですか?正直彼処で佐々木さんがあんな事をする筋合いなんてなかったのに……?」

 

「あー……確かにそうかもな?けど月ノは本気でアイドルになりたいと思って俺達ホロライブに入ろうとしたんだろ?でもあの時タイミングが悪くてうちでは入れなかったし、かと言って新人スタッフの俺の意見じゃ月ノを途中加入させる事は出来なかったからな」

 

「そ、そうだったんですね?でも、それならそのまま帰せば良かったのにどうして……?」

 

「…………月ノが引き返そうとした時、俺は君にこう質問したよな?君はどうしてうちの事務所に入ろうと思ったのかって。その時に単純に有名になりたいとかちやほやされたいとかなら確かにそのまま帰してたと思う。けど月ノは違った。本気でキズナアイに憧れ、そして同じようなアイドルを目指そうとしていた。そしてあの時若干諦めかけてたけど、その目の奥に宿る輝きは失われてなかった。だから俺は君に夢を諦めてほしくないから社長さんにわざわざお願いしたんだよ」

 

…………この人、あの時の私を見てそんなふうに感じてたんだ。確かにあの時の私はアイドルになる事を諦めかけてたけど、本当は諦めきれなかった。未練がましいと言われるかもしれないけど、それでも私はアイドルになる夢を捨てきれなかったんです。あの時佐々木さんが私を連れ出してくれなければ、この先きっと後悔したまま生きてく事になってたと思います。

 

「……本当にお節介な人ですね、佐々木さんって」

 

「まぁそうかもな?けど……夢を諦めそうになってる奴を見捨てるなんて俺が絶対に後悔するからな。それに、月ノみたいな美人は暗い顔より笑顔の方が似合うだろ♪」

 

「ッ!?//////」

 

え……!?な、何今の?!佐々木さんの笑顔を見た瞬間に胸の鼓動が昂ってる……!?それに佐々木さん、私の事美人って……!?//////

 

「?どうしたんだ月ノ?」

 

「な、なんでもありませんッ!そそ、それでは私レッスンがあるのでこの辺で失礼しますッ!///」

 

「?」

 

あまりの恥ずかしさに私はコーヒー代を置いて急いで店を飛び出していきました。さ、佐々木さんが私の事を美人って……あぁーもう恥ずかしくてレッスンに集中出来ないよおぉぉぉぉーーーッ!!?//////

 

 

これが私と玲二さんとの出会い、そして私が玲二さんの事を意識し始めた切っ掛けですね。あの時玲二さんが私を社長に紹介してくれなかったら、もしかしたらにじさんじも出来なかったかもしれません。だから玲二さんは私にとって初恋の相手であり、かけがえのない恩人でもあります。

 

なので玲二さん、これから先何があっても、私は絶対に貴方と一緒に歩んでいきます。私を本気にさせた事、後悔しないでくださいね♪

 

 

 

ー月ノ美兎編 完ー

 

 

 

 

 

 

 

 

ー夜空メルー

 

玲二君の事を好きになった切っ掛け?えっと……そんなの聞いてどうするつもり?そもそも貴方一体誰なの?

 

え?こよりちゃんのとこの助手くん?こよりちゃんの命令で皆に聞いて回ってるって?うーん……それならまぁ変な事に使わなきゃ話しても良いよ。あれはホロライブに入ってすぐの事だね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年前ー

 

「ハァ、ハァ……あぁ〜疲れたぁ〜!」

 

新しく設立したアイドル事務所、ホロライブ。その1期生のオーディションにメルは見事合格して新生アイドルの第一歩を踏み出した!のは良いけど……ハァーーー!レッスン厳し過ぎるよおぉぉぉぉッ!?

 

「はい、それではメルさんは本日のレッスンは全て終了しましたのでこのまま帰宅して構いませんよ」

 

「わ、分かりましたぁ〜……」

 

今日のレッスンが全て終わって漸く帰る事が出来る。今日はいつも以上に頑張っちゃったし、今日は帰りにクレープ買ってこうかな〜♪

 

「あ、メルさん良かったらこれ飲みますか?知り合いから頂いた新鮮な血液パックなんですけど♪」

 

「え?……うぇ、え、遠慮します…………」

 

「え〜?美味しいんですけどね〜?」

 

そう言いながらトレーナーさんはスポドリみたいな感じで血液が入ったパックを美味しそうに飲んでいる。トレーナーさんもメルと同じ吸血鬼だから血を好んで飲んでるけど……メルにとっては血は別に好物でもないし、何なら苦手まである。なんで皆普通に血なんて飲めるんだろうなぁ~?

 

…………メルは魔界にある吸血鬼の里、其処にある夜空の一族の娘として産まれた。夜空の一族は吸血鬼の中でも最高位の力を誇る一族でパパとママも周りが恐れる程の権力と力を持っていたの。

 

それなのにメルは……産まれながらにかなりの魔力を持っていたけど他は全然吸血鬼らしくなかった。太陽の光も全然平気だしニンニクも苦手程度、鏡にも普通に写るし水の中も全然平気で入れた。そう、メルは吸血鬼が弱点とする物は全て最初から克服していたんだ。

 

けどその代わりなのか分からないけど……メルは吸血鬼なら好物とも言える血が大の苦手だった。五歳になった時に初めて吸血をしたんだけど、その時に口の中で広がった生臭く鉄っぽい味が気持ち悪くて思わず吐いちゃったの。パパ達は最初は合わない血を飲んでしまったから吐いてしまったと思ってその後いろんな血を飲ませたんだけど、どれも気持ち悪くなるだけで全然飲めもしなかった。そして次第にメルは吸血行為自体を止めてしまった。

 

パパとママはそういう体質だと言って特に気にせずメルを大切に育ててくれたんだけど、その時使用人の一人がボソッと言った一言がメルの心に深く刺さった。

 

「……この子、本当に吸血鬼なの?」

 

その一言の所為でメルは深く傷ついてしまった。最高位の吸血鬼である夜空の一族として産まれたのに魔力が高いだけで吸血鬼らしいところが他にない。そんなふうに産まれてしまった事にメルは酷く悩んでしまった。次第にこの家にはメルの居場所がないんじゃないかって思い込むようにまでなってしまって……

 

だからメルは高校はパパ達の反対を押し切って人間界の普通の高校に通う事にしたの。それを機に一人暮らしを始めて、夜空の一族から離れて生きる事を決めたの。それから暫くして昔からひっそりと憧れていたアイドルのオーディションを受けたら合格して、今はこうしてアイドルとしての第一歩を踏み出した。少しでも夜空の一族を、吸血鬼である自分を忘れる為に……

 

「お、夜空、もうレッスンは終わったのか?」

 

「あ、お疲れ様です佐々木さん……」

 

そんな昔の事を少し思い出してたらスタッフの佐々木さんがスポドリを持ってやって来た。この人はメルが変わった吸血鬼だって聞いても特に変わりなく接してくれる数少ない人だからある程度は信用してる人だ。

 

「お疲れさん、ほらスポドリ」

 

「あ、ありがとうございます……あ、コレメルの好きなアセロラ入りだ♪」

 

「あぁ、前にアセロラジュースが好きって聞いたからな。偶々売ってたから買ってみたんだ」

 

……この人は本当にメルの事を考えてくれてるんだ。前にもメルが吸血鬼である事をイジってきた他のスタッフに向かって注意してたし、この人ならメルの事をちゃんと守ってくれるんだなって思えちゃう、けど……もし心の中では他の人みたいにメルの事を吸血鬼らしくないとか馬鹿にしてたらどうしよう?そう思うとメルはまだ完全に心を開く事は出来なかった。

 

「あ、そうだ。急で悪いんだが今度出る新しいスポドリのイメージガールとして夜空を出そうと思ってるんだ。今から先方とその商談しに行くんだが、本人もいた方が話もしやすいと思うから着いてきてもらっても良いか?」

 

「え、今から?わ、分かりました……」

 

「よし、じゃあシャワーと着替えが終わったらすぐに来てくれ。といっても商談はニ時間後だから急がなくて大丈夫だからな」

 

佐々木さんはそう言ってトレーニングルームを出ていってしまった。けどイメージガールかぁ、初めての大きな仕事だから頑張って勝ち取らないと!まずはシャワー浴びて着替えないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後……

 

「本日はお忙しい中有難うございます」

 

「いやいや、私達も新しい商品の宣伝になるから全然オッケーだよ♪」

 

あれから準備を終えて今メルは佐々木さんと一緒に新しい商品を売りたいっていう会社の専務っていう人とお話をしている。最初は緊張したけど、なんだか優しそうな雰囲気で安心したなぁ〜。

 

「それで、君がイメージガールを務めてくれる娘かい?」

 

「は、はい!夜空メルっていいます!よろしくお願いします!」

 

「お〜、これは元気の良い……ん?夜空?君ってもしかして……あの夜空の一族の娘さんかい?」

 

「え……あ、あの、メルの事知ってるんですか?」

 

「えぇ、私も昔夜空の一族には大変お世話になりましてな。噂は兼ね兼ね聞いております、とても心優しく素晴らしい娘さんだと」

 

そ、そうだったんだ……でもこう言ってくれてるけどもしかしたらこの人も心の中では吸血鬼っぽくないメルを馬鹿にしているのかも……?そんな事を考えてた時だった……

 

ーガチャッー

 

「失礼しま〜す。専務〜、これこの間の資料で〜す」

 

「……おい相良、今は大事な商談中だぞ。いきなり入ってくるな」

 

「あ、すいやせ〜ん」

 

な、なんか凄くやる気のなさそうでチャラそうな人が入って来たんだけど?もしかしてこの人、専務さんの部下なのかな?

 

「……あれ?専務、この人達誰っすか〜?」

 

「コラ相良!この方達は新商品のイメージガールを務めてくださる夜空メルさんとそのスタッフさんだ!」

 

「あ、そだったんですね〜?……ん?あれ、あんたもしかしてあの夜空の一族の夜空さんっすか〜?」

 

「は、はい、そうですけど……?」

 

こ、この人も夜空の一族を知ってるの?!メルが思ってた以上に有名なんだなぁ……?

 

「マジで!?いやぁ噂はいろいろと聞いてたけど意外と美人だったんだなぁ〜♪」

 

「う、噂ですか……?」

 

「そーそー、君って最高位の吸血鬼の一族に産まれたクセに吸血鬼らしくない出来損ないなんだって?」

 

ッ!!?こ、この人、メルがずっと気にしている事をなんの躊躇いもなく……やっぱり皆メルの事そんなふうに思ってたんだ……

 

「あ、いっけね!俺思った事つい口に出る性格なんだよね〜、ごめんごめ「おい、今すぐそのクソみたいな喋り方する口を閉じれ」……は?」

 

「え…………?」

 

目の前の男が悪びれない謝り方をしていたら佐々木さんが凄く怒った表情で男を睨んでいた。こ、こんな怒った佐々木さんの顔、初めて見た……

 

「な、なんすか〜?ちょっと思った事がつい口に出ただけで「だからその五月蝿いだけの品のない口を閉じれって言ってんのが分かんねぇのかこのドクズ野郎」ッ!?な、なんだよ?!なんでお前みたいな奴に俺がそんな事言われなきゃなんねぇんだよ?!」

 

「なんで?テメェこそさっき夜空に向かって失礼な事を言ってたじゃねぇか。思った事つい口に出た?だったらこっちも言わせてもらうよ、こっちは商談中だったのにも関わらず、いやそれ以前に上司の仕事部屋に入るのにノックもしないでしかも明らかにやる気のない喋り方するとかどういう神経したらそんなふうになるんだよ?しかもうちの大切なアイドルに向かって失礼な事を悪びれなく言うとか社会人としてなってなさすぎる。あんた、一体何処で教養を落として来たんだよ?」

 

「な、ななな……ッ!?」

 

す、凄い……佐々木さん相手に向かって一切臆する事なくズバズバと言っている……!?向こうも何も顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていてまるで大人に怒られてる子供みたいになってる。

 

「な、なんだこいつ!?専務!こんな失礼な奴等と契約する必要なんてないですよ!とっとと追い返しましょう!」

 

「……あぁ、そうだな。失礼な奴はさっさと出ていってもらわないとな」

 

あぁ!?せ、専務さんも怒ってる……!?ど、どうしよう?!折角初めての大きな仕事だったのに、これじゃあもう……

 

「ヘヘ!ほら専務も怒ってるんだからテメェ等さっさと出ていけ「何を勘違いしている?出ていくのはお前だ相良」へッ!?な、なんでですか?!なんでこんな失礼な奴等じゃなくて俺が……!?」

 

……あれ?てっきりメル達が追い出されるのかと思ったらそうじゃなくて向こうの相良って男に向かって出ていけって言ってる。どういう事なの……?

 

「……私は魔界出身でね。かつて魔物に襲われて重傷を負った私をメルさんのお父上、つまり現夜空の当主に助けて頂いたんだ。そんな命の恩人とも呼べる方の大切な愛娘であるメルさんを侮辱する事は決して許せはしないんだよ」

 

「な……!?」

 

そうだったの!?さっき夜空の一族にお世話になったって言ってたけどまさかパパがこの人の命を救ってただなんて!?

 

「そしてそれ以前にお前は社会人として、人としてやってはいけない事をしたんだ。大切な仕事を共にする相手の事を馬鹿にするような発現なんぞ言語道断!そのような事が許させるワケがなかろうッ!?」

 

「い、いやその……で、でもやっぱり吸血鬼なのに血が苦手とかってあり得な「いい加減にしやがれこの脳内クソガキ野郎ッ!」ヒィッ!?」

 

「テメェの言ってる事はメルだけじゃねぇ!吸血鬼全体を侮辱する最低な事だ!吸血鬼でも血が苦手な奴だっているし陽の光や水を克服した奴だっている!その中には生まれつきの体質もある人だっているんだ!テメェの言った事はそういう人達全てを否定する事なんだよッ!」

 

さ、佐々木さん……佐々木さんがメルの為に相手を叱りつけてくれている。メルの事を、本気で守ってくれてるんだ……

 

「相良、お前の素性はよく分かった。最近お前の仕事態度も悪いと報告を受けていたから厳重注意で済ませようかと思ったが、こんな他人を平気で見下すような輩をこの会社に置いとくワケにはいかん」

 

「へ?あ、あの、それってどういう……?」

 

「まだ分からんか?つまり貴様は解雇だ!自分の荷物を纏めてさっさとこの会社から出ていけッ!!」

 

「そ、そんなぁ!?お願いします専務、それだけはぁッ!?」

 

相良という男は必死になって土下座しながら謝ってたけど、専務さんが「謝る相手が違うだろうが!」って余計に怒ってそのまま部屋から摘み出しちゃった。最初は温厚そうな人だと思ったけど怒ると怖い人だったんだ……?

 

「……すまない夜空さん、私の部下が貴方に不快な思いをさせてしまいました。深くお詫びさせて頂きたい」

 

「い、いえ!?それよりもこちらもスタッフが失礼な事を言ってしまってごめんなさい!」

 

「……専務さん、大変申し訳ありませんでした。自分の所属アイドルがあんなふうに言われてついカッとなってしまいました」

 

「いやいや、君達は何も失礼な事はしてませんよ。寧ろあんな周りの者を不快にさせるような奴を今まで部下として置いてた私に落ち度があります」

 

専務さんは本当に申し訳なさそうにメル達に頭を下げてきて、メルももう気にしてないと言ってこの話は此処で終わる事になった。そしてその帰り道で……

 

「……佐々木さん、今日のあれは本当に反省してくださいね?いくらメルが悪く言われたからって相手にあんな事言ったらお仕事がなくなってもおかしくないんだから」

 

「……あぁ、本当にすまない」

 

メルは佐々木さんに説教をしながら事務所へと戻っていた。メルの事を守ろうと言ってくれたのは嬉しいけど、それで折角のお仕事がなくなったらダメなんだから!…………でも

 

「…………でも、ありがとう。メルの事を守ってくれて♪」

 

「ん?あぁ、スタッフとしてアイドルを守るのは当然だからな 、気にすんな」

 

「それでもメルは嬉しかったよ。本当にありがとう♪」

 

メルの事を守ろうとしてくれた佐々木さん、ちょっと格好良かったなぁ♪まるでメルの事をお守りしてくれる騎士様みたいで「おい待ちやがれッ!」……え?

 

「テメェ等ぁ……さっきはよくも俺をコケにしてくれたなぁ!?」

 

「あ、貴方はさっきの……!?」

 

いきなり怒鳴られ後ろを振り向くと其処にはさっき専務さんにクビを言われた相良という男が凄く怒った顔をしながら立っていた。しかもその手には包丁を持っていた……包丁!?

 

「……お前、さっき専務に追い出された奴だったか?そんな物騒なモン持って穏やかじゃないな?」

 

「ウルセェッ!テメェ等が俺を陥れなけりゃクビにされる事なんかなかったんだよぉ!」

 

「何を言ってるんだ?お前がいきなり夜空の事を馬鹿にするような事を言わなきゃ良かっただけだろ、完全にお前の自業自得だ」

 

「黙れぇ!そもそもこいつが悪いんだ……吸血鬼のクセに、夜空の一族のクセに何一つ吸血鬼らしくないこいつが全部悪いんだあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「え……?」

 

相良はまるで狂ったかのようにメルに向かって包丁を構えながら突進してきた。突然の事でメルは全然反応出来なくて、そして……

 

 

 

 

 

ーザシュッ!ー

 

 

 

 

 

「…………え!?」

 

「な…………!?」

 

その包丁がメルに刺さる前に佐々木さんが刃先を掴み止めてしまった。さ、佐々木さんの手から血が……!?

 

「…………おい、テメェ何夜空に向かってそんなモンぶっ刺そうとしてんだよ?」

 

「ぐ、ぐうぅぅぅ!?ぬ、抜けねぇ……?!は、離しやがれ!この吸血鬼もどきをぶっ刺さないと気がすまねぇんだよぉッ!」

 

「巫山戯んなッ!夜空は……メルは吸血鬼とか夜空の一族とかそんなの関係なく一生懸命頑張って前に進んでいるんだ!相手の欠点しか見てねぇお前に、メルは絶対に傷つけさせはしねぇッ!!」

 

ーグググッ……バキィッ!ー

 

ッ!?ウソ、包丁を折っちゃった!?その反動で相良は倒れてそのまま佐々木さんに取り押さえられていく。

 

「ぐあぁッ!?は、離せぇッ!?」

 

「誰が離すか!メル、急いで警察に通報しろ!」

 

「は、はい!」

 

佐々木さんに言われてメルは急いで警察を呼んで、その数分後に駆けつけたお巡りさんに相良はそのまま連れてかれてこの事件は終わったんだけど……

 

「佐々木さん!手は大丈夫なの?!」

 

「ん?あー、これくらいならな。多分百均で買った包丁だったから其処まで切れ味も良くなかったから全然平気だ」

 

全然平気には見えないよ?!持ってたタオルで抑えてるけど結構血が滲んで……うぇ

 

「それにしてもすまないな夜空、血が苦手なのに見せてしまって」

 

「そ、それは別に良いんだけど……それよりもごめんなさい、メルがもう少し吸血鬼らしくしていたらこんな事には……」

 

「そんなのさっきも言ったけど今時血が苦手な吸血鬼なんて結構いるし、それに吸血鬼らしくあろうがなかろうが夜空は夜空だ。一生懸命アイドルとして頑張る一人の女の子、夜空メルに変わりはない。だからもうそんな事でいちいち気にしなくても良いさ。それで周りがまたとやかく言ってくるならちゃんと俺が助けてやるから」

 

ッ!……そっか、佐々木さんはメルの事を吸血鬼とか夜空の一族とかじゃなくて、ちゃんと一人の女の子として見てくれてたんだ。そんなふうに見てくれる人、この人が初めてだな…………

 

「…………うん、ありがとう。これからもよろしくね“玲二君”♪」

 

「え?どうしたんだ夜空、急に俺の事名前で呼んだりして?」

 

「えー?だって玲二君だってさっきメルの事名前で呼んでくれたでしょ?だからメルも呼び方を佐々木さんから玲二君に変えようかな〜って♪」

 

「あ、あー、そういやさっきつい勢いで名前で呼んでしまってたな?そりゃ申し訳ないな……」

 

「ううん、あの時の玲二君格好良かったし、今日の出来事でお互いの距離が縮まった記念として名前で呼び合おうよ♪」

 

「そんなもんか?……まぁお前がそう言うなら、これからもよろしくなメル」

 

こうしてメルと佐々木さん……玲二君との距離が縮まったのと同時にメルが玲二君の事を好きになった瞬間だった。メルの事を吸血鬼とか関係なく一人の女の子として見てくれる玲二君となら、メルは何処までも真っ直ぐに進められるんだって思ったの。

 

それから数年経ってアイドルとしても成功して、そして他の娘も一緒だけど玲二君と結婚出来て、しかもレミィとフランっていう可愛い子宝にも恵まれた。今でも充分幸せだけど、これからももっと幸せな毎日を過ごそうね、玲二君♪

 

 

 

ー夜空メル編 完ー




はい、という事で今回は美兎&メルの回でした!そして次回最後の一人ルーナ!

…………と言いたいところだったんですが次回は通常回とします。何でかと言うと……まぁ新しい娘達が出たのでね(^^;)

ですので次回の通常回を終えた後にルーナと、そしてもう一人オマケでアンケートに載せ忘れた娘の出会いを出したいと思いますので今しばらくお待ち下さいませm(_ _)m

それでは次回までまったりとお待ち下さいませ、ではまた!
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