ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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えー、最近手厳しい評価を受けて内心落ち込んでます……ですがそれもしっかり受け止めてこれからもこの小説を書いていこうと思います。なのでこんな自己満足な小説ですが、これからもお付き合いして頂ければ有り難いです。

といった堅苦しい前置きは此処までにして、今回はフレアの里帰り?回です!今回はとある作品の国が出てきますが、これ今時知ってる人少ないかも……?という事で今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!


EP31『天界の魔法国家』

「天界に里帰り?」

 

「うん、こんな時に申し訳ないんだけどね……」

 

ゴールデンウィークが終わり日常に戻ってきた今日此の頃。神羅城に戻ってきたフレアがカガリを抱っこしながら俺の元にやって来ていた。なんでも天界に里帰りする為にきたらしいが……

 

「……フレア、お前確か実家は地上界じゃなかったか?天界に縁があるなんて初耳なんだが……?」

 

「うん、実はアタシのおばあちゃんが天界に住んでてね。アタシも物心つく前までは天界に住んでたみたいなんだ。そのおばあちゃんが入院しちゃったみたいだから会いに行く事になったの」

 

「ばーば?」

 

「うん、カガリにとっては曾祖母ちゃんだね〜」

 

成る程な。そりゃ身内が大変なんだから行かないワケにはいかないよな。けど……

 

「……フレア、その割にはなんかあまり乗り気じゃない顔してないか?もしかして、おばあさんと何かあったのか……?」

 

「え?あ、ううん違うの。おばあちゃんとは今でも連絡を取り合うくらいは仲は良いよ。ただ、問題はおばあちゃんが住んでる国なんだよね……」

 

「国?まさか何か面倒な事とかある国とかか?」

 

「うん…………玲二さん、『トリステイン』って国知ってる?」

 

トリステイン?…………あぁ、確か天界にある魔法国家か。現在天界にはヘルエスタ王国やコーヴァス帝国をはじめとする約四十ヶ国が存在するが、その中でも他の国との外交を拒む国が幾つか存在する。その内の一つがトリステイン王国だ。科学の力には頼らず、魔法によって発展したこの国は自身達の風習を守る為に他国との外交を拒み続けてきたという経緯があるのだ。

 

「成る程、確かにあの国は閉鎖的な国だからな。ガンプラウォーズを導入する際もあの国は無関与を貫いていたし」

 

「うん、それもあるけど……あの国、ハーフエルフには強く当たる国としても有名だからね。なかなか行くのも一苦労しちゃうから今まで行くのを避けてたんだけど、今回はそうも言ってられないからね……」

 

「そういう事か……全く、閉鎖的な国っていうのは未だにそういう差別が多くて困るな」

 

確かに種族の壁があった時代、二つの種族の血が混ざったハーフエルフは異形の存在として扱われていた事もあった。トリステイン王国は閉鎖的な国柄の所為かその風習は今尚濃く残っており、未だに訪れるハーフエルフには当たりが強くなるのだとか。

 

更にはこの国は魔法が使える者が貴族となり、そうでない者は平民となるという風習もあり、その格差は今の時代には合わない程酷いらしい。実際のところ悪い噂の方が殆ど耳にする事が多い。

 

「というかそんな閉鎖的な国でよく連絡取れたな?」

 

「うん、おばあちゃんの使い魔の鳩が手紙を送ってくれるからね」

 

「へぇ、使い魔か。本当に昔ながらの連絡法なんだな?」

 

「とりさん〜♪」

 

使い魔での伝達、これもまた時代錯誤も良いとこだよな?まぁ他国の事情に首を突っ込むなんて野暮ったらしいか。まぁそんな事はどうでもいい。

 

「取り敢えず今は早くおばあさんに会いに行ってやらないとな。それと、トリステインには俺も同行するよ。フレアに何かあったら大変だからな」

 

「ホントに?ありがとう玲二さん♪カガリ、久しぶりにパパとお出かけ出来るよ〜♪」

 

「わ~いぱっぱ〜♪」

 

うん、カガリも俺が一緒に行くと分かって嬉しそうにしてくれてるな。父親として嬉しい限りの反応だ。さて、そうと決まれば早速天界に向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、天界トリステイン王国国境間近……

 

「…………もう間もなくトリステイン王国の検問所に到着しますよ」

 

「ん、そうか。それにしてもわざわざ護衛なんて頼んで悪かったな、『2B』、『9S』」

 

「いえ、僕達も自国での訓練が終わって丁度暇してましたし、これくらい大丈夫ですよ」

 

馬車に揺られる事約二時間。俺達は漸くトリステイン王国の検問所付近まで辿り着いた。流石に何があるか分からないような地域だから此処までは天界の警邏隊の一つ、『ヨルハ部隊』に所属する『2B』と『9S』の二人が護衛を頼んだが、特に何事もなく来れて良かったわ。

 

「それにしても、まさか二人もGWDWCに参加してるなんて思わなかったな。よく部隊長が許してくれたモンだな?」

 

「部隊長は日頃の訓練さえしっかりやっていれば特にそういった制限はしませんから。それに2Bが本戦に参加して好成績を残してくれれば、僕達ヨルハ部隊の名も広がってもっと人員が確保出来るかもしれないので、上層部にとってもこれはプラスになってくれる良い機会なんだと思います」

 

「あれ?2Bさんが本戦にって、じゃあ9Sさんは参加しないの?」

 

「9Sはどちらかと言うと補助の方が得意。だから私の機体のメンテナンスや改造を担当する事になったのよ」

 

成る程な。確かに今回の大会は賞金もそうだが全世界で大々的に行われるからある程度の成績を残せば世界的に有名になれる。それを狙って出場する奴も少なからず多いのかもな?

 

「……あれ?そういやお前等の所に下宿してる奴いたよな?あいつも参加するのか?」

 

「え?あぁ、『ガロウ』の事ですか?彼は今は地上界に行ってます。なんでも、噂のガンダリウムキラーやその他のバトラーと戦いに向かったらしくて、もう一ヶ月は戻ってきてないですね」

 

「ガロウ?それってもしかして炎のXバトラーの『走道ガロウ』の事?」

 

「えぇ、彼は一度決めた事は何処までもまっすぐ突き進む性格ですから、今回も有名バトラーと戦い終わるまではおそらく帰っては来ないでしょうね。本当に見た目といい性格といい『ガロード・ラン』そっくりですよ」

 

…………成る程、おそらくだがそいつは本当にガロード・ランのリ・イマジネーションかもしれないな。遂にXのリ・イマジまで出てきたか。機会があれば会ってみたいもんだ。

 

「…………見えた、あれが検問所よ」

 

「あれが、トリステインの検問所………分かりきってたけど、やっぱりもうアニメとかでしか見た事ないような古い感じがするなぁ」

 

うん、如何に此処が他の国との外交を避けているのかが分かるくらい設備が古臭く感じる。検問所には数人の兵士と役人がいるだけで後は特に何も無い。

 

「それでは僕達は此処までとなります」

 

「あぁ、わざわざ来てくれて有り難うな」

 

「ん、じゃあ帰りましょう9S」

 

「あ、はい。では、これにて失礼します、お気をつけて」

 

検問所に辿り着くと9S達は俺から報酬を受け取りそのまま引き返していった。この先は警邏隊であるヨルハ部隊の二人は入る事は出来ないから致し方ない。さて、それじゃあ人生初のトリステイン王国、行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステイン王国王都……

 

「うわぁ、やっぱり王都も昔ながらな感じがするなぁ」

 

「きれ〜♪」

 

「基本的には魔法にしか頼らない国だからな。科学技術なんて当然ないし、ましてや外交をしてこなかった所為で中世くらいで発展がストップしているらしい」

 

王都に着いた俺達が見たのは中世ヨーロッパを彷彿させるような街並みだった。まるで映画のワンシーンの中に入り込んだようなその風景は古き良き外観を守り続けてきたというのがよく分かる。

 

「それで、フレアのおばあさんは一体何処にいるんだ?」

 

「えっと、確か街の外れにある病院に入院しているみたいだから、此処をまっすぐ行けばすぐ着く筈だよ」

 

「そっか、ならさっさと行って会ってやらねぇとな?」

 

場所も分かったし、早いとこ病院に行っておばあさんに会いに行かねぇとな。なんか妙に視線を感じるし……

 

「其処の女!止まれッ!」

 

「…………へ?」

 

な、なんだ一体?俺達の元に近づいてきた警備隊らしき兵士がいきなり銃を構えてきたんだが?俺達、と言うよりかはフレアに対して威嚇しているみたいだな……?

 

「貴様、その耳からしてハーフエルフだな!?ハーフエルフが何故この街に入ってきている?!この街はハーフエルフの出入りは禁止している筈だ!」

 

「え!?そ、そうなの?!」

 

「ふゅ………」

 

「しらばっくれるな!人間とエルフの間に生まれたハーフエルフなどという異物を王都に侵入させるなど言語道断!貴様のような災いを呼ぶ存在を、我々は断じて許しはしないぞッ!」

 

 

 

……………………異物?こいつ、今フレアの事を異物と言ったか?

 

 

 

「さぁ、今すぐこの国から去れ!さもなくば今此処で貴様の脳天に風穴を開け―バキィッ!―な……ッ!?」

 

「……テメェ、人の妻捕まえて異物とかいい度胸してんじゃねぇか?よっぽどぶっ飛ばされてぇみてぇだなぁ?アァッ!?」

 

取り敢えずこいつには自分の言った事の愚かさを理解するまで思いっきり……!

 

「ちょ!?ちょ、ちょっと玲二さん落ち着いてって!こんな所で暴れたら大変な事になっちゃうって?!」

 

「ぱーぱ!おちついてぇ〜!」

 

…………はッ!?ヤバ、あまりにもフザケた事吐かしたこいつを勢いでぶっ飛ばしてしまいそうになった!一応銃だけは破壊したみたいだが、フレアが止めてくれなかったら暴走してかもな……

 

「な!?貴様、そのハーフエルフを庇うつもりか?!」

 

「当たり前だ!フレアは俺の大切な妻だ!その妻を貶されて黙っていられるか!大体ハーフエルフなんてこの国の外だったら普通に暮らしてる!何時までも時代錯誤な事吐かして差別してんじゃねぇよッ!」

 

「んだとテメェ……上等だぁ!そのハーフエルフ共々今此処でぶっ殺してやるよぉッ!!」

 

―ジャキィッ!―

 

……こいつ、逆上して剣を抜きやがったな。なら、俺もフレアとカガリを守る為にも抗わせてもらうか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「止めんかバカタレがあぁッ!!!」

 

『ッ!?』

 

な、なんだ!?いきなりどデカい怒鳴り声が響いて皆動けなくなった!?な、なんだこの気迫はッ?!

 

「全く、来るのが遅いから来てみれば、お前等一体何をしてるんじゃ!?」

 

「な!?さ、サラマン大臣!?何故此処に?!」

 

其処に現れたのはなんと俺と同じくらいの長身の老婆だった。だがこの人、老婆だというのに放たれているオーラが兄貴並にスゲェ!?大臣とか呼ばれていたが、一体何者なんだ……?

 

「え!?お、おばあちゃん!?」

 

「…………え!?フ、フレア、今お前あの人の事おばあちゃんって……!?」

 

「カカカッ!久しぶりじゃのうフレアよ♪」

 

…………ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!?ま、まさかこの老婆がフレアのおばあさん?!嘘だろ?!

 

「おばあちゃん!今入院している最中じゃなかったの?!」

 

「カカカッそれについては後で説明する。それよりも………其処の兵士!」

 

「は、はいぃーーーーーーッ!」

 

フレアのおばあさんに一喝された兵士は慌てて剣を捨て地面に座り土下座をしだす。あのイカれた兵士を一発で鎮めるなんて、一体何者なんだこの人……!?

 

「お主、ワシの孫に刃を向けるとは一体どういうつもりなんじゃ?えぇッ!?」

 

「へ?ま、孫?ま、まさか、其処にいるハーフエルフの小娘の事じゃ……?」

 

「そうだと言っとるじゃろうがこのボンクラァッ!!フレアはワシの可愛い可愛い大事な孫じゃ!その孫に刃を向けるという事は、今この場で首を刎ねられても文句は言わせんぞぉッ!!」

 

「ヒイィィィッ!?ご、ごめんなさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあいッ!!」

 

うわぁ、まるで般若じゃねぇか?兵士もあまりの恐怖に逃げ出したし、まるで本当に兄貴みてぇだ……

 

「フン、何時までも古臭い頭しよってからに……それよりも、久しぶりじゃのぉフレア♪それに、お主の横におるのが旦那で抱っこしとるのが娘かのぉ?」

 

「うん、おばあちゃん久しぶり!紹介するね、アタシの旦那様の玲二さん!そしてこの子がアタシと玲二さんの子供のカガリだよ♪」

 

「ど、どうも……?」

 

「あ、あうぅ……」

 

…………兵士がいなくなって幾分か落ち着いた雰囲気になってるけど、それでも身体から溢れている覇気は凄まじいな?それにさっき大臣って呼ばれていたし、もしかしてフレアって凄い家系の出なのか?

 

「それよりもおばあちゃん!今体調が悪くなって入院してる筈でしょ!?全然ピンピンしてるじゃん?!」

 

「カカカッ!すまんのうフレア、こうもしないとお前とその旦那を呼べないと思って嘘ついてしまったんじゃ。ハーフエルフのお前がこの国に来たがらないのは知っとるからのぅ」

 

「……成る程、ただ来てくれと言っただけじゃハーフエルフに対して風当たりが強いこの国に来てくれないと思ったからわざわざ入院したなんて嘘をついたワケですか?」

 

「うむ、そういう事じゃ。それにもし来るとしたらフレアを守る為に旦那も必ず付いてくると思っとったからのぅ。じゃが、まさかあんな馬鹿げた事をする兵士がまだいたとは思いもせんかった。二年程前から階級制度について改めたのじゃが、いかんせんあぁいう馬鹿はまだおるもんじゃな。フレア、そしてフレアの旦那と娘にも危険な目にあわせてすまんかった」

 

おばあさんはフレアと俺とカガリに向かって頭を下げる。まさか謝られるとは思わず俺達は少し困惑してしまった。

 

「お、おばあちゃん謝らなくて良いから!?それに玲二さんがアタシ達の事守ってくれたから大丈夫だよ。それよりもおばあちゃん、さっきの話を聞いた限りだとアタシというよりは玲二さんに会いたがってたって事だよね?」

 

「ふむ、それについて説明する為にもまずはワシに着いてきてくれ。ほれ、其処に馬車を止めておる。それに乗って行くぞ」

 

そう言っておばあさんは俺達を馬車に誘導し目的地まで馬を走らせるのであった。一体何処に連れていくつもりなんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

「ほれ、此処じゃ」

 

「え、此処って…………!?」

 

「カガリのおうちみたーい♪」

 

馬車に揺られ辿り着いた場所、それはなんとこの国の王宮だった。いや正直フレアのおばあさんが大臣って呼ばれてた時点でなんとなく感づいてはいたが、まさか本当に王宮に案内されるとはな……?

 

「それじゃあワシについてきておくれ。くれぐれもハグレるんじゃないぞ?」

 

「「は、はい……」」

 

「はーい♪」

 

そして俺達はおばあさんに連れられるまま王宮の中へと入っていった。うわぁ、なんかこういう場所って緊張してしまうな……え?お前等も城に住んでるだろって?あれはそういう名称の建物なだけで実際はこんな王族が住むような城じゃねぇよ……俺は一体誰に向かって言ってるんだ?

 

「…………着いたぞ、此処じゃ」

 

って言ってたら何時の間にか目的の部屋の前に着いていた。一体誰が……いや、大凡だが大体の見当はつく。

 

―コンコンッ―

 

「殿下、サラマンでございます。仰せの通り、我が孫娘のフレアとその旦那をお呼び致しました」

 

「え、殿下ってまさか……!?」

 

…………やっぱり、呼び出したのはこの国のトップである王様か。大臣と呼ばれているこの人を動かすだけの人なんて限られているからな。さて、どんな人物だろうか……

 

「……通しなさい」

 

…………なんだ?今扉越しに聞こえた声って、明らかに女性じゃなかったか?それも、かなり若い女性……いや、女の子くらいの声な感じがするぞ?

 

「ハッ!失礼します」

 

―ガチャッ―

 

そしておばあさんが扉を開けると、其処にいたのは純白のドレスに身を包んだ紫髪の可憐な女の子だった。推定18歳くらいだろうか……まさかこんな女の子がこの国のトップだなんてな?

 

「はじめまして、佐々木玲二様。私は『アンリエッタ・ド・トリステイン』、この国の王妃を勤めております。貴方のお噂はかねがね聞いておりますわ」

 

「あ、あぁ、どうも……?」

 

「フフ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ。私は立場でこそ王妃ですが、実際は貴方の足元にも及ばない小娘ですから。さ、立ち話もなんですからこちらへどうぞ」

 

そう言いながらアンリエッタ王妃はメイドにお茶を用意させ俺達をソファーへと誘導する。

 

「それで、私達をわざわざこの地へ呼んだ理由をお聞かせ頂いても?」

 

「はい、それは貴方にこの国の発展の協力をして頂きたいと思ったからです」

 

「発展?それは一体どういう事でしょうか?」

 

「えぇ、その説明をさせて頂くのですが、その前にお二人共普段と同じ喋り方で大丈夫ですわ。敬語も必要ありませんので気兼ねなく喋ってくださいまし」

 

む……やっぱり変に緊張してるのがバレたか?まぁ向こうがそう言うなら遠慮なく普通に話すか。

 

「………分かった。それで、この国の発展の協力って言ってたが、どういう意味なんだ?」

 

「はい……お二人はこの国を見て実際にどう思いになられましたか?」

 

「え?えーと……昔ながらの外観を残した綺麗な街、かな?」

 

「…………遠慮はいりません。貴方達が感じた本音を聞かせてほしいのです」

 

フレアが気を遣ったような受け答えをしたが、アンリエッタはそれが本音ではないと思ったのか素直に話してほしいと言ってきた。まぁ、確かに実際今のフレアの答えは気を遣った感はあるからな……なら、遠慮なく言わせてもらうか。

 

「……はっきり言って時代錯誤も甚だしい国だと思う。ハーフエルフへの強い差別もそうだが、街の発展具合も階級制度もまるで数百年前から止まったままだ。古き良き外観を守る……と言えば聞こえは良いが、此処まで閉鎖的で無発展な国は明らかに異常だ」

 

「…………やはり、私達の国はそう思われる程おかしい国だったのですね………」

 

俺の素直な感想を聞いたアンリエッタは悲しそうな表情ながらも何処か納得した様子で窓の外の城下街を眺めていく。

 

「実は私には大切な親友がいるのです。その娘は二年前の使い魔召喚の儀式で驚く事に人間の男性を召喚しました。彼女はそれからその男性と紆余曲折ありながらも結ばれました。そして今はその男性の祖国である地上界の日本という国へ旅立ったのです」

 

使い魔召喚の儀式?そういや歴史の授業で習ったな。昔の魔法使いはその儀式で呼び出した者を使い魔にする風習があったって。今はそんな事しなくても魔法使いが契約したい相手に契約の儀をするだけで簡単に使い魔になれる。ニュイとマオもそんな感じで使い魔契約を交わしているって言ってたしな。それにしてもその儀式でまさか日本の男を呼ぶなんて、ある意味スゲェなそいつ?

 

「………其処で時折彼女から他国にあるカメラという物で撮られた写真という物が送られるようになったのですが……其処で見たモノは私の想像を遥かに越えるモノでした。我々の国とは比べ物にならない程発展した街並み、そして見た事もないような美味しそうな料理達。それらを堪能するあの娘がとても輝いた笑顔で写っていたのです」

 

「…………え?あ、あの、もしかしてですが、さっきのこの国を発展させるっていうのは……?」

 

「そうです!あの娘がこの国を出て外の国を存分に満喫している!それが凄く羨ましいのです!私だって出来る事なら外の国に出ていろんな景色を見たい!いろんな美味しい物を食べたい!いろんな楽しい遊びをしたい!でも王妃である以上おいそれと外の国に行く事もできない!こんな不公平な事があって良いのでしょうかッ!?」

 

わー、思ってたよりも私情に塗れた理由だなぁ……?なんて思いながらテーブルに置かれた写真を見させてもらっている。

 

「…………あれ?玲二さん、この娘って確か『虚無の魔導士』の『ルイズ』さんじゃない?ほら、去年ホロプラに来てバトルロイヤルイベントで優勝してた」

 

「ん〜?……あ、確かにそうだな。めちゃくちゃはしゃいで喜んでたのをよく覚えてるわ。なんだ、この娘トリステイン出身だったのか?」

 

「そうなんです!送られてきた写真で最も多かったのがその遊びをしているモノだったんです!小さいゴーレムのような人形を使った今までにないような遊び……それをルイズは私の知らない所でちゃっかりと楽しんでいるのです!しかも聞けばこの遊び、全世界でとてつもなく流行っているらしいじゃないですか!?そんな楽しそうな遊び、私だってやってみたいのですッ!!」

 

な、なんか思ってたよりも我が儘な娘だな?……いや、この娘は見た感じ女王にしてはまだ幼い。これくらいの感情を持っててもおかしくはないか。

 

「まぁ、話は大体分かった。だけど、そうなると少し気になる事があるんだが……」

 

「え?何でしょうか?」

 

「そもそもなんでこの国はこんなにも閉鎖的なんだ?それに今まで外交なんて殆どしてこなかったのに何故今頃になって国の発展なんて考えだしたんだ?」

 

「…………それについては私達の国の歴史についてお話する必要があります」

 

そうしてアンリエッタは俺達にこの国の歴史について話してくれた。なんでも初代トリステイン国王は一代にしてこの国を立ち上げ、そして魔法により国の発展を築き上げてきたらしい。しかし数百年後、他国で科学技術が発展する中で当時の国王はその技術が国に入る事で平民がその力を使って暴徒になるのでは?と恐れるようになり、其処からトリステイン王国は他国との交流を絶ってしまったというのだ。

 

そして時は流れて現在。先代国王を早くに亡くして予定より早くに王妃になったアンリエッタは親友であるルイズから受けた手紙を見て他国の発展ぶりに驚愕してしまったと同時に、この国が如何に時代錯誤な国だったかというのを痛感してしまったようである。其処でフレアのおばあさんであるサラマン大臣を通じて現在目まぐるしく発展をしているホロライトシティの市長である俺に協力を要請した、という事らしい。

 

「…………成る程、閉鎖的だったのは全て自分達の地位が脅かされるのではないかという事だったのか。なんともまぁ小心的な考えだ事で」

 

「はい、お恥ずかしい限りです。確かにルイズが羨ましいという私情も挟まっているのは否定しません。ですが、この国がこのまま時代に取り残されたままの国にしたくないというのは事実です。なので佐々木様、どうか私達の国を発展する為にご協力くださいまし」

 

アンリエッタ、そしてフレアのおばあさんが深々と頭を下げてくる。まぁ、こうも頭を下げられたらなぁ……

 

「…………分かった、俺達でよければ力になろう。だがいきなり発展させても国民が困惑するしてしまうから徐々にだけどな?」

 

「ッ!本当ですか!?」

 

「あぁ、約束しよう」

 

「有り難うございます!あぁ、これできっとこの国も良くなります……!」

 

俺が協力すると伝えるとアンリエッタは涙を流しながら喜んでいた。この娘もきっと、ずっと閉鎖的だったこの国が息苦しく感じてたんだろうな?まぁさっきも言ったがいきなり発展させても混乱を招くだけだから徐々に発展させていかないとな。

 

こうしてトリステイン王国はホロライトシティと条約を結び、数世紀に及ぶ鎖国に幕を閉じた。尚、アンリエッタの要望でまずはルイズが楽しんでいた食やガンプラの輸入が決まったのだが、これらが娯楽の少なかったトリステインにおいて画期的だったのか貴族平民問わず大ヒットしたとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜疲れたぁ……」

 

「フフ、玲二さんお疲れ様♪」

 

「パパおつかれ〜♪」

 

トリステインとの外交が一段落し戻ってきた俺達。途中からアンリエッタもガンプラに夢中になったのか砕けた喋り方になってたし、最後辺りは本当にイキイキしてたな。まぁ、これでまたガンプラ業界に貢献出来たならそれでいっか。

 

 

こうしてフレアの里帰りから始まったトリステインとの外交は一先ず落ち着いた。今回は特にGWDWCや無呪羅達のやり取りでの発展はなかったが、偶にはこんな日もあって良いかなと思う玲二であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典元と設定

 

トリステイン王国

ゼロの使い魔

異世界に存在するハルケギニアの一国。この世界では天界に存在する国の一つで、大凡は原作と同じような国である。平民が力を付ける事を恐れた先代の王により数百年間鎖国状態だったが、現王妃であるアンリエッタにより鎖国から解放された。

 

 

アンリエッタ・ド・トリステイン

ゼロの使い魔

トリステイン王国の現王妃。自国の閉鎖的な国柄に不満を抱きつつもそれが掟を思い生きてきたが、親友であるルイズから送られてきた外の世界の写真を見て不満が爆発し、自分の代でこの鎖国に終止符を打とうと決意した。早くにして王妃になった為にそれに相応しい振る舞いをしようと心がけているが、実際は歳相応な女の子らしくいろんな事に興味がある。




はい、という事で今回は自分の中での異世界ファンタジーの原点であるゼロの使い魔からアンリエッタ登場回でした!まぁ正直に言うとネタが降りてきたので書いたのですが今回は特に進展なしなのでなくても良かったかも……なんて思いましたが偶にはこういうのも良いですよね?

さて次回は……
真夜中のホロライトシティ。その地中から突如ツギハギだらけのゾンビが復活した!?ゾンビは街へと進み、そしてホロプラにいるバトラー達に襲い掛かっていく!?

次回
『C.C.C.Crazy ZOMBIE!』

次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!
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