今回はみしろとリオのバトル!そしてすいせいとトールのバトルも行われる……しかし、その裏では何やら不穏な動きが……?
今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!
GWDWCメインドーム。その地下にはGWDWCのバトルフィールド全体のサーバーを管理するメインサーバールームが存在する。そのメインサーバールームの端で、何やら二人の男が怪しい取引をしていた。
「……ほれ、これが例のブツと前金だ」
「…………確かに。それにしても、違法賭博していた連中が検挙されたって聞いてたが、まだあんたらみたいなのが残ってたとはな?」
「フン、あんなのは氷山の一角に過ぎん。このGWDWCで賭け事している富豪共は他にもゴマンといるのだからな。寧ろ奴等は悪目立ちし過ぎたから捕まったようなもんだ」
「成る程………で、依頼はAブロックでホウジョウ・リオを、Bブロックでデッドブレイカーを勝たせてほしいって事で良いんだな?」
「あぁ、我々のスポンサーがあの二人を大層気に入れてな。それなりにたんまりと賭け金を入れたから是非勝ってほしいとの事だ。そのブツを使えば、佐々木みしろと佐々木すいせいのガンプラを自然な形で弱体化出来る。なんとしても必ず成功させるのだ」
「はいはい、お任せあれ………」
小太りの男からスタッフの格好をした男に何やら怪しげなツールと分厚い封筒が渡され、そのまま二人はそれぞれ別の場所へと消えていった。どうやら、また何かとんでもない事が起こりそうだ…………
Aブロック会場控え室………
「…………いよいよ、次はビルドワールドのバトラーとのバトルですか」
「確か、ホウジョウ・リオ君だったよね?ビルドメタバースの主人公って聞いたけど、あんまり印象がないんだよね……」
「まぁ無理はありません。メタバースはネット配信限定でしたし、全3話と短かったですからね」
控え室にて精神統一をして心を落ち着かせていたみしろ。次に戦うホウジョウ・リオはビルドメタバースの主人公なのだが、このメタバースはビルドワールドの中でも僅か全3話と放送期間が短い為、使用機体もラーガンダムのみである。
ただ情報が少ない分、彼が一体どのようなバトルをするかは全くの未知数。故にみしろはどのようなガンプラが来ようと対処出来るよう、こうして精神統一をして心を落ち着かせていたのだ。
「まましゃま、がんばってくだしゃい!」
「えぇ、ありがとうミナちゃん。ママもご主人様とミナちゃんの為に頑張りますから、パパとたまきちゃんと一緒に応援してくださいね♪」
「ミナちゃん、僕やみたまちゃんと一緒にママを応援しようね〜♪」
「はいでしゅ!」
「みーまーま、がんばえ〜♪」
愛娘をたまきに預け、みしろは氷護をケースにしまい会場へと向かっていく。だが、そんなみしろの心の中ではある事が引っ掛かっていた。
(…………オーバーシンクロ。フブキさんが発現したフルシンクロの更なる境地。みしろもガンダリウムランカーとして驕っていたワケではないけれど、みしろがまだその域に達していないのにフブキさん、そしてそらさんはその領域に達していた………ご主人様はかなり危険な力だから普段使いは禁止するとは言ってましたが、その領域に達する事すら出来てないみしろに、はたしてこの先勝ち残る事が出来るのかしら……………)
そう、みしろの懸念とは先程フブキ達が見せたオーバーシンクロについてである。禁断の力とはいえ、二人はそれを発現出来る程にまで成長を遂げている。対して自分は最高ランクのガンダリウムなのにまだその領域にすら辿り着けていない。寧ろ、みしろ自身もフルシンクロを使えるが、他のメンバーに比べてシンクロ率も低い為持続時間も15秒と短い。他のメンバーとの差がどんどん広がり、みしろの心に焦りが生まれてしまっていたのだ。
「…………何も、フルシンクロだけが全てではないのは知ってる。でも…………今のままでみしろは無呪羅からご主人様を………玲二様をお守り出来るのでしょうか………?」
愛する主を守る。そう誓い今まで立ち振る舞ってきたみしろの心に焦りと不安が募っていく。はたして、みしろはホウジョウ・リオに勝つ事が出来るのだろうか…………?
そして、会場に到着し観客達からの歓声を受けながらみしろはステージへと上がっていく。その先には対戦相手であるホウジョウ・リオが待っていた。
「お待たせしました、リオさん」
「は、はい!よ、よろしくお願いします!」
「……フフ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですわ♪お互い、全力を出して戦いましょう」
「……はい!僕も、今僕が持てる全てを貴方にぶつけますッ!」
リオはそう言いながらみしろに自身のラーガンダムを見せつける。そのラーガンダムを見てみしろは冷静に分析する。
(……やはりというか、みしろ達の世界にあるラーガンダムとは違いますね。それどころか……あれは、Ver2.0のRGガンダムをベースにしているようですね)
『RG ラーガンダムVer2.0』
『ガンダムビルドメタバース』の世界の主人公であるホウジョウ・リオが自身のラーガンダムを更にバージョンアップさせた機体。基本的な武装は通常のモノと変わらないが、ベースキットをエントリーグレードのガンダムからRGのガンダムVer2.0へと変更した事により全てのスペックが格段に向上している。
「良いでしょう。みしろも氷護と共に、貴方に全力で挑みますッ!」
みしろも氷護をリオに見せつけ、そして二人はそれぞれの筐体に入り機体をセットしていく。
Game Mode:1on1
Field:Standard
PlayerA:Sasaki Mishiro
PlayerB:Rio
互いのガンプラを読み込みバトルフィールドが展開し、二機のガンダムがそれぞれ武器を構えて相手の前に立つ。しかし……
(…………?なんでしょう、気のせいか何時もより機体が重く感じる気が………)
フィールドに立つやいなや、みしろは自身の氷護が何時もよりも動きが鈍く感じていた。だがみしろは先程の懸念がそう思わせていると思い、気のせいと判断しバトルに集中していく。
―BATTLE START!―
「いきますッ!ハアァッ!」
―ダッ!―
バトルが始まると同時にリオのラーガンダムがビームナギナタを構えながら氷護へと突進していく。みしろも冷静に避けようと機体を操作する。が………
―グググッ……―
「ッ!?お、重い……!?」
コントローラーを動かそうとした瞬間、何時もと違いレバーが重くかんじたのだ。それでもみしろはなんとかレバーを動かし、ギリギリだがラーガンダムのビームナギナタ攻撃を避けていった。
「はぁ、はぁ……!」
(こ、この感じ……気のせいなんかじゃない!氷護の動きが、鈍くなっている?!)
明らかに機体の動きが悪く、コントロールパネルの操作性も悪い。先程の感覚は気のせいなんかじゃないと気づき、みしろは次第に焦り始めてしまう。
「だ、大丈夫ですか!?なんだか顔色が悪いですよ?!」
リオもみしろの様子に気づいたのか攻撃の手を止め氷護へと近づいていく。
「だ、大丈夫ですわ。それよりも、敵に近づくなんて不用心にも程があります……!」
「で、でも……!」
「………これくらい、なんて事ありません。みしろはガンダリウムランカー…………これくらいの逆境など、何度も味わってきてるのですからッ!!」
心配するリオを払い除け、みしろは無理矢理に氷護を立たせて武器を構えていく。誰がどう見ても無理をしているように見えるみしろのその姿に、観客達も唖然としてしまうのだった………
「みしろ、どうしちゃったの!?何時より動きが全然鈍いよ?!」
「あぁ、普段のみしろらしくない動きだ。だが、今整備担当に聞いてみたが、コントロールパネルや筐体には異常はないようだ。となると、他に何か原因があるみたいだな………」
「まましゃまぁ………」
………バトルが始まってからみしろの氷護の動きがおかしい。氷護は機動性に優れた機体の筈なのに、それが全く活かしきれてない。一体どうなっているんだ……?
「支部長、現在のお二人のバトルのデータが出ました!」
「そうか、見せてくれ。ふむ…………ッ!こ、これは……!?」
バトルデータの情報を持ってきたオペレーターから資料を受け取って確認し驚愕してしまった。みしろのシンクロ率が………12%だと!?
「な、なんだこの低いシンクロ率は!?」
「え?ご主人様、どうかしたの?」
「どうかしたじゃねぇ!みしろと氷護のシンクロ率があまりにも低過ぎるんだよ!今までガンプラウォーズで色んなバトラーのデータを見てきたが、こんなに低いシンクロ率は初めてだ!」
「え、えっと……シンクロ率が低いと何か問題があるの?」
「あぁ、シンクロ率というのは文字通りバトラーとガンプラの同調率を意味する。通常のバトラーなら平均的に60%前後、低くても40%くらいだ。このシンクロ率が高ければ高い程、ガンプラを操作する時にまるで自分の手足のように動かしやすくなるんだ。だが………そんな中で12%なんて聞いた事もねぇ!余程相性が悪くて出来の悪いガンプラを使わない限りはそんな数値は絶対に出ねぇぞ!?」
そう、今俺が言った通り、ガンプラウォーズには一般バトラーには認知されてない隠しステータスとしてシンクロ率というのがある。これはバトラーの操作技術、ガンプラの出来、そしてバトラーの戦術とガンプラとの相性によっても変わってくる。そしてバトラーとガンプラが完全に一体となる事で発現するのがフルシンクロなんだが、今のみしろは寧ろその逆!シンクロ率が低過ぎてガンプラをまともに操作する事すら困難になってやがる!
「そんな!?それじゃあみしろは……!?」
「あぁ……今のみしろは、かなり重たいギブスを着けてバトルしてるようなもんだ!そんなんでまともに動かせるワケがねぇ!」
「うゅ……ぱぱしゃまぁ、なんとかできないんでしゅか?」
「ミナ…………あぁ、大丈夫だ。ママは絶対に助けてやるからな。だが、普通に考えればみしろがあんな低いシンクロ率になるワケがない。つまりは……誰かが、みしろのシンクロ率を意図的に下げてやがるんだ。そいつさえ抑えれば………!」
もし外部から意図的にシンクロ率を下げているなら………それが可能なのはこの大会ではオペレーターサーバーだけだ!つまり犯人はスタッフに紛れ込んでいる筈だ!そうと決まれば……!
「…………エリー、確か灰が遊びに来ていたよな?………そうか、なら今すぐ灰を連れてサーバールームに向かってくれ。今みしろの機体データが改竄されている。その中にみしろのデータを弄ってる奴がいる筈だ。あぁ、急いでくれ!」
「ご、ご主人様、本当に犯人は其処にいるの?」
「あぁ、このGWDWCで使用する筐体のサーバーは全て其処で管理している。外部からのハッキングとかは通じない以上、データを弄れるとなれば其処しかない。つまり、こんな巫山戯た事をするような奴が、スタッフの中に紛れ込んでいたって事だ!」
まさか、皆で大会を盛り上げようとしてくれているスタッフの中にそんなくだらない事をする奴がいたなんて………見つけたら絶対に許さねぇからなッ!!
「はぁ……はぁ……グッ……!」
バトルが始まって五分、みしろは変わらず劣勢に立たされていた。幸い相手が優しい性格のリオだからか様子がおかしいのを察して攻撃を躊躇している為、未だお互いにダメージはほぼ無い。しかし、コントロールパネルを思い通りに動かせてないみしろの顔からはものすごい量の汗が流れている。
「みしろさん!本当に大丈夫なんですか!?汗の量が尋常じゃないですよ?!」
「はぁ…………だ、大丈夫です………この程度の事で、みしろと氷護は屈したりは………!」
「ムチャしないでください!このままじゃみしろさんの身体が持たないですよ!?」
「…………これくらい、ご主人様をお守りするという使命を背負っているみしろにとっては軽いモノですッ!!」
………誰がどう見ても虚勢を張ってるようにしか見えないみしろ。リオもどうすれば良いか分からず余計に攻撃を躊躇してしまう。そんな二人のバトルを、サーバーにいる一人のオペレーターがニヤニヤしながら眺めていた。
(クククッ幾らガンダリウムだろうとシンクロ率さえ下げてしまえば雑魚同然だな。しかし、あのホウジョウ・リオとかいう奴、何を躊躇ってやがる?そんな奴何の脅威もねぇんだからさっさと倒しやがれよな……)
男はシンクロ率の下がったみしろと氷護の哀れな姿を見て喜ぶ反面、リオがなかなかみしろを倒さない事に苛立ちを感じていた。いっその事更にシンクロ率を下げてみしろを棄権に追い込むかと考えている程だ。しかし……
―ビーッ!ビーッ!ビーッ!―
「ッ!?な、なんだぁ?!」
突如自分のパソコンから警告アラートが鳴り出し、男や他のスタッフ達がびっくりする。そして
「はい其処のお前、今すぐパソコンから手を退けろ」
「な!?お、お前は……黛灰!?」
元にじさんじでありホワイトハッカーである黛灰が警備員達を連れて入って来たのだ。男は慌ててパソコンを閉じようとするも、何やら硬いモノが自分の頭に押し当てられ動きを止められてしまう。
「おぉっと、動くなよ?モデルガンだけど撃てるように改造してっから撃たれるとめっちゃ痛えぞ」
「いやししろん!?なんでそんな改造モデルガンなんて持ってんのさ?!」
「そんな事より早くこいつのパソコン没収しないと!」
警備員達が入ると同時にぼたんが男の背後に立って改造モデルガン(超強力水鉄砲)を男の頭に押し当てていたのだ。男が動きを止めた隙にラミィがパソコンを奪いそれを灰に渡していく。
「な、何故だ!?何故この場所が分かった?!俺のハッキングは完璧だった筈だ!?」
「お前、ホントにバカだな?外部からのアクセスを受け付けない以上、ハッキングするなら此処しかないのは明白だろう?それにあんなあからさまな弱体化をすれば誰だって不審に思うだろ」
「兎に角、お前にはいろいろ聞きたいから覚悟しとけよ!」
「グッ……クソがぁ……!」
ねぽらぼの四人に拘束され、男は悔しそうに別室へと連れて行かれるのであった。
「フー、フー……!」
男が拘束されたその頃、バトルフィールドでは相変わらずみしろが辛そうに機体を動かしていた。重くなって動かしづらいコントロールパネルを無理矢理操作している所為で汗も尋常じゃない程流れ、膝も笑っている状態である。
「みしろさん……」
「はぁ、はぁ……ま、まだです……みしろはまだ、戦えます……!」
それでも尚戦い続けようとするみしろを見て困惑するリオ。するとリオは何かを決心したのか
―ザンッ!―
「な……!?」
ラーガンダムが持っていたビームナギナタを地面に突き刺し、攻撃の意志がないのを示すかのように腕をぐでんと下げていった。突然の行動に、みしろも流石に困惑してしまう。
「……みしろさん、一旦休憩しましょう。そんな無理な状態で戦っても、お互い納得なんて出来ません」
「な、何を言ってるんです!?これは真剣勝負ですよ!そんな悠長な事言ってる場合じゃ「ねぇみしろさん、ガンプラバトルは好き?」………え?」
「僕はセリアさんやマリアさん、そしていろんなバトラーと沢山戦って分かったんだ。ガンプラバトルは楽しいって。だから、例えどんなに負けたとしても、何度でも挑戦すれば良い!ガンプラのように!だからガンプラバトルは楽しいんだ!」
「………ガンプラバトルが、楽しい………」
リオの言葉に、みしろの心が少しずつ溶かされていく。ガンプラを楽しむ、それは玲二が何時だって第一に考えている信条であり、みしろを含めて皆がそれに賛同していた。それなのに、無呪羅やЯという敵の存在やフブキ達の新たな境地に辿り着いた事により焦りが勝ってしまい、楽しむという気持ちを忘れてしまっていたのだった。
「………そうでした。ガンプラバトルは楽しんで遊ぶものでしたね。それを忘れるくらい、みしろの心に余裕はなかったという事ですか………」
リオの言葉に今まで重荷に感じていた心が軽くなっていき、そしてコントロールパネルのレバーが先程までより軽くなっている事に気づく。
(ッ!これは……もしかして、みしろが心の余裕を取り戻したから、氷護も許してくれたのでしょうか?)
実際はハッキングによるシンクロ率減少が解除されたからなのだが、みしろは氷護が先程と違い動かしやすくなったと感じ余裕が戻っていく。
「………ありがとうございます、リオさん。そしてご心配をお掛けしました。ですが、もうみしろは大丈夫です!」
みしろの声と共に先程まで鈍い動きしかしなかった氷護がまるで鎖から解き放たれたかのように飛び上がっていく。それを見たリオもラーガンダムを再び動かしビームナギナタを拾い構えていく。
「みしろさん!今度こそ、僕の全力を見せますッ!」
「えぇ!みしろも、今持てる力を全て出し尽くしますッ!!」
本調子を取り戻したみしろと、漸く本気で戦えるリオ。二人の本気で楽しいバトルが、今始まるのであった。
それから数分後………
「おいお前!なんでみしろちゃんにあんな卑怯な事したんだ!?」
「ケッ!言うワケねぇだろ、馬鹿かお前?」
「テメェ、ふざけんな!お前の所為でみしろちゃんがまともに戦えなくて苦労してたんだぞ!リオくんが相手じゃなかったらとっくに落とされてたかもしれないんだぞ!分かってんのか!?」
「おまるん落ち着けって。どうせこいつは最初からそれが目的なんだろうし」
ねぽらぼに拘束され取り調べを受けるも、男は一切答えず悪びれもなく知らん顔をしている。だが
「………成る程。お前、どっかの富豪共に雇われたな?狙いは違法賭博の賭け対象を勝たせる事か」
「違法賭博!?それって少し前に玲二さんやGCPDの皆が検挙した筈でしょ!?」
「チッ!もうバレたか…………あぁそうだよ、俺は依頼されてホウジョウ・リオを勝たせる為に仕組んだんだよ。それなのにあいつ、勝てるチャンスをみすみす逃しやがって………!」
灰によって目的がバレ、男はあっさりと自白する。其処には反省という感情はなく、ただただ捕まった事に面倒くささを感じていた。
「はぁ!?そんな事の為にみしろちゃんを妨害したの?!大体捕まった筈の賭け事集団がなんでまだいんのさ!?」
「フン、あんたらが捕まえたのはあくまで一部だ。奴等曰く、賭け事してる富豪共は他にもゴマンといるんだとよ。俺は、そいつらの一人から金をもらって仕事したに過ぎねぇんだよ」
「こいつ………ッ!」
全く悪いと思ってない男の態度にポルカが思わず拳を上げようとするが、それをぼたんが静かに制していく。
「落ち着けって、どうせこいつはもう終わりなんだ。それに、こいつの雇い主も今他のスタッフがGCPDと一緒に調べてくれてるからそいつらも時間の問題だ」
「喧嘩を売る相手を完全に間違えましたね?後は大人しく牢屋にぶち込まれてください」
灰の言う通り、この男と依頼主である富豪はもうじきGCPDによって拘束され留置所へと送られるだろう。しかし……
「…………クククッ」
「?何がおかしいのさ?」
「クククッ………ヒャアァーッハッハァッ!これで終わったと思ったら大間違いだせぇッ!」
「何……?どういう意味だ!?」
「ヒヒヒ、佐々木みしろの弱体化は確かに阻止されたが、本命の方はまだ残ってるんだよぉッ!多分そろそろ効果が現れてると思うぜぇ?」
『なんだと(ですって)!?』
男は自分が仕掛けたのがみしろだけではないと狂気の笑みを浮かべながら語りだす。灰は急いで他のバトルの状況をチェックする。
「…………ッ!これは……お前、とんでもない事してくれたな!?」
「ど、どうしたの黛さん!?一体何が……?!」
「説明は後だ!兎に角Bブロックにいくぞ!すいせいさんが危ないッ!」
灰は慌てた様子でサーバールームを飛び出し、ねぽらぼも男を他のスタッフに任せて急いで後を追いかけていくのであった。
その少し前、Bブロックでは……
―ガッキイィィィンッ!!―
「おいおいおい!新生アイドルってのはこの程度なのかぁ!?もっと俺に本気出させてみろやぁッ!!」
「ぐうぅッ!?」
デッドブレイカーことトールとすいせいのバトル。しかし始まってから一方的に攻撃し続けるトールのデスクライシスエピオンになす術なく圧されるすいせいのステラゲイザーガンダムであった。
「ケッ!これがあの玲二の女の力かよ!案外大した事ねぇじゃねぇかよッ!やっぱりあいつに媚び売って本戦出場したっていうのは本当らしいなぁッ!」
「ッ!玲二くんは今関係ないでしょ!?すいちゃんは自分の力で此処まで来たんだからッ!」
「ハッ!信じられねぇなぁッ!どうせあいつが用意した賞金を渡さない為のヤラセで参加してんだろ!?天下の佐々木玲二様は案外セコい奴なんだなぁッ!!」
「ふざけんなッ!玲二くんはそんな事は絶対にしない!大体なんで其処まで玲二くんの事を目の敵にすんのさ?!」
確かに今までのバトルでもトールの口が悪いのは分かっていた。しかし、今のトールは明らかに玲二に対して強い敵対心を抱いているのが分かる。何故彼は其処まで玲二を敵対するのだろうか………?
「………俺はなぁ、あいつの所為でずっと惨めな思いをしてきたんだよッ!小学中学ずっと同じクラスで、同じ佐々木って名字なだけで他の連中は俺を玲二と比べてくるッ!勉強も!運動も!人付き合いも!何もかもがあいつの方が上だった!その所為で俺はずっと周りから憐れみの目で見られていたんだ!同じ佐々木って名字なだけで、俺はずっとあいつと比べられてたんだッ!!」
「はぁッ!?そんな理由で玲二くんの事敵視してたの?!唯の被害妄想じゃんッ!」
「黙れッ!俺はあんな女を侍らすだけの野郎とは違う!この大会で勝ち上がって、あいつより凄いというのを証明するんだぁッ!!」
―ガキンッ!ガキイィンッ!!―
玲二に対する対抗心が、トールの心の炎を更に燃え上がらせていく。デスクライシスエピオンの激しい猛攻に、ステラゲイザーが更に追い込まれていく。
「くぅ!このままじゃやられちゃう……ならフルシンクロで……!」
追い詰められたすいせいもこのままではいけないと思い、奥の手であるフルシンクロをしようとする。が…………
―ドックン……!―
「ッ!?あ、が、あぁ……!?」
突如、すいせいが苦しそうに胸を押さえだした。そして
―キュイィィィィィンッ!!ゴオォォォォォォォォォォォォォッ!!―
「ガアァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
「な、なんだ!?」
ステラゲイザーから青白い光の柱が放たれ、すいせいもまるで理性を失ったかのように雄叫びをあげていく。明らかにフルシンクロとは違う異常さに、トールも流石に臆してしまう。一体何が起こったのか……?
『強制シンクロォッ!?』
「あぁ、みしろさんに対して使われたシンクロ率低下とは真逆で、使われた相手は強制的にシンクロ率を限界まで引き上げられてしまうんだ。今頃すいせいさんは無理矢理シンクロ率を上げられて常にフルシンクロ状態になってしまってる筈だ!」
すいせいが戦っているBブロック会場へ急いで向かう灰とねぽらぼの四人。灰曰く、先程の男はみしろにだけでなくすいせいにも妨害行為を行っており、それが対象のバトラーのシンクロ率を無理矢理引き上げる強制シンクロというものだったのだ。
「え、でも強制って言ってもずっとフルシンクロで戦えるならすいちゃんの方が有利じゃないの?」
「何言ってんのねねち!玲二さんが言ってた事忘れたの?!フルシンクロを無理に持続させようとしたら脳細胞にダメージを受けちゃうって!」
「しかも普通のフルシンクロと違って無理矢理引き上げてるから加減なんてあるワケがない!このまま続けたら下手したらすいちゃんの命が危ないんだよッ!!」
そう、フルシンクロは本来バトラー自身が上げられる限界点までシンクロ率を上げる技であり、現在すいせいは139%まで上昇させる事が出来るのだが……強制シンクロはその限界点を無視して無理矢理引き上げる為、幾ら神羅であるすいせいとは言えど危険な状況なのだ。
「そんなぁ!?それってなんとか出来ないの?!」
「シンクロ率減少なら操作元を切ればなんとか出来るけど、一度無理矢理上げられたシンクロ率はこっちでは下げられない!だから今すぐバトルをしているすいせいさんを筐体から引き離すしか方法はないんだッ!」
「くぅッ!こんな時ポルカ達もまともにテレポート能力使えたら……ッ!」
「出来ない事言ったってしょうがないだろ!?兎に角あたし達は急いですいちゃんを止めないとッ!」
今尚苦しむすいせいを助ける為に、五人は急いで会場へと向かうのであった。
「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「チィッ!完全に暴走してやがる!無理矢理限界点を越えてフルシンクロをしてやがるのか……どうやったか知らねぇが、姑息な手を使やがってッ!!」
―キイィィィンッ!!―
強制シンクロの所為で自我を失い暴走するすいせいのステラゲイザー。その無理矢理な戦い方にトールは怒り、自身もフルシンクロをしてビームサーベルを構えステラゲイザーへと向かっていく。
「グルアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
「…………幾らシンクロ率が高かろうが、ただ突っ込んでくるだけの的に俺が負けるワケねぇだろうがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
―ズバアァァァァァァァァァァァァッ!!―
最大出力のビームサーベルを真正面から受け、ステラゲイザーは真っ二つに斬り裂かれてしまう。そしてそのまま大爆発を起こし、その衝撃ですいせいはまるで糸が切れたマリオネットのようにその場で倒れてしまうのであった。
その後、みしろとリオとのバトルは本調子を取り戻した優勢になったみしろが勝利した。しかし、すいせいは病院へと緊急搬送され、目覚めたのはそれから一週間後であった………
真魔神file24
ガンプラウォーズにおいて、シンクロ率はガンプラを操作する上で重要なステータスである。
次回……
ガンダリウムランカー同士のバトル。それは誰もが注目する一戦である。そして今、ホロライブの月の使者とIS学園最強の教師が、今ぶつかり合う!
EP63
『最強の名』
はい、という事で妨害を受けながらもみしろの勝利!しかし、すいせいが無理なフルシンクロをした所為で敗北してしまいました……違法賭博をしていた連中は検挙されるでしょうが、まだまだ油断は出来そうにないですね。
次回はムーナと千冬のバトル!何気に本編ではムーナのバトルは初めてなのでちゃんと書けるか心配です……(-_-;)
次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!