今回は遂に本戦トーナメントに進出する八人目が決まります!はたして勝つのはムーナか?それともレイラか?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!
GWDWC五回戦も、残すのは後一試合。Cブロック会場の控え室の一つではレイラが自分のガンプラを入念に調整していた(Cブロック五回戦は四回戦でレイラとメイジンの戦いが長引き過ぎた為に翌日行われる事になった)。
「………遂に、この戦いに勝てば本戦トーナメントに進める。けど、相手はあのムーナさん………無我の境地に到ったあの人に、僕は勝てるのだろうか……?」
ガンプラを弄るレイラの手が若干震えている。ガンプラの性能を最大限に発揮する事が出来るフルシンクロ。本来なら長くても一分程しか持たない力をムーナは毎日フルシンクロを限界まで持続させるという荒業とも言える修行法で無我の境地へと辿り着いたのだ。
みしろも無我の境地に到っていたが、それは感情が荒ぶり過ぎて逆に頭の中が真っ白になってしまった為に一時的に出来たに過ぎない。つまり現状で真の意味で無我の境地を使えるのはムーナのみである。そんなムーナに、はたして勝つ事が出来るのか?レイラはずっとその事で頭を抱えていた。
「…………エンヴィーもあれから全然見なくなってしまったし、無呪羅達もこの大会から撤退してしまっている。テラーもあれから全く何もして来なくなったし………一体、何が起こってるんだ………?いや、今はそんな事よりムーナさんに勝って、本戦トーナメントに進出する事だけを考えないと………!」
何時も傍にいてくれたエンヴィーもテラーの一件以来姿を見せず、無呪羅達の動きも全く分からない状況だが、それは玲二達が解決すべき問題という事でレイラはその事は一先ず忘れガンプラをケースにしまい会場へと向かうのであった。
一方その頃、別の控え室では……
「……………………」
「………ムーナ、ずっと黙ってるけどどうしたんだろ?」
「なんでも精神統一して少しでも無我の境地を安定させるようにしてるんだって」
試合開始前にガンプラの整備ではなく精神統一をしているムーナ。これから戦う強敵の為に、少しでも万全な状態にしようとしているようだ。
「…………よし、そろそろ行かないと」
そして精神統一を終えたムーナはケースを腰にセットして会場へと向かおうとする。
「ムーナ、頑張ってね!これに勝てば本戦トーナメントに進めるよ!」
「えぇ、分かってるわこぼ。でもそれ以前に、私はどんな相手でも全力で楽しむ、それだけよ♪」
部屋を出る際にこぼと軽いハイタッチをして会場へと向かうムーナ。その通路で、ムーナは突然足を止め手を口に当てていく。
「うぷ……ハァ、やっぱり昨日の無我の境地が効いてるのかしら?最近妙に吐き気もするし、疲れてるのかしら………?」
自分の身体に感じる違和感に戸惑いながらも、ムーナは気持ちを切り替えて会場へと向かうのであった。
「遂に、遂に此処まで来てしまった……GWDWC決勝へと進む為の本戦トーナメントへの残りの切符は後一枚。激戦を制し、勝ち上がるのはどちらかッ!?五回戦最後の試合ッ!ムーナ・ホシノヴァVS安室レイラの試合が間もなく始まりますッ!!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
本戦トーナメント最後の一人を決める戦いなだけあって、Cブロック会場には多くの観客達が押し寄せていた。玲二は勿論、ホロメンや他の参加者達もこの試合をかなり楽しみにしていたのかかなりワクワクしている。
「なぁ、どっちが勝つと思う?」
「そりゃあお前、ムーナさんに決まってるだろ?あの人は無我の境地っていう最強の力を使えるんだぜ」
「でもあのレイラって子も相手がフルシンクロ使ってても簡単に蹴散らしてたわよ?」
「どっちが勝つかなんて全く予想出来ねぇよなぁ……?」
それぞれどちらが勝つかという考察を立てていくが、互いの実力的にどちらが勝ってもおかしくはないこの勝負。どちらが勝つかというのは殆ど個人的な感想になってしまうので無意味であろう。それにそんな事をせずとも、今から全て決まるのだから考察するだけ野暮である。
「フフ、漸く此処まで来たわね。ダーリンも注目してる貴方とのバトルは本当に楽しみにしてたわ♪」
「……僕も、この大会でおそらく最強格である貴方と戦えるのが堪らなく嬉しい。けど、勝って本戦トーナメントに進むのは僕だ!」
「あら、それはこっちも同じよ。でもお互い、悔いの残らないように全力でぶつかり合いましょう♪」
ムーナはそう言って一足早く筐体へと入っていく。その姿を見てレイラは、ある違和感を感じた。
(………?ムーナさん、なんだか少しだけ苦しそうにお腹を擦ってたけど、どうしたんだ……?)
一瞬気になりつつもレイラもすぐに筐体へと入りガンプラをセットしていく。そして互いに準備を済ませると、それぞれのガンプラが読み込まれていきゲームが始まろうとしていく。
Game Mode:1on1
Field:Standard
PlayerA:Moona Hoshinova
PlayerB:Amuro Reira
そして数分後……
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―
「ハアァァァァァァァァァァッ!」
「デェヤアァァァァァァァァァァァッ!!」
―ドゴオォンッ!バコオォンッ!ガッシャアァァァンッ!!―
「す、スゲェ……!?」
「全然目が追いつけねぇ……!?」
「これが、優勝候補同士の本気のバトル……!?」
バトルが始まってから数分、ムーナは最初から無我の境地を発動しムーンゲイザーで凄まじい斬撃を繰り返すが、レイラのフォーエバーガンダムもビームサーベルで捌きながら反撃を行っていく。その動作は常人では殆ど視認出来ない程に速く鋭いものである。
「は、速過ぎて見えない……!?」
「それに、無我の境地を使ってるムーナの攻撃を、フルシンクロも使ってないのに彼処まで避けるなんて……?!」
「……いや、レイラもフルシンクロは使っている」
「え?玲二さん、それってどういう事なの?」
「レイラは、攻撃と防御をするほんの一瞬だけフルシンクロを発動させているんだ。そうする事で発動時間を極力抑えて必要なタイミングで攻防をする事が出来るというワケだ」
「そんな!?それってかなり集中力がいるんじゃ……?!」
そう、一瞬だけフルシンクロを発動させるという、所謂クイックフルシンクロは理論上可能ではあるが、レイラのように瞬時に発動タイミングを見定めタイミング良く使用するというのは並のバトラーでは決して出来ない神技である。それだけレイラの集中力は研ぎ澄まされているという事である。しかし……
(クッ!流石にムーナさん相手だとクイックフルシンクロは難しい!ちょっとでもタイミングがズレたら一瞬で終わってしまう!)
並のバトラー相手では有利になる事が出来るクイックフルシンクロだが、ムーナのように素速く、そして鋭い攻撃をする相手には逆にタイミングを見定めるのが難しくなってしまう。現にレイラも集中し過ぎてる所為か汗が凄い事になっている。
このままではレイラが倒されるのも時間の問題であろう。そう観客達は思ってしまうが……
「ハァ、ハァ……!」
「?ムーナさん、なんだか苦しそうじゃない?」
「え?でも千冬様と戦ってた時は全然余裕そうだったんじゃないの?」
「けど、なんかさっきからずっと余裕なさそうじゃねーか?」
ムーナも何故か凄い汗を流して苦しそうにしている。織斑千冬と戦っていた時よりも稼働時間は経っていない筈なのに、動きにもどんどんキレがなくなってきている。
(ハァ、ハァ……ど、どうしちゃったの私?食事だってしっかり食べたし睡眠も充分、ヨガや精神統一もやって万全の筈なのに、なんでこんなに苦しいの……!?)
ムーナ自身も一体何が起きているのか理解出来ておらず、それでも勝つ為に苦しいのを必死で我慢している。だが…………
「ハァ、ハァ…………ウブッ!?ウボエェェェェェェェェッ!!」
「うわッ!?ムーナさん吐いちゃったよ?!」
「おいおい、どうなってんだこりゃあ?!」
「や、やっぱり無我の境地って無茶な力だったの……?!」
突如嘔吐してしまったムーナを見て観客達は騒然としていく。嘔吐したショックからかムーナも無我の境地が切れてしまいムーンゲイザーもまるで糸が切れた人形のように項垂れてしまった。
「ッ!今だあぁぁぁぁぁぁッ!!」
「ッ!くうぅぅぅぅッ!!」
勝機を見いだしたレイラはフルシンクロを完全発動しビームサーベルを構えて接近していく。ムーナもすぐにムーンゲイザーを起き上がらせ、ビームサーベルを構えフォーエバーへと突っ込んでいく。そして…………
―ザンッ!!………………………………ドサッ―
すれ違いざまに互いに斬撃を放ち、数秒後、片方の機体が崩れるように倒れてしまった。この勝負に勝ったのは…………
―WINNER Amuro Reira!―
レイラのフォーエバーガンダムであった。
「き…………決まった…………遂に決まったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!激しい攻防を繰り広げ、見事に本戦トーナメント最後の切符を手にしたのはぁッ!今大会最年少のガンダリウムランカー!安室レイラだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
五回戦最後の試合が終わり、観客達もレイラの勝利に大いに盛り上がっていく。だがレイラは筐体から出るやいなやすぐにムーナが入っている筐体へと向かっていく。
「ムーナさん!大丈夫ですか?!」
「ゲホッ!ガホッ!な、なんとか大丈夫よ………ハァ、ハァ………」
大丈夫と強がるムーナだが、その周りにはムーナが吐いた嘔吐物が広がっており、ムーナ自身の身体にも嘔吐物が付いてしまいかなり酸っぱい臭いが広がってしまっている。其処に玲二が慌てて駆けつけ、ムーナの身体を抱き上げていく。
「ムーナ!大丈夫か?!」
「ハァ、ハァ………ダーリン、ごめんね。私、負けちゃった……」
「馬鹿か!今はそんな事より自分の身体の心配をしろ!今医務室に連れてってやるからなッ!」
そう言って玲二はムーナをお姫様抱っこの状態で抱き抱え、急いで医務室へと向かっていった。レイラも心配になり、玲二の後を追いかけていくのであった。
三十分後………
「………成る程ねぇ?」
「どうだちょこ、何か分かったか?」
医務室に運ばれ、ちょこの診察を受けていくムーナ。検診が終わると、ちょこは何故か少し笑いながら玲二の前にいく。
「安心して、玲二様♪少なくともムーナ様が倒れたのは無我の境地とは全く関係ないから」
「え?無我の境地とは関係ない………?」
「えぇ………ムーナ様、今ざっと見る限りだとおそらく三ヶ月目ってところかしらね♪」
「三ヶ月目…………って事はまさか?!」
「えぇ。おめでたよ、玲二様♪」
そう、ちょこの診察の結果、ムーナのお腹には赤ちゃんがいる事が判明したのだ。つまりさっきムーナが吐いてしまったのは無我の境地からくる負担ではなくつわりだったのだ。
「それでムーナさん、試合前にお腹を擦ってたんだ……?」
「……まさか、私のお腹にダーリンとの赤ちゃんがいたなんてね?」
「ムーナ、自分でも気づいて無かったのか?」
「えぇ、ずっとGWDWCに集中してたし、吐気も唯の体調不良って思ってたから………そっか、レイジとの赤ちゃんか……♪」
ムーナはお腹に赤ちゃんがいると分かると、そのお腹を愛おしそうに撫でていく。
「ムーナ、すまない。俺がもっと早くに気づいてやれば、お前に無理なんてさせなかったのに……」
「ダーリンの所為じゃないわよ。私自身も気づかなかったんだから皆も気づかなくて当然だし、それに今は気持ち的にダーリンの赤ちゃんが出来た嬉しさの方が勝ってるわ♪まぁ、負けちゃったのは悔しいけどね」
そう言うとムーナはレイラの方を向き、軽く微笑み手を差し伸べていく。
「今回は私のコンディション不調で負けちゃったけど、次は絶対に勝って見せるからね!」
「は、はい!僕も、もっと強くなって再戦したいです!」
ムーナとレイラは互いに握手を交わし再戦を誓い合う。その後、レイラは医務室を後にしホテルへと戻ろうとするが、人気のない場所に行くとその場で足を止めて顔を俯かせていた。
「…………ムーナさんがつわりを起こしてなかったら、あの時負けてたのは間違いなく僕だった。運に助けられたって事か………それにしても、ムーナさんが妊娠かぁ。また玲二さんに子供が増えるんだなぁ………あぁ………
“本当に、羨ましいなぁ”………」
何時もとは違う雰囲気を放ちながら、レイラはホテルの自分の部屋へと帰るのであった………
『遂に!GWDWCの参加者も残すは八名となりましたッ!此処まで様々なバトルを繰り広げ、勝ち進んできたこの八名のバトラー達による本戦トーナメントは二週間後に行われますッ!ガンプラウォーズの歴史に最初に刻まれる最強のバトラーははたして誰なのか!?注目の決勝戦を見逃すなッ!!』
遂に揃った八名による本戦トーナメント。二週間後に行われる決戦に、バトラー達は今一度羽を休めるのであった。
真魔神file29
フルシンクロはコントロール次第で様々な応用が出来る。但し、それ相応の技術力が必要不可欠である。
次回……
GWDWC本戦までの間で通常業務をこなす玲二に、本土からの客人が来た。その女性の話を聞くと、何やらとんでもない事態が起こっているようで………?
EP68
『入島審査?』
はい、という事でムーナがまさかの体調不良により敗退でした!流石のムーナもつわりには勝てなかったようですね(-_-;)
これで漸く八人まで選手が絞られました!はたして勝つのは誰なのか?!
次回は少し日常になりますが、また何やら厄介事の予感が……?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!