今回はGWDWCの合間の話!仕事をしている玲二の元に、とある来訪者が来て……?今回も最後まで見て頂ければ有り難いです、ではどうぞ!
GWDWC五回戦が終わってから少し経ち、一週間後には本戦トーナメントが始まろうとしている中、俺達は通常の職務をこなしていた。これは、そんな時に起きたちょっとした事件である………
「は?俺に客?」
「はい、どうやら本土の方からわざわざやって来たみたいですが、何やら切羽詰まった様子で玲二さんにお会いしたいと……」
俺が書類に判子を押していると、補佐として一緒に仕事をしていたエトラから客人が来たと報告を受けた。にしても本土から?まぁ俺は今日は誰とも会うなんて予定も入っていないが、いきなりやって来て会いたいと言われても困るんだが……けど切羽詰まってるという事はかなりの要件かもしれないし、ちょっと会ってみるとするか。
「分かった、取り敢えずその人を客室に案内してくれ。俺もすぐに向かうから」
「分かりました。それと、玲二さん……」
「?どうしたんだ、エトラ?」
「…………相手の方、女性なんですが、その……絶対にジロジロ見ないでくださいね?」
は?なんでそんな事わざわざ言い出すんだ?別に今まで女性をそんなふうに見た事なんてないぞ?なんでまた念押しされたんだ……?ま、まぁ良いか。取り敢えずその来訪者に会いに行くとするか。
「失礼します。お待たせしました、佐々木で……す……?」
「あぁーーーーーーッ!やっと来てくれたんですね〜ッ!」
………成る程、エトラの言ってた意味が漸く分かった。俺の目の前にいる女性はなんていうか、その………まともに服を着ていなかったのだ。ココにも匹敵する豊満な胸は背中から生えてる羽で抑えてるだけだし、下半身も薄い生地でふんどしのようにしているだけだ。この場に警察がいたら間違いなくパトカーに連行されそうなかなり際どい格好もそうだが、それよりも気になるのが………この女性、
「あれ?そんな固まっちゃってどうかしたんですか?」
「………おいエトラ、この痴女が俺に用があるって?」
「えぇ、この痴女が玲二さんに用があるみたいです」
「初対面なのに二人揃って痴女呼ばわり酷くない!?」
いや、そう言われても仕方のない格好しているのが悪いだろ?というかこいつの種族はなんだ?天使にしては色欲に塗れてそうだし、それにこいつの首……はなく頭と体が離れているんだが?
「え、えっと、じゃあ貴方のお名前を教えてください」
「はい!私は音大首席でオペラが歌える異端系アイドルユニット『堕落学院』所属!
…………何だって?音大首席?オペラが歌える?異端系アイドルユニット?な、なんか情報量が多過ぎて頭が痛くなりそうだ……
…………調べてみたが、どうやらこの七天八十院って奴はトリリオンステージというアイドルグループに所属していて、つい先日デビューを迎えた3期生らしい。種族はサキュバス族と首無しの妖、デュラハン族のハーフらしいが………デュラハン族って高貴なイメージがあるんだが、なんでまたサキュバスと結ばれたんだ?
「………それで、その堕落学院の七天八十院さんが、玲二さんに一体どういう要件で会いに来られたんですか?」
「あ、そうだ!今日は私、佐々木さんに直訴したくてやって来たんですッ!」
「直訴?一体何をだ?」
「はい、実は…………お願いします!私達トリリオンステージの事務所を、このホロライトシティに作らせてくださいッ!!」
「「……………………はい?」」
なんだそりゃ?ホロライトに事務所を作りたい?なんでそれをわざわざ俺に直訴してきたんだ?
「いや、それは俺に直接言わず街の役所に申請してくれないか?」
「………え?役所?」
「えぇ、ホロライトで事務所を構える場合は役所に申請すればよっぽど素行が悪くない限り出来ますよ」
そう、エトラの言う通り、ホロライトに事務所を構えたいというならば役所に申請すれば余程の問題がなければものの一週間で申請が通る。トリリオンステージはセンシティブな面が強いが、それ以外は特に問題はないから申請は通るだろう。それをわざわざ俺に直訴する必要など何処にもない。
「…………えっと、役所に行けば申請出来るんですか?」
「あぁ、一週間くらいで申請は通るな」
「………その、申請に必要な面接やテストは………?」
「いえ、そういうのはありませんよ。申請された時点で役所の方々がその事務所の事を詳しく調べるので」
「…………もしかして、申請料とかっていうのは………?」
「はぁ?申請料なんてある訳ないだろ?確かに事務所を構える時に土地代やら設備代やらの契約はするが、それは俺達ではなく不動産会社とのやり取りでする事だ。唯の許可する為の申請に金なんて取らねぇよ」
というかこいつはさっきから何を言ってるんだ?もしかして、ホロライトに事務所建てるのが物凄く敷居が高いと思われているのか?なんて考えていたら………
「……………………私達、騙されてたあぁーーーーーーッ!?」
うおッ!?いきなり叫んでどうしたんだ?!え、騙されてた?一体何の事だ?
「そんなぁ〜ッ!?それじゃああいつらに渡したお金はなんだったんだよぉーーーッ!?」
「お、落ち着いてください!騙されたって、一体何の事なんですか?!」
「それにお金を渡したって、どういう事なんだ?」
「うぅ〜………実は」
「「ホロライト入島審査?」」
「はい………私達トリリオンステージは新生アイドルグループ事務所として活動をしているのですが、私達堕落学院が入った事で新しく事務所を移設しようとしたんです。それで、どうせなら新生アイドルの聖地とも呼ばれているホロライトシティに移設しようとして、その方法を探したらこのサイトが出てきたんです」
どれどれ…………『ホロライトシティに新たな風を!新生アイドルグループ事務所設立、移設のお手続きはこちらで!』………なんだこれ?
「……俺達はこんな入島審査なんてしていないぞ?確かに移住するとなればいろいろと手続きとか審査はするが、それはこの街で全て行われる。少なくとも本土の方でそれをやる事はまずない」
「うぅ、という事は本当に騙されたんだぁ〜……私達はこのサイトに応募して、なんとかホロライトシティに事務所を移設したいと申請したんです。其処で私を含めた堕落学院の面接とオーディションみたいな事をされて、入島審査料として50万円を払ったんです」
50万!?うちの事務所のスタッフの給料くらいの額じゃねぇか!?唯の審査になんでそんな金を取るんだ?!
「その翌日に審査の結果が伝えられて、その結果が不合格だったんです。理由はセンシティブ過ぎる、垢BANしそう、イロモノ感が強いって言われて……」
「そんな理由で審査が通らなかったのか?!百歩譲って最初のは分かるが、残り二つは完全に個人的主観だろうが!?」
「というより、たった一日足らずで結果を出すなんて、その人達は本当に審査してたんですか!?」
間違いない!そいつら審査とか言っておきながらただ金を騙し取っただけだ!まさかホロライトシティを利用してこんな詐欺行為してる馬鹿がいたのか?!
「おい!その審査って何時行った?!」
「え?えーっと、確か……最初は一ヶ月前ですかね?それから一週間毎に審査してもらったんですが……」
一ヶ月前!?俺等がGWDWCの準備やあの転生者だった警視総監と戦ってた時期じゃねぇか!成る程、俺達がドタバタして他に気が回らないのを良い事にこいつらはこんな詐欺をやっていたのか!
「玲二さん!このままじゃ他にも被害が出てしまうかもしれませんよ!?」
「あぁ、分かってる。七天八十院、今回の件は確認を怠った俺達にも非がある。だからこの街にトリリオンステージの事務所を移設する事は俺から許可する。その代わり、お前が被害を受けたその入島審査を行った場所に連れてってくれ」
「は、はい!」
よし、兎に角今は急いでこの入島審査なんていう巫山戯た事している連中をとっちめてやらねぇとな!
一時間後……
「……此処が例の入島審査を請け負ってる会社か?」
「えぇ!此処が私達を騙してお金を奪った連中のアジトよ!」
「いやそれにしたって三回審査しても通らなかったのに毎回大金払わされてる時点で疑問に持つべきじゃ……?」
全くだ。聞けばトリリオンは審査落ちする度に再度申請し、その時にまた大金を払っていたらしい。普通一度審査落ちした所をそんなすぐに再審査するワケがないのだが、どうやら向こう側から再審査を勧めてきたらしい。本当に搾り取れる限り搾り尽くすつもりだったんだな。
「さて、問題は奴等が今でも此処にいるかどうかだ。取り敢えずまずは中の様子を確認しないとな」
「あ、だったら私頭を離して見に行けるのでちょっと見てきますね♪」
七天八十院はそう言うと頭を完全に胴体から離し、そのまま頭だけでビルの窓を覗きにいった。言っちゃ悪いが不気味だな………
「んしょ………あれ?誰もいないみたいですね?テーブルとか備品はそのままみたいですが……」
「………やっぱりもう逃げた後か、それとも単に今出払っているだけか……いや、出払っているにしても一人もいないのはおかしいな」
「きっと詐欺だと気づかれたと思って、慌てて逃げ出したんでしょうか?」
「それはこれから調べれば分かる事だ。取り敢えず中に入って確認するぞ」
「………あれ?でも中で何か物音がしますよ。もしかして誰かまだいるんですかね?」
何?もしかして犯人グループの誰かか?………いや、もし犯人なら余程の理由がない限りもぬけの殻にした拠点に戻るような事はしない筈だ。だとすると七天八十院みたいに入島審査を受けにきた奴か?いずれにせよ、調べる必要はありそうだな。
「……この部屋だな」
「はい、間違いありません!」
「鍵は…………開いてるみたいですね。おそらくはそのまま放置してこの場を去ったんでしょうか?」
「それを調べる為に来たんだ。それに、この中でコソコソしている奴にも話を聞きたいしな。それじゃあ、入るぞ」
―ガチャ……―
…………棚やテーブルは置いたままだが、書類等の類は殆ど見当たらない。やはり、それだけを持ち去って逃げたみたいだな?なら、さっき七天八十院が見たという奴は何処に…………ん?
「うぅ〜、所長にも他の皆にも全然連絡がつかない………まだ給料も振り込まれてないのにどうしたら良いのさぁ〜!?」
…………あくあ?……いや、違う。基本的に用事がなけりゃ外出なんてしないあくあがこんな所にいる筈がない。つまり、こいつはあくあに似ているがおそらく別人だ。にしてもなんでこんな所に……?
「………おい、お前」
「ふぇ?…………え、えーっと、お客様、でしょうかね〜?」
「悪いが客じゃない。俺達は此処にいる詐欺グループについて調査をしにきたんだ」
「…………え、詐欺グループ………?え、一体何の事なの?」
目の前にいるあくあ似の女の子は何の事だか分からずにぽかんとしている。だがさっき所長とか他の皆と言っていたし、それに此処に来た俺達を客だと言った。つまり、この娘も少なからず何か関わっている可能性があるな。
「此処でやっていたホロライトシティ入島審査というのは俺達は全く知らされていない。つまり、此処にいる連中は無許可で、しかも高額な審査料を騙し取って荒稼ぎしていたという事だ」
「え?無許可って……あ、あの、貴方は一体……?」
「すみません、申し遅れました。私はあおぎり高校に所属する佐々木エトラといいます。そしてこちらの方はホロライブ日本支部支部長並びにホロライトシティ市長を勤めております佐々木玲二さんと、今回私達にこの詐欺グループを捕まえてほしいと依頼された七天八十院アエギスさんです」
「そうそう、私の依頼を受けてもらって此処まで来てくれたんですよ」
「…………ええぇーーーーーーッ!?ほ、ホロライトシティの市長さんーーーッ!?」
女の子は驚いたのかその場で尻もちをついてへたり込んでいく。なんかリアクションといい本当にあくあそっくりだな?
「…………あーーー!思い出した!あなた、私達が審査受ける時にお茶くみとかしていた事務員だよね!?」
「え?あ、その、は、はい……」
「何……という事は君もその詐欺グループの仲間なのか?」
「うえぇぇぇッ!?ち、違いますッ!?私は此処でバイトをしていただけですよぉぉッ!」
バイト?一体どういう事だ?取り敢えずこいつの話を聞いてみるとするか………
「………つまり、君は一ヶ月間だけの短期バイトとしてこの事務所のスタッフをしていたと?」
「は、はい……でも、まさか詐欺グループだなんて知らなかったし、普通にリ○ルートで見つけて選んだし………」
目の前にいるあくあそっくりの女の子、『結城さくな』はしどろもどろになりながらも説明してくれた。なんでも結城曰く、両親に短期バイトでも良いから働けと言われ、仕方なくリク○ートで求人を見ていたらこの仕事を見つけ、楽そうだからとそのまま応募して入ったそうだ。それにしても奴等、普通の求人誌とかに載せる事で詐欺であるという事を誤魔化してたんだな。
「じゃあさくなさんはその犯人グループの一味ではないんですね?」
「違うってばあぁッ!私はもう三日も経ったのに全然給料が振り込まれてこないから所長に直接会って確かめる為に此処に来ただけ!そもそも此処でやってたのがそんな詐欺だっただなんて知らなかったもんッ!」
「成る程、表向きはクリーンな会社だと思わせる為に結城のような一般人を働かせていたんだな。そして給料を払う前にとんずらしたってワケか」
それに調べてみたら殆どの書類は持ち去られていたのに結城の履歴書は残されたままだ。奴等め、あわよくば結城に罪を被せるつもりだったようだな?
「それに三日前から給料を振り込まれてなかったって事は、少なくとも三日前には此処を捨てて逃げたようですね」
「おそらく最初から払う気もなかったんだろうな」
「うぅ〜……!お母さんにいい加減仕事しろって言われたから仕事したのに詐欺だったなんてぇ〜!?こんなんだったらずっと引きこもってゲームしてれば良かったあぁーーーッ!!」
いや引きこもってゲームって、本当にあくあに似てるなこいつ?まぁこいつも騙された被害者みたいだし、結城の為にも犯人グループを探し出すとするか。
「なぁ結城、お前何か奴等について知ってたりしないか?例えば、何か怪しい会話を聞いてたとか」
「あ、怪しい会話……?うーん……………………あ」
「え、何かあるんですか!?」
「う、うん。確か、この間所長が………」
「所長、そろそろホロライトの連中に我々の事がバレそうです」
「そうか………ならそろそろ我々もホロライトへと戻るとするか。今日中に全て纏めてすぐに動けるようにしろ」
「………って会話が聞こえたような……?」
「そんな……!?まさか、ホロライトシティに詐欺グループのアジトがあるって事ですか!?」
「成る程、本来居住する為には厳しい審査をしなければならないホロライトにいた奴等がまさか詐欺グループに関わっているとは、普通誰も思わないだろうな?だが、もし奴等が本当にホロライトシティにいるなら逆に好都合だ。俺達もすぐに戻って犯人を探すぞ!結城、悪いがもう少しだけ俺達に付き合ってくれるか?」
「は、はいぃッ!?」
こうして俺達は結城を連れてホロライトシティに帰還し犯人を探す事になった。そしてもし犯人があの島の住人なら、特定するのは容易だ!
翌日……
「………此処だな?」
「はい、この資料をみる限りは間違いないかと」
「遂に犯人との対面ですね!」
あぁ、だが本当に犯人かどうかは分からないから慎重にいかねぇとな。んじゃ、いくか。
―ピンポーンッ!―
―…………ガチャッ―
「はい、どちら様で………え、市長!?」
呼び鈴を押して少し経つと、中から立派な髭を生やした初老の男性が現れ、俺を見るなり何やら慌てた様子を見せた。
「おはようございます、
「は、はぁ、何でしょうか?」
………この男、俺の顔を見るなりうっすらと冷や汗をかき出した。間違いない、少なからずとも何か疚しい事を抱えているな。
「まぁあんまり長々と話すつもりもないんで単刀直入に言います。貴方、本土の方でこの島の入島審査とかいうのをやっていたようですね?」
「ッ!?な、なんの事でしょうか?私はそんな事なんてした覚えはないんですが……?」
「惚けないでください。貴方はトリリオンステージに所属する七天八十院アエギスさんを含む複数の人達からこのホロライトに事務所設立の審査をすると言って多額の審査料を騙し取った疑いがあるんです」
「な、何を言ってるんですか!?私がそんな詐欺みたいな事をしているワケがないでしょう!いきなりやって来たと思えばなんて事言い出すんだ!?幾ら市長と言えど許さないぞ!」
………やっぱり否定してきたな。だが、こっちには既に証拠は揃ってるんだよ。
「………兎克さん、貴方はこの島を出入りする際に記録表が付けられている事はご存知でしょうか?」
「は?記録表………?」
「えぇ、ホロライトシティには住人が船や航空機、又は転移装置を使用する場合、必ず入島、出島の記録が付けられるんです。勿論兎克さん、貴方も例外ではありません。先程の入島審査が行われていたのは約一ヶ月間……その時期と貴方のこの島の出入りしていた時期がぴったりと合ってるんですよ」
「な……!?で、でもそれなら他の住人にだって……!」
「残念ですが、貴方以外でこの一ヶ月間もの間ずっとホロライトを離れていた住人はいないんですよ。あっても数日で帰ってきたり、それ以上前から出張等で出払っている人だけなんです」
「それに調べたがあんた、今は特に仕事をしてないようだな?それなのにこんな家賃20万もする良いマンションに住んでいる。一体何をしたらこんな良いマンションに住めるんだ?」
「う、うぐぐ………クク、確かに私は今は職には就いてない。だが、私は今株の投資でかなり上手くいって儲かっているんだ。だからこのマンションにも問題なく住めるのだ!さぁ、これでも私を詐欺師扱いする気か!?」
…………やはり、まだ言い訳して逃れようとするか。なら、そろそろあいつ等を呼ぶとするか。
「……なら、こいつ等とも会った事はないんだな?おい七天八十院、結城、来てくれ」
俺は通路で待機させていた二人を呼んで男と対面させる。さて、どんな反応を見せるか……?
「どうです二人共、この方に見覚えがありますか?」
「…………え、えーっと………」
「……あ、あの、ごご、ごめんない。私、この人の事見た事ない、です………」
「え!?そ、そんな?!本当ですか?!」
「……フ、フフ、フハハハハァッ!それ見た事か!そんな被害者とお茶汲みを連れてきたところで私は会った事がないんだから知るワケがないだろう!そいつらを連れて私を犯人だと断定しようとしたみたいだがアテが外れたなッ!」
………ふむ、やはりな。今ので完全に確信に変わったわ。
「……高笑いしてるとこ悪いが兎克さん………いや、兎克。テメェが完全にこの事件に関わっているのは明確になった!」
「な!?何を言ってるんだ貴様ッ?!今こいつが私の事を見た事がないと言ってただろうが!それなのにまだ私を犯人扱いする気か!?」
「………なら聞くが、何故お前はこの二人が被害者とお茶汲みだって分かったんだ?」
「………………は?」
「まぁ百歩譲って被害者というのはある程度想像つくが、お茶汲みというのは実際に働いているところを見なければ分からない事だ!なのに何故お前には片方がお茶汲みだと分かったんだ!?」
「な……!?し、しまった?!」
まさか自分からボロを出してくれるとは思わなかったな?結城がお茶汲みだと分かるには実際に働いているところを見なければ分からない筈だ。それをこいつが知っていたという事は、間違いなくあの場所にいたという事だ!
「で、でも市長さん!?さっきも言ったけど私、この人見た事ないんだけど……?!」
「あぁ、そりゃ見た事なくて当然だ。だってこいつの顔は……!」
―ベリイィッ!―
「うぐぁッ!?」
俺は兎克の髭と髪の毛を掴み思いっきり引っ張っていく。すると髭と髪が取れ、兎克の本来の顔が現れたのだ。
「え…………あぁーーーッ!?しょ、所長!?」
「あぁ!こいつ私の審査を担当してた男だーーーッ!!」
「成る程、髭とカツラで変装していたってワケですね!」
「あぁ、住民票を見た時にこのマンションに住む兎克は一人暮らしの23歳。それなのに出てきたのは立派な髭を生やした長髪の初老の男性だった。他に住んでる奴がいないとすれば、こいつが周りを欺く為に変装していたという事だ!」
おそらく普段はこの格好で周りを欺いていて、本土に行った際は変装を解いて詐欺を行っていたんだろう。普通なら逆をするんだが、まさか普段の方が変装の姿だなんて誰も思わないだろうと思ってたようだ。
「な、何故俺の変装が分かった!?完璧な変装だった筈なのに……!?」
「完璧?バーカ、ルイスの変装に比べればお前の変装なんて仮装大賞レベルなんだよ。さぁ、もうすぐ俺の知り合いの警官達も来る。大人しく自首をするか、それともまだしらを切るつもりか?」
「く……クソぉ!このホロライトを隠れ蓑にすれば怪しまれずに済むと思ったのに………!」
もう逃げられないと観念したのか、兎克はその場で膝をつき項垂れていった。その後、中川さんや麗子さんに連れて行かれ、取り調べの結果、他にも複数の詐欺を行い約五千万もの大金を騙し取っていたようだ。当然奴はホロライトから追放、本土の警察へと引き渡されていった。奴の仲間も捕まるのは時間の問題だろうし、これでこの事件は終わりだな。
翌日……
「佐々木さん!この度は事務所移設の許可ありがとうございました!」
「いや、俺もお前が来てくれなかったら解決がもっと遅れていたかもしれない。だから俺からも礼を言わせてもらうよ」
「それにさくなさんも共犯者じゃないという事が証明されて良かったですね♪」
あぁ、無事にトリリオンステージも事務所を移設出来たし、結城も潔白が証明されて謝礼もあげたし一件落着だな。ただ、結城はあの後すぐに本土の方に帰ってしまった。どうやら今回の事で外が怖くなってまた暫くは引きこもるそうだ。まぁ、仕方ないといえば仕方ないな………にしても
「うーん………結城って名字、何処かで聞いた事があるような気が……?」
「玲二さんもですか?実は私も何処かで聞いた気がして……」
エトラもか。一体何処で聞いたんだろうか………?
「もぉ~!暫く外に出るの嫌なんだけどぉ〜!」
《アハハ、それは大変だったね。でも働けとまでは言わないけど、偶にはちゃんと外に出ないと伯母さん達も心配しちゃうよ?》
「うぅ〜……だって、私明日奈ちゃんみたいに人に注目されたら間違いなく気絶するもん……」
《うーん、そんなものなのかなぁ?でも、それでも折角ホロライトに来てたなら私の応援してほしかったなぁ〜》
「あんな沢山の人がいる所なんて絶対無理!ちゃんと公式チャンネルで配信見るからそれで勘弁してよぉーーーッ!?」
本土の実家に戻ったさくなは従姉妹である明日奈とTV通話をしていた。アグレッシブな明日奈と違い、人混みや騒音が苦手なさくなはまた暫くは家に引きこもってしまうのであった………
真魔神file30
ホロライトシティにアイドル事務所を設立する場合は、役所で申請する必要がある。何らかの理由で申請が却下された場合は一年間は再申請は不可能である。
次回……
遂に始まる本戦トーナメント!最初の試合はフブキとビルドダイバーズの主人公リク!そして本戦トーナメントのステージはとんでもないものであった!
EP69
『九尾VSエース』
はい、という事で詐欺師撲滅回でした!ゲストとして最近話題の七天八十院アエギスと結城さくなを登場させましたが、多分今回限りの一発キャラになりそうですかね……(^_^;)
次回はいよいよ本戦トーナメント!フブキとリク、はたして勝つのはどちらだ!?次回もまったりと待って頂ければ幸いです、ではまた!