ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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昨日知り合いからお前どんだけ小説書き溜めてんの?って言われましたが別に書き溜めてはいないんです。投稿した後思いついたネタをそのまま書いてるだけなんです。だからこんな駄文なんです(T^T)

とまあ、そんな事はさておきこんな小説に評価やお気に入り登録して頂き感謝です。今回はちょっといつもと志向を変えて書いて見ましたので楽しんで頂けたら有難いです。ではどうぞ( っ・ω・)っ


第6話『ガンプラの鬼降臨』

ホロライブプロダクション

今やその名を知らない者はいない程世界的人気のアイドル事務所の日本支部である此処には30人程のアイドルが所属している。そんな事務所の中は今……とんでもない事態に陥っている。というのもこの場にいるアイドル達がおかしくなってしまったのだ。

 

ある者はまるで魂が抜け出たように呆然と上を見上げ、ある者はずっと泣きじゃくっており、またある者は壁に向かって何やらぶつぶつと呟いている。中には事務所にすら来ないで家に引きこもったり自身のチャンネルを休止してしまう者さえいる。

 

(……どうして?どうして皆こんな事に…)

 

そんな中まだ辛うじて普通な者がいた。ゲーマーズの一人である狼の獣人ミオだ。彼女は平常心を保っているが、他の皆を見て何故こんな事になってしまったのかを考えていた。

 

(……いや、考える迄もない、原因なんて分かりきってる。だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今この事務所にレイさんがいないんだから)

 

 

そう、実は今現在この事務所に佐々木玲二はいない。それは休みだからとかではなく、彼自身は今この事務所から外れているという事なのだ。一体何故?事の発端は今から一ヶ月前に遡る………

 

 

 

 

 

―一ヶ月前(前話の一週間後)―

 

「……え?俺が一ヶ月間のEN支部の研修に?」

 

「あぁ、向こうの支部長からの強い要望でね。どうも君の仕事ぶりを向こうでも活かしてほしいそうだ」

 

出社して早々俺は社長からEN支部への研修を命じられる。しかしENか…英語全く喋れないのに何故俺が指名されたんだ?

 

「社長、お言葉ですが俺は英語喋れないですし、俺よりも優秀な社員がいるのでそちらに頼まれては?」

 

「いや、それが実は指名したのは支部長だけではなくて向こうに所属している小鳥遊さんと森さんも君の事を強く要望していてね。通訳に関しては自分達がするから是非君と仕事がしたいとの事なんだ」

 

小鳥遊と森……あぁ、キアラとカリオペか。確かにあの二人とは一度こっちに来た時に仕事したな。まさかそれがきっかけで向こうに呼ばれるとは。まあ、仕事の幅を広げるチャンスと思えば良いか。

 

「分かりました、それでいつ出発すればいいのでしょうか?」

 

「おぉ、行ってくれるんだね!では、明日の14時頃に出発してくれ」

 

「明日!?随分急ですね……」

 

「すまない、本当はもう少し余裕を持たせたかったんだがご時世的な事情でどうしても急ぎになってしまうんだ。明日その時間に我が社のプライベート機を用意するからそれで向かってくれ」

 

プライベート機?!そんなのあるのかうちの会社!?い、いやそうか、この会社今かなり稼いでいるからそれぐらい用意出来るのか、流石世界一のアイドル事務所…

 

 

こうして俺は急遽EN支部に一ヶ月間の研修を受けに行く事になった。向こうに行くことは通訳がいるなら別に何ともないが、唯一の不安はあいつ等がちゃんと仕事してくれるかだけど……まぁ、隔離期間合わせて約二ヶ月間弱離れるが、あいつ等も子供じゃねぇんだから(一部除いて)俺がいなくたって大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

あれから一ヶ月程経ち、今事務所内は地獄絵図と化していた。初日に玲二が研修に行ったと聞かされホロメン達はYAGOOを問い詰めていたりもしたがこれも玲二のスキルアップの為と思い最初は皆我慢して頑張ろうとしていた。

 

しかし、それも日が経つ毎に徐々に皆がおかしくなり始めていた。例えば……

 

 

「ウヘヘヘェ…レイくんもう離しませんよぉ…♪」

 

「玲二さぁん…やっとラミィ達夫婦になれましたねぇ…♪」

 

 

フブキはソファーの上にあるクッションを抱き締めながら、ラミィは何も書かれていない婚姻届を握り締めながら不気味な笑顔を浮かべている。最早末期である。

 

 

「うぅ~、あぅあぅあ~」

 

「ふぎゅうッふぎゃあ!ふぎゃあ!」

 

「ブーブー、ブーブー」カラカラッ

 

 

ルーナとスバルとねねの妹分達は完全に幼児退行してしまい喋れなくなってしまっている。

 

 

「あれ?なんでわたしあいどるなんてやってんだろう?そもそもあいどるってなんだっけ?それいぜんにわたしってだれだっけ?」

 

「あずきはいままでれいじさんにほめてもらえたからがんばってこれたわけであれ?じゃあれいじさんがいないいまあずきのそんざいりゆうってなんなんだろう?」

 

「なんでみこにぇっていうんだろう?そもそもにぇってなんなんだろう?」

 

 

そらとアズキとみこはまるで壊れたロボットの様に同じ事を繰り返している。既に崩壊寸前である。

 

 

その他にも先程から無言な者、苛立ちで他人に当たる者、自ら退職届を出そうとしようとする者等最早無法地帯以外の何ものでもない。因みにロボ子は玲二がいなくなってから直ぐに事務所の隅でスリープモードになり、背中には『マスターが帰ってくるまで起こさないで ロボ子』の貼り紙が貼ってある。

 

(…レイさんがEN支部に行って一ヶ月、まだ折り返しなのにもう事務所が崩壊しかけている…ウチも正直限界だけど、レイさんに頼まれた以上最後まで皆を支えないと!)

 

そう、実は玲二が出発する際ミオを始め一部のホロメン達に自分が不在の間皆を支えてほしいとお願いしていたのだ。お願いされたメンバーは玲二の期待に応える為にも心折れそうになっても頑張って皆をサポートしていた為に何とか完全崩壊は食い止めている状態なのだ。

 

(えっと、今事務所にいないのは……あやめとシオンところねか。シオンはちょこ先生にお願いしてころねは多分おかゆが見に行ってくれる筈、ならウチはあやめの所に行ってみよう)

 

ミオは今事務所に来ていないあやめの様子を見に行く為に荷物を纏めていく。

 

「それじゃあフブキ、ウチはあやめの所に行くから何時までも其処でゴロゴロしないでレッスン受けに行きなよ」

 

「はぁい、分かってるよぉ~うえっへっへっへ♪」

 

ミオが呼び掛けるもフブキは返事はするものの相変わらず不気味な悪い方をしながら抱き締めているクッションに顔を擦らせている。そんなフブキをミオは見ていられず顔を背け涙を堪えながら事務所を後にした。

 

 

 

 

 

―一時間後、あやめ宅前―

 

電車に揺られる事一時間、ミオはあやめの住むマンションに到着し部屋の前に立っていた。郵便受けには結構な量の手紙が挟まっており、もしかしたらいないのではと疑ってしまうがミオは取り敢えずインターホンを鳴らしてみた。

 

―ピンポーンッ―

 

―シーンッ…―

 

「…あれ?いないのかな…おーいあやめー。いるなら返事してー―ガチャッ―…あ、鍵開いてる」

 

何気なくドアノブを捻ると無用心にも扉には鍵がかかっていなかった。ミオは仕方なく恐る恐る中に入ってみる。

 

「うっ……?!何これ、ゴミだらけじゃん!?」

 

中に入ると其処はまるでゴミ屋敷だった。食べ終わったカップ麺やお菓子の袋がそこら辺に散らばっており、他にもジュースや酒の空き缶まで散乱している。結構な時間放置していた為かお菓子の袋等からコバエのような虫が集っており異臭を放っている。窓もカーテンで閉まっており外の光が殆ど入ってきていない。正に最悪な状況である。

 

「あ、あやめ~?だ、大丈夫?いるなら返事し「なぁ~にぃ~…?」うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ?!!」

 

ミオは恐る恐るあやめを呼ぼうとした瞬間、奥の部屋から何かが蠢きこの世の者とは思えない程の低い唸り声のようなものが聞こえ思わずミオはパニックになってしまうが……

 

「……あれ?ミオちゃんだ…おはなきり~…」

 

「余ぉ~…」

 

「……へ?」

 

自分の名前を呼ばれミオは蠢いていた物体に目を戻す。其処にいたのは額に二本の角が生えた鬼人『百鬼あやめ』とそのペットである『ぽよ余』だった。只、その美しかった白い髪はくすんでボサボサになっていて顔もかなりやつれており、手には少し歪んだ箱を抱えている。ぽよ余もまるで汚れたぬいぐるみのように汚くなっていた。

 

 

 

 

 

―それから約三時間後―

 

「全く!こんな汚くなるまでずっと部屋を放置するなんて!」

 

「ご、ごめん余ミオちゃん…玲二様がいなくなってから何もする気が起きなくて……」

 

「余ッ!余ッ!」ピョンピョンッ!

 

あれからミオはあやめの部屋のゴミを纏めて部屋を換気しながら掃除をしていた。その間にあやめとぽよ余を風呂に入れて綺麗になってもらい、ぽよ余は久しぶりに風呂に入ったお陰か元気よく跳ねている。

 

「それにしてもレイさんがいなくなってから全く外に出てなかったなんて。食料も尽きてたのによく今まで生きてたよね……」

 

「だって余鬼だから少しの間食べなくても平気だし、昔人間様達に追いかけ回された頃に比べたら全然……」

 

「にしたってあんな状態になるまで引きこもるなんてダメでしょ!ウチが来なかったらどうするつもりだったのさ?!そんな姿見たらレイさんだって心配するでしょ!」

 

「うっ…ごめんなさい……」

 

ミオに怒られてあやめは持っていた箱をぎゅっと抱き締めながらシュンとなる。ぽよ余も慰めてるのかあやめの頭の上によじ登りぴょんぴょん跳ねている……慰めてるのかそれ?

 

「…ところでさっきからずっと抱き抱えてるその箱なんなの?見た所ガンプラみたいだけど」

 

「あ、うん。余が前に買ったガンプラだぞ。玲二様と一緒に作りたくて買って遊びに行こうとしたんだけど、丁度その日に玲二様EN支部に行っちゃって…」

 

そう言ってあやめは抱き抱えいたガンプラ『MG 戦国アストレイ頑駄無』をミオに見せる。その箱は強く抱き締められていたせいか所々歪んでしまっている。

 

 

『MG 戦国アストレイ頑駄無』

ガンダムビルドファイターズに登場するニルス・ニールセンが作ったガンダムアストレイの改造機。二本の刀とサブアームにもなる両肩の大袖、更には盾としても使える鬼面を模したバックパックが特徴的な和風チックなガンプラである。

 

「玲二様があの日いなくなって、折角買ったこれも一緒に作れないと思ったら悲しくなってきて……」

 

あやめはそう言うとまた戦国アストレイの箱を抱き締める。その目からは大粒の涙が零れ、ぽよ余は泣いてるあやめを慰めようとちっちゃな手で頭をナデナデしている。

 

(こ、これは重症だ…何とかしてあやめを立ち直らせないとこのままじゃ鬱病になってしまう。というかYAGOOがレイさんをEN支部に飛ばさなかったらこんな事にはならなかったのに…ダメだ、急にYAGOOに対して○意が湧いてきちゃった。いや、今はそんな事よりあやめを……こうなったら!)

 

「あやめ!」

 

「え、な、何?ミオちゃん」

 

「一緒にそのガンプラ作ろう!」

 

「え?!」

 

ミオの突然の申し出にあやめは驚く。そもそも玲二と一緒に作ろうとしていたガンプラを何故今ミオと作る事になるのかあやめには理解出来なかった。

 

「ほら、レイさんも言ってたじゃん!ガンプラは気分転換するのに丁度良いって。今あやめは気持ちが沈んでるから一緒にガンプラ作って気分転換しよ!」

 

「で、でも……」

 

「それにウチ等だけで作って良いのが出来たらレイさんも帰って来た時にきっと誉めてくれるよ!あやめ、頑張ったなって!」

 

「ッ!!そ、そうか……ミオちゃん、余作る!凄いのを作って、玲二様に誉めて貰うんだ余!」

 

玲二に誉めて貰う。その言葉を聞きあやめは一気にやる気を取り戻した。地文だが言わせてもらおう、何てチョロいんだ。

 

「よし、それなら早速行こう!」

 

「え?ミオちゃん、行くって何処に……」

 

「良いからほら、早く着替えて出掛けるよ!」

 

「え?え?え?」

 

あやめは訳が分からぬまま着替えさせられ、そしてミオに連れられるまま何処かへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

―目的地到着―

 

「よし、着いた!」

 

「着いたって…ね、ねぇミオちゃん?」

 

「ん?どうしたのあやめ」

 

「此処って……玲二様のおうちだよね?」

 

そう、あやめがミオに連れてこられた場所はなんと玲二の家だった。本来の家主がいないのにミオは何故此処にやって来たのか?

 

「大丈夫、ほら早く中に入ろう?」ガチッガチャッ!

 

「え?!ミオちゃんなんで鍵開けれるの?!玲二様のおうちの鍵ってこの前変えられたのに?!」

 

「レイさんがEN支部に行く前にウチと他に二人くらいに何かあった時用に預けてくれたんだ。もしあれだったら此処でガンプラ作る為の工具もあるから使って良いって」

 

そう、玲二は自分が事務所からいなくなる前日にミオを含む信用できるメンバーに鍵を預けていた。もし何かあった時に気分転換出来る用にゲームも用意しているし何より此処なら工具が一式揃っているので思いのままガンプラを作る事が出来る。因みにミオ以外に鍵を預けたのはフレアとぼたんの二人であり、二人も心折れそうな時は此処に来て気分転換をしていた。

 

「それじゃあ早速組み立てよう。あやめはMGって作った事あるの?」

 

「ううん、ないぞ。いつもガンプラ買う時はHGか武者頑駄無だったから、MGはこれが初めてだぞ」

 

「そ、そうなんだ…ウチもHGかRGとかだからMGは…いや、確かレイさんはMGは要はでかいRGみたいなもんだって言ってたから、多分大丈夫だよね?」

 

此処で二人とも実はMGは初めてという事に気づく。MG(マスターグレード)は1/100スケールのガンプラで、その最大の魅力は設定に忠実な内部構造とHG等では再現しきれなかったモールドや色分け等である。先程のミオの言った通りMGはデカイRGと言う人もいるが実際は内部構造もRG以上にしっかりしている為パーツ数は相当ある。

 

「それじゃあレイさんを驚かせる為にも、頑張って組み立てていこう♪」

 

「おぉー♪」

 

こうしてあやミオによる初めてのMG作りが幕を開けた。因みにぽよ余は今玲二のベッドの上で跳ねて遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

―そして翌日―

 

「や、やっと終わった……」

 

「…もう、日が昇ってる余…」

 

あれから時間が経ち、現在朝の6時。予想以上のパーツの多さにゲート処理や跡消し等をしていたらすっかり朝を迎えていた。二人がかりでMGを作るのにこれだけ時間が掛かったのにRGとはいえ初めての時に三、四時間程で作ったそらとアズキは凄かったんだなと感じる。

 

「……取り敢えずまずは此処までにして一旦寝よ?」

 

「……うん、眠い」

 

とまあ、何はともあれまずは第一段階の組み立ては完了したので二人は一旦眠りにつくことにした(勿論玲二のベッドで)。

 

 

 

 

 

―そして昼頃起床―

 

「よおし。一眠りもしたし、最後の作業をしていこう♪」

 

「おぉ~……」Zzz…

 

一眠りを終えて再び作業を始める二人。あやめは低血圧のせいかまだ眠たそうにしているが、何にせよこのMG作りもいよいよラストスパートとなった。

 

「……と言ってもここからどう仕上げて行こうかな?一応ジャンクパーツにMGアストレイの刀二本見つかったけど……」

 

「うーん………ッ!そうだ、良い事思いついた!」

 

この戦国アストレイをどう仕上げようか考えているとあやめは突然デザインナイフを使い戦国アストレイのボディに傷跡を付けていく。

 

「ちょちょちょッ?!ちょっとあやめ、いきなり何してるの?!」

 

「ん?このままじゃ寂しいから、やっぱり武者モチーフだから傷痕がある方が感じ出るかなぁって。ほら、これなんて刀でズバァッって切られた痕っぽいでしょ?」

 

突然の事にミオは驚くがあやめは付けた傷痕を見せると左肩から胸部にかけてまるで刀等で切られた様な跡が出来ている。実はこれはダメージ加工といってデザインナイフやピンバイス等を使って削りその部分を塗装する事によりまるで戦って負った傷痕のような仕上がりになるのだ。

 

「ほ、ホントだ、デザインナイフで切ったとは思えないえぐれ方してるけど…」

 

「ふふん、彫刻は余得意だからな♪この調子でどんどん切っていこうっと♪」

 

あやめは彫刻の要領でパーツに傷痕を与えていく。そして塗装に入ると取り出したのはマーカーではなく何やら塗料の入った小瓶と筆を用意し始めた。

 

「え?あやめ、それって何?」

 

「これ?玲二様の塗料の所にあった小瓶の塗料だぞ。本当ならエアブラシ?とか言うもので色を塗るらしいけどこういったダメージ加工の時は筆塗りの方が良い感じになるって言ってたんだ余」

 

そう言ってあやめは黒鉄色の塗料を細めの筆に付けて傷痕を塗っていく。すると傷痕の部分が深みを増してよりリアリティーが出てきた。

 

「よおし、このままどんどん塗っていくぞぉ~♪」

 

「お、おぉ~……」

 

意気揚々と作業を進めるあやめに対し完全に置いてきぼりになってるミオであった。

 

そして……

 

「おしッ!これで塗装終わった余♪」

 

「ホント?それじゃあこれで完成だ「いや、まだだぞ?」…え?後はトップコート噴くだけで終わりじゃないの?」

 

「その前に最後にウェザリングしないと」

 

「うぇ、うぇざりんぐ……?」

 

「汚し加工の事だ余。ほら、傷痕の部分は良いとしてそれ以外の部分がちょっと綺麗すぎるでしょ?」

 

そう言って見せた戦国アストレイは確かに傷痕以外は綺麗なままでアンバランスな状態になってしまって少しカッコ悪く見えてしまってる。

 

「だからこのウェザリングマスターっていう汚し塗装用の道具を使って色んな所に汚れを付けてるんだ余。この100均のアイシャドウブラシを使って状況に合わせて汚れの種類を変えてちょちょっと付けていけば良い感じになるぞ」

 

今回使っているのはタミヤから出ているウェザリングマスターという汚し塗装用の塗料。見た目は化粧道具のアイライナーに似ていて、あやめはその中からサンド(砂色)を選んでアイシャドウブラシを使ってちょんちょんと足パーツに付けていくとまるで砂汚れのような跡が付いていた。

 

「……て言うかあやめ、ダメージ加工といいウェザリングといい、何でそんなに詳しいの?」

 

「ん?全部玲二様に教えてもらった事だぞ?ミオちゃんは教わってなかったのか?」

 

「…ウチ、一回もそんなの教えてもらってない……」

 

あやめが今までやっていた事は全部玲二からの受け売りだった事を聞くとミオはあやめに少し嫉妬してしまった。自分の方が先に玲二とガンプラを作り始めた筈なのに何故自分が教わってないやり方をあやめが知っているのかと。

 

実はこれには理由があり、ミオはどちらかと言うと綺麗な塗装をしたガンプラを好んでいたため玲二は恐らくウェザリング等を教えてもあまり好みじゃないなら教えたって仕方がないと思い敢えて教えていなかったのだ。あやめやぼたんは逆にこういった汚れ加工は好みだったので自然とやり方を教わっていたのである。(前回の陸戦型デュナメスもあの後汚し加工をしていた)

 

(そりゃウチはどちらかと言うと綺麗なガンプラの方が好きだけど、こういった汚れ加工もしてみたかったのに……もっと積極的にレイさんに教えて貰えば良かったかな……)

 

「?どうしたのミオちゃん」

 

「え?い、いや何でもないよ。それじゃ早く終わらせて完成させよ、これならウチも出来そうだし手伝うよ」

 

「うん♪よっし、頑張るぞー!」

 

「「おぉー♪」」

 

こうして二人は最後の仕上げに取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

―それから数時間後―

 

「……遂に、完成したね」

 

「うん…余が玲二様に頼らないで素組以外で作った初めてのガンプラ!」

 

時刻は午後十時半、あれから納得のいくウェザリングを試行錯誤しながら行っていき、最後につや消しのトップコートを噴いて遂に完成させた戦国アストレイが今テーブルの上で四本の刀を構え立っていた。

 

 

『戦国アストレイ頑駄無 ダメージ加工Vr.』

百鬼あやめが作り上げたガンプラ。特別な改造はしていないが至るところに斬撃によって受けた様な傷痕やウェザリングを施した事でまるで歴戦の猛者のような重厚感のあるガンプラとなった。更にはジャンクパーツの中にあったアストレイの刀二本をサブアームの大袖に持たせる事により四刀流を実現している。因みにあやめの拘りポイントはバックパックの鬼の鬼面の右角に自分と同じ様な傷痕を付けた所である。

 

「おぉ、こうして見ると元がプラモデルとは思えない……」

 

「ちょっと大変だったけど、納得のいく戦国アストレイになった余。これ玲二様が見たらびっくりするだろうなぁ」

 

改めて完成したガンプラを見て二人は喜びを分かち合う。これを玲二に早く見せたいという気持ちもあり、二人は早く戻って来る日が来ないかと待ちわびていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガチャッ―

 

「あれ?誰か中にいんのか?」

 

「「え……」」

 

そんな事を考えていると突然玄関の扉が開き、そこから本来ならまだ聞こえない筈の声が聞こえてきた。そしてその数秒後、リビングの扉が開き其処にいたのはまだEN支部にいる筈のこの家の家主、佐々木玲二だった。

 

「あ、なんだミオとあやめか?どうした、二人でガンプラでも作ってたのか?」

 

「れ、レイさん……?どうして?まだEN支部で研修していたんじゃ……」

 

「あぁ、それなんだけどさあ、向こうで隔離期間を終えてEN支部で仕事してたんだけど一週間目で社長から連絡があって緊急事態だから急いで戻って来てほしいって言われてな。急遽戻ってこっちの隔離期間も終えて帰って来たんだよ」

 

「余ッ!余ッ!余ぉ~♪」

 

「お、なんだぽよ余までいたのか久しぶりだなぁ」

 

玲二は早く帰って来た経緯を話ながら荷物をソファーに置いて手洗いをしていく。そんな玲二を察知したぽよ余は寝室から飛び出し玲二の頭の上によじ登り嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。

 

「そういやテーブルの上にあるのって戦国アストレイか?二人で作ったのかこれ?めちゃくちゃカッコいいなこのダメージ加工……ってどうした二人とも?」

 

 

「「う…うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんレイさあぁん(玲二様あぁ)ッ!!!」」ダキィッ!

 

「おわぁッ?!ど、どうしたんだよ二人して……?!」ドサァッ!

 

玲二の姿を見て最初は固まっていたが徐々にその目に大粒の涙が溜まっていき遂には決壊したダムのように大泣きしながら玲二に飛び込んだ。

 

「ごめんなさあぁい!ウチレイさんに皆の事任されたのに、ウチ頑張ったけど!頑張ったけどぉ……ッ!!」

 

「玲二様余辛かった!玲二様いなくなってミオちゃんがいなかったら余はぁッ!!」

 

「……成る程、お前等の様子を見たら相当大変だったんだな。よしよし、よく頑張ったな二人とも……」

 

二人は今まで溜め込んでいたものを吐き出すかのように玲二の胸でわんわん大泣きし、その様子を見て現状を把握した玲二は取り敢えず二人を宥める為に頭を撫でて落ち着かせていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから一週間後―

 

「全く、たかが俺がいなくなっただけで何でこんな崩壊寸前になるんだよ?!配信も一ヶ月近く休みやがって!」

 

『ご、ごめんなさぁい……』

 

あれから俺はミオ達から現状を詳しく聞き、その翌日各メンバーの所に行き説教をした後直ぐに遅れを取り戻す為の軌道修正を行い、そして三日前に漸く全てが元通りになった。どうやら俺がいなかった間ほぼ全員配信を行ってなかったらしくネットニュースでは『遂にホロライブ倒産か?』なんて記事が出ていて誤解を解くのに一苦労した。そしてその記事のコメント欄に『とうとう佐々木がいなくなったか?』なんてコメントが多かったのはびっくりしたが。

 

「ほら、来月にはライブイベントがあるんだからレッスンする奴はとっとと行け!配信する奴は早く戻って準備をしろ!」

 

『は、はいッ!!』

 

ともあれ軌道修正はしたもののまだ遅れは完全に取り戻せていないので俺は皆に指示を出して行動させる。

 

「お疲れ様です玲二さん」

 

「レイっちお疲れ~」

 

「ん?フレアにぼたんか、お疲れさん」

 

そんな俺の所にぼたんともう一人、金髪で褐色肌のハーフエルフ『不知火フレア』がやって来た。その手には俺の家のスペアキーが握られている。

 

「二人とも俺がいない間ありがとうな」

 

「い、いえ、アタシなんてそんな対した事なんて、精々ノエちゃんやマリン達を支えるぐらいしか出来なかったですし……」

 

「あたしも自分の事に手一杯だったから皆の事構ってあげれなかったし。特にラミィちゃんとか……」

 

そう言って二人は俺にスペアキーを返してくる。確かに最初不気味に笑うラミィとフブキを見た時は目を疑ってしまったな、危うく襲われかけたし。そしてこれも後から知ったがどうやらこの一ヶ月間でまともに配信していたのはミオを含めてこの三人だけだったらしい。全く本当に何してんだあいつ等?

 

「まぁ、それでもお陰で大分楽に軌道修正出来たよ。二人ともありがとうな」

 

「あ、ありがとうございます…///じ、じゃあアタシこれからレッスンに行くので失礼します!」

 

「あたしもこれから配信の準備をするからこれで失礼するね。それじゃレイっち、また一緒に遊ぼうね~♪」

 

そうして二人はそれぞれのやるべき事をしに事務所を後にしていった。それと入れ替わるかのように今度はミオとあやめが俺の元にやって来た。

 

「あ、レイさんこの間はごめんなさい。ウチ、あんな恥ずかしい所レイさんに見せちゃって…」

 

「そんな事気にしなくていいって、寧ろあんな状況の中一人頑張って皆の事支えようとしてたんだからよくやったと思うよ」

 

「れ、レイさぁん……!///」

 

ミオはまた涙ぐんで俺の胸に飛び込んで来る。これは暫くは慰めなきゃいけないのか?そう考えていると俺のシャツの裾が引っ張られたのでそっちを見るとあやめが何やらガンプラの箱を持って上目遣いで俺を見ていた。

 

「れ、玲二様、今度余と一緒にこれ作ってほしいんだけど…」

 

「ん?あぁ、『武者ガンダムMk-Ⅱ』か」

 

「うん、この間の戦国アストレイはミオちゃんと作っちゃったから、今度こそ玲二様と一緒に作りたくて…ダメ、かな?」

 

「いや、そんな事はないさ。今度の休みに一緒に作ろうか」ナデナデ

 

「あ、ありがとう玲二様!///それじゃあ余達もレッスン受けに行ってくるね!ほらミオちゃん行こう!」

 

「あ、ちょっと待ってあやめぇ!そ、それじゃレイさんウチも失礼します!」

 

そうして二人もレッスンを受けにスタジオへと向かっていった。

 

全く、本当に世話の掛かるアイドル達な事で……

 

 

 

こうしてこれが後のホロライブの伝説として語られる『ホロメン崩壊の変』と呼ばれる事となったのである。

 

 




はい、という事で今回はあやめとミオでした。個人的にはガンプラを作るシーンよりも崩壊したホロメンを書いてる時が楽しかったです(^^;

因みに戦国アストレイはHGですが自分が初めてダメージ加工とウェザリングを行ったガンプラなので思い入れがあります。まぁ、地震のせいで壊れてしまいましたが(*T^T)

次回はちょっと変わった子とある三人組でやっていこうと思います。
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