ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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急な仕事に追われ、更には書いている途中でネタを思いついては書き直したりして遅くなってしまった……(*T^T)

今回はお試し的な要素が多い話です。多分タイトル見たら誰が出てくるかわかると思いますが(^^;

それでは楽しんで頂ければ有難いです、どうぞ( っ・ω・)っ


第7話『お姉さん組とAの子』

『ホロメン崩壊の変』と呼ばれる事件?から数週間が経ち、今では事務所はすっかり元の状態まで落ち着きを取り戻していた。にしても社員一人が抜けるだけで崩壊しかけたなんて今思えば末代迄の恥だよな……

 

そんな事を考えていると俺の元にまた喧しい奴が来るのが見えた。なんか嫌な予感がする……

 

「玲二くぅんAhoy~♪宝鐘海賊団船長、宝鐘マリンですぅ~♪」

 

「おうおはよう宝鐘それじゃあそのまま回れ右して帰ろうか」

 

「来て早々おかしくないですかぁッ?!折角船長が遊びに来てあげたのに何なのその態度はぁッ!!」

 

チッ、うるせぇなこいつ……俺は目の前にいる海賊のコスプレをしているBB……女性『宝鐘マリン』を見て思わず舌打ちとため息をしてしまう。こいついつもろくな事しないから嫌なんだよなぁ……

 

「で、何の用なんだ宝鐘?言っとくが腰痛用の湿布ならAちゃんの所にあるからそっち行け」

 

「違いますぅ~、船長はまだぴちぴちの17歳だから腰痛になんてなってませーん♪」

 

「おう、ド○ホルン○ンクルと○潤使ってる奴の何処が17歳だって?」

 

「まだ使った事ないわあぁッ!!!」

 

全く何が17歳だよ本当は○○歳の癖に。無理して若い子ぶるなよ、しかも言葉使いとかも古臭いし。

 

「いたいた。もうマリン何で先に行っちゃうかなぁ?あ、玲二君おはまっする~♪」

 

「おはようございます、玲二さん」

 

「あぁノエルにフレア、おはよう。こんな暑い中お疲れさん」

 

そんな騒がしい中更に俺の元にフレアともう一人、ホロライブの中でもトップクラスの大胸筋を誇る脳筋女性『白銀ノエル』がやって来たので俺は二人に挨拶をする。

 

「ちょっとぉッ!なんかノエちゃまとフレちゃまに対して何で優しいんですか?!船長にも優しくしてくださいよぉッ!」

 

「そうして欲しがったら普段の態度を改めるんだな」

 

「なんでよッ!船長何も悪い事してないでしょう?!」

 

してるだろ仕事中喧しくするし平気で下ネタぶっこむしおばちゃんみたいな誘惑してくるし。

 

「それにいつも言ってるじゃないですか!何で皆の事は名前で呼んでるのに船長だけ名字なんですか?!いい加減名前で呼んで下さいよ!」

 

「いや別に俺がどう呼ぼうが良いだろ?後さっきから声デカイぞ宝鐘」

 

「そうだよ宝鐘さん静かにせんと」

 

「皆迷惑するから静かにしよ宝鐘さん」

 

「ノエちゃま?!フレちゃま?!」

 

ホント喧しいなこいつ。取り敢えずこのままじゃ話が進まないからいい加減要件聞くか。

 

「で?三人は何しに来たんだ?確か今日は三期生は全員お休みだったんじゃなかったっけ?」

 

「あ、そうそうそれなんだけどね、実は団長達お姉さん組で勝負する事になって」

 

「勝負?一体なんの?」

 

「ガンプラです。アタシとノエルとマリンの三人でそれぞれガンプラを作って、その出来た完成品を見て誰が一番良いか玲二さんに決めてほしいんです」

 

成る程、審査員として俺に選んでほしいと。それは良いんだがなんで急に?

 

「ほら、団長達これまで玲二君に教わりながら作って、今じゃ個人的にも作っちょるじゃろ?それで今一人で作ったら誰が一番上手く作れるんだろって話になって」

 

「それで対決というワケか。それは良いんだが作るのは決まってるのか?」

 

「ふっふーん!よくぞ聞いてくれましたね玲二くん♪今回船長達が作るのはこれです!」

 

そう言ってマリンは背負ってたカバンから三つのガンプラを取り出す。それぞれ巨大な槌を持つガンダム『HG ガンダムバルバトス』と全身が金の装甲で覆われている『シラヌイアカツキガンダム』、そしてまるで海賊を彷彿させるようなデザインの『HG クロスボーンガンダム X1』だ。まあ、なんと言うか大体予想はしてた。

 

『HG ガンダムバルバトス』

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズの主人公三日月・オーガスの機体。俺はこの作品は詳しくは知らないが確かこの作品にはビーム兵器が殆ど無く基本はこのガンダムが持ってるような鈍器か実弾の銃で戦っている、今までにはあまり無かったタイプのガンプラである。

 

『HG シラヌイアカツキガンダム』

機動戦士ガンダムSeedDestinyに登場するネオ・ロアノークの機体。劇中でも金色に輝くその機体はメッキで再現されているが傷が付きやすく塗装するにしてもメッキのせいで色が上手く着きにくい。この点をどうするかがポイントだな。

 

『HG クロスボーンガンダムX1』

機動戦士クロスボーン・ガンダムに登場する宇宙海賊が使った機体らしい。らしいというのもこれに関しては設定も本編も見た事のない、俺も作った事のないガンプラだからである。確かに宝鐘のイメージに近いが、一体どう仕上がるのか想像が出来ない。

 

といった三者三様のガンプラが揃ってるワケだが、なんと言うか……そのまんまのイメージだな。

 

「これを見る限りバルバトスがノエルでアカツキがフレア、んでクロスボーンが宝鐘か。てかフレア、お前これ名前だけで選んだろ?」

 

「は、はい…///名前を見て何となく良いなって思って。後このガンプラの色もアタシの髪の色に近いから少し親近感が沸いちゃって」

 

成る程、確かに言われてみればフレアの髪も金髪だったな。でもそれにしたって少し安直のような気が……いや、本人が選んだ物だ、他人がケチつけるなんて不粋だったな。

 

「まあそれは良いとして、で?肝心のガンプラは何処で作るんだ?まさか俺んちでやるなんて言うんじゃ……」

 

「そのまさかですよ玲二くん♪さっきAちゃんに玲二くんは今日の仕事はもう終わったって聞きましたから、このまま玲二くんの家に行ってガンプラ対決しましょう!」

 

やっぱりか。確かに今日の仕事はもう全部終えてこれから帰ろうとはしてたし、正直ホロメン達が遊びに来る事に関してももう全然良いんだが……宝鐘だけは正直来てほしくないんだよなぁ。こいつ以前来た時酔っぱらって騒いだ挙げ句パンツ一丁でソファーに寝てやがったからもう嫌なんだが。他のホロメンがやったら慌てて布団掛けたり起こして服着させたりするがこいつに関してはもう見るに耐えないと思ってそのまま放置して翌朝るしあを呼んでそのまま引き取ってもらった。そんな事があったから俺は宝鐘だけは家に入れたくないのだ。

 

「なあ、本当に俺んちじゃなきゃダメなのか?俺宝鐘を家に入れたくないんだけど」

 

「ちょっとおぉッ!なんで船長だけ仲間外れにするんですか!船長玲二くんになんかしちゃいましたかぁ?!」

 

「人んちで酔っぱらって騒いだ挙げ句パン一で寝っ転がってた」

 

「……うわぁ、マリン流石にそれはないと思う」

 

「人の家で裸で寝るなんて非常識過ぎじゃない?」

 

俺が宝鐘の醜態を晒すとノエルとフレアもドン引きして軽蔑の目で宝鐘を見る。

 

「う……あ、あのー、それはですねー、つい楽しくなっちゃって…そ、その…で、でも玲二くんもマリンの裸見れて嬉しかったかなーなんて」

 

「よし宝鐘お前二度と俺んちに来んな今日はノエルとフレアだけうちに来れば良いから」

 

「ごめんなさあぁぁぁいッ!二度としないのでそれだけはご勘弁をおぉぉぉぉおッ!!」

 

開き直るこいつにムカついたので俺は出禁を言い渡すと宝鐘は俺の足にしがみつきなから大泣きして謝ってきた。ったく、大の大人がそんな真似するなよ。

 

「はぁ……わかった。前回の事は一先ず不問にしてやる。けど今後あんな事したら本当に出禁&一年の禁酒だからな」

 

「罰が重すぎません?!」

 

何言ってる当然だろ?とにかくもうしないと言うなら俺はもう一度だけ信じてやる事にする。

 

「それじゃあノエル、フレア、宝鐘の奴が俺んちでまた変な事したら問答無用で取り押さえて良いから」

 

「わっかりました!」

 

「任せて下さい玲二さん」

 

「うし、それじゃそろそろ家に行くとする「あ、佐々木さんお疲れ様です」ん?Aちゃんお疲れさん、どうかしたのか?」

 

俺は帰宅しようとした時俺の元に眼鏡を掛けた少し地味な女性『友人A(通称Aちゃん)』が何やらかなり大きな荷物を乗せた荷台を牽いてやって来た。

 

「すみません、実は佐々木さん宛にEN支部からの荷物が届きまして、帰る前に中身の確認をお願いしたかったのですが」

 

「俺宛に?てか随分デカイな、一体何が入ってんだこれ?」

 

「ホントですね、人が入れるくらいの大きさですよこの箱」

 

「まあまあ取り敢えず開けてみたら良いと思いますよ♪」

 

「そうそうマリンの言う通り、開けなきゃ何も始まらんよ♪」

 

かなり大きい箱に俺とフレアが戸惑いつつも、宝鐘とノエルは何の躊躇いも無しにその箱を開けようとする。しかし………

 

 

 

 

 

―ガタガタガタッ―

 

「「「「「?!!!」」」」」

 

マリンの手が箱に触れようとした瞬間、いきなり箱がガタガタと動き始め俺達は一斉に驚き箱から距離を離していく。そして箱の揺れが徐々に大きくなっていき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガタガタッガタガタガタガタッ!バアァァンッ!!―

 

 

「SHAAAAAAAAAAAAAAAAAAARK!」

 

「「「「「どわああぁぁっ?!!」」」」」

 

箱の蓋が勢いよく開き、中から青いフードを被った少女がこれまた勢いよく飛び出し俺達は思わず叫びながら尻餅をついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

―その後、佐々木宅―

 

「……まさか、ぐらちゃんが玲二君を追って此処まで来るなんてびっくりじゃよ」

 

「あぁ、それは俺もそう思う」

 

「~♪」フリフリッ

 

あれから俺は気持ちの整理も兼ねて俺の家に皆を連れて帰って来た。その悩みの原因は言うまでも無く俺の背中におぶさり上機嫌に尾びれを振ってるサメ少女『がうる・ぐら』のせいである。

 

何故彼女が此処にいるのか?それは先日EN支部の研修を急遽切り上げて帰国した俺にどうやら会いたかったらしく、ENメンバーが俺や日本のホロメン達にプレゼントを送る話を聞いて荷物を届ける際、荷物を積んでいた作業員の目を盗みデカイ箱を用意してその中に大量のお菓子と一緒に入って隠れ、そのまま俺の元にやって来たという事らしい。何ともバカらしくも大した行動力である。

 

「というかこのままじゃまずいだろこれ?こいつ今完全に不法入国してんだぞ」

 

「そ、それに関してはYAGOOがプライベート機を使って何とか秘密裏に送り返そうとしてるみたいですけど、色々な都合で三日は掛かるみたいだって」

 

そう、今回のぐらの行動は世間にバレたらとんでもない事になるため社長は俺が使ったプライベート機でぐらを秘密裏に空輸するつもりなのだが、今そのプライベート機が直ぐには使えないようなのでその間俺がぐらの面倒を見る事になったのだ。

 

「はぁ、これまた本当にめんどくさい事になっちまったな……」

 

「?」

 

「可愛く首を傾げてもダメだってのに」

 

はぁ、どうしてこの事務所はとんだ事件が頻繁に起こるんだよ。しかも俺絡みの事ばっかり……あれ?これってもしかしなくても俺のせいなのか?なら俺が退職すれば……いや、止めとこう。一ヶ月離れただけであんな事になったんだ、そんな事したらあいつ等とんでもない事しでかすに違いない。

 

「だ、大丈夫ですか玲二さん?さっきから辛そうな表情ですが……」

 

「いや、大丈夫だフレア。ちょっと頭が痛くなっただけだ。そんな事よりほら、お前達ガンプラ対決するんだろ?工具や塗料とかは好きに使って良いから好きに作りな」

 

「う、うん、わかったよ」

 

「それじゃあ船長の進化したテクニックを存分に見せますよ~♪」

 

俺は三人にガンプラ作りを勧めるとフレアとノエルは俺を心配してくれつつも自分のガンプラを作り始めた。そして宝鐘よ、お前は心配すらしてくれないのか?そう思ってると先程まで背中にいた筈のぐらがいつの間にか俺の横に立っており不意に袖を引っ張られた。

 

「ん?どうしたんだぐら」

 

「レイジ、ガンプラってナニ?」

 

ぐらが片言の日本語で俺にガンプラとは何かと聞いてきた。そういや俺向こうじゃ色々とバタバタしててガンプラの話一切してなかったな。それなら俺の作ったガンプラでも見せるか。

 

「ほらこれがガンプラだ、えーと…Japanese robot plastic model?」

 

「おおぉー……GUNDAM!Was this all made by Rage?(これ全部レイジが作ったの?)」

 

「ん?もしかして俺が作ったのか聞いてるのか?まあ、このショーケースの中にあるガンプラは全部俺が作った物だな」

 

俺がそう言うとぐらは目を輝かせながらショーケースの中のガンプラ達を見ている。どうやら気に入ってくれたようだな。

 

「a.レイジ、ぐらもガンプラ、えと…make…エーッと……」

 

「make?もしかしてぐら、お前もガンプラ作ってみたいのか?」

 

「Yes!ぐら、レイジとガンプラ、作ってミタイ!」

 

おぉ、まさかぐらがガンプラをやりたいと言うとは。それはガンプラ好きとしては嬉しい事だが、ただ今この家にある積みプラは難しいのばかりだし、それに今からガンプラを買いに行くのは時間的に厳しいしなぁ。仕方ないが明日一緒に買いに……いや待てよ、確かあれが一つあった筈…そう思い俺は積みプラを置いている物置部屋に行き目的の物を探す。

 

「えーと、確か此処に……お、あった。これなら初心者のぐらでも直ぐに作れるな」

 

そう言って俺はぐらに見つけたガンプラを渡す。それはプラモデル入門編とも言える超簡単なガンプラ『エントリーグレード ガンダム』である。それを渡されたぐらはまるでおもちゃをプレゼントされた子供みたいに目をキラキラ輝かせて喜んでいた。

 

 

『エントリーグレード ガンダム』

お馴染み機動戦士ガンダムの主人公アムロ・レイの機体。原点とも言えるこのガンダムを知らない人はまずいないだろう。そしてこのエントリーグレードは工具やシール貼りが無く直ぐに組み立てられるという事でガンダムに限らずプラモデルに触れた事のない初心者でも安心して作れるキットとして人気がある。

 

「GUNDAM!カッコイイ!レイジ、Let's make it immediately!(早速作ろう!)」

 

「えと、早く作ろうってか?はいはい、それじゃあ早速始めるか……なんかこういうのも久しぶりだな」

 

ガンプラを持ってはしゃぐぐらを見て、俺は何となく最初フブキに作り方を教えた時の事を思い出してた。一人で作るのも良いが、やっぱりこうやって誰かとガンプラを作るのもいいな。

 

 

 

 

 

 

―その頃リビングでは―

 

「……ねえフレア?」

 

「うん?何ノエル」

 

「フレアってさ、いつから玲二君の事好きになったん?」

 

「え?!ど、どうしてそんな急に…///」

 

「いやぁ、ぶっちゃけホロメンの皆玲二君の事好きじゃろ?だけどそのきっかけって皆なんなのかお互い知らんからどうなのかなぁって」

 

「あ、それ船長も気になってたんだよね。フレアってどうして玲二くんの事好きになったの?」

 

それぞれ自分のガンプラを作る中、突然ノエルの一言から始まった恋愛トーク。フレアは顔を赤くし少し照れながらも頬を掻きながら答えていく。

 

「え、えーと、あれは確かデビューしてから間もなかった頃の話なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前、事務所―

 

この頃のホロライブはまだそこまで知名度は高くなく、自分たちも漸くファンがついてきた頃だった。その日自分に初めてのファンレターが届き、少しウキウキしながら一枚ずつ読んでいたのだが、そこに何枚か似たような事が書かれていた内容を見て思わず手が止まってしまった。

 

『ダークエルフの癖にアイドルなんてやりやがって』

 

その内容を見た瞬間、アタシの中で忘れかけてた嫌な記憶が甦った。生まれつきのこの褐色肌のせいで皆からダークエルフと呼ばれ弄られていた幼少期の事を。アタシはただのハーフエルフなのに、なんでダークエルフなんて呼ばれなきゃいけないのか?その頃の記憶とこのアンチの手紙を見てアタシは思わず涙ぐんでしまった。そんな時だった……

 

「おう不知火、どうしたんだ泣いてて?」

 

当時まだ顔見知り程度だった玲二さんが事務所にやって来て、泣いてたアタシに声を掛けてきたんだ。

 

「……あ、佐々木さん…すみません、何でも無いんです。大丈夫なんで、ほっといてください」

 

「いや、どう見ても大丈夫なワケないだろ……ん?」

 

アタシは玲二さんにほっといてって言っちゃったけど、玲二さんはアタシの持ってた手紙を見てその一枚を手にとって読み出した。

 

「…ダークエルフがアイドルすんなよ、どうせ禁忌的な魔法か身体使ってファン作ってんだろ、か」

 

「……ッ!」

 

玲二さんが手紙を見た後にアタシの目を見てきた。その時はアタシの中ではあぁ、この人もアタシの事ダークエルフと言って軽蔑するんだろうなって少し怯えてしまってたんだ、けど……

 

「はっ!下らねぇなこんなガキみたいな事書くなんて、よっぽどこいつ等暇なんだろうな?」

 

「……え?」

 

「だってこんな根も葉もない事を書くなんてそいつ不知火の事見た目でしか判断してないって事だろ?そんな見た目でしか人を測れない奴等の言葉なんて聞く価値すらないっての」

 

玲二さんの言った言葉はアタシの想像とは全く違う言葉だった。そして玲二さんはその手紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げて更にアタシにこう言ってきたんだ。

 

「不知火、俺はまだお前の事知ってから日は浅いが、それでもお前が皆の為に一生懸命やってる事は知っている。だからこんなアンチの下らない言葉なんて気にするな、お前はお前のやりたいようにやればいい。それでも辛い時は俺達を頼ればいいさ」

 

そう言って玲二さんはアタシの頭を軽く撫で自分用に買っていたホットコーヒーをアタシにくれて事務所を出ていったんだ。その時感じたんだ、この人なら信じて一緒に歩んで行けるって。それがアタシが玲二さんを好きになった時の話だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのそれぇ?!船長そんな事一度も言われた事が無いんですけどぉ!」

 

「あ、あはは…まあともかくそれがアタシが玲二さんを好きになった瞬間かな///というかそう言うノエちゃんはいつから玲二さんを好きになったの?」

 

「団長?団長も入って間もない頃だったな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

―数年前、事務所―

 

あの頃はまだ団長も少しずつだけど知名度も出てきて、漸くアイドルとしてスタート出来たんだなって思っとったんよ。けどある日レッスンを終えた後に……

 

「やぁやぁノエルちゃん、レッスンは終わったのかい?」

 

「え、あ、は、はい……」

 

「そうかそうか、それならこれから一緒に食事でもどうだい?その後二人きりでゆっくり出来る所で一休みしたりしてさ、ブフフ♪」

 

まただ。またこの変なスタッフが団長の事を厭らしい目で見ながら近づいて来た。団長はいつも断っているのにまるで話すら聞いてくれないから困ってるのに……

 

「い、いや、団長これから皆と遊びに行くから……」

 

「そうなの?なら俺も一緒に行こうかなぁ?こういうのは人数多い方が盛り上がるでしょ。なんなら皆一緒に良い所に連れてってあげる、ブフフ♪」

 

本当にしつこい!許されるなら一発ぶん殴ってやりたいけど、そんな事したら折角アイドルになったのに全て無駄になってしまう。一体どうしたら……そんな時だった。

 

「おい只野、お前何してんだ?」

 

しつこく迫ってくるスタッフを玲二君が腕を掴んで止めたのは。

 

「ブフ?……なんだ佐々木か、お前には関係ない事だろ?」

 

「あるに決まってるだろ?同じ職場で働く奴がこんなセクハラみたいなマネしてるなんて黙ってられるか」

 

「あ?お前何調子こいてんだおい?俺の方が先輩なんだから俺のする事に口を挟むんじゃねぇ、わかったらとっとと消えな」

 

「……だったらこの事を社長に報告する。これは立派なセクハラとパワハラだ」

 

「は!何処にそんな証拠がある?お前みたいな新人なんかの言う事なんか鵜呑みにするわけないだろ」

 

最低だ、こいつこの人が訴えてもシラを切るつもりでいる。しかし、そんな余裕の笑みも次の瞬間崩れ去った。彼がポケットから出したボイスレコーダーによって。

 

「今の会話全て録音させてもらった。これなら社長も信じてくれるだろ?」

 

「なっ?!お、お前、俺の事嵌めやがったのか!」

 

「あんたの事は前々から他の子達からも苦情がきてたんだよ、全部あんたがシラを切るから中々対応出来なかったみたいだけど、これなら十分証拠になるだろ?」

 

「うぎぎぎ……こ、この卑怯者がぁッ!」

 

「自分の立場を利用してアイドル達にセクハラ、同僚達にパワハラしているお前の方がよっぽど卑怯者だろ!今回はまだ目をつぶってやる、だが次にまた同じ事をしたら確実に社長に報告するからな。分かったらとっとと失せろ!」

 

そう言われて変態スタッフは居心地が悪くなったのか逃げるようにその場から去っていってくれて、そのまま玲二君と話す事になったんだ。

 

「あ、あの、本当にありがとうございました」

 

「気にしなくていいさ、前々から事務所内でも問題になってた奴だったからな。フブキやそらが凄く嫌がってたから早めに対応出来て良かった。それより白銀だったか?済まなかったな、あいつの尻尾を掴む為とはいえお前を利用するみたいなマネしてしまって」

 

「い、いえ、こちらこそ助けてもらったんで良かったです」

 

それからは全然会話が進まず、団長も何を言っていいかわからなかったし玲二君も先程のボイスレコーダーのデータをパソコンに保存するだけでそれ以上何も言って来なかった。けど玲二君が事務所から出ていく時に

 

「白銀、今度またあいつがしつこく迫ってくるような事があったらきっぱり断っていいぞ。それでもしつこかったら俺やAちゃんに頼れ、直ぐに対応してやるから」

 

そう言ってその場から出ていったんだ。その時からかな?まだ好きという感じじゃないけど、団長にとって佐々木玲二という人にとても興味を持った瞬間だったんだと思う。

 

 

 

 

 

「それから玲二君とお出かけしたり一緒に仕事したりしていくうちに段々好きになっていったから、明確に好きになった瞬間はわからんけど、団長が玲二君に興味を持ったきっかけは間違いなくその時じゃったな」

 

「あぁ、確かにそんなスタッフいたね。アタシも何度かセクハラされたけどいつの日か境に大分大人しくなったよね」

 

「あ、確かに。て言うかそもそもその人全然姿見なくなったけどいつの間にか辞めちゃったんですかね?ま、どうでも良いんですけど」

 

「まあね~、それで次はマリンの番だけど、マリンはなんで玲二君の事好きになったん?」

 

「……あ~、それなんですがね~…」

 

「「?」」

 

フレア、ノエルと来て次はマリンが玲二を好きになった理由を聞かれるとマリンは何処か言いづらそうにゴニョゴニョと語り始める。

 

 

「ほら、玲二くんって凄くカッコいいでしょ?初めて会った時からこのイケメン凄く良いって感じちゃって、それで玲二くんを見ていると船長の性的興奮がムラムラ沸いちゃって」

 

「ノエちゃん、其処にあるヤスリ取ってもらっていい?」

 

「はいよ~♪」

 

「ちょっとおぉッ!人に聞いといて無視するって酷くなぁい?!最後まで聞いてよねえぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

マリンの玲二を好きになった理由が途轍もなく下らない内容だったので二人はまだ語ろうとするマリンを無視してガンプラ作りを再開するのであった。

 

 

 

 

 

 

―その頃、寝室―

 

「……何騒いでんだあいつ等?」

 

「レイジ、デキタ♪」

 

「ん?おぉ、初めてにしては早く出来たな。それじゃあちょっと墨入れして仕上げるか」

 

「スミイレスミイレ♪」

 

リビングから何やら騒がしい声、主に宝鐘の声が聞こえて来るが何かあったのか?まあ、宝鐘が騒いでももし酷くなりそうならフレアとノエルが抑えてくれるからいいか。ぐらもガンダムを組み立て終えたし、墨入れして仕上げてあげるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

結局いつも通りのお泊まりとなってしまったが、三人ともそれぞれ完成させたようで満足気な顔をしているな。さて、早速皆のガンプラを見ていくか。

 

「そんじゃあまずは団長のから見てもらうね、今回はシンプルにダメージ加工とウェザリングで仕上げたんよ」

 

『ガンダムバルバトス ダメージ加工Vr.』

以前あやめ達が作った戦国アストレイのようなダメージ加工を施しているが、あちらの大胆な傷痕みたいなのではなく銃弾痕や機体や武器に一部欠けたような傷をつけた事により劇中に近い印象があり、この両手で巨大なメイスを振りかざしている姿はかなりカッコいい。

 

「うん、このシンプルながらも細かいダメージ具合が良いな、汚し塗装も全体的にバランスが取れて普通に凄いぞ」

 

「フフン、頑張った甲斐があったってもんだね♪」

 

「It's really going to work!(本当に動きそう!)ダンチョウ、スゴイ!」

 

どうやらぐらも喜んでるみたいだ。さて、次はフレアかな。

 

「アタシのはあまり弄れる箇所が少なかったので、思いきってメッキ部分にオレンジのクリアを少し強めに吹いて黄昏時を表現して見ました」

 

 

『不知火黄昏ガンダム(仮)』

メッキ部分にクリアオレンジを強めに噴いた事により金色から鈍く光るオレンジになりより重厚感のあるガンダムとなっていた。ただかなり発想は良いし綺麗だが、下地がメッキだって事もありニッパーで切った跡の部分が少しメッキが剥がれている部分の色が少し黒ずんでしまってるのが残念だったな。

 

「なるべくメッキを傷付けないようにはしたんですが、どうしても少し欠けてしまって、其処が少し残念ですが……」

 

「いや、こればっかしはしょうがないさ。俺もメッキ修繕は出来ないし、それにこれぐらいだったら間近で見なければ問題ないだろ?」

 

「Very beautiful color.(とても綺麗な色だね)ぐら、コレ好キ♪」

 

俺的には発想も良くて好きだしな。さて、後残ってるのは宝鐘のクロスボーンか。

 

「フフーン!玲二くん見て驚かないで下さいね、これが船長の傑作です!」

 

そう言って宝鐘は自分のガンプラをテーブルの上に置いた。ふむ、見た感じ改造は無く塗装のみか。頭とボディは赤く、右腕は青、左腕は緑、右足はピンクで左足は黄色となんともカラフル……おいちょっと待て、まさかこいつって……

 

「船長のとっておき!名付けて、クロスボーンゴー○イオーです!」

 

「やっぱりかよ?!お前なんでゴーカ○オーをチョイスしたんだよ、全部メタリックで塗装してるから目が変にチカチカする!」

 

「あれ?やっぱり今流行りのツーカ○ザーの方が良かったですか?」

 

「そう言う問題じゃねぇ!」

 

全くなんてチョイスがいつも微妙なんだよこいつ!しかも塗装にもムラが多いしゲート跡も処理しきれてねぇし、もうこれは論外だ!ぐらもなんか呆れた表情してるし!

 

「で?玲二くん、結局誰が一番凄かったですかぁ?やっぱ船長的には頑張って作ったから其処は評価してほし「ノエルとフレアが同率一位でお前がビリだ」なアァんでダヨおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ?!!!」

 

当たり前だお前が拘ったの配色だけで後は適当じゃねぇか!こいつガンプラ作る前から船のプラモも作ってだけどその時からちっとも成長してやしねぇ。ぐらも宝鐘のガンプラに既に飽きたのかノエルとフレアのガンプラと自分のガンプラを並べて遊んでるし。

 

こうして初めてガンプラ対決は宝鐘の一人負けという不甲斐ない結果で終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後―

 

「ヤダ、ぐら帰りたくナイ」ギュウゥッ!

 

「いや、帰りたくないって言われても仕方がないんだよ」

 

あれから数日間ぐらの世話をしていたせいか完全に懐かれてしまい、これからプライベート機に乗って帰らないといけないのにぐらは俺にずっとしがみついて離そうとしない。もうかれこれ一時間は引っ付かれてるんだが。

 

「ほらぐら、皆困ってるからそろそろ帰らないと「ヤ!」……参ったなこりゃ」

 

もう完全に動くつもりがないらしいな。他のスタッフが力を合わせて引っ張っても全然びくともしない、てかそれやられるとこっちの方が痛い。全く、しょうがないな……

 

「ぐら、もうこれで一生のお別れって訳じゃないんだ、また時間が出来た時にもう一度EN支部に遊びに行くから、その時は向こうの街を案内してくれ、な?」

 

「……ホント?」

 

俺は通訳の人を通してぐらに伝えるとぐらは少し引っ付く力を弱めてくれた。

 

「あぁ、約束する。また今度一緒にガンプラ作ったりゲームをして遊ぼう」

 

「……Okay,レイジ、ヤクソク」

 

「あぁ、約束な」

 

俺はそう言ってぐらの頭を撫でるとぐらも分かってくれたのか俺から離れプライベート機へと乗り込んで行こうとする。

 

「……レイジ!」

 

「ん?なん―Chu!―ッ?!」

 

するとぐらはいきなり俺の元に戻ると俺の唇に自分の唇を当ててきた。突然の事に俺は混乱し同様を隠せないでいた。

 

「レイジ、I love you!マタ一緒に遊ぼうネ!///」

 

ぐらは照れながらそう言ってプライベート機へと乗り込んでいってしまった……今までいろんなアピールする子はいたがまさかキスされるとは思わなかった。流石は海外、なのか?

 

 

その後俺は柄にもなく恥ずかしくなったので近くの喫茶店で頭を冷やそうとしたが結局落ち着いたのは閉店ギリギリの時間だった。

 




はい、という事で三期生お姉さん組とENからがうる・ぐらでした。試しにENメンバー入れてみましたが多分もう出来ません( >Д<;)

そしてフレアとノエルが玲二を好きになったきっかけも入れてみました。これのせいで長くなってしまいましたが、自分では書けて満足してます(^_^)

後マリンの扱いが雑になってしまってますが自分はマリンはホロメンでは上位に好きです。

次回ものんびり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた( ≧∀≦)ノ
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