ホロライブ ビルドライバーズ   作:神楽

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最近ガンプラとホロライブ(を含むVtuber)と小説を書く以外の事がすっかり冷めてしまいました( ; ゚Д゚)

取り敢えず暫くは書くことに集中出来そうです。

今回はタイトル通りおかころの二人です。
もう決まり文句みたいになってますが、楽しんで頂けたら有難いです!ではどうぞ( っ・ω・)っ


第8話『仁義なきおかころの戦い』

照りつける太陽の下、ホロライブプロダクションは有難い事なのか相変わらずの忙しい状態が続いている。そして今日も俺はこの暑い中仕事に励んでいる……筈だったのだが……

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………」

 

 

「…………………………………………………」

 

 

(…………い、居心地が悪い)

 

 

 

俺の目の前は今驚く程冷えきっていた。エアコンとかそんなのじゃなく、まるでこの場が凍りきっていると錯覚してしまう程空気が冷えきっている。理由は言うまでもなく俺の目の前で互いに無言で睨み合ってる二人のせいである。

 

 

「……ねぇおかゆ、いい加減そのチケットこおねに返してくんない?」

 

「………いくらころさんのお願いでもこればっかしは譲れないよ。このチケットは僕とレイくんで使うんだから」

 

「……な、なぁ二人とも落ち着けって、そんなに行きたいならそのチケットやるから二人で行き「「レイくん(玲二)は黙ってて!」」…はい……」

 

……一体どうしてこうなってしまったんだよ?どうしてこの二人が……ころねとおかゆが睨みあいながら一枚のチケットを取り合ってんだよ?確か事の発端は今から30分前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―30分前―

 

 

「いやあ、まさか福引きで特賞当たるとはな、久々に良い事が起きた気がすんなぁ」

 

 

そう、俺は近くのスーパーで買い物二千円につき一回引ける福引きがやっていたので運試しのノリで一回挑戦したら、なんとまさかの特賞が当たったのだ!しかもその特賞の内容というのが『横浜高級ホテル二泊三日ペアチケット』だったんだ。そう、あの横浜!其処にはガンダム好きなら一度は行きたいガンダムファクトリーヨコハマがあるのだ!限定ガンプラに動くガンダム!これを喜ばずしていつ喜ぶ?!……いかん、テンションが上がりすぎた。それにしても……

 

「喜ぶのはいいが、問題は誰と一緒に行くべきかだ……この事がホロメン達に知られたらヤバいな。あいつ等の事だから誰が一緒に行くかで争い始めるに決まってる」

 

そう、このチケットを持って誰かを誘った瞬間、其処から始まる熾烈なチケット争奪戦が容易に想像出来てしまう。もうそれなりに付き合いが長いからこそわかってしまう。ホント好意を持ってくれるのは嬉しいが勘弁してほしい。たまに俺の事羨ましいと言う奴等がいるが実際になってみろ、面倒な事の方が大きいぞ。

 

「…そうだな、確か高倉さんがガンダム好きって言ってたな。ならこれは高倉さんを誘って一緒に行くか」

 

「高倉さんっておじさんスタイリストの高倉さん?」

 

「そうそう、あの少しお茶目なおじさんな」

 

「その人と何処に行くの?」

 

「いや、だからホテル宿泊ペアチケット手に入れたから二人でガンダム巡り、に………」

 

……ちょっと待て、俺は今一体誰と話してる?今この部屋には俺以外誰もいない筈なのに……俺は怖くなりながらも恐る恐る声がした方を振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで?なんでこおねの事誘わないでスタイリストさんと旅行行こうとしてるの?ねぇなんでなんでなんでなんでなんでなんでぇ?」

 

「ウオワアアアアアアアアアアアァッ?!!」

 

其処にいたのは目に全く光を宿してない茶髪の犬の獣人『戌神ころね』だった。いつもはくりっとした可愛らしい目をしているのにまるで眼力だけで人を○せるくらいの絶対零度の目をしている。

 

「び、びっくりさせるなころね!後お前一体いつの間に入ってきたんだよ?!」

 

「そんなのどうでもいいよ。それよりなんでこおねの事誘わないの?」

 

そんなのどうでもいいってお前……と、とにかく此処はなんとか説得して落ち着かせないと。

 

「い、いやほらさ、高倉さんもガンダムが好きって言ってたからさ、お互い交流を良くするという意味で一緒に行こうかなーって」

 

「なんで?玲二って別にあの人とそんなに接点ないじゃん、そんな人と一緒に旅行行くなんておかしいでしょ?それならこおねと一緒に行った方が楽しめるじゃん」

 

「……で、でもな、お前はアイドル、俺はスタッフ。スキャンダルになる可能性だってあるから……」

 

「それならもう皆玲二の家に泊まってる時点でなってるでしょ?それにこおね達と玲二の関係って既に世間にも知れ渡ってるし」

 

……尽く退路を潰されていく。てかなんでこいついつもはのほほんとしてるのにこんな時だけ饒舌なの?それに何故世間は俺とホロメン達の関係を知ってて許容してんだよ?昔きっかけは忘れたが俺がフレアと結婚するというガセが飛び回った時も何故かおめでとうコメントで埋まってたし……(その後訂正してフレアは少し残念がってたが)

 

「だったら玲二がこおねと一緒に行けない理由はないでしょ?だからスタイリストさんなんかじゃなくこおねと一緒に旅行行こう?」

 

「そ、そうは言ってもなぁ……」

 

こ、困った……もうこれは何言っても無理なんだろうか?でも此処で連れていった場合後で他の奴等にばれたらとんでもない事になりかねんし、一体どうすれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれぇ?ころさんどうしたのこんな所で」

 

「ッ?!」

 

そんな事を考えているとまた背後から声が聞こえ、慌てて後ろを振り向くといつの間にか其処には紫色のショートヘアーの猫の獣人『猫又おかゆ』がいた。こいつ、本当にいつの間に後ろに?!

 

「……おかゆー♪今ね、ちょうど暇してたから玲二とお喋りしてたんだぁ♪」

 

ころねも先程迄の雰囲気を隠し俺とのお喋りしてたと笑いながら誤魔化している。こいつ本当に切り替え早いな。

 

「ふーん、そうなんだぁ。所でレイくん、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「あ?な、なんだよ?」

 

「このホテルのペアチケットって何かなぁ?」

 

「「ッ?!」」

 

おかゆが俺ところねに見せびらかすかのようにホテルのペアチケットを見せてくる……ってちょっと待て!お前いつの間にそれ取ったんだよ?!

 

「ころさんも誤魔化すの下手だねー、僕が何も気づいてないと思った?」

 

「……おかゆ、そのチケットどうするつもりなの?」

 

「そうだねー、僕も動くガンダムを見てみたいし、何よりレイくんと二人きりでデートしたいなぁって」

 

「……それって最初からこおね達の話を聞いてたって事?だったらこおねが先に玲二と行くって約束してたんだからそれ返してよ」

 

「別にころさん約束なんてしてなかったじゃん、ただレイくんを問い詰めて無理矢理一緒に行こうとしてただけでしょ?それだったら僕にだって一緒に行く権利あると思うけど?」

 

「………ッ!!」ギリィッ!

 

………何だか雲行きが怪しくなってきた。というかこの二人普段は大の仲良しなのになんでチケット一枚でそんなに殺伐とした雰囲気出してんの?てか一緒に行くなんて言ってないのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして冒頭に戻る―

 

……そうだ、俺が持ってきたホテルのペアチケットのせいでこいつ等揉めてたんだった。調子に乗って事務所に持ってくるんじゃなかった……いや、こいつ等の事だ、隠したとしても恐らく何かしらの方法で察知してたかもしれない。こんな事なら運試しとか言って福引きしなけりゃよかった。

 

「おかゆ卑怯だよ!そうやってチケット奪い取って自分だけ玲二を一人占めしようとして!」

 

「そう言うころさんだって、僕があの時いなかったらそのまま強引にレイくんと行こうとしてたよね?そんなころさんに卑怯呼ばわりされたくないかな」

 

……ダメだ、さっきからこいつ等いがみ合いを続けるだけで進展がない。このままだと他の奴等も来て更に面倒な事になってしまう。どうする?どうすればこの事態を収束出来る?

 

「……ねぇころさん、一つ提案があるんだけど」

 

「……何さ?」

 

「このままじゃお互いが一歩も譲らないし、他の皆が来たら余計にこのチケットの取り合いが激しくなっちゃう。なら今のうちに僕達で勝負をして、勝った方がレイくんと一緒にお泊まりデート出来るってのはどうかな?」

 

「勝負?一体何で?」

 

「んーそうだねぇ、ゲームとかでも良いんだけど……やっぱり此処はレイくんに因んでガンプラ対決なんてどうかな?」

 

……なんか俺抜きでどんどん話が進んでいってるんだが?だが確かにこのまま二人に騒がれても事態は悪化しかねないし、そう言った意味ではおかゆのこの判断は助かる……助かるのか?

 

「……いいよ、それじゃあ他の皆に知られないように明日三人ともお休みだから玲二の家で勝負しよ」

 

ころねも勝負受けるのかよ、しかも流れるように明日の予定埋められたし。本当なら明日一人でサウナ行くつもりたったけど、そんな事を言っても許してくれないんだろうな。はぁ、もうどうでも良くなってきた。

 

こうしておかゆところねによる玲二との旅行デートを賭けた仁義なきおかころガンプラ対決が幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日、佐々木宅―

 

昼頃になり、二人は予定通り俺の家にやって来た。おかゆの手には対決に使用すると思われるガンプラが入った紙袋があったが随分大きいな?恐らくMGクラスと思うが、一体何を買ってきたんだ?

 

「それじゃあ昨日もルールを説明したけど、もう一度確認の為に言うね。勝負はガンプラ早組み対決、先にこのガンプラを早く作り終えた方が勝ち。但し早く出来たとしてもゲート跡の処理が出来て無かったりパーツの破損が見られた場合はマイナスポイントになり、一定のマイナスポイントが見つかった場合例え早くても負け。どうかな?」

 

「うん、それでいいよ」

 

おかゆの説明にころねも納得する。因みに勝負のポイント制はこんな感じだ。

 

・完成で20ポイント。二番目は一番目が完成してから十分経つ度にマイナス1ポイント。

 

・完成後、お互いにガンプラを確認してゲート跡が残っていれば1ポイント、パーツ破損が見られたら2ポイントをその都度マイナスする。

 

・最終的にこのポイントが高い方が勝ちとなる。

 

「そして今回はこのMGのガンダムを使って勝負するよー」

 

そう言っておかゆは紙袋から今回の対決に使うガンプラ『MG ガンダム(オリジン版)』を取り出した。しかも一番くじバージョンかよ、良く見つけたなそんなの。

 

『MG ガンダム(オリジン版)ソリッドクリアバージョン』

機動戦士ガンダムThe Originでアムロ・レイが乗る機体。コミックで展開し後にアニメ展開もされた初代機動戦士ガンダムをベースにしたリメイク作品であり、このガンダムも初代と比べ左肩にはショルダーキャノンが追加されたり初代にはあったコアファイターが排除されていたりと結構大きな違いがある。そして今回作るのは2019年の一番くじの景品であるソリッドクリアバージョン二種類であり、一部がクリアパーツに変更されていてA賞が赤と青と黄色の部分が、ラストワン賞は白い部分がクリアとなっている。

 

「本当ならそれぞれ一部分がクリアパーツなんだけど今回はパーツ交換して通常カラーとクリアカラーの二体を作ろうと思うんだけど、ころさんはどっちにする?」

 

「こおねは別にどっちでもいいよ、このガンダム一度作った事あるからどっち作っても変わりないからおかゆが決めなよ」

 

「ホント?なら僕は通常カラーでいいかな?ころさんはクリアカラーで勝負ね」

 

こうしてパーツ交換を終えておかゆはクリアカラーバージョンのガンダムをころねに渡していく。

 

 

 

 

この時俺は理解した……この勝負『ころねが圧倒的に不利』だと。そして気づいてしまった、この時おかゆがうっすらと勝ち誇った笑みを見せていた事を……

 

 

 

 

「それじゃあころさん、13時になったら勝負開始だよ。レイくんは途中で口出しは無しだよ」

 

「あ、あぁ、わかってる」

 

「こっちはいつでもいけるよー」

 

「それじゃあお互いに準備OKというか事で………スタート!」

 

こうしてお互いにパーツを開封し説明書通りに組み立てていく。ころねは一度作った事があるとは言ったが、果たしてどうなる事やら。

 

(ふふん、一度作った事があるからパーツの場所は大体把握してるからね!この勝負、こおねが圧倒的に有利だよ!えっと、まずは頭パーツの部品を切って……)

 

ころねは幸先良くパーツを纏めて切っていくが、クリアパーツを切ってゲート跡処理をしようとした瞬間手を止めてしまった。どうやら気づいたみたいだな。

 

(……あれ?なんかこのパーツ少し脆いような感じがする……気のせいかな?えと、それからゲート処理を………?!ちゃんとニッパーで切った筈なのに跡が目立つ?!それにヤスリをかけたら濁った色になっちゃうし角の部分が折れそうな感じがする!)

 

ころね、ゲート処理にヤスリがけでどうやら完全に気づいたみたいだな……クリアパーツのプラモの難点を。

 

 

そう、クリアパーツは通常のパーツに比べて強度が多少低く、細いパーツだと割りと簡単に破損してしまうのだ。更にクリアという事でニッパーで切った跡がより目立ったり、ヤスリがけをすれば濁りやすくなってしまう。勿論これもちゃんとした処理法はあるが、今回みたいな早組み対決でそれをやるにはあまりにも時間のロスになってしまう。

 

「あれ~?ころさん手が止まってるけどどうかしたの?」

 

「ッ!?おかゆ、もしかして最初からこの事知っててこおねにこっちを渡したの?!」

 

「何の事?僕は最初ころさんに選ばせようとしたし、ころさんが僕が決めていいって言ったからこっちにしたんだよ」

 

此処で俺ところねは完全に理解した、何故おかゆがわざわざソリッドクリアバージョンのガンダムを選んだのか?

 

ころねは以前作ったガンプラとなれば当然自分が有利になると踏み、おかゆが選んでいいと言っても余裕な感じで逆におかゆに選ばせた。

 

しかしそれこそがおかゆの作戦、ころねの事をよく知ってるおかゆはころねがこのガンダムを作った事があるのも知っていたし、これを対決内容に持ち出せばころねは自分が有利と思い調子に乗る事もわかっていた。

 

だから選ばせた時もころねが逆に自分が決めていいと言われるのも予想してこの処理が大変なクリアバージョンをころねに押し付けた、つまりこれは戦う前からころねはおかゆの術中に嵌まってしまったという事だ。

 

「ひ、卑怯だよおかゆ!こおねの事嵌めたの?!」

 

「嵌めたなんてそんな、僕は戦う前にどっちを作るって聞いてころさんが僕に決めていいって言ったんじゃん」

 

そう、いくらおかゆが嵌めたとはいえ選ばせたのはころねなので強く言えない。それにもしころねが通常カラーバージョンを選んでいたらおかゆは逆に自分が不利なクリアバージョンを作らないといけないのでこればかりはおかゆの賭けが勝ったとしか言いようがない。

 

「それよりころさん手止めていいの?僕もう胴体の組み立てに入るけど」

 

「ッ?!ま、まだ負けたわけじゃないからね!こおねの本気を見せてやんよぉッ!」

 

……これはもう結果が見えたな。おかゆの揺さぶりのせいでころねが完全にテンパってしまってる。恐らくはこの後もミスをしてしまうだろう。

 

(……ころさんごめんね、でも僕だってレイくんと一緒に旅行に行きたいんだ。例え卑怯だと言われても、こればっかしは譲れないから!)

 

(……負けない、絶対におかゆには負けたくない!玲二との旅行はこおねにとって皆よりリードする最大のチャンスなんだもん!必ず勝って、玲二と一緒に行くんだもん!)

 

……いや、ころねの目はまだ諦めていない。これはもしかしたら逆転の可能性もあるか?勝負はまだ分からなそうだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜―

 

「…………………………」

 

「……この勝負、18対17でおかゆの勝利だ」

 

「か、勝てた……」

 

あれから二人は途中一時間の休憩を挟みつつ無言で淡々と作り上げ、そして遂に決着がついた。勝者はさっきも言った通りおかゆだ。

 

だが実際に早く出来たのはころねの方でおかゆはその十分後に完成させたのだが、やはりクリアパーツのハンデがあり、ころねのガンダムには一ヶ所ずつのゲート処理不足とパーツ破損が見つかりマイナス3ポイントとなってしまった。

 

恐らくは勝負を急かしすぎたせいだな、おかゆも一ヶ所のゲート処理不足があったももの、なんとか勝利へと繋げたのだ。

 

「そ、それじゃあころさん。この勝負僕の勝ちだから、このチケットは僕とレイくんで使うからね」

 

そう言っておかゆは持ってたチケットをころねに見せつける。そういやそんな賭けしてたな、勝負の熱さですっかり忘れてた……ってかころねさっきからうつむいたまま黙ってるけどどうしたんだ?

 

 

 

 

「…う、うぅ………」

 

「?ころね、一体どうし「うわ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあんッ!!」ッ?!」

 

うつむいたままのころねに声をかけようとした瞬間、ころねが顔を上げ大声で泣き出した。お、思いっきり近くだったから耳があぁッ!?

 

「こ、ころさん?!一体どう「おがゆ゛のばがあ゛ぁッ!!ごんなひぎょうなごどじでがっでひどいよぉッ!!ごおねだっでれいじといっしょにりょごういぎだがったのにぃ!!うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」……ころさん」

 

よっぽど負けたのが悔しいのか、ころねは俺とおかゆが声をかけてもわんわん泣き叫ぶだけだった……はぁ、仕方ないなぁ。

 

「なぁ、ころ「ねぇ、ころさん」おかゆ?」

 

「う、うぅ…何さおがゆ?」

 

「ごめんねころさん、僕自分が勝つ事しか考えてなかった。普通にやっても勝てないかもしれないからってころさんに難しいクリアパーツのガンダムを渡して……こんなの全然フェアな勝負じゃなかったよね」

 

俺が提案する前におかゆがころねに謝り、そして持っていたチケットをころねの手に渡そうとする。

 

「このチケットころさんにあげる、レイくんと二人で行ってきなよ」

 

「?!で、でもおかゆ、これっておかゆが……」

 

「良いんだよころさん、僕ころさんの言う通り卑怯な手を使って勝ったんだし、それにころさんの方が作り終えたのが早かったんだよ?だからこれはころさんが使って」

 

「……おかゆ」

 

目に涙を溜めながらおかゆはころねにチケットを渡そうとするが、ころねもおかゆの泣いている姿を見て戸惑っているようだ。全く、こいつ等やっぱ変な所で優しいんだよなぁ。

 

「なぁおかゆ、そんな我慢して泣きながらチケット渡す必要ないだろ?」

 

「「……え?」」

 

「チケットはお前等二人で使え、俺は自腹でついて行くからさ」

 

「そんな?!レイくんそのホテルって結構高いんじゃ……」

 

「なあに、ガンプラ以外だとあまり使い道がないから結構貯金貯まってるんだよ。だから今回の横浜旅行は三人で行こう、な?」

 

そうだ、最初からこうしていれば良かったんだよ。これなら三人で行けるし二人がいがみ合う必要もない、出費は少し痛いけどな。

 

「はい、それじゃあこの話は終わり!旅行は来週だからそれまでに準備をしろよ」

 

「「レイくん(玲二)………ありがとう」」

 

まだ少し涙目だが二人は俺にそう言うと自分の作ったガンプラを片付け部屋を後にした。さ、俺も少しずつ旅行の準備しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おかころ帰宅中―

 

「……ころさん、ごめんね」

 

「ううん、こおねこそ意地張ってごめんね」

 

玲二の家から自分達の家に向かう帰り道で二人はお互いに先程迄のいがみ合いを謝りながら手を繋ぎ歩いていた。

 

「にしてもやっぱレイくんって優しいよね、自分が自腹になっても僕達を連れてってくれるなんて」

 

「ホントだよね、玲二って昔っから何にも変わんないよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十数年前―

 

僕ところさんはまだ四歳だった頃、ころさんと僕は公園で遊んでたんだけどころさんが蝶々に夢中になって追いかけて行って、僕もそのまま付いていったらいつの間にか知らない道にいて二人で泣いていた時があった。

 

「うぅ~、おがゆぅごめんねぇ……」

 

「グスッころしゃん、ぼくたちおうちかえれるの……?」

 

帰り道が分からず、ただ泣きながら当てもなく歩き続けたけど、四歳だった僕達は直ぐに歩く体力もなくなりその場で泣きじゃくってしまったんだ。もしかしたら二人とももう家に帰らないんじゃないかって?そんな時だった……

 

「あー、お嬢ちゃん達、そんな泣いてどうしたんだ?」

 

「「え…?」」

 

声を掛けられ顔をあげると其処には小学生くらいの少年がいたんだ。彼の後ろには僕と同じ歳くらいの猫?の獣人の女の子が恥ずかしそうに顔を少し出してた。

 

「もしかして迷子かな?どっから来たかわかる?」

 

「ううん、ちょうちょおいかけてたらここにいたの……」

 

「そっか……それまでどこにいたか覚えてる?」

 

「……こうえん」

 

「公園かぁ、ここら辺だと何ヵ所かあるけど、それだけじゃあ分かりにくいな」

 

彼はずっと僕達を送ってくれようとしてたけどその時の僕達の説明がざっくりし過ぎて分からなかったみたい、けど

 

「……ね、ねぇれいくん。このこたちさっきしらかみがあそんでたこうえんにいたとおもう」

 

「ホントかフブキ?その公園の場所分かるか?」

 

「うん、あっちのこうえん」

 

「そっか、でかしたぞフブキ、えらいえらい」ナデナデ

 

「ふみゅう///」

 

後ろにいた猫?の女の子が僕達を知ってたみたいでさっきまでいた公園の道程を言うと彼に頭を撫でられ照れながらも嬉しそうに目を細めていた。

 

そしてそのまま女の子に案内されながら公園へと向かって行ったんだ。その時に女の子に僕と同じ猫?って聞くと「きちゅねじゃい!」とちょっと怒ってたのがちょっぴり可愛かった。そして

 

「ころね!もう何処に行ってたのよ?!」

 

「おかゆも心配したじゃない!怪我とかはない?!」

 

「うわぁ~ん!ままごめんなしゃあい!」

 

「まま、ごめんなしゃい……」

 

公園にたどり着いた瞬間ママ達に見つかりこっぴどく叱られてしまった。いつもはあまり怒らないママがあんなに怒ったのは恐らくあの時ぐらいだろう。

 

「君達も娘を見つけてくれてありがとうね」

 

「いえ、当然の事をしたまでなんで。それじゃあ俺達もそろそろ帰るかフブキ」

 

「う、うん」

 

そう言って彼は女の子と一緒に家に帰ろうとしたけど、その時僕ところさんは無意識なのか彼のズボンをぎゅっと掴んでいたんだ。

 

「?えーっと、どうしたのかな?」

 

「……またこおねたちとあしょんでくえる?」

 

「遊んで?あー、まあ此処にいる時なら全然良いぞ、フブキもお友達が出来るしな」

 

「ホント?じゃあおにいちゃん、またぼくたちといっしょにあそんでね」

 

「あぁ、約束な。それじゃあ今度こそ帰るか」

 

「ば、ばいばーい」

 

こうして彼と女の子はその日は帰っていった。そしてそれからほぼ毎日のように彼や女の子と一緒に遊んでたけど、彼が中学に上がった頃から彼とは会わなくなってしまった。

 

けど、それでも僕達はまた会いたいと思ったんだ。だってこれが僕ところさんの初めての恋だったんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして現在―

 

「あの時はびっくりしたよね~、まさか入ったアイドル事務所に初恋の人がいるなんてね」

 

「そうそう、玲二はこおね達の事忘れてるみたいだったけど、こおね達は一発で分かっちゃったもんね~」

 

そう、あれから十数年の月日が経ちおかゆところねはホロライブに入社し、其処で幼少期に出会った彼と女の子、つまり佐々木玲二と白上フブキと再会したのだ。玲二は二人の事はすっかり忘れていたが、二人は動物的感か直ぐに玲二があの時助けてくれた初恋の人だと気づいたのだ。まぁ、フブキも二人の事を覚えていてライバルが増えるとバリバリ警戒していたが。

 

「レイくんはあの時から何にも変わってない、優しい僕達のレイくんだよね」

 

「そだね~、だからこそライバルは多いんだけどね」

 

ホロライブのアイドル達は大なり小なり玲二に好意を寄せている。それは本当に依存レベルな娘もいるくらいだ。だからこそ自分達ももっとアピールをして玲二に近づきたい、そう思う二人である。

 

「ねぇころさん」

 

「なぁにおかゆ」

 

「旅行、楽しみだね♪」

 

「……うん、楽しみだね~♪」

 

そんな二人は来週の旅行を楽しみにしながら自分達の家へと帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―旅行から帰宅した翌日―

 

あれから俺達三人は横浜の高級ホテルへと旅行に行って存分に楽しんできた。当初の予定通りガンダムファクトリーヨコハマへと行き其処でしか手に入らない限定プラモや動くガンダムの見学等で凄く盛り上がり、更には横浜の中華街に行き美味しい料理を堪能しまくった。ちょっと出費は大きかったが凄く楽しい旅行だったな!

 

さて、気持ちも切り替えて今日から仕事を再開して……

 

「ねぇレイくん、ちょおっとお話良いですかぁ?」

 

「ん?どうしたフブキ、そんな怖い顔して」

 

仕事を再開しようとした瞬間後ろからフブキが笑顔ながら物凄い圧を出して俺に詰めよって来た。な、何か嫌な予感が……

 

「おかゆところねから聞きましたけど、三人で旅行に行ってきたんだって?それも同じ部屋で」

 

「あ、あぁ、ハイ、行ってきましたが……」

 

「ふぅん、そうなんですかぁ~……なぁんで幼馴染みである白上を誘ってくれなかったんですかねぇ?」

 

「え、いや、あの、その……」

 

あの二人旅行に行った事言いふらしてるのか?!ちょっと何考えてんだよ!絶対めんどくさい事に……

 

「レイさん旅行って何?おかゆところねを誘って何でウチを誘わなかったの?」

 

「兄ちゃん酷いよ!おかゆ達だけ旅行に連れてって貰えるなんて狡すぎるッス!」

 

「玲二さん、ラミィという婚約者がいながら他の女と旅行ですか?浮気なんですか?」

 

ほらぁ、結局他の娘達も集まって来ちゃったじゃないかぁ!あいつ等余計な事しやがって!後ラミィ、お前別に俺の婚約者じゃねぇだろ現実と妄想ごっちゃにすんな。

 

『さ、じっくりお話し聞かせてもらいますよ』

 

「………はい」

 

はぁ、帰って来て早々面倒事になってしまった、最悪だ………

 

 

 

 

その後他のメンバーとは各自一日デートをする約束で勘弁してもらえたがお陰で財布に大ダメージを負った玲二であった。




はい、という事でおかころの話でした!

次回はちょっと珍しい組み合わせにしてみたいと思いますので待って頂ければ幸いです(^o^)
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