今回はタイトルでも分かるかも知れませんがあの娘の登場です。以前書いた話とは少し話の流れは変わってますがご了承下さいませ、ではどうぞ!
「……此処がホロライブマンションかぁ」
とある昼下がり、一人の金髪の女性がホロライブマンションの前へとやって来ていた。その手にはキャリーバッグが握られており、まるで此処に引っ越ししに来たかのようにも思える。
「フフ♪待っててね玲二、今から会いに行くよ♪」
女性はそう言うとインターホンを押す為に手を伸ばす。どうやら、また一波乱が起こりそうだ……
―その少し前―
「フンフンフーン♪」
「お?なんだか機嫌良さそうだなフブキ、何か良い事でもあったのか?」
久しぶりの完全フリーなオフの日、俺とフブキは一緒にガンプラを作っていた。フブキはアースリィガンダムのアーマーを自分のカラーに塗装しながら何やら機嫌良く鼻歌を歌っている。
「えー?だって久々にしらか……じゃなかった、私とレイくんが一緒にガンプラ作れるんですもん♪嬉しいに決まってますよ~♪」
「そっか……ところでフブキ、お前最近自分の事『私』って言うようになったけどどうしたんだ?」
此処数日前からフブキは自分の事を『白上』ではなく『私』と言うようになった。たまに忘れて白上と言いそうになってるが、それにしてもどうして一人称変えたんだ?
「え?だ、だって……もう私『白上』じゃないから……///」
フブキが顔を赤らめながら照れくさそうに言う。そういう事か、確かにもう戸籍上は『白上フブキ』じゃなくて『佐々木フブキ』だもんな。
そう、俺達はつい先日籍を入れ、それに伴いフブキも俺の姓に変えたんだ。最も、それはフブキだけではないが。
因みに既に籍を入れたのは
そら
アキ
はあと
ちょこ
ミオ
おかゆ
ころね
ぺこら
フレア
ノエル
マリン
ラミィ
ぼたん
ポルカ
クロ
である。何故彼女達だけかと言えば皆との話し合いの結果、籍を入れるのは20歳以上にしようという事になったのだ。これに対して一番文句を言ってきたのはルーナだったが、そもそも14歳なんだからまだ結婚出来る年齢ではないから我慢しろと言ったら頬を膨らまして唸ってた。
「けどお前はアイドルとしては白上フブキなんだから一人称白上のままで良いんじゃないか?」
「それはそれですよ。アイドルしてない時は私はもう佐々木なんですから白上と言うのはおかしい話じゃないですか」
それもそうか。まあそんな他愛もない話をしつつ俺達はガンプラ作りを続けていく事にした。
―ピンポーンッ―
「あれ?誰か来たのかな?」
「うん?確か今日は夕方くらいにヒメヒナが遊びに来る予定だったが、早くないか?」
もしかして早く来たのか?にしてもまだ昼前だぞ?それとも宅急便とかか?まあどちらにせよ行って確認するか。
―ガチャッ―
「はいはーい、どちら様ですか……って」
「はーい玲二ぃ、久しぶりぃ♪」
……驚いた、まさかこいつが此処に来るなんてな。めっちゃ久しぶりだけど、一体どうして?
「レイくーん、一体誰が来たんですか……って、あなたは……」
「あ、フブキちゃん久しぶりぃ♪ハロー、ミライアカリだよ♪」
其処にいたのは俺のかつての大学時代の後輩でありトップアイドルの一人である『ミライアカリ』だった。
「いやぁ~、ごめんね急にやって来ちゃって♪本当なら前もって連絡したかったんだけど玲二のスマホの番号変わってたから仕方なく直接来ちゃった♪」
「いや、それは良いんだが……」
それからアカリは家に上がり込みリビングでお茶していた。こいつとは大学卒業してから殆ど会ってなかったがちっとも変わってないな。
「ぼたんちゃんとミオちゃんも久しぶりだね、元気してたかな?」
「……まあね」
「……ウチもそれなりには元気してましたよ」
……ぼたんとミオの機嫌が目に見えて悪いのが分かる。やっぱり二人とも、“あの事”まだ根に持ってるのか?
「ね、ねぇどうなってるの?あの人ミライアカリさんだよね?なんで此処にいるの?」
「わ、分からないけど……って言うかアカリちゃんってもしかしてぼたんちゃんとミオしゃと知り合いなの?」
「た、多分ぼたんちゃんとミオって事はレイくんの大学時代に関係してると思うんだけど……」
「そ、それにしてもあの二人なんか機嫌悪くない?一体どうしちゃったの?」
一部のホロメン達が部屋の隅でこちらを見ながらヒソヒソと話している。まあ、こんな空気になってるんだから仕方ないか。
「てかあんたは一体何しに来たのさ?まあ、聞かなくても大体想像つくけど」
「流石ぼたんちゃん、鋭いねぇ♪実は、アカリは今日玲二に用があって来たんだよね」
「用……成る程、あの婚約発表を見て来たワケですか」
アカリの言葉に二人の目つきが鋭くなっていく。まあおそらく言いたい事は分かるが……
「うん、単刀直入に言うね。玲二、私とも結婚して」
『はあぁぁぁぁぁぁッ?!』
やっぱそうだよなぁ。ミオとぼたんは更に目つきが鋭くなりそれ以外は急な求婚に驚いてしまってる。
「ど、どういう事なのレイくん?!なんでアカリちゃんがレイくんに求婚迫ってくるの!?それにミオとぼたんちゃんもアカリちゃんの事知ってるみたいだけど一体何があったの?!」
「落ち着けフブキ、ちゃんと一から説明する。他の皆も良いか?」
俺が確認すると皆取り敢えずは納得したのか頷いてくれた。さて、どう説明しようか……?
「んじゃまずは俺達の関係だな。知ってる奴もいるかもしれないが俺とミオとぼたんは三人とも同じ大学に通っていた仲だが、其処に他にもう一人いたんだ。それがアカリってワケだ」
「あ、アカリちゃんが、玲二君と同じ大学に……?」
「そう、そしてアカリはレイっちとあたしの後輩でミオちゃんの先輩だったのさ。大学時代はあたし達四人が絡む事が多かったからその時は自然と仲良くなってたんだよね」
「な、成る程……でも、さっきのししろんとミオ先輩見てたらとてもそうは見えなかったんだけど?寧ろ二人ともアカリさんの事毛嫌いしてるっていうか……」
「……そりゃあんな事あれば険悪になるのは当然だよ」
ミオの言葉に皆は理解出来ず首を傾げる。しかし次のぼたんの一言で事の重大さに気づく。
「そりゃそうだよ、だって……
酒に酔ってレイっちの初めて奪ったのは此処にいるミライアカリなんだから」
『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!!!』
ぼたんの口から告げられた衝撃的な真実に皆は驚愕の叫びをあげた。にしても結構な人数がいるからうるせぇ、鼓膜が破けるかと思った。
「何さそれ?!それじゃレイくんの初めての相手ってアカリちゃんだったの!?」
「あ、あぁ……ホロライブに正式に勤める事が決まった日にアカリがお祝いを持ってきて、そしたらいつの間にか酒が入ってて、気づいたら一線越えてしまったんだよ……」
「いやぁ~あの時は大変だったねぇ?玲二のおっきいからいろいろとするのに戸惑っちゃって♪」
俺が申し訳なさそうに話すもアカリは何の悪びれもなくケラケラと笑いながら当時の事を語り出す。そのせいで皆もミオ達のように目つきが鋭くなっていく。
「何が大変だよ!?あんたレイっちが酒に弱いの知っててわざと酒買ってきて飲ませたんだろうが?!」
「ウチ等がレイさんの住んでたアパートに行った時には既に事後だったし、あれのせいでウチ初めて人に対して○意覚えちゃったよ!」
「うえぇぇッ?!だ、だって玲二が就職しちゃったら会える時間が少なくなると思ってぇ~……本当はぼたんちゃんやミオちゃんが来るのを待ってたんだけど、思った以上に玲二が酔うの早かったんだもん……」
いや確かに俺酒弱いからあの時酔った勢いでしちまったけど……ん、ちょっと待てよ?
「なあアカリ、ぼたんとミオが来るのを待ってたってどういう意味だ?」
―ギクッ!?―
ん?ぼたんとミオの様子が突然変わったぞ?さっきまであんなにアカリの事睨んでたのにいきなり動揺し始めて……まさかこいつ等……
「え?だって……この計画考えたのミオちゃんだもん、ぼたんちゃんも乗っかってくれたし」
『なんだとおぉぉッ?!』
やっぱりか。先程までアカリだけを睨んでいた皆が今度はミオ達にその鋭い視線を向ける。二人とも更に動揺したのか汗が滝のように噴き出している。
「ちょっとミオ、一体どういう事?もしかしてミオ達もその時に一緒に交ざるつもりだったの?」
「ししろんもさっきまでアカリさんだけが悪いみたいな言い方してたけど、おもいっきり同罪じゃん?」
「「い、いやぁその~……」」
どうやら図星らしいな。おそらくアカリが俺に酒を飲ませて酔い始めた頃にミオ達も来て事を始めるつもりだったが思った以上に俺が酒に弱いからそれが狂ってしまったと?
「うぅ……だ、だってウチだって大学時代からレイさんの事好きだったもん!それでアカリさんから就職祝いに何かしてあげたいって言うからウチ等の身体をあげようってなって……」
「あ、あたしもレイっちと一緒になれたらなーって……すんません」
なんだそりゃ?結局のところあの時の事はアカリと言うかお前等のせいだったのかよ?
「それで結局二人の初体験もお流れになっちゃったしアカリもアイドルとしての活動が忙しくなったから全然玲二に会えない日が続いてたからずっと我慢してたの。けどこの間の一夫多妻制度のニュースと玲二とホロメン達の婚約発表を見てこれはチャンスと思って今日此処に来たんだぁ♪」
「来たんだぁ♪じゃないよ!?そんなの私達絶対に認めないからね!只でさえクロちゃんやシロちゃん、それにみしろちゃんとも婚約してるのにこれ以上レイくんの嫁が増えるのを許せるワケないじゃん!!」
フブキが完全に敵意剥き出しでアカリの事を威嚇する。まるで縄張りに入って来た相手を威嚇する猫だな……
……さて、いつもならこのタイミングで勝負事になりそうだが、一体どうするのか……ん?どうしたんだアカリ?なんか皆集めて何やら話し込んでいるようだが……それに何か配ってるけど、それを見た皆が何故か顔を赤らめている。一体何配ったんだ?
「……アカリちゃん、ようこそホロライブマンションへ!これからは同じレイくんのお嫁さんとして一緒に支えていきましょうッ♪」
「うん、よろしくね皆~♪」
「はあぁッ?!ど、どういう事だよそりゃあッ!?」
いきなりフブキが手のひら返してアカリの事迎え入れたんだが?!他の皆もなんだかさっきまでと違ってニコニコしてるし、本当に何があったんだよ!?
「やっぱり同じ人を愛する者同士、いがみ合いなんてしちゃダメなんですよレイくん♪それにレイくんも酔った勢いとは言えアカリちゃんの事抱いたなら責任は取らないと♪」
……本当にどうしちまったんだ?アカリ、お前一体何言ったんだ?何渡したんだ?めっちゃ気になるんだが?!
「それじゃ玲二、皆!改めてこれからよろしくね♪」
『よろしく~♪』
お前等もそれで良いんかい?!……もう良いや、これ以上突っ込んでもキリがない。それにフブキの言う通り、アカリに抱いた事には変わりないんだから責任は取らないとな。
「というワケで玲二、これからもよろしくね♪」
「あ、あぁよろしくな」
やれやれ、またこの家が一層騒がしくなるな。
こうしてホロライブマンションに新たな住人、そして婚約者にミライアカリが加わった。これからまた玲二の周りが賑やかになるだろう。そして玲二の貞操喪失の真相が分かった事によりミオとぼたんは一ヶ月の玲二接触禁止令が出される事になったのは言うまでもない。
―オマケ―
「……ガンプラビルダーコンテスト?なんだそりゃ?」
「うん、最大十人一チームで行われるガンプラの大型コンテストなんだって♪」
夕方頃になりヒメヒナの二人が遊びに来て、ヒメから突然ガンプラに関するイベントのチラシを見せられたが、なかなか面白そうな感じだな。
「あぁ、私の処にも話は来てたな。まあこのコンテストはアマチュア専門だからプロの私は出れないけどな」
「そうなのか?にしてもバラエティーが凄いな、旧キット部門やジオラマ部門、塗装部門なんてのもあるのか」
「うん、凄いでしょ?だからヒナ達も出たいから玲二くんも一緒に参加しよ?勿論フブキちゃん達も一緒に♪」
そうだな……これで入賞出来ればもしかしたら皆の仕事の幅も広がるかもしれないな。ヨシ、やってみるか!
「分かった、他のメンバーはこちらで選抜しよう。そして皆で最高のガンプラを作ろうな」
「「おーッ♪」」
こうして俺達は初のガンプライベント『ガンプラビルダーコンテスト』への参加を決めた。そうと決まったら各種部門に出る娘を選抜しないとな。
はい、という事でミライアカリ参戦回でした。そして次はコンテスト!勿論以前のようなバトル物ではなく普通にガンプラを提示するようなイベントです♪
そしてフブキの一人称を『白上』から『私』に変更しました。まあ、名字変わるのにずっと白上はおかしいと思ったので。
次回もまったり書いていくので気長に待って頂ければ幸いです、ではまた!