ウマ娘ストーリー・ブラックテイル   作:扶桑畝傍

16 / 77
ハルウララ起動

「今日の新潟競馬場は重バ場で良くありません、

 前日に置けます大雨の影響で、

 あちこちがぬかるみ、ウマ娘の足を取ります、

 しかし、レースは非常、

 曇天に合わせるウマ娘ではありません!!

 ここに(GⅢ)新潟大賞典、開幕です!!」

 

「トレーナー。」

「なんだ?ウララ?」

「今日、蹄鉄、軽いんだよね?」

「おぅ、体重もベスト、余分な重さを追加する事も無い。」

「そう、ならいいや。」

「ウララ、正直、無理はするな、無茶はしていい。」

「え?」

「それだけの身体は出来ている筈だ、

 後は『お前の勝利に貪欲な部分をモノにするだけだ』

 行って来い、『ハルウララ』

 元気だけが取り柄じゃない事を見せつけて来い!!」

「・・・いいの?」

「あぁ、全員倒して来い。」

「・・・キヒッ。」

「相変わらず焚きつけるのが上手いなぁ。」

「タキオン、今日は家で大人しくしてろって言ったろ?」

「いや、丁度水道工事が入ってな、

 今日一日は水道が使えないのだよ。」

「あり?そうだっけ?」

「ちゃんと通知も来ていたぞ?」

「そうか、悪いな、タキオン。」

「ぉ、おぅ、どうした?やけに素直だが?」

「ウララがな。」

「また他の女の話かい?」

「『笑ったんだ』」

「笑った?」

「・・・キヒッって。」

「き、き、ひ?」

「あぁ、俺達は

 ハルウララの開けてはいけない扉を開いたのかもしれない。」

 

「各ウマ娘がゲートインして・・・おっと、

 幾人かのウマ娘がゲートインしません、

 どうしたのでしょうか?」

 

さてはて、

名前を知らないウマ娘がゲートインを拒否ってるけど、

まぁ、仕方が無いかな?

ハルウララ、君はこんなに『野獣』だったかい?

ま、私の筋肉には敵わないだろうけど。

 

「ようやくゲートインが完了しました、

 さぁ、大賞典、間も無く、

 スタートしました!!

 先頭はメジロライアン!!

 なっ!?直ぐ後ろに

 『ハルウララ!!ハルウララが張り付いています!!』」

(なっ!?コレはヤバい!!

 作戦変更!!全速力!!)

「メジロライアン逃げる!!

 しかし、鼻差で貼り付くハルウララ!!

 先頭の二人は既に5馬身は後続を離している!!」

「うわ~・・・ここまで変わってたのか。」

「お、おぅ、私もこれは誤算だ、

 あのメジロライアンが追い立てられているぞ?」

「後続は3コーナー、ですが

 デッドヒートを繰り出す二人は既にメインストレート!!

 早い!!早すぎる!!

 これはもしやレコードが出るのか!!

 レコードが出てしまうのかっ!?」

(離れない!!冗談じゃない!!)

「負けるかぁ~っ!!」

「ウララ、口が小さくなったな。」

「ん?口?」

「あぁ、普通なら息苦しくなると

 口を開いて酸素を取り入れようと必死になる筈だ。」

「・・・これは。」

「このぉお~っ!!」

 

「メジロライアン加速する!!加速する!!

 しかし喰らい付くのはハルウララ!!

 離れない!!ゴールまで後僅か、

 勝敗はどちらになるのかっ!!」

(いやだ・・・負けたくない、

 負けたくないっ!!

 マックイーンになんて言えば・・・)

「くそぉ。」

「出力、全開。」

「なっ!?」

 

「なんとハルウララが並んだ!!並んでいる!!

 ライアン逃げる!!ウララが張り付く!!

 いや、僅かにハルウララが早いかっ!?

 ハルウララが伸びる!!加速する!!

 メジロライアンも負けじと加速する!!

 ・・・ゴール!!

 判定は・・・写真判定だぁっ!!

 写真判定になります!!

 おおっと!!

 皆様ご覧ください!!

 レコードも出ています!!

 レコードです!!

 1.54.7!!1分54秒07!!

 56秒の壁を打ち破った~っ!!」

「出ました!!

 メジロライアン!!メジロライアンがギリギリ一着!!

 僅差でハルウララが二着に確定しました~っ!!」

(く、くるしい、え?なに?きこえない・・・)

「負けました、メジロライアン。」

「え?」

「メジロライアンが一着ですよ。」

「けほっ・・・ほ、ほん、と?」

「・・・はい、メジロライアン、ウララは僅差で負けました。」

「あはは・・・でも、ウララ、ちゃん、まだ、よゆ、そう。」

「・・・ふぅ、そう、ですね、

 悔しいです、今度は負けません、メジロライアン。」

「ぁ、あはは、お、お手柔らかに。」

 

トレーナールーム

っぐ・・・ひぐっ・・・

「よく頑張った、ハルウララ。」

・・・ぅ・・・ひぐっ・・・

「ほら、顔上げて?」

ヤダ~・・・っぐ、ひぐ、うぅ~

「元気だけじゃないって、証明したじゃないか。」

・・・マケ、チャッタ、・・・っぐ、うぅ

「勝たなきゃいけないって、俺言ったか?」

イッテ、ナイ

「無理だけはするなって言ったろ?

 『ちゃんと守ってくれたじゃないか』偉いぞ?ハルウララ?」

うえぇ~ん!?

 

「タキオン、良いんですか?」

「ライス、流石にあの中に入る無粋さは持ち合わせに無いんだが?」

「・・・常識、貴女にあったんですね?」

「心外だなぁ、ちゃんと『頭には入ってるよ?』」

「・・・タキオン。」

「おっと、『私の病気は他言無用だ』」

「なぜっ!!」

「・・・賭けなんだよ。」

「賭け?」

「あぁ、私の生涯成績『4戦4勝』

 これを越えないと結果が出ないのだよ。」

「生涯、成績って、貴女はまだデビューすらしていないのに!!」

「見たんだろう?」

「屈腱炎、ウマ娘界隈での『ガン』ですよね。」

「あぁ、正直、私も『研究はしたが』結果、

 予防も、完治も認められない結果を知ってしまったよ。」

「それは・・・。」

「ライスシャワー、キミにも『爆弾』がある。」

「え?」

「その小柄な身体に見合わないステイヤー能力は、

 『脚の負担が私以上にのしかかる』

 それをわかっていないとは言わせないよ?」

「・・・タキオン。」

「それに、『ウマ娘全体が脚に爆弾を抱えている』

 それが宿命なんだよ、ライスシャワー。」

「宿命・・・ですけど!!」

「はは、いいんだ、私は『何度も諦めている』

 コレが『最後になっても構わないのだよ』

 黒尾君が居てくれるからね。」

ズキッ

「お、おに、トレーナーさんが?」

「ふふ、黒尾君なら受け入れてくれる筈さ、

 『お兄様』と呼ぶくらい問題ないさ、『私が正室なんだから』」

「せっ!?正室ってっ!?」

「別に『ウマ娘の重婚は咎められていないし推奨もされている』」

「!?」

「おや?知らなかったのかい?

 『ウマ娘に耐えられる男性は限られているからねぇ』」

「・・・そうなの?」

「・・・キミはちゃんと授業受けているのかい?」

「あ。」

「・・・補講分は教えてあげるよ。」

「お、お願いします。」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。