ウマ娘ストーリー・ブラックテイル   作:扶桑畝傍

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また別な日

黒尾トレーナーに休日と言う日は無い

黒尾トレーナー相談所があるから・・・


黒尾だって苦手なウマ娘もいる

また理事長の修正書類を打ち込んでいる時

 

ピコ

 

「ん?チゲゾーだ。」

〔ちょっとそーだんしていい?〕

「なんじゃい?」

〔どーにもさ、速度がのびねーんだよ〕

「ぁ~、最高速?加速力?」

〔かそくの方〕

「ふむ。」

〔加速力なら、苦手な物から全速力で逃げる事かね?〕

〔苦手な物?〕

〔例えば蜂が後ろから

 猛スピードで追いかけて来るのを想像するとか?〕

〔いや、アタシなにしたんだよ?〕

〔いや、想像だかんな?〕

〔あぁ、そっか〕

〔それから逃げるにはどうしたら良いと思う?〕

〔ぁ~・・・にげる?〕

〔そりゃそうだけど、

 逃げるにも色々あるだろ?〕

〔どんなの?〕

〔蛇行もあるし、真っすぐ全速力もあるだろうけど〕

〔だ、蛇行じゃヤバくねぇ?〕

〔例えばの話だ、

 もしくは、目の前にクモがぶら下がってきたら?〕

 

〔もっしも~し?〕

 

〔お~い?〕

〔い、居ないぞっ!?クモどこにいるんだっ!?〕

〔想像な?想像だぞ?〕

〔クモこわい〕

〔んじゃ、クモが巨大化して、チゲゾーの前に現れる〕

 

 

 

〔大丈夫か?〕

〔そ、そそそうぞうんだよな?な?〕

〔あぁ、そいつがチゲゾーを見つけて

 追っかけて来る、それを加速力のトレーニングに

 組み込んでトレーニングすれば、

 自ずと、『加速に必要な足運び』が

 身に着くんじゃないかね?〕

〔な、なるほど、やってみる〕

〔まぁ、程々にしないと、

 脚痛めるから、必ず一本毎にストレッチしろよ?〕

〔え?一本毎に?〕

〔当たり前だ、それだけ『過負荷』を脚にかけるんだ、

 下手すりゃぶっ壊れるんだぞ?〕

〔ウマ娘なんだし大丈夫だろ?〕

〔____この動画見て来い、

 ある『プリマドンナ』の実録だ、

 人間だって『足首に1トン以上の衝撃を喰らう』

 ってのが、良くわかる〕

〔ぷ?プリマドンナ?〕

〔ダンスレッスンの、バレエの女性を差す言葉だ、

 大丈夫って無理した結果、壊れたんだ〕

〔・・・どんな時?〕

〔翌日が舞台本番で、その前日〕

〔ひえぇ~・・・〕

〔ほんと、気を付けろよ?〕

〔へ~い、さんきゅ~、黒尾トレーナー〕

〔ほいじゃ、またな~〕

「さて、続き、続き。」

カカカカカカッ

 

ピコ

「はい?今度は誰だ?」

〔カノープスのイクノディクタスです〕

〔はいはい、どったの?〕

〔実はツインターボの追試についてなんだ〕

〔ま・た・か〕

〔あぁ、これではトレーニングに支障が出てしまって、

 全体練習が出来ないでいる〕

〔ん~・・・あ、ちょっと待ってろ〕

〔?わかった〕

 

 

〔あった、あった〕

〔何があったんだ?〕

〔____これ、添付したから、

 これをコピーして、

 ツインターボにやらせてみて、

 少しは改善されるはずだから〕

 

 

〔早速やらせて来る〕

〔イクノディクタスは、走り、大丈夫なのか?〕

〔痛い所を〕

〔最近、入賞逃してばっかりだろ?〕

〔あぁ、後半のスタミナがな、

 つい先行組に引っ張られて長続きしないんだ〕

〔いや、イクノ、お前さん周りを

 『気にし過ぎなんじゃないか?』〕

〔周りを?〕

〔そぅそぅ、『先行組に引っ張られて』って事は、

 『自分ペースなら終盤もスタミナは持つ』って、

 わかってるんだろ?〕

〔それは、そぅなのだが〕

〔そしたらば、アレだな〕

〔アレ?〕

〔写経〕

〔・・・えっと、なんて読めば?〕

〔しゃきょう、

 お坊さんの御経の教典だ、

 ____コレ、今購買に頼んだから、

 受け取ってくれ、

 『ウマ娘用イヤキャップ・ノイズキャンセリング付き』と、

 写経セットだ、料金は俺が既に決済すませたから

 やって見てくれ〕

〔いやいやっ!?それなりの値段だぞっ!?〕

〔トレーナーだからな、ウマ娘に良い事なら、

 多少の出費は気にならん〕

〔し、しかし〕

〔なら、結果で返してくれ、

 入賞か、1~3着と言う結果で〕

〔・・・わかった、やって見る、

 ありがとう、黒尾トレーナー〕

〔あ、南坂トレーナーからメール来た、

 今、購買の前にいて、代わりに受け取ってくれたそうだ〕

〔えぇっ!?〕

〔直ぐ向かうってさ〕

〔いっ?!急いで着替える!!〕

 

 

〔え?〕

「あ、返事返って来ねぇ。」

カカカカカカカカカカカカッ

 

ピコ

「今度は誰じゃぃ?」

〔ウチや〕

〔なんじゃいタマちゃん?〕

〔タマちゃんやない!!

 タマモクロスやでっ!!〕

〔わ~っとるがな、んで、タマちゃんなんかようかい?〕

〔せや、ウチのたこ焼きの焼き機が壊れてしもたんよ、

 なんとかならへんか?〕

〔壊れたって、どの辺が?〕

〔なんや、この____ら辺や〕

 

(どれどれ・・・ぁ~)

〔あかん、これブレーカーが逝ってもうてるわ〕

〔ブレーカー?〕

〔要はガス式と電気式の違いで、

 『元栓が逝ったちゅ~こった』〕

〔あかんやんそれぇ!!〕

〔交換の仕方とか予備は?〕

〔そんなんあらへんのよ、

 バイトで稼いだのはほとんど家に仕送ってるんや、

 どないしよ・・・〕

〔俺のトレーナールームは解る?〕

〔黒尾はんの?まぁ、わかるちゅ~たらわかるけど〕

〔持って来い、直したる〕

〔ほんまかっ!?〕

〔うそ言わん〕

〔今直ぐ持ってくわ!!まっててな!!〕

〔はいよ~〕

「さて、100vのブレーカーと、後は中身の掃除だな。」

コンコンコン

「流石ウマ娘、速ぇなぁ。」

「持ってきたでぇ!!」

「あいよ、みせて・・・タマちゃん、

 先ずは反省しよか?」

「なんでやっ!?」

「上澄みだけお掃除はあきまへん!!

 中のお掃除しておらへんのは論外や!!

 今から教えたるさかいに、

 し~っかり、覚えてき!!」

「ぉ、ぉお、なるほど?

 ま、まかしとき!!」

 

一時間ほどで掃除と危なそうな配線は交換して、

ちゃんと温まるのを確認し、ポータブル温度計でも確認した

 

「な、なおっとる!!ホンマ直っとる!!

 ありがとうな!!ホンマありがとう!!」

「今度、家のチームにたこ焼きを作ってくれや、

 それで修理代はチャラや。」

「ぇ、そんな事でええんか?」

「材料費も出すぞ?」

「おぅ!!何時で焼いたるさかいに!!

 黒尾トレーナー!!

 ホンマありがとな!!またくるで~っ!!」

「ちゃんと掃除しろよ~。」

「わかっとるわ!!」

「さて、続き。」

ドガガガガガガガガ

 

ピコ

(おい~)

〔はい、黒尾トレーナー相談所〕

〔ぁの、メイショウドトウです〕

〔メイちゃんか、どったの?〕

〔あの、次のレース、出ても良いのかなって〕

〔ぇ~っと、『日経新春杯』かな?〕

〔えぇっ!?なんでしってるんですかぁっ?!〕

〔いや、俺トレーナー〕

〔す、すいません〕

〔大丈夫、むしろ前回あれだけ攻め込んでるんだから、

 行ける、大丈夫、黒尾トレーナーお墨付きあげちゃう〕

〔はわわわ、い、いいんですか?〕

〔おう、頑張って走ってきな!〕

〔ぅ~でもぉ〕

〔なんならハルウララに『追いかけさせようか?』〕

〔ぇ・・・遠慮します〕

〔んじゃ、頑張ってらっしゃいな、

 戻ってきたら、パフェまた作って上げるから〕

〔行きます!!パフェ!!食べに行きます!!〕

〔じゃぁ、3位以上なら、順当にオマケをプラスしてあげる〕

〔燃えて来ました!!〕

〔それじゃぁ、調整しっかりな?〕

〔はい!ありがとうございます!

 パフェ、楽しみにしてます!!〕

〔またね~〕

 

「はぁ、これ進むのか?」

まだ手元には100枚近い量の修正書類がある

月末まで大丈夫とか言ってると、地獄を見るので

兎に角進めなければ・・・

ガガガガガガガガガッ

 

ピコ

(やっぱ、閉じようかな、この相談所)

〔やぁやぁ、この〕

ぷち

ピコ

〔こら、黒尾トレーナー相談所!!〕

ブチ

ピコ

〔くーろーおー!!〕

 

 

〔なんだ、ナルシスト〕

〔なんだ、返事出来るでは無いか!!〕

〔要件〕

〔つれないな~このボク

 テイエムオペラオーと言う

 最高のウマ娘が君に相談しているのだぞ?〕

ブチ

ピコ

〔こら!!相談所を閉じるんじゃない!!〕

〔要件を言え、さもなくばアカBANするぞ〕

〔それはいけない、

 要件はね?ボクの演出でウイニングライブを

 盛り上げたいのだがね?

 ___と言う企画なのだがどうだろうか?

 まぁ、これならもっと沢山の人々に

 ボクを知って貰えると確信しているのだがね!!〕

〔これ、競馬場の規約に引っ掛かるそ?〕

〔なんだと?〕

〔火器の使用規約と、

 大型舞台稼働装置は、

 搬入、搬出に掛かる諸経費の金額も無い、

 これじゃ却下される〕

〔で、では、これではどうかね?____〕

〔いや、先ず『ウイニングライブ』規格仕様書を読め〕

〔なんと、その様な物があるのか!〕

〔今知った様な感じを出すな、

 このネタ15回目だぞ、

 真面目にアカBANするぞ?〕

〔そ、それだけは止めてくれ、

 キミだけなのだ、ボクのトレーナーは、

 聞き流して聞いてくれないし、

 他のウマ娘達もあんまり取り繕ってくれないし〕

〔はぁ、兎に角、

 ウイニングライブの舞台にある物を使って

 最大限お前さんの宣伝が出来るように

 擦り合わせて企画書作って来い、

 そうしたら、また見てやる〕

〔本当か!!ならばさっそく行動する事にしよう!!

 ありがとう!!

 キミならボクのファンクラブ名誉会長の任を与えよう!!〕

〔アカBAN〕

〔すいませんでした、もう言いませんから

 それだけは本当にやめて下さい〕

〔ちゃんと作って来いよ?〕

〔うむ!!最高の大歌劇をお見せしよう!!〕

〔またな~〕

(今度、3時間ぐらいBANしてやろう)

ドガガガガ

 

ピコ

(進まねぇっ!!誰だ今度は!!)

〔珍しいな、メジロドーベル〕

〔えぇ、そうね〕

〔どうした?〕

〔最近、貴方と話してなかった〕

〔そりゃぁ、俺も忙しいし、

 ドーベルも調整してたろ?〕

〔えぇ〕

〔なんだ?クラスでなんかあったのか?〕

〔鋭いな〕

〔お高く止まってるお嬢様的な事か?〕

〔まったく、なんで貴方には筒抜けなのかしらね?〕

〔まぁ、色々あんだよ、

 メジロドーベルお嬢様ww〕

〔それは止めてって言ったでしょ?〕

〔すまん、しかし、

 お前さん仲いいウマ娘とは

 普通に話せるじゃないか〕

〔それは向こうが私に態々合わせてくれているからで〕

〔いや、違うぞ?〕

〔聞く所によると、

 お前さん絶対にメジロ家云々言わないそうだな?〕

〔えぇ、メジロ家はあくまで私の名字と思っているわ、

 だからメジロ家の力がどうこうは嫌なのよ〕

〔ドーベルそれだよ〕

〔ん?〕

〔家柄を強調しないし、

 『ドーベル個人』として、対応してるんだろ?〕

〔当たり前よ、私は、『メジロドーベル』なのよ?

 メジロ家のドーベルじゃないわ!〕

〔それでいいんだよ、

 お前さん色々優しいし、

 この間も

 『迷子の女の子ちゃんと

  交番で一緒に待ってて上げてたじゃないか』〕

〔なっ?!なんで知ってるのっ!?〕

〔車で買い出しの帰り通り過ぎたんだ、

 あやとり楽しそうだったじゃないか〕

〔・・・ありがと、黒尾トレーナー〕

〔いえいえ〕

〔今後、どうすればいいかしら?〕

〔まぁ、高い壁かもしれんが、

 『お前さんから話しかけてもいいんじゃないか?』〕

〔そ、それは〕

〔せめて隣の席のウマ娘ぐらいに声を掛けて見たら?

 消しゴムをワザと落としたりしてな〕

〔わ、ワザとなんて、したくない〕

〔ふむ、教科書忘れたとか?〕

〔毎日ダブルチェックしてから学園に来ている〕

〔なんにもない所でコケてみるとか?〕

〔足元のチェックは怠らない〕

〔む~・・・うし、ハルウララを派遣しよう〕

〔え?〕

〔アイツなら大丈夫だ、

 会長にも『ダメ出し』出来るから〕

〔えぇっ?!〕

〔ま、兎に角『変える為の一歩、頑張れ』〕

〔・・・わかった、やってみる〕

〔おう、またな~〕

〔ありがと、くろおトレーナー〕

「ぶはっ・・・進まねぇ。」

「はい、紅茶。」

「あり?タキオン?何時起きたの?」

「起きたのではないよ、

 もう2100だぞ?」

外は真っ暗だった

「あちゃぁ~、全然進んでねぇ~。」

「今日はみんな食堂で済ませたよ?」

「すまねぇ、タキオン。」

「しかしキミを頼るウマ娘は多いねぇ。」

「しゃ~ね~だろ?

 各トレーナーの義務の一つなんだから。」

「さ、せめてものスムージーでも飲みたまえ、

 胃の中が空っぽで、

 いきなり固形物だと良くないからね。」

「マジ?サンキュー。」

 

 

にゅ

「さて、タキオン。」

「ぁ、ごめん、コッチを混ぜた筈だったのだ、

 すまん!!直ぐに解毒剤を調合する!!」

「はぁ、効果時間は?」

「恐らく、明日の昼まで・・・。」

「いいよ、今から解毒剤造っても日を越えちまう、

 それにこの『耳と尻尾』が生えた状態で、

 芝のタイム測定もしてみたいしな。」

「い、いいのかい?」

「なんだよ?

 『タキオン達が見ている世界』

 俺も見たいし『走れるなら走りたい』」

「っ、そぅ、だね!!明日が楽しみだ!!」

「うし、今日はお終い、寝ようか。」

「そうしよう、お休み、くろお君。」

「お休み、アグネスタキオン。」

 

おやすみなさいのキスは忘れません

 

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