黒尾トレーナー相談所
ピコ
「あん?誰だ?このアドレス?」
▽
〔は~い、黒尾トレーナー相談所、どちら様~?〕
〔ぅお~い、ちゃんと画面見てるか~?〕
〔えふぁmkkp〕
〔は?〕
〔すみません、ひさしぶりにパソコンにさわったから〕
〔ぇ~、お名前は?〕
〔アドマイヤベガ〕
〔アドマイヤベガ?なんでまた?〕
〔相談所なんでしょ?〕
〔そりゃぁ、そうだけど〕
〔聞きたいの〕
〔はいよ?〕
〔一人で戦って、勝ちたい〕
〔・・・理由は?〕
〔夢〕
〔夢かぁ、
『誰かの贖罪の為なら辞めろ』〕
〔なぜ?〕
〔お前は誰だ?〕
〔だからさっきも言った、アドマイヤベガって〕
〔んで?アドちゃんは
『誰の為に一人で勝ちたいんだ?』〕
〔あのなぁ、俺はトレーナーだ、
ウマ娘の過去もいくらか把握している、
だから、あえて言うぞ?〕
〔『生まれる事が出来なかった
姉妹の為に戦うのは辞めろ』〕
〔どうしてっ!?〕
〔お前さんの心の中に
『その姉妹は生きてるんじゃねぇのか?』〕
〔母親の名前を二人で貰いたかったんだろ?
なら、『アドマイヤ・ベガ』と、分ければいい〕
〔『一人で』なんて、
その子が願うか?『二人で一緒に戦いたい』って
言うんじゃねぇのか?〕
〔後、『胃の検査を念入りにして貰え』〕
〔おい〕
〔おい!!〕
▽
「ぁ、切られた、
ったく、どうしてこうして、
『ウマ娘は抱え込んじまうのかね』」
ドドドド
「どどど?」
「黒尾トレーナーぁああっ!!」
殴りかかられるが
ぐるん
「へ?」
ずどん
「あぐっ!?」
「あほう、人間に殴りかかるんじゃねぇよ、
アドマイヤベガ。」
「謝れ!!私の姉妹に謝れ!!」
抑え込んでいるが、まぁすげぇ声だわな
「どうした!!
自分が悪いから黙ってるんでしょう!!」
「なんで!!」
「なん、で。」
「そんな。」
「そんな顔するのよぉっ!!黒尾トレーナー!!」
手紙を押し付ける
「な・・・これ。」
「お前の母親からだ、
『こう言う時に渡せと言われている』」
「なんで母さんの事!?」
いけ、その内容は、お前だけで読むのが条件だ
「それと、さっき書いた
『胃と、左脚を念入りに見て貰え』
これぐらいしか、お前には出来ない。」
くしゃりと握った手紙を手に、部屋から出て行った
「はぁ~・・・『まだ、身体は動くか』」
「全く、キミはつくづく
ウマ娘トラブルに巻き込まれ易いのだね?」
「言うなよ、タキオン。」
「して、彼女に待ち受けるであろう
『未来は?』」
「11月の菊花賞がターニングポイントで、
『記憶が合ってれば、左脚繫靱帯炎』
そして、『偶発性胃破裂』で突然死がありうる。」
「なんだってっ!?」
「俺だって診てやりたい、
だがな、アイツは誰とも寄り添わない、
それも『結果』を出してしまっているから、
あれこれ言えないんだ。」
「ちらっと聞こえたが、
『彼女に姉妹は居なかった筈では?』」
「『馬の双子はな、片方を殺す事が良くあるんだ』」
「な˝っ・・・冗談だろう?」
「事実だ、
そして『トレセン学園の親族面談』の時にな、
『アドマイヤベガの母親を俺が担当した』」
「~っ、そこで?」
「あぁ、『娘はいつも、
いない筈の姉妹に話しかけている』と、
『そして、その子が居ないのは
自分の責任だと強く思ってしまっている事』
その時に渡されたのが、さっき
アドマイヤベガに押し付けた手紙だ。」
「内容は?」
「知らん、
そこまでは俺も深くは入り込めねぇよ。」
「しかし、コレがきっかけで『引退』を選ぶとは
考えて無かったのかね?」
「どうだろうな、
俺はアイツを『支えられるほど器用じゃねぇからな』
それに、5人も抱えてるんだぞ?
これ以上は真面目にキャパオーバーだ。」
「ふふっ、キミは噓つきだよ、
『気にも留めないなら』そんな対応すらしない癖に。」
「うっせ。」
「そうやって、頭を掻く癖は治らないのだね?」
「私は、彼女を救うべきと思うがね?」
「出来るなら自力で立ち直って欲しいんだけど?」
「つれないねぇ~。」
ピコ
「あ?今度は誰だよ?」
▽
〔おね~さん、相談したいんだけどな?〕
▽
「露骨に嫌な顔するのだねキミは。」
「あぁ、シーキングザパールだからな。」
「国内外のレースに出ている、あの?」
「あぁ、今日こそはまともな内容だと良いんだけどな。」
▽
〔はいよ、なんだ?〕
〔あら、今日は早いわね〕
〔別件での受け答えが今、終わったからな〕
〔そうなの〕
〔んで?〕
〔もぅ、少しは雰囲気づくりをねぇ?〕
〔切るぞ~〕
〔待ちなさいよ!!〕
〔はよ言え、こっちは忙しいんだ、主に書類仕事がな〕
〔・・・レース中、息苦しくて、辛いのよ〕
〔だろうな〕
〔って、なにか知ってるのっ!?教えて頂戴!!〕
〔・・・多分、呼吸器内科でわかる筈だ〕
〔ショックだろうが、
お前さんの走る時、
『妙な呼吸音』が聞こえる時があるんだ、
恐らく、喉、そのあたりの異常だと思うが、
詳しくは医者に聞いてくれ〕
〔貴方が診てくれないの?〕
〔なんで?〕
〔元はお医者様なんでしょ?〕
〔どこから?〕
〔理事長〕
〔いや、嘘だな、『誰から聞いた?』〕
〔いやよ、貴方が診てくれないなら教えないわ〕
〔じゃぁ、お前は二度と勝てないだろうな〕
〔ちょっ〕
〔言っただろ?忙しいと〕
〔はぁ、たづなさんよ、
理事長が雇ってた探偵さんから直接聞いたみたいなのよ〕
▽
みし
「ちょ~っ!?黒尾君!!
キーボードが壊れるから!!
そんな曲げないでぇえっ!!」
▽
〔すまん、取り乱してた〕
〔ぇ、えぇ、謎の文字羅列が
延々と来たからびっくりしたけど〕
〔たづなは、後で絶対シメル〕
〔そ、それで、どうして貴方に診て貰えないのよ?〕
〔あ?医者じゃねぇからだよ、
医師免許も『返納したからな』〕
〔え?〕
〔ちょいと病気を持っちまってな、
もぅ出来ねえんだ、
トレーナー一本が良いトコなんだよ〕
〔ご、ごめんなさい、知らなかったわ〕
〔そう言う事だ、諦めてちゃんと医者行け、
そこで言う事聞いて治して来い〕
〔はぁ、残念ね、そうするわ、
それと、この苦しいのが解決したら、
海外に行きたいのだけど、私、勝てるかしら?〕
〔ばーか〕
〔ば、バカとはなによっ?!〕
〔ウマ娘なんだ、
『誰よりも速くゴールを超える』
それだけを考えて走れってんだ、アホ〕
〔お姉さん、怒るわよ?〕
〔怒れる気力があるならまだ走れるな〕
〔~っ、貴方ねぇ〕
〔わり、割と真面目に忙しい〕
〔はぁ、わかったわ、
また今度、ゆっくりお茶でもいかが?〕
〔タキオンセットでなきゃ行かねぇから〕
〔もぅ、妬けちゃうわ、またね?〕
▽
「はぁ。」
「お疲れ様、黒尾君。」
「聞かねぇのか?」
「いや、『ウマ娘界隈の喉や、
呼吸器の病気はありきたりだからね』
それが彼女の?」
「まぁ、『喉頭蓋エントラップメント』つー、
症状なんだろうよ?
俺も実際診てる訳じゃないからな、
『ノド鳴り』の方が聞いた事あるだろ?」
「これまたウマ娘の宿命だねぇ、
しかし、骨折とかの故障は?」
「さぁ?海外に行ってからの記録は
あんま見てねぇからな、はっきり言ってわからん。」
「そうか。」
「あ。」
「どうしたのだね?」
「牧場事件あるあるでな?」
「ふむ。」
「外傷はなくてな、
牧草地で亡くなってたらしい。」
「え?」
「推測らしいんだけど、
落雷で亡くなったのが一番有力らしい。」
「なんとも不運な子だね。」
「だな。」
「さ、たづなさん、
何か遺言はありますか?」
「いやいやいや!?
おかしいですよねっ!?」
「いや、何もおかしくは無いのだよ?たづな君、
キミは『彼の過去を広めた罪がある』」
「あ。」
「はい、判決。」
二人『語尾が可笑しくなる試薬の刑に処する』
「いやぁ~っ!?」
「あれ?なんともなってないっしゅ。」
しゅ?
「え?私、なんて言ったっしゅ?
しゅ~っ!?」
二人「なんだ、『でしゅ』語尾かぁ、つまらん。」
「詰まらないとかじゃありませんでしゅ!!
早く治して欲しいでしゅ!!」
二人「2週間は治らないから。」
「そ、そんな、あんまでしゅ~。」
二人「自業自得だろうに。」
(た、たづなが、しゅ?!
しゅ?!くはははっ!?)
二人(理事長のツボは、たづなの語尾変換っと)メモメモ