ウマ娘ストーリー・ブラックテイル   作:扶桑畝傍

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とあるトレセン学園

トレセン学園内

 

「むぅ、捕まえらんねぇな、

 『理事長代理』」

「不思議だねぇ、

 デジタル君の情報網にも『目撃』はあるけど、

 接触が無いのだよねぇ。」

樫本理事長代理

徹底管理の元ウマ娘のベストを出すなんて言っているけど、

『その抑圧に耐えられるウマ娘がどれだけいるのやら』

「仕方ない、

 ゴルシ~!!宅急便頼めるか~・・・あれ?」

「おや?反応が無いねぇ、珍しい。」

「確かに、何時もなら近くに居る筈なのに。」

廊下を歩いていると

「んぉ?エイシンフラッシュじゃないか、

 どうした?」

 

「黒尾君、エイシンフラッシュ、

 固まっているぞ?」

「あん?なんで?」

「キミの声が苛立っているからだろうに。」

「そうか?」

「あぁ、やよい君が本部に行ってはやひと月、

 心配なのは解るがね、

 『キミの声は日増しに荒立っているぞ?』」

「・・・そぅか。」

(ダメだな、最近感情がそのまま表に出て来る、

 左脚の動かないストレスもあるし、

 URAの本部の情報も入って来ない、

 仲間の奴らが調べてる筈なのに)

「こら!!黒尾君!!」

「~っ、すまん、タキオン、

 とりあえず、エイシンフラッシュを保健室に連れてくか。」

保健室

「ぅ~ん・・・あれ?ここは?」

「やっと起きたかいエイシンフラッシュ。」

「あれ?アグネスタキオン?

 私、どうして保健室に?」

「黒尾君の苛立つ声を聴いて気絶したのだよ。」

「そぅ言えば・・・。」

 

「あれ?黒尾トレーナーは?」

「あぁ、寝ているよ、ほら。」

「ぁ、ホントだ。」

リズムよく呼吸しているのは解るが

表情は険しいままだ

「最近な。」

「タキオン?」

「黒尾君が良く分からなくなる時がある。」

「え?」

「なにを考え、何を望むのか?

 そして、『ウマ娘になにを望むのか?』」

「それは・・・。」

「そしてな。」

お腹をさする

「まさか。」

「いや、『出来にくい』そう診断された。」

「そんな・・・。」

「その日から・・・そうだ、

 その日から『解らなくなったのだ』」

「タキオン。」

「ウマ娘として引退を選び、彼の妻を選んだ、なのに、

 『母親になり切れない出来損ない』

 そう、思う時も多々ある。」

「それは、タキオンのせいでは。」

「わかっている、

 だがね、彼は毎日、

 『動かない左脚と戦い』

 私の身体も大事にしてくれる、

 では、私は彼に、『なにを返してあげられるのか』

 どうしてあげるのが最善なのか、

 わからない、わからないんだよ。」

「・・・たぶん、それで良いんだと思います。」

「エイシンフラッシュ?」

「わからないから、

 一緒にいるのでしょう?」

「それは・・・そう、だね。」

「一緒に向かい合って、一緒に進めば

 少なくても『一歩は進めます』

 私も毎日不安と、ドイツを思います。」

「祖国か。」

「はい、友人と時折り連絡を取ります、

 他愛ない話、それだけでも心は落ち着けます。」

「エイシンフラッシュ君、キミは。」

「アグネスタキオンさん、

 貴女は黒尾さんが居ます、

 なら、『他愛ない話』から、『確実な一歩』を、

 黒尾さんと、タキオンさんで、

 ・・・す、すすんで、ください。」

 

「すまん、今、起きた。」

「~っ、黒尾トレーナー、まさか。」

「すまんなぁ、お前さんまで巻き込んだようなものだ、

 この通りだ。」

座ったまま深く頭を下げる

「っ!?頭をあげて下さい!!

 そ、それに黒尾トレーナー相談所で、

 沢山助けられました、

 だから、今度はお返しする番です。」

「エイシンフラッシュ君。」

「アグネスタキオンさん、

 先程、誰をお探しでしたんですか?」

「あ、そうだ、樫本理事長代理を見て無いか?」

「ぁ~・・・樫本さん、ですか。」

「ん?どうしたのだ?」

「エイシンフラッシュ?なにか知ってるのか?」

「多分、凹んでます。」

二人「はぁ?」

「自分の考えと現実の差に、

 相当悩んでいるようで。」

「そりゃぁ、そうだろうに、

 ってか、その程度で凹むとか、

 『どこぞのお嬢様とか・・・』」

「あ、それ、正解です。」

二人「え?」

「樫本さん、『箱入り娘さんですよ』

 運動音痴、世間知らず、

 その上、ウマ娘からののしられて

 『泣き出したんです』」

二人「ぉい~。」

エイシンフラッシュの案内の元

トレセン学園の裏手の倉庫に来た

 

「多分、この辺にいるかな~っと。」

二人「あ、いた。」

 

トレセン学園の倉庫の裏で

体躯座りで伏せている彼女がそこに居た

 

「わりぃ、一人でいいか?」

「黒尾君?」

「黒尾トレーナー?」

「二人も一緒だと、間違い無く悪化する。」

 

「よぅ、樫本理事長代理、

 隣、座るぞ。」

「っ!?」

「んだよ、座るだけだ。」

「勝手になさい。」

パリパリ

(ぱりぱり?)

「ん?食うか?骨煎餅。」

「・・・ちょうだい。」

パリパリ

「で、こんな所で何してんだ?」

「べつに、貴方に関係ないでしょ?」

「いや、理事長代理のあんたがこんなとこで凹んでたら、

 色々不味いからな?

 トレセン学園の不評を巻く行為だぞ?」

 

(あ、ダメだコイツ豆腐メンタルだわ)

「ほれ、立て、

 ミーティングルームなら会議とかに見えるから。」

チーム・スターダスト

ミーティングルーム

「ほれ、コーヒー。」

「・・・砂糖は?」

「『まずはブラックから飲め』

 アンタの好みの甘さなんか知らん。」

ふ~、ふ~、ずずっ ?!「ほんのり、甘い。」

「で?砂糖は?」

「いらない。」

「あそ。」

 

(か、会話が続かない)

「で?樫本理事長代理は

 『自分の正確無比な管理・記録』を

 速攻否定されたんだって?」

「ど、どうしてソレを?」

「いや、アンタを心配するウマ娘からな、

 どうしていいかわからんって、

 相談はされたが、

 俺自身も、アンタを全然知らん。」

(それに、樫本理事長代理って、

 俺の元世界で新しく追加されたキャラって事だよな

 尚更知らねぇんだよなぁ)

「そう言えば挨拶してなかったわ。」

「だろうな、

 やよいちゃんと入れ違いだったし、

 俺もレース場に行ってたからな。」

「樫本理子理事長代理よ、

 貴方の名前は?」

「羽佐間・黒尾、

 チーム・スターダストのトレーナーをやってる。」

「貴方が、ウマ娘をたぶらかした危険人物。」

「おい、語弊があるぞ?

 俺とタキオンは、ちゃんと『愛し合ってるぞ?』」

 

「ぉ~い、樫本理事長代理?」

(待て待て、箱入り娘って、

 そっち方面もアレなのか?)

「樫本理事長代理!!」

「はっ?!済まない。」

「まさに『絵に描いたような箱入り娘だな』」

「そんな事!!」

「なら、『たかだか一度だけ否定されて凹まねぇよ』」

「~っ。」

「殴るか?やめとけ、

 女を殴るのは俺が気に喰わない奴だけだ。」

「・・・まって、

 貴方、『羽佐間・黒尾』って言ったわよね?」

「あぁ?言ったもなにも、

 自己紹介で言っただろうが!!」

「っ!?どうして!?」

「なにがだよ!!」

「『小さい時会った、

  浅間お兄ちゃんの様に怒るのよ!!』」

 

「・・・すまねぇ、覚えてない。」

「そぅ、だよね、覚えてない、よね。」

(その方が良いだろうよ、

 去年の4月からが俺の此処での記憶、

 それ以前は『向こうの記憶なんだから』

 いや、まて、思い出せ、

 昔、中学中退の頃か?)

 

「そう言やぁ、

 『てんで運動がダメなお嬢様が居たっけ』」

「っ?!」

「あ、あってる?」

「『浅間お兄ちゃん?』」

「『理子ちゃん?』」

「浅間お兄ちゃ、兄さんなの?」

「今更言い直すなよ、

 『ポンコツ理子ちゃん』」

「やめて!!お願いだからそれは言わないで!!」

「いや、滅茶苦茶変わったな、お前。」

「変わったって、何年前の話よ?

 20年は経つのよ?」

「はぁ~、そんな前か、

 なんでったって、

 理事長代理なんて職に就いたんだよ。」

「い、色々あったのよ、

 運動がダメだったからとことん勉強して、

 『キッチリ記録して、管理して』

 良いトコに勤めてお兄ちゃ・・・兄さんを

 見返してやろうと思ったの。」

「タキオン~、

 エイシンフラッシュ~、

 入って来ていいぞ~、

 コイツ、大昔の知り合いだわ。」

二人「え?『浅間お兄ちゃん?』どう言う事?」

「みゃ˝~っ!?」

「猫か!?」

「はぁ~、黒尾君が中学中退した頃って、確か。」

「あぁ、滅茶苦茶荒れてた最初だ、

 山火事で、家族を失った時だな。」

「え?御家族を?」

「理子ちゃんは知らねぇよ、

 てか、その後に会ったからな、

 話て無かったろ?」

「・・・そうだった?」

「ん?そうだろ?」

「ん~・・・実家の庭に不法侵入してた

 浅間お兄ちゃ・・・兄さんに会ったのが

 初めてだったし、良く覚えてないわ。」

「そりゃぁ、おめぇ、

 『森ひとつが庭とか言う』

 超豪邸のお嬢様だったからな、

 俺も、ただの森だと思って『野宿してたしな』」

二人「野宿?」

「全部焼けちまったからな、

 通帳も貯金箱も全部な、

 親戚は一同揃って『勘当喰らってたからなウチ』

 頼る人なんで誰もいなかったよ。」

「く、黒尾君、キミと言う人は。」

ぎゅ~っと抱き着いて来た

「お、おぃ、タキオン、流石に恥ずかしいぞ?」

「わ~、タキオンさん大胆ですね~、

 ね?樫本さん。」

 

「あれ?樫本さん?」

「ん?どうしたのだね?エイシンフラッシュ君?」

「いえ、樫本さんが。」

「理事長代理が?」

「伸びてます。」

二人「はぁ、めんどくさ。」

「え?放置するんですか?」

二人「箱入り娘は曲解したがるからめんどくさい。」

「あ、それは同意します。」

「はぁ、理子の部屋はどこだ?

 ここじゃ流石に不味いし。」

「あ、それなら理事長室の隣にある

 『ゲストルーム』が今の寝泊りらしいですよ?」

二人「なぜ知っている?」

「え?『管理、記録は得意なので』

 理事長代理が一時的に使う部屋とか

 把握してますよ?」

「く、黒尾君、これは。」

「あぁ、エイシンフラッシュ。」

「はい?」

二人「エイシンフラッシュ君、

   キミには、

   樫本理事長代理の補佐兼、

   トレーナーとして、

   樫本理事長代理を

   『管理、記録』するように。」

「はぁ、まぁ、

 わかりました?」

(黒尾君、エイシンフラッシュ君

 わかってなさそうだが、大丈夫かね?)

(大丈夫だろ、

 お互いに似た所ありそうだし、

 正直、エイシンフラッシュは

 『厳格・厳正・精密』が五月蠅いからな、

 相談所でも中々手こずるんだ)

(なるほど、丁度いい生贄だね)

「流石にアレなので、

 黒尾トレーナー?

 理事長代理を運んで貰えますか?」

「え?いや、エイシンフラッシュ?

 背負うなり、

 抱えたり「え?女の子に運ばせるんですか?」え?」

「お知り合いなら、その方がよろしいかと思いまして。」

二人「あ、ダメだこれ、

   コイツもめんどくさいヤツだ。」

「失礼ですね!

 それに私は明日出走予定なので

 早く寝たいんです。」

二人「ゴルシ~!!

   なんで今日は来てくれないんだ~っ!!」

二人「とう!!」

二人「何奴!!」

「誰が呼んだか、漆黒のウマ娘、

 『キタサンブラック!!』

「誰かが呼びました、

 金剛石の申し子と!

 『サトノダイヤモンド』!!」

二人「キタサトコンビ!!ただいま参上!!」

ビシっ!!と、なにかのポーズを決める二人

「うわ~・・・。」

「キタサンブラック、サトノダイヤモンド、

 二人共、ゴールドシップ見て無いか?」

「あぁ、ゴールドシップさんなら。」

「はい、タキオンさんの試薬を

 誤って自分にかぶってしまいまして。」

二人「うなされつつ眠っていました。」

「自業自得だな、

 済まないんだけど、

 二人で樫本理事長代理を

 理事長室の隣にあるゲストルームへ

 『配達』頼めるか?」

二人「美味しく頂いて良いんですかっ!?」

「えぇっ?!」

二人「許可する!!」

「ちょー特急で!!」

「運びますよ~!!」

ダーッシュ!!

「え?え?良いんですかっ!?

 大丈夫なんですかアレ!!」

二人「大丈夫だ、問題ない。」(諦め顔)

「な~む~。」

 




ココでの
樫本理事長代理は
『管理・記録』と言った
事務方面は強いけど、
豆腐メンタル属性
『浅間お兄ちゃん呼び』
運動ダメダメ系お嬢様の予定です

エイシンフラッシュ?
彼女ならそれなりに耐えられる、と言うか、
『レシピ通りを
 厳格・厳正・精密に』なので、
行けるかな~と思い、
理子ちゃんを押し付けました

他のオリウマ娘は、
ミークですらほぼ出番が無いので
当面出番ナシです
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