地球防衛軍5 英雄は元民間人 作:軍曹は不死身、はっきりわかんだね
………大丈夫なはず。しばらくは失踪しないよう頑張ります。―――多分
「よし、此処ならいいだろう」
移動を開始してからしばらく、軍曹は一つの扉の前で立ち止まる。
「今から扉を開ける。警戒しておけ」
「「「はっ!!」」」
扉を開ける前に、もし中に怪物がいてもいいように銃を構えて警戒する。それを確認した赤い帽子をかぶった軍人は、扉の横に備え付けられた機器に腕を近づける。するとピッ、という機械音とともに『承認されました』という音声が鳴る。そのことを確認すると今度は持っていた端末を操作した。
閉められていた扉が少しずつ上がって行く。軍人たちが何かあってもいいように銃を構え、警戒する中、遠矢は無意識のうちに身構え、後ずさっていた。脳裏には先ほどの光景が浮かび上がり、体が震える。また怪物が出るのではないか、また誰かが襲われるのではないか、そんなことばかりを考えてしまい、遠矢の体は恐怖に支配されていた。
扉が駆動音とともに上がって行く。完全に登り切っても怪物が出てこなかったことで、遠矢の体から力が抜け、震えも収まってきていた。
軍人たちはそれでも油断することなく、倉庫の外から様子を見た後、素早く中に入り安全確認を行う。
「ここにはいないな」
「そのようですね」
彼らは扉付近に見張りとして一人残したまま、コンテナの後ろなど、倉庫の隅々まで確認していく。怪物の姿も視認できず、妙な音が聞こえないことで、倉庫の中にはいないと判断したのか銃を下した。
「
「「「はっ!!」」」
他の軍人たちに指示を出すと、遠矢の方へと歩いてくる。
「民間人、名前は?」
「三上遠矢です」
「俺の名前は
「わかりました」
軍人―――南条軍曹は軽く自己紹介をすると、徐に現在の状況について説明しだした。
「現在この基地には怪物が侵入している。その数も正体も不明。地上とは連絡が取れず、俺たちは完全に孤立している。救援部隊が到着するまで自力で身を守るしかないが、奴らは壁を食い破れる以上、とどまり続けることも危険なため、地下にいる他のものを探しながら以上へと向かう」
遠矢は想像以上に追い詰められている現状に愕然とする。
「軍曹、予備の装備を持ってきました」
「ありがとう。民間人を守るのが軍人の務め、守ってやる…と言いたいが、敵の正体がわからない以上、約束はできない」
軍曹はそういうと、渡された装備たちを遠矢へと差し出した。
「いくら予備の装備とはいえ、民間人に渡してしまってよいのですか?」
「今は緊急事態だ。まずは民間人の安全を確保しなければならない」
差し出された装備を受け取った遠矢を見て、北峰と呼ばれていた軍人が軍曹と話し合っていた。
遠矢へと渡されたのは、アサルトライフルにロケットランチャー、いくつかの装置だった。
二人の会話を聞く限りEDFで正式に採用されているものなのだろう。
「今渡したのはEDFで正式配備されているものだ。本来ならば民間人に渡してしまってはいけないが、そうも言ってられない状況だ。いざというときはそれで自分の身を守れ」
「え、ちょっ」
「隣の部屋で使い方を教える。ついてこい」
「ぐ、軍曹!?」
遠矢の戸惑う声に返事することなく、入ってきた時とは別の扉へと向かう。
渡された装備を握りしめて彼らについていく。渡された装備を使いこなせるとは思えない、怪物を目の前にして動けるとは思えない。それでも渡されたものを返そうとは思えなかった。
「自分の身を守るすべを持っているだけで余裕が持てる。その余裕が体を動かし、命を救こともあるんだ。使い方くらい知っておいた方が得だぜ」
いつの間にか軍曹たちは扉を開けて移動していた。
見張りとして残っていた軍人に背中を押されて扉をくぐる。
軍曹は倉庫の中に入ると端末を操作し、薄暗かった倉庫が光に包まれる。
扉をくぐった先にあったのは、今までのものとは比較にならないほどに広い空間があった。しかし、そんなことが気にならないほどに存在感を放つものがあった。
広大な倉庫の中にコンテナは一つもなく、ただ一つ視界に収まりきらないほどの大きさの機械が置いてあった。モニュメントにしてはなぜあるのかわからず、平気にしては武器も持たず、大きすぎる。何よりもあの巨体が動いている場面を想像することもできなかった。
「三上、こっちだ」
巨大な機体を呆然と見つめていると、軍曹に声を掛けられる。
「今から装備の使い方を教える」
「本当に使い方を教えるんですか?今は脱出することを優先した方がいいのではないですか?」
「ああ、お前らは的を持ってきてくれ」
「しかし、装備を渡すのはまず過ぎないですか?」
「大丈夫だ。責任は全部俺がとる」
「しかしですね」
「こうなった軍曹はてこでも動かねえんだ。さっさと的を出してこようぜ」
「あ、おい!」
最後まで反対していた隊員はほかの隊員に背中を押されていく。
軍曹は何か言い合いながら離れていった二人を見送ると、遠矢の方に向き直る。
「まずはこのバッチの使い方からだな」
そういって軍曹は自らの胸についているバッチを指さす。
「これは俺たちが戦う際に最も重要な装備だ」
「これがですか?」
EDFのエンブレムが書かれているだけに見えるバッチが最も重要なものだと言われ、思わず聞き返してしまう。
「そうだ、このバッチがだ。正式名称は覚えなくてもいい。現場の方ではコアと呼んでいるためそっちを覚えとけばいいさ。このコアの役割だが、これは着用者にアーマーと呼ばれるシールドのようなものを展開する。どのような原理で動いているのかはわからないが、エネルギーが尽きない限りすべての攻撃を防いでくれる」
「全てですか…?」
「衝撃だけは軽減することしかできない、そこだけは気を付けろ」
「わ、わかりました」
手のひらほどの大きさのバッチにそれほどの機能があるとは思えず、まじまじと見つめる。何か特別なものがついているということもない。しかし、手に取ったバッチに軍曹の言っていた機能があるのならば、最も重要だと言っていたことも納得できる。
「次はバイザーだな。これには無線トレーダー、アーマーのエネルギーを確認することができる。レーダーはコアと連動していて、敵と味方とそれ以外の生命体の判別を行ってくれる。そしてアーマーのエネルギー残量を数値とメーターで、視界の右上に表示してくれる。これがなくなるとアーマーが展開できなくなるということだ」
「な、なるほど…?」
「最後にこの端末だな。この端末に触ると連結されている銃器へと自動で弾丸の補充が始まる」
「???」
軍曹に渡された機械の説明を一通り受けたが、SF小説のような機能に頭が追いつかない。
疑問符ばかり浮かべている遠矢をみて軍曹は苦笑する。おそらく何度も同じようになった人を見たことがあるのか、手慣れたように言葉を続ける。
「まあ、信じられないのもよくわかる。俺も始めて説明されたときはそいつの正気を疑ったもんだ。どういう原理で動いているのかは知らないが、今はそういうものだと思って受け入れてくれ」
軍曹の迷いない言葉は嘘をついているように思えず、実際に異常という機能が小さな3つの機械に埋め込まれているのだろう。それが分かると、渡された機械が得体のしれないものに見えてきた。
それでも使わないという選択肢はないため、軍曹に手伝ってもらいながらそれぞれを装着していく。
「軍曹、的の用意ができました」
「わかった。それでは三上、今から渡した銃の使い方を教える」
装着した後で何か違和感はないか確認していると、軍曹が頼んでいた的が運び出されていた。
軍曹が横に立てかけてあった銃を遠矢へと渡す。
「このPA-11が今ある中で一番取り扱いやすいアサルトライフルだ。基本的にはこれで戦ってもらう。狙いを定めて、トリガーを引く。それだけで十分だ」
そういうと自身の持っていた銃を構え、一番奥に設置されていた的に狙いをつけ、引き金を引く。
軍曹の放った銃弾は的へと吸い込まれていき、設置されていた的はあっけなく倒れてしまった。
「いきなりここまでのことをしろとは言わないが、ある程度は使えるようになってもらう」
見よう見まねで軍曹と同じように銃を撃つ。
近くの的に向かって撃ったはずの弾丸は、端に数発当たったのみで他はかすりすらもせずに飛んでいく。銃口は衝撃で暴れまわり、満足に標準を定めることもできなかった。
軍曹は簡単に撃っていたが、思うようには飛んでいかない。わかってい吐いたことだが、射的で使いようなものやエアガンで使い物とは全く違った。
「的に当てられるだけ上出来だ」
群阻喪はそう言ってくれるが、一発もまともに当てられないとは思っていなかったため、落ち込んでしまう。
「最初は衝撃を抑えようとするのではなく数発撃つごとに狙い直すようにするんだ。銃を渡したのは護身目的だ。数発でもあてて足止めさえしてくれれば俺たちが助けてやる」
そういうと軍曹は細かく引き金から指を離しながら撃っていく。
それに合わせるように、遠矢も軍曹に倣って再び撃ち始めた。最初の方は当たらないものも多かったが、軍曹から打ち方を教わっているうちにどんどんと当たるようになっていった。
目に見えて成果が出てきていることに夢中になっていたため、『カチッカチッ』と音が鳴り、腕に伝わる衝撃がなくなったところで弾切れになったことに気が付いた。
「…軍曹、弾が切れたらどうすればいいんですか?」
弾が切れたことに気づかずに撃っていたことに気まずく思いながら、何もなかったようにどうすればいいのかを聞く。
「銃弾の補充は腰にある端末を触れるだけでいいが、銃と端末を連動させる必要がある。…そうだな、コアとの連動のさせ方も教えておくか」
「コアとも連動するんですか?」
「ああ、コアと端末、そして銃本体を連動させることによって、バイザーの右下の方に山団の数や補充完了までの残り時間が表示される。端末の方はコアへと近づけるだけ、銃は持ち手のエンブレムを端末に触れさせればいい」
軍曹に言われた通りにそれぞれを連動させていく。
連結を済ませると、バイザーの右下に新しく銃の名称と残弾数が表示される。端末に触れると、残弾数がゲージに切り替わり、空だったゲージがたまっていく。
「右下の方にゲージが見えるだろ?そのゲージが満たされると補充が完了されたということだ」
「たまり切ったらどうすればいいんですか?」
「銃の右についているレバーを引けばいい。そうすればまた撃てるようになる」
ゲージが満たされたのを確認すると、軍曹に言われた通り銃身のレバーを引く。
引き金を引くと再び撃てるようになっていた。
「別の銃を使う際は連結しなおす必要はあるが、一度連結すると次からは端末を触るだけで補充が可能だ。弾を使い切る前でも可能であるが、補充にかかる時間は変わらないことに気を付けろ」
今度は少し撃った後に端末を触る。ゲージの進み具合は変わらなかった。
「軍曹、これ以上は」
的に向けて射撃の射撃をしていると、ほかの軍人が声をかけてきた。
「わかった。練習はここまでだ。移動するぞ!」
「「「はっ!」」」
入ってきた扉とは違う扉の前に移動し、端末を操作する。
扉が上っていくのを見ながら覚悟を決める。
基地内を進む中で怪物と戦うこともあるだろう。練習は行ったが初めて触ったに等しい武器でどこまでできるのかはわからない。
それでも生き残るためには進むしかなかった。
これからどうなるかわわからないけど、それでもいいならまた次回もよろしく