地球防衛軍5 英雄は元民間人 作:軍曹は不死身、はっきりわかんだね
2か月ぶりの投稿じゃー-!
開いた隔壁をくぐり、暗くなった廊下を進む。
「怪物が潜んでいるかもしてない、周囲を警戒しろ!民間人、離れるなよ。生き延びたければ俺たちから離れるな!」
「非常事態だ。民間人も働いてくれよな」
「戦えない奴は奴らのえさにしちまうぞ!」
「そういうな、できるだけ俺たちが守る」
「銃を持ったのは初めてか?」
「ビビんなよ」
「銃口を敵に向ける、引き金を引く。簡単だ」
「手が震えてなければな」
軍曹たちは遠矢をリラックスさせるためか、軽い調子で話しながら歩いていく。
少し歩いたところで、軍曹が遠矢の方に振り向く。
「少しの間とはいえ、一緒に行動するんだ。自己紹介でもしておこう。俺がこの小隊の隊長を務めている
周りから軍曹と呼ばれていた赤い帽子をかぶった軍人が最初に自己紹介をする。
「メガネをかけているのが
「味方には当てるなよ」
「こっちの体格の良いのが
「気合い入れてけ!」
「そして、こいつは
「よろしく」
「民間人、お前の名前も教えてくれ」
「|三上≪みかみ≫|遠矢≪とおや≫です」
それだけ聞くと南条軍曹は再び前を向いて歩きだす。
「エレベーターはこの先だ。隔壁のロックを解除する。向こう側には怪物がいるかもしれない、戦闘準備を行っておけ」
南条軍曹は突き当りの障壁の前に立ち、こちらが銃を構えるのを確認すると端末を操作する。
隔壁が開く。隔壁の駆動音とは別にカタカタと何かが揺れる音がする。手元を見てみると自分の手が震えている。まだ怪物を見てすらいないのに恐怖で腕が震える。
今から立ち向かわねばいけないんだ。あの大きな奴と、先輩を殺した奴と、人を殺す奴と。それも一体だけではない。複数体いるのは確実なのだ。
(ああ、開いてほしくないな…戦いたくねぇ……何より、死にたくない)
遠矢は何かを考えこんだのち、銃を握りこむ。顔を上げたときにはもう腕の震えは収まっていた。
「怪物だ!」
「仲間が襲われているぞ!」
「こいつら大群だ、助けてくれっ!」
隔壁の向こう側にはやはり怪物がいた。
遠目に幾体もの怪物が軍人を襲っているのが見える。
襲われている軍人は火炎放射器で抵抗を行っているが、壁や天井を走る素早い動きについていけず、怪物の装甲を軽く焦がすだけだった。
「怪物を撃て!」
彼らが襲われているのを見ると、南条軍曹たちは迷うことなく近づくと一斉にトリガーを引く。放たれた銃弾は装甲を砕き、肉をえぐった。
いくつもの銃弾を受けた怪物は怯むかのように動きを止めた。その隙を逃すことなく、火炎放射器が至近距離で火を噴いた。怪物は少しの間耐えていたが、やがてひときわ大きな悲鳴を上げ倒れた。
「くそ!どんだけいやがるんだ!」
「奥の通路からまだ出てきている!」
「一匹づつ駆除しろ!狙いをばらけさせるなよ!」
南条軍曹たちは一匹に狙いを絞り確実に倒していく。襲われている軍人の近くにいる怪物を、何か移動以外の行動をしようとしている怪物を中心的に狙う。
しかし、数体倒したところでそれ以上の数が奥の通路から襲ってくる。
いくら怪物の行動を阻止しようとしたところで数が多すぎた。確実に行動を阻止できるわけがなく、怪物の行動を許してしまう。立ち止まった怪物は尻尾らしき部分から倒した際に出てくるものとは違う体液を飛ばしてきた。
「この液体アーマーを減らしやがる!」
一番前で戦っていた西森はその液体をよけきることができずにかかってしまう。液体はアーマーによって直接触れることはなかったが、アーマーのエネルギーを減らした。
それでも南条軍曹たちは取り乱すことなく確実に倒していき、ついに最後の一匹にとどめを刺した。
最後の一匹が動きを止め、もう怪物がいないことを確認すると銃を下した。
「ほかのやつらはどうなった」
「突然襲われて…アーマーを起動する間もなくみんなやられた」
「助かりました。それで、今何が起こっているんですか?」
「俺たちもよくわかっていない。だが地下は危険だ。エレベーターから地上に脱出する」
「エレベーターは動かない。ケーブルをやられたようだ」
「…このルートは駄目か、戻るぞ」
そういうと、進んできた道を引き返していく。
「AFV用の道を使って地上に向かう」
先ほどまでの道まで引き返し、先ほど開かなかったもう片方の隔壁を開ける。
隔壁の先には傾斜の急な坂が見える。人が通らないこと前提で作られたことが一目でわかる。
「これは…」
「AFV用の道だ。三上は転ばずについてくることだけ考えていればいい」
急すぎる坂に本当に道なのかと思い二の足を踏んでいると、軍曹は三上に一言だけ声をかけるとそのまま坂を上っていく。それにつられて、三上は置いていかれないように坂を上り始めた。
「怪物を倒す切り札がある。上のフロアに、コンバットフレームの格納庫があるはずだ!」
「急いで格納庫に向かいましょう」
「コンバットフレームがありゃ、あんな化け物に負けやしねぇ!」
ついていくことでいっぱいいっぱいであったが、本職の軍人たちはやはり違うようで行きすら切らすことなく話している声が聞こえる。
どうやらこの策を上った先の格納庫にはコンバットフレームが置いてあるようだ。そのことに少し胸が躍ったのもつかの間、前の方から銃声が聞こえてくる。
「玄奘、虎地、ついてこい!先にいる仲間を援護する!」
「「了解!」」
「ほかは怪物を確実に処理しながら登ってこい。絶対に後ろには通すなよ!」
「了解です。お気をつけて」
曲がり角を曲がると軍曹を含め三人が、怪物の群れの中を臆するこ駆け上っていく姿が見えた。進行方向にいる怪物に銃中砲火を浴びせ、たった三人なのに止まることなく進んでいく。
残った軍人は登っていくスピードを緩めると、天井や壁を這い回る怪物を逃すことなく倒しながら登っていく。
「左右からくるぞ!」
「そこら中から湧いてきやがる!」
通路のそこら中に怪物の残骸と体液がまき散らされているが、それでも坂の上からは怒号と銃声が絶え間なく聞こえる。どれだけの数の怪物がいるのか見当もつかないが、ただの一匹も後ろに通すことなく戦う彼らに三上は憧憬の念がわき始める。
「すぐに移動した方がよさそうだ。いくぞ、ついてこい!」
ようやく坂を上り切り、南条軍曹たちに追いついたころには坂の上の怪物は殲滅されていた。
南条軍曹は再び怪物が出てくることを危惧してか、休憩もそこそこに先を促す。
「格納庫にはコンバットフレームがあるはずだ」
「コンバットフレームがあるんですか!?」
坂を上ったばかりで息を切らしていたが、南条軍曹の言葉に思わず声を荒げてしまう。一度はまじかで見たとはいえ、格納庫にあるということは止まっている状態だということであり、起動までの時間ではあるが、じっくりと見えるということだ。こんな状況とはいえ心が躍る。
南条軍曹はいきなり大きな声を出した三上に驚いたが、心なしかキラキラしている目を見てひきつった笑みを浮かべる。
「おい、興奮するのはいいがあまり大きな声を出すなよ」
「す、すいません…」
思わず大きな声を出してしまった三上に、東は注意すると南条軍曹の隣に並んで進んでいく。
「誰か、コンバットフレームを奏上できるやつはいるのかよ?」
「軍曹がライセンスを持っている」
「任せておけ」
西森と東は驚いたように南条軍曹の方を見る。
「そんなライセンスまで持ってるんですか!?」
「まあ…いろいろあってな」
それだけ言うとT字路を右に曲がり進んでいく。少し進むと足を止める。隔壁の前に立つとまた端末を操作する。
「ここだ…開けるぞ」
隔壁が少し開き、格納庫の内部が見えてくる。
中には先ほど倒した以上の怪物と、壁が食い破られてできた大きな穴、そして破壊され原形をとどめていないコンバットフレームが見えた。
「こいつら壁を食い破って格納庫に入ってきやがった!」
「畜生!コンバットフレームが壊されている!」
格納庫の内部に怪物がいると分かると素早く反応し、怪物の殲滅に取り掛かる。しかし、先ほど以上の数に、怪物がまじかにいたことも合わり、今はギリギリのところで後ろに回られるのを阻止しているが、突破されるのも時間の問題だということが見てれた。
「酸で死ぬなんでごめんだっ!」
「やられる前に撃て!」
南条軍曹たちの邪魔にならないように、それ以上に怪物が後ろに来たとしても狙われないように三上は南条軍曹たちから距離をとる。
(なんだこの音…?)
南条軍曹たちから距離をとっていた三上にだけが銃声の音とは別に、奥の通路の方からかすかに何かが崩れたような音を聞き取った。
その音に嫌な予感がしたが、それ以上に今見に行かなければ手遅れになるような気がした。
(こっちの方からだったような…)
怪物が後ろからこないかを気にかけつつ、三上は一人で奥へと進む。奥へと進むごとに崩れるような音は大きくなっていく。
少し進んだところにあるT字路まで進み、のぞくように音の発信源であろう左側の通路を見る。そこには、天井に開いた大きな穴とそこから這い出てくる何体もの怪物の姿があった。
「…うわあぁぁぁぁ!!!」
状況を把握することができずそのまま固まっていた三上だが、一体の怪物が三上の方を向き、こちらに向かってきたのを見てやっと動き始める。
しかし、怪物から逃げ切るには硬直していた数秒は致命的過ぎた。南条軍曹たちのところに戻ろうとするが隣から『パシャ』と液体が跳ねる音がする。思わず後ろを振り返ると先ほどまでいた場所には追いかけてきた怪物がいた。更に曲がり角から怪物が出てきているのが見える。
(間に合わないっ!)
まだ南条軍曹たちとは離れており、こちらに気が付いた様子もない。このまま走っても合流することはできるだろう。しかしそれは、合流するまで無防備になることとなる。アーマーがあるとはいえ、怪物に背を向ける続ける勇気はなかった。
三上は少しづつ後ろに下がりながら銃を乱射する。南条軍曹に習ったコツすらも忘れ、トリガーを引きっぱなしにする。衝撃で上に跳ね上がる銃口を無理やり押さえつけたため、標準が定まらずそこら中に銃弾がばらまかれる。しかし、今回に限ってはそれが功を奏した。ばらまかれた銃弾は怪物を倒すことはできなかったが、多くの怪物の足止めに成功した。
「っ!南条軍曹、奥の通路からも怪物がきました!」
「なに!?…囲まれる前に一度下がるぞ!隆司は通路の怪物の足止めを頼む!」
「わかりました!三上、急いで私たちの後ろへ!」
「お願いします!」
三上の放った銃声によって、ようやく怪物が近づいてきたことに気が付いたようだった。
南条軍曹は囲まれるのを避けるため、一度下がることを決める。東は三上の前に出ると怪物を正確に射抜いていき足止めを行う。
三上のようなでたらめに撃ち続けるのではなく、突出してきた怪物から優先的に打ち抜いていき、リロードも手早く済ませる。それでも怪物の物量に押され、少しづつ後退していく。
「足止めはもう十分だ戻ってこい!」
南条軍曹の言葉を聞くと残りの弾丸をすべて打ち切り、リロードを行いながら下がる。
「くそっ!多過ぎないか!?」
「倒そうとしなくていい!近づかさせない様にしろ!」
あまりの数に一体一体倒していくことをやめ、近づけさせないことを優先した。
銃弾の雨を途切れさせないため、リロードのタイミングを少しづつずらしていく。放たれた弾丸は確実に怪物に当たり足を止めさせる。それに合わせて少しづつ後退していったことにより、怪物との距離は離れていく。
しかしそれも一時的なものでしかなかった。前にいた怪物の足を止めることはできたが、後ろから押し寄せてきた多数の怪物に押し込められ距離が詰まってきてしまう。
「軍曹、これ以上の足止めは無意味かと」
「くそっ!仕方がない…弱ったやつを重点的に狙い一体づつ倒していけ!…三上、すまないがこれ以上の足止めはできない。できるだけ後ろに回られないようにするがお前のところにも怪物が行くだろう。倒せ、とは言わないが頑張って生き残ってくれ」
「…わかりました」
軍人なのだから守ってくれと言いたいが、あれだけの数の怪物に三上を気遣って倒すのではなく、足止めを行い後ろに通さないようにしてくれた彼らにそんなことを言えなかった。