地球防衛軍5 英雄は元民間人 作:軍曹は不死身、はっきりわかんだね
急こう配な坂を半ばほどまで登ったころ、上の方から銃声が聞こえてくる。
「…何かあったみたいだな。様子を見に行く、三上以外はついてこい」
南条軍曹も何かがおかしいと感じたのか、急いで坂を上って行ってしまった。
そんな軍曹たちに遅れて地上へと出た三上が見たのは、まさに地獄と言っていい光景だった。
何十体もの怪物に侵入された基地内では乱戦となっており、個々での戦いになっている。多くの戦車が壊されて転がっている。地上についたころはまだ動いていたコンバットフレームもすぐに破壊されていた。
「なんだ、これは…!?」
「まだいやがった!」
安全とは程遠い地上の状況に目を疑う。
「おい!空を見てみろ!」
「こんなこと、あり得るのか…?」
「円盤みたいのが飛んでいるぞ…」
空にはいくつもの円盤が飛んでいた。怪物は地下からではなく空から来たというのだろうか、今までの常識が否定される光景を見て少し頭が痛くなってくる。
「空飛ぶ円盤!?そんな馬鹿な!」
「地下にいる間に映画の撮影でも始まったのかよ!」
「味方が戦闘中だ!援護する、続け!」
いち早く我を取り戻した南条軍曹が、戦闘中の仲間たちを助けるために突き進んでいった。
「死ねぇ!怪物!」
「よくも戦友を!仇をとってやる!」
改めて周りを見渡せば、動くことなく横たわっていたり、壊れた戦車に下敷きになっている軍人が見える。そのことに吐き気を
基地の中ではそこらじゅうで激しい戦闘が行われており、そこらじゅうを怒号や悲鳴が飛び交う地獄のような
「そこら中に怪物がいるぞ!」
「地下の方がましだった!穴から出るんじゃなかったぜ!」
「外に出れば安全じゃなかったのかよ!」
基地の内部にはそこら中に怪物がおり、安全なところはないと言っても過言ではない状態だ。そのため、三上のところにまでたどり着かれるのは確実と言っていいだろう。そのことにいやいやながらもいつでも対応できるように準備だけは行っておく。
その時、上の方から何かをチャージするかのような音が聞こえてきた。何事かと思い、上を見上げる。そこには、一人の女性が大きめの銃のようなものを持って空を飛んでいた。
「あれは…ウイングダイバーか?」
生身のままで空を飛ぶ姿を見て、女性だけで構成された舞台である降下翼兵―――ウイングダイバーかと考えるが、それにしては背中に装着しているフライユニットが旧式であるのを見て、彼女も民間人ではないかと考える。
(何してるんだろ?)
上へと昇っていく彼女をボケっとしながら見送る。彼女はしばらく飛んでいたが、チャージが完了したのか、持っている銃から青白いエネルギーを発射した。
そのエネルギーが飛んでいく先を眺める。そこは軍人たちがおらず、怪物たちが日悪的密集している場所であった。エネルギーが着弾すると爆発とともに、数体の怪物が吹き飛んでいた。
「わーお…」
想像衣装の破壊力のあった武器に呆然とし、思わず気の抜けた声が出てしまう。
三上はしばらくエネルギーの着弾地を見ていたが、爆発が起きたことでできた砂煙を突き破って怪物が突っ込んできたことで我を取り戻す。基地の中で戦闘が起きているのだ。安全なところがない以上、呆然としている暇はないのだ。
「よしっ!」
三上は自分の頬を叩き、気を引き締める。おそらく、いや確実に怪物はこれだけで終わるわけがない。今以上の数で何度も襲ってくるだろう。軍人たちだけで食い止めることができず、三上のもとにも何体かは来るはずだ。
そんな敵に対しての嫌な信頼を抱きながら銃を構え直した。
『くそっ!肝心な時にコンバットフレームが動かないとは』
「コンバットフレームの援護はなしだとよ!」
「準備に色々と時間がかかるらしい!」
「どんだけ時間がかかるんだよそれ!」
「ないものねだりせずに一体でも敵を倒せ!」
基地には奥のコンバットフレームが置いてあるが、そのすべてがしばらく動くことがないようだ。
『怪物が何か吐き出しています。…うわあっ!酸だ、これは酸だ!』
おそらく三上たちとは別に基地の地下から出てきたばかりの軍人だろう。地下でも怪物と運よく遭遇しなかったためか、怪物が何を吐き出しているのかわからなかったのだ。地面に落ちた液体がコンクリートを溶かす音を聞き、ようやくそれが酸であることに気が付き慌て始めた。
『うろたえるな!俺たちのスーツは酸を防ぐ!』
『駄目です!アーマーがゴリゴリと削られて!助けてください!―――うわあああああ!!!』
最初は何かわからずに無抵抗で酸をかぶっており、アーマーの装甲が削られていたところに、怪物に囲まれて集中的に酸をかぶせられたのだろう。ほかの軍人が助けに行く間もなく、無線の中から断末魔が聞こえてきた。
その無線に気をとられていたが、三上のすぐ近くにも怪物が迫ってきていた。
そのことに酸を掛けられる前に気が付いた三上は、ギリギリのところで酸をよけゼロ距離で銃を放つ。威力の弱い銃弾とはいえ、ほぼゼロ距離であったこともあってか、怪物の装甲を破り、柔らかな肉に銃弾が食い込んでいった。
「危ない!」
そんな声とともに後ろから『ピピピピピ』という音と怪物の悲鳴のような鳴き声が聞こえてきた。
三上は何事かと思い後ろに振り替えると、そこには空を飛んでいた女性が、小さめの武器から出る無数のレーザーのようなもので怪物を攻撃しているのが見えた。
三上が一体の怪物に対処している間にもう一体抜けてきたのだろう。彼女かいなければ、後ろから酸をかけられていた。
三上はそんな状況を把握するよりも怪物に対処をするのが先だと判断し、弱っていた怪物にとどめを刺す。その怪物が動かないことを確認すると、女性の援護をしようとするが。すでに怪物は倒されていた。
「ありがとうございます。助かりました」
「いえ、無事なら何よりです」
三上はそう言いながら相手の方を向く。彼女のことをよく見ると、資料で見たことのあるウイングダイバーの軍服とは違い事が分かる。
「もしかして…あなたも民間人だったりします?」
「そうですけど…『も』ってこれはあなたも…?」
「はい、俺も民間人です。それと敬語じゃなくてもいいですよ」
もし間違っていたらどうしようかと思っていたが、あっていたので一安心する。
「うん、わかった。僕にも敬語はなしでよろしくね」
彼女はヘルメットをかぶっているため、顔の全体を確認することはできない。だが見えている部分や声だけでも美人なのが想像できた。
三上は同じ民間人ということもあり、自己紹介をしようとするが、南条軍曹の声で遮られた。
「敵の第二波が来るぞ!」
軍曹の視線の先に目を向けると、先ほど以上の数の怪物が向かってきているのが見えた。三上たちは慌てて、会話を切り上げて怪物の方へと銃口を向ける。民間人の女性も怪物が来ていることに気が付くと、また武器に寝にかをチャージしながら空へと昇って行った。彼女の放ったエネルギー砲は何体もの怪物を吹き飛ばすが、その一撃で怪物は倒しきれず、爆撃は銃撃よりは多くの数を巻き込めているが、全体から見ると焼け石に水でしかなかった。
『こちらイオタ3、これより起動シークエンスに入る』
『歩兵はコンバットフレームを守れ!』
軍人たちが小隊ごとで固まり、怪物たちと乱戦を繰り広げているとようやくコンバットフレームが起動準備に入った。しかし起動準備に入ったせいで、機体からは小さな機械音が漏れ出ていた。怪物たちはその音に気が付いたのか、今までは見向きもしていなかったコンバットフレームに向けて酸を飛ばし始めたのだ。
「コンバットフレームにまとわりついている怪物を先に処理するぞ!」
「無茶言わないでください軍曹!」
「怪物が多すぎて、そんな余裕ねぇっすよ!」
彼らはコンバットフレームを守ろうとは試みるが、自分たちに向かってくる怪物たちの処理で手一杯だった。時折余裕ができてコンバットフレームにまとわりつく怪物の気を自分たちに向けることしかできない。
そんな中怪物たちの隙間を潜り抜け、南条軍曹たちに近づく一人の軍人がいた。
「軍曹、ご無事で何よりです」
「状況が知りたい、少尉はどこだ」
「戦死されました。怪物に食われて!」
「くそっ!」
その軍人と言葉を交わすと、軍曹は吐き捨てるようにつぶやいた。
怪物による突然の
少尉が死んだという報告に動揺し、軍曹たちの連携が乱れる。その隙をつかれ、およそ五体ほどの怪物が軍人たちを狙うことなく通り抜け、三上たちの方へと駆けてきた。三上はほかの怪物にあて、ほかの怪物がこちらに来ないように気を付けながら銃撃を行う。
放った銃弾の多くは狙った通りに当たったが、数発の銃弾が逸れ、ほかの怪物に当たってしまい、さらに数体向かってきてしまった。三上はできるだけ近づけさせないように下がりながら打っているが、すぐに距離が詰められてしまう。
「くそっ!」
遂には怪物たちに囲まれてしまい、もうだめかと諦めかけたとき、目の前の怪物が上から何本ものレーザーにあてられ、たまらず逃げだした。
「手伝う!」
逃げ出した怪物のいた場所に民間人の女性が降り立つ。いつの間にか武器を変えたのだろう。手には先ほどよりも一回り小さめの武器を持っていた。三上の持っている武器よりも攻撃力が高いことが見て取れた。
怪物の対処に手一杯で彼女に気をまわせていなかったが、一緒に戦ってくれるのならば心強かった。
女性に対してお礼を言おうとしたが、怪物に囲まれている状況ではそんな余裕はなかった。
そこからの戦いはギリギリだった。軍人たちに比べると囲まれている数が圧倒的に少ないとはいえ、まだ銃を持って一日もたっていないのだ。何度も危ない場面になりながらもお互いに助け合って切り抜けていく。
何度か酸を掛けられ、アーマーを削られてしまうが、まだ余裕を持って戦えていた。
どれくらい戦い続けていたかはわからないが、気が付いた時には三上たちを囲んでいた怪物も残り数体になっていた。
数が少なくなったことで囲まれる可能性が低いと判断し、三上は攻勢をかける。目の前で酸を掛けようとしてきている怪物に一気に近づき、酸がかからないように気を付けながら懐に潜り込むと、甲殻の薄くなっている腹部に向けて近距離で銃弾を叩き込む。
放たれた銃弾は、薄い甲殻をたやすく貫くと、怪物の体の中を
怪物がこと切れたことで踏ん張っていた力がなくなり、銃撃の衝撃で体が吹き飛んでいった。それを確認すると、残りの怪物の方へと振り返る。丁度その時女性も一体の怪物を倒し終わり、残りの怪物は二体となった。
三上は残りの二体ともに銃弾を放ち、自分の方へと気を引く。怪物たちはいきなりの衝撃に体を少し浮かせるが、すぐに踏ん張り、三上の方へと走っていった。
民間人の女性は無防備な背中を見逃すことなく、武器にエネルギーをチャージし終わると攻撃を開始する。攻撃された怪物は前方から放たれる銃弾と、背中の甲殻を砕き割り、身を焼き貫くレーザーに耐えれずに動きを止める。
「あとはこいつだけだな」
隣で味方が倒れても構うことなく突っ込んでくる怪物を、横に転がるようにして躱す。怪物はそのまましばらく進むと、三上から離れたところで酸を飛ばしてこようとする。それを阻止しようとしたところで、上空から青白いエネルギー弾が飛んでいき、怪物を吹き飛ばした。
三上たちは向かってきた怪物をすべて倒したところで、南条軍曹たちの方へと目を向ける。そこでは何機かのコンバットフレームがまだ攻撃されているが、怪物の数は残りわずかであり、そう時間のかからぬうちに
『怪物の群れだ!』
基地の中に入ってきた怪物をすべて倒し、ようやく一息つけるかと思いきや、そのような間もなく再び怪物の群れが向かってきていると無線が入ってきた。
『総員、応戦せよ!』
「動けるものは戦闘に参加しろ!」
「撃て!怪物を近づけるな!」
軍人たちが向いている方へと視線を向けると、塀に阻まれてしっかりと確認することはできないが、一面に広がる砂埃を見る限り、先ほどよりも数が多いのは明白だ。
「まだ来るのかよ…民間人に戦わせないでほしいのだが?」
「愚痴なんか言ってる暇はないよ。さっき以上の数がこっちに来るだろうし、覚悟決めなきゃ!」
女性はそういうと、再び空へと昇って行った。
『こちらイオタ1!起動シークエンス、最終フェイズ!』
「怪物をコンバットフレームに近づけるな!」
コンバットフレームも順調に起動準備が完了していく。軍曹たちはその報告を受けると、コンバットフレームを守るため、前に出て注意を引くように戦い始めた。そのおかげで先ほどよりも多くの数が来ているが、コンバットフレームに酸を掛ける怪物の数は少なくなっていた。
「民間人は避難できているのか?」
「軍曹たちといた民間人と、別の部隊といた民間人以外は避難したはずですが…どうなったかはわかりません」
「護衛には誰が就いてる?」
「伍長が付いていたはずですが、連絡が付きません。おそらくは……」
「軍曹!今は前の敵に集中しないと一気に崩されますよ!」
銃声や怪物の鳴き声とともに、そんな話声が三上の耳へと届いた。
このような事態に巻き込まれた時点で、不幸であることには間違いのないことだが、戦うすべを教えてもらったことによって抵抗できているのは不幸中の幸いだ。軍曹たちの会話から察するに、避難していった民間人は、怪物に殺されてしまったのだろう。基地の中ですらこのありさまだ。護衛ごと物量で押されたことは想像に難くない。
『これ、ほんとなの?もし間違いだったら…』
軍曹たちが打ち漏らし、コンバットフレームも素通りしてきた怪物と対峙し、女性と協力しながら倒していた時、無線に先ほどまでとは違い、緊迫感のない音声が流れる。
『臨時報道です。各地で
無線を通してニュースが聞こえる。現場の情報が後方へと良く伝わっていないことが聞き取れるが、そんなことにかまけている暇はなかった。
先ほどよりも数の多い怪物に対し、態勢が整う前に攻められたため、押しとどめることができずに乱戦となってしまっていた。
無線に流れるアナウンサーの声をかき消すように、そこら中から銃声や悲鳴が飛び交う。軍人たちはコンバットフレームを守る余裕もなく、ただ目の前の怪物に対処することで精いっぱいだ。
(ここにいてもさっき以上の数が来て対処できなくなる。……なら!)
三上は先ほどとは違い、すぐに乱戦になってしまった軍人たちを見ると覚悟を決める。
「ちょっと、どこいくの!?」
「どうせ戦うなら、できるだけ軍人さんたちに援護してもらいやすいところで戦う!」
「ま、待ってよぉ!」
三上は対処できない数の怪物が来ることを考え、援護してもらいやすいように軍人たちが戦っている場所に突っ込んでいく。民間人の女性は、三上が怪物に突っ込んていったことに驚いたが、一人では戦えないと考えたのか、すぐに三上の後を追いかけていく。
酸を多少はかかることを覚悟しながら、怪物たちの隙間に体をねじ込んで進んでいく。巨大な怪物に囲まれて足がすくみそうになるが、恐怖心を無理やり抑え込む。
銃を進行方向に向けて乱射しながら進んでいると、近くから誰かの話し声が聞こえ、咄嗟に声の聞こえた方に転がり込んだ。
「三上!?どうしてこんなところに?」
「ちょっと、あいだ開けてぇ!」
「うおっ!!」
ちょうど三上が転がり込んだ場所は、南条軍曹たちが戦っているところだった。彼らは怪物の間からいきなり出てきたことに驚きながらも、素早く三上を中心として守るように陣形を変える。
陣形が組み終わるやいなや、突然上から声がかかる。思わず西森隊員が場所を開けると、女性が空から降り立った。
「なぜいるのかはわからんが、ここに来たのなら戦ってもらうぞ!」
軍曹は突然やってきた民間人二人にそれだけ言うと、再び怪物の対処に集中し始めた。
そこからの戦いは安定していた。やはり軍人は練度が高いことが明白だ。大勢の怪物に攻め立てられているにもかかわらず、ヒヤッとすることはあれど、危機的な状況に陥ることなく対処できていた。
ようやく敵の数が少なくなり、怪物の隙間からほかの軍人たちが見えるようになると、駆除のペースは飛躍的に早くなった。自分たちの前にいる怪物に対処すると同時に、ほかの軍人たちが狙っている怪物を優先して攻撃していく。
しばらくすると動いている怪物もいなくなる。
周りを見渡すと、何機かコンバットフレームを破壊されたのか、機械の部品が散らばっている。そして戦闘前と今で軍人の部隊数が減っていることに気が付く。
『怪物の群れだ!』
『すごい数だぞ!』
怪物の攻勢を切り抜け、ようやく一息つけるかと思えば、無線から怪物の襲来を告げる報告が聞こえてくる。
それを聞き、気が抜けていた軍人たちは周りを見渡す。そこには先ほどの二倍ほどの数の怪物が見えた。
「コンバットフレームはまだ起動しねぇのかよ!」
「あれだけの数、倒せるのか…?」
これまで踏ん張って頑張っていた軍人たちも、攻めてきた数を見ると愕然とする。抵抗するだけの気力もなく、銃を構えることもせずに迫ってきている怪物の群れを呆然と見つめていた。
そんな中、無線から一つの朗報が伝われる。
『イオタ1、起動した!コンバットフレーム隊、戦闘を開始する!』
『待たせたな、ここからは俺たちに任せておけ!』
今まで動くことのなかったコンバットフレームが起動シークエンスを終え、ようやく動き出したのだ。
「全員コンバットフレームの後ろまで下がれ!」
コンバットフレームが動き出したことで、南条軍曹が声をかけ、コンバットフレームの後ろまで下がっていく。
軍人が全員後ろに下がると、コンバットフレームは攻撃を始める。射程内に入ってきた怪物は吹き飛ばされていった。
しかし怪物の数が多すぎた。吹き飛ばされた仲間に見向きもせず突撃してくる。いくらコンバットフレームの火力が高いとはいえ、物量に任せた突撃を抑え込むことができなかった。
何機か壊されたことや、コンバットフレームに搭乗する前に殺された軍人もいたこともあり、コンバットフレームの弾幕も薄く、怪物が近づいてくる。
戦闘続きで疲労しているとはいえ、対処を送れるという愚を犯すこともなく、軍人たちはコンバットフレームを抜けてきた怪物に素早く対処する。
コンバットフレームは起動したが、何度も怪物によって攻撃を受けいることや、対処が難しいほどの大群が攻めてきたことにより、状況が好転することはなかった。
南条軍曹たちはコンバットフレームを援護しながら戦うが、起動シーケンスの際に受けていた攻撃が尾を引き、怪物の猛攻に耐えきれずに倒れていく。
ようやく怪物をすべて倒し終わったときには破壊されていない機体は5機ほどであり、そのうち満足に戦える機体は2機にまで数を減らしていた。
「駆除成功だ。ようやく終わったな……」
怪物を駆除し終わり、また怪物の群れを知らせる無線が入るかと緊張が解けることはなかったが、しばらく経っても何も知らせが来ない。それにより、ようやく全員の緊張が解かれる。
「い、生きてる〜…」
緊張の糸が切れ全身の力が抜け倒れ込み、安堵の息と共に気の抜けた言葉が口から漏れる。
倒れ込んだ差にビチャっと音がしたような気がしたが、動く気にもなれず生きてる実感を噛み締めながら空を見上げる。
今までのことが嘘だったかの様に、いつも通りの空が見える。
さらに円盤が飛んでいたことなんて嘘なんじゃないかと思うも、視界の隅に映る怪物の残骸がそんな現実逃避さえも許してくれなかった。