○○と付き合ってるって言ったらテイオーはどうなるのだろうか 作:ししゃも丸
「……」
ボクの名前はトウカイテイオー。無敵のテイオー様とはボクのことだ。
さて。まず何を言いたいのかと言えば、ボクの性分からして大人しくしているのはちょっと苦手な方だと思っている。もちろんTPOはわきまえているつもりだけど、家や友達といるぐらいは沈黙の時間より会話をしている時間の方が多い方だ。
特に大好きな義理のお兄ちゃんと一緒にいる時は、特に意味もなしに『お兄ちゃん』って声をかけるぐらいにはブラコンである。
そんな大好きなお兄ちゃんがいるにも関わらず、ボクは自分の家なのにも関わらず黙っている。否、沈黙を押し付けられている気がしてならない。
それは何故か。
理由は簡単さ。いま、ボクの目の前で一緒にソファーで寛ぎながらコーヒーを飲んでいるお兄ちゃんとその彼女であるマンハッタンカフェさんが原因なのだ。
二人は恋人同士である。ゆくゆくはこのままカフェさんが卒業したらゴールインしそうなぐらいな関係だ。だけど恋人という割には口数が少ない。ボクからしたら、ただ黙って隣り合わせでコーヒーを飲むことの何がいいのか、最初はそれが全く理解できないでいた。
コーヒーを飲みながらテレビを見るわけでも会話をするわけでもない。これがボクとお兄ちゃんだったら、五月蠅いって言われるぐらいに話をしながら色々としていることだろう。
つまり、これは普段のボクからしたら未知の領域だ。
だけど最近はほんの少しだけ分かるような気がしてきた。
なんていうか……カフェさんは大人なんだと思うんだ。ボクと少ししか年は違わないのに、纏っている雰囲気というか、それが大人を連想させるんだ。
カフェさんは素敵な女性だ。長い黒髪は女のボクでも見惚れてしまうぐらい綺麗なんだ。大和撫子ってこういう人を言うんだろうなって思うよ。何よりボクの話(お兄ちゃん自慢)を嫌な顔せず聞いてくれるのだ。友達や普通の人は嫌がるんだけどね。
だけど、そんなカフェさんにボクは共感できないことが一つある。
「……にがい」
ボクは二人に聞こえない声で本音を漏らした。
それはコーヒーである。それもブラックで、つまりは砂糖もミルクも入っていないやつ。これがお兄ちゃんとカフェさんを引き合わせた要因であり、二人の好きな物になる。
そんな二人の真似をしてボクもついついブラックを頼んでしまう。お兄ちゃんはボクが甘いのが好きだということは知っているから、このコーヒーも以前飲んだことのあるやつより苦くはないんだけどそれでも苦い。
これはボクが負けず嫌いというか、単にまだ子供だからつい背伸びしたくなってしまうのが原因だってことは自覚しているし、それをお兄ちゃんも分かってくれているからこうしてちょっとずつボク好みに合わせてくれている。
そしてそれはカフェさんもそうで。
「テイオーさん。ちょっと貸してくれますか」
「え、うん……」
そう言われてカフェさんにマグカップを渡すと、彼女は慣れた手つきで砂糖とミルクを入れてさっと混ぜるとすぐにボクに返した。それをボクは一口に飲むとあら不思議。アレほど苦かったものが一転してカフェオレのように甘くなったではないか。
カフェさんの方に目を向ければ優しい笑みを浮かべていて、お兄ちゃんも何も言わず笑顔を作っていた。
これが大人と言うやつなのだろうか。余計な言葉は話さず、ただ相手が求めていることをそれとなくしてあげる。
ボクとしてはまだまだ自分が子供だと痛感されられるんだけど、だからこそ二人のような、カフェさんのような大人の女性に憧れてしまうのだ……そんなに年は変わらないんだけど。
しかし、一体お兄ちゃんはカフェさんをどこで見つけてきたのだろうか……。
彼女と出会ったのは馴染みの喫茶店でのことだった。
最初は親父に連れられて訪れたのがキッカケだったと記憶している。その時に初めて飲んだコーヒーの味が忘れられなくて、それが大人になった今でも週に一度以上は通うぐらい常連になっていた。
常連になると当然店長にも顔を覚えられる訳で、同時に常連だから専用席も許されるのだ。と言ってもファミレスのように混む店ではないので、滅多に満席になることはない。そんな俺の場所はカウンターの店長がよく立っている目の前ぐらい。他に客がいなければよく他愛もない話をして過ごしている。
そんないつもようにその日も店に行けば、窓際のテーブル席に一人で座る彼女──マンハッタンカフェがいたのだ。
まず彼女の長い黒髪が特に目を奪われた。知人や仕事などで似たような髪型をしている女性を知っているし別段珍しいことではないのだが、俺は何故か彼女に目が釘付けになった。
黒髪の乙女とはまさに彼女のことを言うのではないか。
そんな気がしてならなかった。あまりにも見惚れていた所為か、彼女がウマ娘だということに気づいたのは店長に声をかけられてからだった。
別に見惚れていたからといって声をかけるわけでもないし、何かをするわけでもない。どうせこの一回限りの出会い、そう思っていた。
だけど翌週また同じ朝の時間に行けば、彼女はまた同じ場所にいた。
偶然だ。そう思ってまた次の週もそのまた次の週も彼女は同じ時間、同じ場所にいた。だから俺はつい店長に聞いたのだ。
「なあ店長。あの子ってよく来るのか?」
「あああの子ね。キミと同じで休日のこの時間に毎週来てくれているんだよ。たまに平日にも来るけど。そうそう。頼むのはキミと同じ私の自慢のブレンドコーヒーさ」
「へえ」
俺が常連になったキッカケが店長が淹れてくれるコーヒーだ。他のメニューも豊富だけど、俺はこのコーヒーが大好きだ。
以前妹のテイオーをここに連れてきたことがあるけど、あの子は俺の真似をして同じコーヒーを飲んで痛い目に遭っていたのを思い出した。まあ無理もないし幼い子がブラックコーヒーを平然と飲んでいたらそれはそれで驚くのだけど、あそこで座るあの子は若いながらもコーヒーの味が分かる子らしい。
「なんだ。惚れたのか?」
「んなわけあるかっ。ただまあ……最初に見たとき見惚れてはいたけど」
「ウマ娘だけあって見るからに別嬪さんだもんな」
「うん」
我が妹のテイオーもそれはそれは可愛い天使のような存在であるが、美人かと言われればそれはちょっと違う。あの子は可愛いタイプなのだ。
だけど、いつかはテイオーもあの子のように美人さんになるだろうか。それはそれは兄として嬉しいのだが、見知らぬ男どもの視線を集めてしまわないか心配である。
「そう言えばあの子トレセン学園の子だね。平日に来た時あそこの制服を着てたから記憶に残ってるよ」
「トレセン学園か。うちのテイオーも行く予定なんだよね」
「まあここら辺に住んでるウマ娘だったらそうなるか」
テイオーは可愛いだけではなく走るのも速い。本人曰く天才らしいのだが、まあ俺の妹なら当然だろう。
しかしトレセン学園か。あの子もレースに出たりするのだろうか。きっとあの子が走る姿はとても美しいんだろうな。
……ちょっとテイオーの予習ということでレースにも少し目を向けて見るか。
この時から俺は彼女のことが気になっていたんだと思う。
その甲斐もあって、ウマ娘やレースについて扱うニュースや新聞を見てようやく彼女の名前を知ることができたのだから。
マンハッタンカフェ。それがあの黒髪の乙女の名前だった。
それを知ったのは彼女が初めて走るデビュー戦でのことで、同時にこの時初めて俺はウマ娘のレース会場に訪れた。
出走するウマ娘に対して人気というのがあって、彼女は2番人気だった。デビュー戦だというのに2番人気ということは、きっと速いウマ娘なのだろうぐらいにしか素人の俺には分からなかった。現に彼女の走りは想像していた以上だった。
荒々しくもどこかナイフのような鋭さを感じさせる走り。なびく黒髪が最初に見たとき以上に目を奪われる。
すごい。生で見るレースはこんなにも迫力があるのか。
でも、そんな彼女の走りでも結果は3番だった。レースといえど勝負の世界だ。やはりそう簡単なもんではないことを直に目にしてそう感じた。
レースがあった次の週。彼女はまたあの窓際の席にいた。いつもと同じように見えるけど、どこか落ち込んでいるようにも見えなくはなかった。
声をかけようにも流石に中学生だし、こっちは一方的に相手を知っていても相手はこちらのことなど知りもしない。
そんな一歩も進展しない関係が進んだのは、彼女の次のレースでのことだった。
マンハッタンカフェの第二戦目。結果から言えば彼女は1番人気の1着で見事初勝利を収めた。
だからそのお祝いというか、俺は店長に頼んで今度彼女が来たら特製のパフェを出してやってくれと頼んでいた。
残念ながら俺はその週は急な仕事が入ったので直接会うことはできなかったのだが、翌週いつものように喫茶店に足を運ぼうとしたら、なんと店の前で彼女が立っているではないか。俺は恐る恐る近づくと、彼女も俺に気づくとこちらにやってきた。
「……店長さんからあなたのことを聞きました。……先日パフェを奢っていただきありがとうございました。とても美味しかったです」
「あ、あはは。そう言ってもらえると俺も奢った甲斐があるっていうか……その……えーと……」
「……どうして奢ってくれたんですか?」
突然のことに驚いている俺に対して彼女は至って冷静に聞いてきた。
「え! そ、それは、キミの初勝利のお祝いってやつでして……」
「……! 見て、くれたんですか? 私のレース……」
「うん。初めてここでキミを見たときに目を奪われて、店長からトレセン学園の生徒って聞いていたから、それでキミが走るレースをチェックして……ました。ご、ごめんね。ストーカーみたいだろ、俺」
「……そんなことありません。すごく嬉しいです。まだ2回しか走ってない私のことを応援してくれるなんて。ありがとうございます」
「乙女だ……」
「……はい?」
笑顔でお礼を言う彼女に俺は心を奪われた。生まれて初めて本当の恋をした瞬間でもあった。
それから俺とカフェとの関係が始まったんだと思う。
同じ店長のコーヒーを愛する者同士故か、意外とすんなりと俺達の関係はまずまずの展開を迎えていた。
傍から見れば中学生とコーヒーを飲む見知らぬ男性と、どう見てもアウトな関係なのだが知らぬ場所ではないし、店長も暖かい目で静観しているので許されていたと思う。
何よりもこの喫茶店以外では会うことはないし、実際友達……のようで友達ではない関係でもあるし、それに連絡先だって交換していないのだから問題はないとはず。
確かに俺はカフェに恋をしているが、俺は今の関係で満足していた。好きな場所で、同じコーヒーを飲んでいるだけで俺はよかった。
関係が進んだのはテイオーのトレセン学園での入学式でのことだ。
テイオーの晴れ舞台とまではいかないが、家族としては子供の入学式が楽しみではない者はいないだろう。そんなテイオーの入学式に来れない両親の代わりに俺はトレセン学園に訪れたのだが、入学式が行われる体育館に向かう途中たまたまカフェと出会った。
「……え、お兄さん……ですよね。どうしてここに?」
「えーとね。俺の妹が今年からここでお世話になるんだよ。それで俺が両親の代わりに出席してるわけ」
「妹さんがいたんですか」
「うん。トウカイテイオーって言うんだ。もしよかったらでいいんだけど、困っていたら助けてあげてほしいんだ。ほら、ここって入学したら寮生活だろ? 何かしてやりたくても中々できないからさ」
「……」
普通に説明をしつつ兄としてよくある頼み事をしただけなのだが、カフェはジッとこちらを見て口を閉ざしていた。
「あの、カフェ?」
「……! あ、はい。私ができる範囲でよければ」
「頼むよ。あの子はいい子だからきっとすぐに仲良くなれると思うから」
「分かりました。……その、もしよかったら連絡先を教えましょうか? 私からも妹さんのことで何かあったら伝えた方がいいと思うので」
「え、あ、うん。カフェがそう言うなら……」
こうして俺は出会って数年経って彼女の連絡先を交換したのであった。
さて。連絡先を交換するのに数年を要したのだから、次の関係に進展するのにこれまでの倍はかかる、そう思われるからもしれないが実際は違った。むしろ今までより速く関係は進展したのである。
それは何故かと問われれば、なんと我が愛しのテイオーの存在なのだ。
カフェは俺の頼みをすぐに実行してくれたのか、困っていたテイオーに先輩として手助けてしてあげ、そのまま先輩後輩という間になりすぐに友達になったのだ。
そんな訳でカフェがコーヒー好きと知ったテイオーは、同じくコーヒーが好きで自宅でもコーヒーを豆から挽いて作っている兄のコーヒーをご馳走するということになって……。
「お兄ちゃん。こちらがボクがお世話になってるマンハッタンカフェさんだよ」
「……い、いつもうちのテイオーがお世話になってます」
「こ、こちらこそ。今日はお招きいただきありがとうございます……」
「?」
思わず初対面の振りを互いにしてしまい逆にぎこちない挨拶になった俺とカフェ。それに対して首を傾げるテイオー。
まあこれでもいっかということで、テイオーには俺とカフェの関係は内緒のまま暫く過ごすことになるのであった。
俺達の間にテイオーが入ったことにより、休日の朝に喫茶店で一緒にコーヒーを飲んで別れたあとに、また少し経ってテイオーと一緒に我が家にやってくる、そんな奇妙な習慣がかれこれ数年立った頃のこと。
テイオーもデビュー戦を得て着々とレースで結果を出している中、ある日いつものようにカフェと一緒に喫茶店でコーヒーを飲んでいた時である。
カフェが一口コーヒーを飲むと、ジッと俺を見て何かを言いたそうにしていたのだ。俺はそれに声をかけるとカフェが口を開いて言った。
「……お兄さんは、いつまでもずっとこうしていられたらいいって思っていますか」
「それって、一緒にここでコーヒーを飲むことかい?」
「そう、ですね。そういうことになるんだと思います」
何か引っかかる言い方であるが、俺は気にせず続けた。
「俺は、そうありたいと思ってるよ。むしろ今日までよく何もなくカフェとこうして居られることに驚いているよ。気づけば俺の席はあそこからここになってるぐらいだから。叶うならこれからもずっとこうしていたいかな」
かつてはカウンターで座っていたのが、今ではこうしてカフェと一緒の席に座っている。それが俺と彼女の関係を表しているのだと思えば、もしかしたら今もカウンターでここに座る彼女を遠くから眺めていたかもしれない。
彼女の問いに答えたが、当の本人の表情は変わらず、いや少し不満げに見えた。それは現に彼女の口から伝えれた。
「私は……イヤです」
「……え」
思わず手に持っていたコーヒーカップを落としそうになるぐらい衝撃な言葉だった。
イヤ、つまりそれは俺とこうしていることに嫌悪感を抱いているということに他ならない。
そりゃあそうだよなとすぐに気づいた。だって、誰が好んで年の離れた男と一緒にコーヒーを飲まなければいけないのか。今まで俺の我儘に付き合っていただけなんだ。
今にも意識がどこかに飛んでいきそうな時、カフェの言葉で我に返った。
「私は……今のまま立ち止まっていたくはありません」
「え、それってどういう意味……?」
「……私はお兄さんのことが好きです。少し前まではこの気持ちが何なのかわかりませんでした。でも、今はハッキリとあなたのことが好きだって自信を持って言えます。だから私はあなたともっと前に進みたいんです。お兄さんは……私のことをどう思っていますか」
突然の告白だった。
まさか俺が想像していたのと正反対の展開である。カフェの告白に驚きつつも、俺は彼女の問いに答えなければならない。
否、その答えは当の昔から決まっているではないか。そう、あの日ここでカフェを見たときからそれは変わっていないのだから。
「俺も……カフェが好きだ。初めてここでキミを見たときからずっと。だから……俺と付き合ってくれませんか」
「……はいっ」
あの時また見惚れた。初めて見た彼女の笑顔と同じだったから。俺は思わず飲みかけていたコーヒーを飲んだ。先程まで飲んでいたのと違って、すごく甘くなっていた。
〇月〇日
きょうはお兄ちゃんにきっさてんにつれて行ってもらった。お兄ちゃんはおいしそうにコーヒーをのむからボクも同じのをたのむと、お兄ちゃんやめておきなさいって言う。
それでもボクがのみたいっていうと、お兄ちゃんのを一口もらった。
すごくにがくて口の中がへんになりそうだった。
なんでこれをお兄ちゃんはおいしそうにのむのか、ボクにはぜんぜんわからなかった。
だから変わりにはみちつジュースとジャンボパフェをたのんでもらったんだ。はじめからこっちにすればよかったな。
〇月〇日
トレセン学園に入学してから数日が経った。学園生活は今の所これと言って不満はないんだけど、やっぱり寮生活だからお兄ちゃん成分が不足しがちなってしまうのが難点。
いくら休日は家に帰れると言っても、それまでメールや電話だけじゃやっぱり物足りないよ。
あーあ。早く休みにならないかな。
〇月〇日
今日校舎で迷っちゃったんだよね。まだ慣れてないってこともあるんだけど、それにしたってトレセン学園の校舎って広すぎないかな。まあでも、偶然通りかかった先輩のマンハッタンカフェさんに助けられたからよかったんだけど。
それにしてもカフェさんの髪ってすごく綺麗なんだよね。同じ女性として憧れちゃうよ。それにしてもなんでカフェさんはあんな所にいたんだろうか。周りには誰もいないし、ボクは迷ったから分かるんだけど。
〇月〇日
最近先輩のカフェさんとよく仲良くしてもらっている。面倒見がいいっていうのか分からないけど、すごく親身になってくれるんだよね。
ボクのお兄ちゃんの話をしてもイヤな顔せずにちゃんと聞いてくれるし、勉強で分からないところも教えてくれるし。もしお姉ちゃんが居たらこんな感じなんだろうか。
そう言えばカフェさんはお兄ちゃんと同じでコーヒーが好きなんだそうだ。お兄ちゃんも喫茶店でよくコーヒーを飲みに行くのに、家でもわざわざ自分で作ってるぐらい好きなんだよね。
だから今度うちに招待してお兄ちゃんのコーヒーでもご馳走しようかな。
〇月〇日
我が家にカフェさんを招待したのはいいんだけど、何故かお兄ちゃんとカフェさん初対面の割にはやけにぎこちないっていうか、いや初対面だからこそなのかな。
それにしてもお兄ちゃんが淹れるコーヒーが口に合うか心配だったけど、あの様子だと気に入ってもらえたみたいでよかったよ。
お兄ちゃんも何だからカフェさんに対して満更でもなさそうだし、これからもうちに連れてこようかな~。
〇月〇日
カフェさんと知り合ってから数年が経った。彼女はボクのよき先輩であり大切な友達でもあるけど、ある意味では家族のような関係になりつつあった。
そりゃあ数年もカフェさんも一緒にお兄ちゃんと出かけたり、我が家に招待していればそうなるよね。
今日もカフェさんを招いたんだけど、ようやくその時が来た。
「実はテイオー。お兄ちゃんカフェと付き合っているんだ」
「え──って驚くところだけど、何て言うか時間の問題っていうか、カフェさんからたまに相談されたからそこまで驚かないなあ」
「そうなの?」
「ふふっ。だってお兄さん、中々告白してくれないんですもん」
「そーだーそーだー!」
「……ごめんなさい」
「だけどねテイオーさん。実は私達、テイオーさんが学園に来る前から知り合いだったんだよ」
「えぇええええ!?」
「あ、そっちは驚くのな」
〇月〇日
後になって二人が知り合ったキッカケとか色々と聞いたけどさ。お兄ちゃんもお兄ちゃんだし、カフェさんもカフェさんだなって思った。
いやまあね、世間体のこととかあるけど連絡先を交換するのに数年かかるって余程だよ。毎週喫茶店で会っていたのも大概だと思うけど……。
でもようやく恋人になれたしいいのかな。ゆくゆくは結婚して、カフェさんがカフェお姉ちゃんになるわけだ。
うん、実にいい。
だけどそれはそれとして。
ボクはいつになったらこのコーヒーをブラックで飲めるようになれるんだろうか。ボクも早くカフェお姉ちゃんみたいな大人の女性になりたいよ……あ、今日はちょっと甘いや。
結論──テイオーが飲むコーヒーは苦くほんのり甘い。
書けば出る。読めば出る。そんな都合のいいことはないんだなこれが……。
本当はカフェ実装のためにその内書き留めて置く予定がまさかの今日実装するとのことで数時間で書き上げた。なのでちょっと粗いです……。
追記 出 ま し た