いきなり異世界? 勘弁してくれ…   作:ダイ⑨

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これから暫くは毎朝8時に投稿できそう。


案内、道中、詰問。

『…い、おい!聞こえてるのか!?その木の実は毒だ!食ったら死んじまうぞ!?』

 これは…忠告!?

 

「えっ、毒!?」

 そう反応して赤い木の実から手を離し、ゴブリン達の方に向き直る。棍棒を持った方のゴブリンがあからさまにビクッとしたよ、今。

 

「忠告ありがとう、助かったよ。」

『気にするなって!どこから来たか知らねぇけどさ、『森では正しい知識が無いと生きていけない』ってジイチャンが言ってたぜ!』

「ジイチャン?」

『オレタチの村で一番かしこいんだぜ!』

「そうなんだ…。」

 

 『森では正しい知識が無いと生きていけない』か。折角良い拠点が手に入ったんだし、この森で生きる術を知っておいて損は無いよな。

 

「そのジイチャンって人に一度、会わせてくれないかな?この森のことをよく知りたいんだ。」

『おう、良いぜ!オレタチの村はこっちd』

『ちょ、ちょっと待ってよガジル!』

 と、ここまで無言だった後ろのゴブリンが異議を唱える。

 

『コイツどうみてもボクタチの仲間じゃないよ?村に入れても大丈夫なの!?』

『大丈夫だろギバル。だってコイツ、話が通じるんだから!さあ、こっちだ!』

『あっ、こらガジル!』

 

 …石斧を持った快活な方のゴブリンの名前がガジルで、棍棒を持った大人しい方のゴブリンの名前がギバルか。

 かくして俺は、この二人の案内でゴブリンの村に連れていってもらうことにした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 さて、ゴブリンの村に向かって歩き始めたは良いものの…。

 かれこれ15分くらい歩いている筈なのに、まだ着かないらしい。

 

 …。

 ……。

 勘弁してくれ。

 元ヒッキー予備軍の俺にこの道なき道を行く行程は辛いよ…。

 

 なんて心の中で毒づきつつ、元気いっぱいで先導しているガジルにギリギリでついていく。

 …ここで、思いがけないアクシデントに見舞われた。

『…ねぇ、ちょっと良いかな?』

「えっと…ギバル、だっけ。どうしたんだ?」

『さっきから気になっていたんだけど…キミ、どこから来たの?』

「…どういう意味?」

『最初に話したときの様子といい、今歩いてるときの疲れ方といい…多分、森に入るのも初めてだよね?

なのにこんな森の奥にいて、しかもそんなに体は汚れていない。…どうやって、ここまで来たの?』

「!?」

 

 …(まず)い。どうする?ここで『目が覚めたらこの森の中に居た』なんて怪しさ満点の説明をすれば、下手したら村に入れてもらえなくなりそうだ。元々ギバルは俺を村に入れるのに反対だからな…どうするか。

 

『おーいギバル!それにオマエも!そろそろオレタチの村に着くぜ!早く来いよ!』

「ごめんごめん!今そっち行くよ!」

『あっ、待て!まだ話は…!』

 GJ(グッジョブ)ガジル!これでこの話は一旦揉み消せそうだ!

 

 そんなこんなで、ゴブリンの村に到着した。

 村と言っても、竪穴(たてあな)住居みたいな家が集まっているって言った方がいいか。村って言うより集落だな。

 

 そうして集落を観察していると、一つ気になるものが目についた。一人のゴブリンが集落の中から、じっと()()()()()()()()のだ。

 …そのゴブリンは暫しこちらを観察した後、不意に大声を張り上げた。


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