『…い、おい!聞こえてるのか!?その木の実は毒だ!食ったら死んじまうぞ!?』
これは…忠告!?
「えっ、毒!?」
そう反応して赤い木の実から手を離し、ゴブリン達の方に向き直る。棍棒を持った方のゴブリンがあからさまにビクッとしたよ、今。
「忠告ありがとう、助かったよ。」
『気にするなって!どこから来たか知らねぇけどさ、『森では正しい知識が無いと生きていけない』ってジイチャンが言ってたぜ!』
「ジイチャン?」
『オレタチの村で一番かしこいんだぜ!』
「そうなんだ…。」
『森では正しい知識が無いと生きていけない』か。折角良い拠点が手に入ったんだし、この森で生きる術を知っておいて損は無いよな。
「そのジイチャンって人に一度、会わせてくれないかな?この森のことをよく知りたいんだ。」
『おう、良いぜ!オレタチの村はこっちd』
『ちょ、ちょっと待ってよガジル!』
と、ここまで無言だった後ろのゴブリンが異議を唱える。
『コイツどうみてもボクタチの仲間じゃないよ?村に入れても大丈夫なの!?』
『大丈夫だろギバル。だってコイツ、話が通じるんだから!さあ、こっちだ!』
『あっ、こらガジル!』
…石斧を持った快活な方のゴブリンの名前がガジルで、棍棒を持った大人しい方のゴブリンの名前がギバルか。
かくして俺は、この二人の案内でゴブリンの村に連れていってもらうことにした。
~~~~~~~~~~~~~~~
さて、ゴブリンの村に向かって歩き始めたは良いものの…。
かれこれ15分くらい歩いている筈なのに、まだ着かないらしい。
…。
……。
勘弁してくれ。
元ヒッキー予備軍の俺にこの道なき道を行く行程は辛いよ…。
なんて心の中で毒づきつつ、元気いっぱいで先導しているガジルにギリギリでついていく。
…ここで、思いがけないアクシデントに見舞われた。
『…ねぇ、ちょっと良いかな?』
「えっと…ギバル、だっけ。どうしたんだ?」
『さっきから気になっていたんだけど…キミ、どこから来たの?』
「…どういう意味?」
『最初に話したときの様子といい、今歩いてるときの疲れ方といい…多分、森に入るのも初めてだよね?
なのにこんな森の奥にいて、しかもそんなに体は汚れていない。…どうやって、ここまで来たの?』
「!?」
…
『おーいギバル!それにオマエも!そろそろオレタチの村に着くぜ!早く来いよ!』
「ごめんごめん!今そっち行くよ!」
『あっ、待て!まだ話は…!』
そんなこんなで、ゴブリンの村に到着した。
村と言っても、
そうして集落を観察していると、一つ気になるものが目についた。一人のゴブリンが集落の中から、じっと
…そのゴブリンは暫しこちらを観察した後、不意に大声を張り上げた。