族長の後に続き、ゴブリンの集落の中を進む。こうして見ると、ガジル達と族長は体の大きさが頭ひとつ分違う。さしずめこの二人は人間で言うなら13、4才くらいであってまだ大人じゃないのかな?
そんなどうでも良いことを考えていると、族長が静かに声をかけてきた。
『(居たぞ、あれが“大角”じゃ!)』
その声に促されて見た先に居たのは…
…鹿?だった。
…。
……。
勘弁してくれ。
一気に元の世界に引き戻された気分だぜ…。
実際に戻れていればどんなに良かったか。
…また阿呆なことを考え始めていたことに気付き、それを振り切るために目の前の“大角”をじっくり観察することにした。
大きさとしては、ちょうど俺の目線の位置に頭頂があるくらいか…。これ、ゴブリンから見たらさぞ巨大に見えるんだろうな。
大きさはさておき、俺が目を奪われたのはその異様な『角』だった。鹿の角といえば頭から左右に広がっているイメージだけど、コイツの場合何本にも枝分かれした、どこぞの名前も知らない木のような立派な角が頭から2本
更にその足元を見ると、明らかに怯えた表情をした小さなゴブリンが…ってそうだよ!悠長に観察してる場合じゃねぇじゃん!
「族長、普段はどうやってあれを狩っているのですか?」
とりあえず今必要なのは外見じゃなくて倒し方の情報だ。アレは元々狩りの獲物らしいからね。
『うむ、見ての通り“大角”は体が大きい故に力があり、更にあの角も脅威じゃ。故に普段は落とし穴に嵌めた上で痺れ薬を打ち込むのじゃが…。』
確かに今から落とし穴を作って誘導するのは無理だ。何か代案を…ッ!
マズい!鹿が足元のゴブリンを狙っている!前脚を持ち上げて…勢いをつけて角を突き刺す気か!?
もう四の五の言ってる暇は無い!
俺は即座に、そこに割り込むように飛び出してしまった。
ほぼ無策で飛び出してしまった俺だが、一応考えらしきものは有る。“大角”の角が振り下ろされる、それより速く“大角”とゴブリンの間に割り込んだ俺は…
「要は動きを止めれば良いんだ、ろっ!」
“大角”の角の根元を、正面からガシッと掴んで受け止めることにした。
…
何とか受け止められたが、今度は体が浮き上がるような感覚に陥る。嫌な予感がして手を離すと、ちょうど“大角”が頭を大きく後ろに振り上げているところだった。もしあのまま角を掴んだままだったら…吹っ飛ばされていたか、それとも改めて地面に叩きつけられていたか。いずれにしても背筋が凍る。
あのまま押さえ込めるようなモンじゃないか…。
とりあえず、手を離したおかげで無事に着地できたから良しとしよう。…正直甘く見てた。地球の生物とほぼ同じサイズとは言え、野生生物とマトモに丸腰で取っ組み合うのは無茶だわ。どこぞの百獣の王は凄かったんだなぁ…!
ひとまず子供のゴブリンを抱えて距離を取る。
(どうしよう…このまま逃げるか?でもコレを放置してここで暴れられるのも
※裏話 “大角” の体長について:
実は昨日までなろう様で公開されていた文章では、“大角”の体長についてこんな記述がされていた。
前:肩高は俺の身長と同じくらいか。結構大きい。
(現:大きさとしては、ちょうど俺の目線の位置に頭頂があるくらいか…。)
トナカイと比較して考えると、修正前の“大角”の体重は約300kgということになり
「このスケールの鹿のヘッドバットを受け止めて「流石に重い!」で済ませる元ヒッキー予備軍の主人公とは一体…?」となったため
急遽(公開一年後に)改訂されることになったとか。
ガバを伏線に変える文章力が欲しかった…
良い子のみんなは 投稿前に ちゃんと確認しようね!