このままでは
…ん?
(これならイケルかもしれない!)
子ゴブリンに衝撃がいかないように地面に下ろした上で、再び“大角”に接近する。その上で足元に潜り込み、“大角”の右前足の足先を抱え込むようにして
当然、いきなり足元を
掬い上げた右足を左腕で抱きかかえた格好のまま右手でヤツの左半身を掴み、そして
「うおおおおぉぉぉぉっッ!」
“大角”もろとも
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“大角”を観察していて思ったんだ。コイツは立派な角をしているが、それがなんでか2本とも垂直に生えている。そのせいで
その癖、それ以外の部分は普通の鹿と大差ない。この2点を組み合わせて考えた結果、『“大角”は一度倒れたら起き上がれないのではないか?』という仮説が、俺の中に出来上がっていたんだ。厳密に言うと違うけど、キリンみたいだな。
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急いで起き上がり、体勢を整える。“大角”は…思った通りだ!首や脚をジタバタと動かしているけど、一向に起き上がる気配が無い!
…我ながらかなりこじつけのアイデアだったが、賭けには勝てたってとこかな!
『今じゃ!全員かかれぃっ!』
そんな族長の号令と共に20は居るだろう完全武装のゴブリンが殺到してきたところで、我に帰った俺はゴブリンの子供を抱え直して避難した。
集団戦は連携が命。部外者が居るとロクなことにならないからね。
………。
こうして、無力化された“大角”はゴブリン達の手で速やかにフルボッコにされた。合掌。
事故は起きたが、一応狩りは成功したって言えるんだろうな…多分。
…。
……。
勘弁してくれ。
今背後がどうなってるかはちょっと確認したくないわ。グロいんだろうなぁ…。
『全く、なんとか被害が出ずに済んだから良かったものを…後であ奴にはしっかり言い聞かせておかなければ…。
それよりも! 今はお前のことが先じゃ!』
戻ってきた俺に、族長が言葉を続ける。
『今の一件でお前に力が有ることは分かった。じゃがどうにも腑に落ちない点が幾つか有ってな。それについて、じっくり聞かせてもらうぞ?』
「…分かりました。逃げも隠れもしませんよ。」
後ろ暗いことは無いはずだけど、どうにも緊張するな。
「でもその前に、この子をどこかに預けてきたいんですが?」
そう言って抱えた子ゴブリンを見る。
もうね、すっごい震えてる訳よ。まぁ無理もない。自分の何倍も大きい動物に襲われたと思ったら、今度はこれまた
『それもそうじゃな。ガジル!この子をあの連中に預けてきてくれ!』
『おう!』
これくらいならまだ全年齢版でいけるかな?