『ガジル!この子をあの連中に預けてきてくれ!』
『おう!』
即答したガジルは、子ゴブリンを背負ってまっすぐ“大角”の解体を行っている大人たちの所へ
『あぁそれから!』
…行こうとしたところで、再び族長から声がかけられる。
『
『分かった!』 『分かりました!』
『では儂らは先に向かっているぞ。ギバル、ガジルがあの子を預けたら儂の家まで連れてきてくれ。あ奴一人ではどこで道草を食うか分からんからな…。』
『あはは、そうですね…分かりました。』
『では行くぞ、ニンゲン。話は儂の家で聞かせてもらう。こっちじゃ。』
そう言って先導する族長の後を追って、俺は集落の中心部、族長の家へと向かった…。
………。
そんなこんなで、集落の中心部に有る一際大きい家へと案内された。
外観と同じく歴史の教科書で見た竪穴住居にそっくりだが、中は思ったより綺麗だな…。
『まぁ適当に座れ。さて、二人にはああ言ったが先に始めてしまおう。
儂が訊きたいことは大きく二つじゃ。まず一つ目。お主、一体どこから来た?』
「…ギバルにも同じことを訊かれましたよ。どういうことで?」
『明らかに森を歩き慣れていないのにこのような森の奥に居るというのも十分奇妙じゃが、それ以上に儂は、お主のようなニンゲンを
儂は以前森の外で生きていたことがあるのじゃが、お主のような装いのニンゲンは居なかった。』
…この爺ちゃん、本当にゴブリンなのか?実はエルフだったりしない?
まぁ確かに、異世界の服装は奇抜だと見られることが多いよな。厚手の長袖シャツにジーパンという今の俺の出で立ちも、流石に
…ってことは、替えのジーパンが欲しくなったら自作するしかないか?
…。
……。
勘弁してくれ。
そんな知識も技術も無いぞ…。
まあそんなことはさておき。
「どこから来たか、ですか…こっちが訊きたいくらいです。」
『
「確かに俺は、昨日までは他の人間たちと一緒に生活していました。なのに目が覚めたら、この見たことも聞いたことも無い森の中にただ一人。本当にそうとしか言えないんです。」
『…
何故お主は、今こうして儂と
なのに何故この森のことを何も知らないお主が、こうして儂らの言葉に耳を傾け、それに応えることができている?』
…拙いねぇ。それを説明するにはあの変なメモに言及することになる。だが信じてもらえるかな?
「それについては少し長くなるんですが…。」
『構わん。じゃが、あ奴らにもきっちり話してもらうぞ? そろそろ来たようじゃ。』
族長がそう言うと、ガジルとギバルが入ってきた。
『二人ともご苦労。それではニンゲンよ、話してもらうぞ?何故お主が、儂らと言葉を交わせるのか…。』
ギバルの顔つきが厳しくなる。彼も少し引っかかってたのかな。
対してガジルは…あらら。鳩が豆鉄砲食ったような顔してるよ。会話ができたのが“当たり前”のことだと思ってたみたいだね。
さて…どう話を進めようか。