「これから話す内容は、正直に言って信じられない話だと思います。実際に俺も、自分の身に起こったことだというのn」
『御託はいい、さっさと話さんか。』
下手な小細工ができる程俺は口が
「はい。…この森で目覚めた時、俺の手元に書き置きが有ったんです。その中に『この森が、昨日まで俺が生きていた世界とは全く別の場所である』ってことと、『急に見ず知らずの場所に送り込まれた対価として、全ての生き物と会話ができるようになった』ってことの2つが記されていました。
正直に言って訳が分かりませんが、これがこうして貴方たちと会話ができている理由です。」
『…なるほど、確かに要領を得んな。』
『そんな急に話ができるようになる訳…。』
まぁ思った通り、族長もギバルも怪訝そうな顔をしてる。一方のガジルは…。
…うん、キャパオーバーで思考停止してるっぽい。後で適当に解説しとくか。
『そもそも一つ良いか?お主は先ほど「目が覚めたら、森の中にただ一人」と言っておったじゃろう。なら全ての生き物と話せるようになった、というその
「へ?いやだから書き置きだと…。」
おい、まさか…。
『? だから、お主がそのことを新たに
…。
……。
勘弁してくれ。
もしかして、このゴブリン達には…。
『文字』の概念が、無い…?
…まぁ、文字の概念が存在しないってだけならそこまで不思議なことでもないんだろうな。情報の伝達なんて口頭で済ませればいいだけだし。
でも面倒だなぁ、これ…。何とか誤解を解かないと最悪『一人きりだったというのは嘘だ』とか思われて話が
まあ「話の前提を確認する」っていうのも大事だし、仕方ない。ちょっと脱線するけども、文字の概念について説明しておこうか。
全く、文化が違う相手との会話はこれだから…。
「それがですね、人間たちは
『何?なぜ
いや、それよりもどうやってそんな事を行っているのじゃ?』
「ええと…実際に見てもらった方が早いかな。ちょっと大きめの石か木の枝をお借りしても?」
『…良かろう。ガジル、ニンゲンにお前の斧を貸してやれ。』
『えっ?お、おう!』
話についていけず、半ば混乱しているガジルから石斧を受け取る。サイズはスマホよりちょっと大きいくらいかな?やっぱり人間基準だと少し小さいわ…。
まあそれはさておき。
これでサクッと