戦闘機乗りが指揮官になっちゃいました。   作:根王

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プロフィール

亮・スウィートマン 階級 中尉

 重楼の母とユニオンの父の間に産まれロイヤルや鉄血など世界各地で幼少期過ごし旅の途中に海と空を見て多国籍軍の海軍パイロットに志願しとある原子力空母の艦載機乗りとなるがセイレーンの侵攻で仲間と船を失ってしまった。それ以降、セイレーンに対して強い憎しみを持っている。

 セイレーン達に立ち向かえる今のところKAN−SENと亮だけ。

 船を失ってからは空軍へ転属させられ東西様々な機種の操縦を身に着ける。パイロットとして腕前はかなり高くセイレーンと渡り合えるただ一人のパイロットと称されている。仲間と船を失っても尚、戦うことを諦めない姿勢から『不屈のエース』と呼ばれている。
 
 指揮官としての勉強と仕事という多忙な日々を送ることになる。ベルファストを始め多くのKAN−SENと共にセイレーンと戦うことになった。

 立場はもち主人公で、半分ボケとツッコミ。小動物好きで鉄血の艤装に興味津々。KAN−SENたちはセイレーンと戦う同胞という認識である。

 ちなみに超が付くほど下戸でアホみたいに酒に弱い。


アズールレーンへ

『ブリッツ4が落とされた! デュエル1もだ!』

 

『イージス3ロスト! こちらの戦力約50%までに低下!』

 

『こちらバスター1。我を残し部隊は壊滅した……クソっ!』

 

『ブリッツ2被弾! 被弾した! 隊長、援護を! 援護を!』

 

 ああ、俺はなんて

 

『うふふ、どうかしら無力感に支配され仲間が無残にも倒れていく光景は?』

 

 こんなにも無力なのだろうか

 

 仲間の艦載機が火の玉とガラクタとなり海面に叩き落されている。

 

 墜ちた相棒の機体の尾翼にしがみ何とか浮いてる俺は

 

 守るべきはずだった空母は炎上し傾いて沈んでいる。

 

 それを背景に一人の少女は俺を見下ろしている

 

 たった一人の少女に俺たちの艦隊は完膚無きまでに叩きのめされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!? はあはあ……またか」

 

 海の上……じゃなくてベット上だった。汗でぐしょぐしょになったシャツを脱いで着替えて上下軍服に着替えて食堂へ空軍のデジタル迷彩には相変わらず慣れない。元々、空母の艦載機乗りだったからか海上迷彩が恋しい。この基地には来て3年……ここに来る前は俺はある空母打撃群の一員で原子力空母『エンジェル』のF/A−18E4機で構成された飛行隊『ストライク隊』の隊長を務めていた。セイレーンとの戦争が始まり開戦当初は俺たちが優位に立っていた。自慢じゃないがセイレーンの戦闘機52機、艦船11隻を沈めてきた。そして、エースパイロットとして認められた俺は仲間を率いてセイレーンと戦い続けた。だが、ある日……奴らが現れた。後に上位個体と呼ばれる存在に

 

 たった一体の上位個体に俺たちの艦隊は蹂躙された。仲間も船も全て失った。俺はペイルアウトし海上に浮かんでいたところを奴らに捕まった。オブザーバーと名乗る女の触手に身体の自由を奪われ今にも首を折られそうだった。

 

 ホルスターの拳銃を何とか抜き引き金を引いたがすぐに射線をずらされ当たらず締め付けが強くなる。このまま殺される……意識が飛びそうになった瞬間。爆風がオブザーバーを包み開放された俺は海面へと放り投げられた。

 

 大砲と魚雷。それを身に着け船の様な武装を背負い戦う女性……彼女たちに助けられ俺は生還した。生還した俺は彼女たちがアズールレーンと呼ばれる組織に属するKAN−SENと呼ばれる乙女たち。

 

 俺はその実態をよく知らんがあの憎きセイレーンと対等に戦い数少ない人類の希望である、と聞いている。 

 

 退院した俺は空軍に転属され古今東西の機種の操縦を身に着けさせられた。エンジェルが沈んた海戦以降、多国籍軍は後退を繰り返しシーレーンを失った。セイレーンが現れる度、俺は無断で出撃を繰り返した。仲間の仇を取るため……それを続ける内に『不屈のエース』と二つ名を付けられた。まあ、無断で出撃するもんだから空軍のお偉いさんから叱られるのは当たり前。というか今の軍上層部は腐ってる。自己保身ばかり走る阿呆な奴らの言葉なんて響くもんか。基地では孤立してるが変わり者だけには好かれる。

 

 それから幾年経ってこの基地からおさらばする時が来た。

 

「スウィートマン中尉。君に異動の辞令が本日届いた。場所は……アズールレーンだ」

 

「大佐……あれかい? 無断出撃してるからか?」

 

「お前……わざとやってるだろ? 上層部としては腕は立つけど問題児のお前の処遇に困っていた。そこで」

 

「KAN−SENに対する航空支援要員として中尉が抜擢されたが、俺が思うにはセイレーンと殺し合いをしたいなら死んでこい。彼らとしては問題児を消せる上にセイレーンも殲滅できる」

 

「わかってるよ。大佐、俺たち軍人は上の使いパシリだ。行けというなら行く……それに俺は」

 

 差し出されたコーヒーを一気に飲み干しあぐらをかく。大佐とは2年前にやってきて意気投合。というかこの基地で仲良いの指を折る程しかいねぇや

 

「こんなところからおさらばできるんでね。大佐、アンタもここに居ない方がいい。今の上層部は危険な連中だ。何考えてるか分からねえ」

 

「俺もだ。退役して牧場を継ぎたいねぇ、アズールレーンには書類とか送っておくしやる事は」

 

「戦う覚悟だな、君自身の」

 

「そう言うと思ったよ。あと大佐、アズールレーンについて教えてくれ。俺の権限じゃ全く分からない」

 

「分かった。ツテはある、調べておこう」 

 

 

 

 

 

 

 

「これがここでの最後の離陸か」

 

 最高な状態で整備されたF/A−18Eスーパーホーネットに乗り込む。増槽タンクと対艦ミサイル、短距離空対空ミサイルが搭載され重装備だ。

 

 コックピットハッチを閉じバイザーも下ろす。無線に大佐から連絡が来る。

 

『中尉、さよならだ。お陰で始末書を書く手間が無くなる』

 

「大佐、あなたには迷惑を掛けた。申し訳ない」

 

『いや、いいんだ。君みたいな勇敢なパイロットに会えて寧ろ嬉しかったよ。それとアズールレーンについてだが』

 

「何か分かったのか?」

 

『アズールレーンはハト派の庇護下だ。だから、あまり情報が出回らないな。タカ派の連中に利用されないように丁寧に保護されてる。彼女たちは我々が所有する兵器よりもセイレーンを屠っているんだが、タカ派連中が色々と彼女たちに難癖を付けててね』

 

「あの胸糞野郎共がどうしたんだ?」

 

『例えば、彼女たちが人類に反逆したならば? 馬鹿馬鹿しい話だがね。そこで、ハト派でもタカ派でもどっちつかずの人間である君に目星が立ったのだよ』

 

『どっちつかずの君がアズールレーンでどのように受け入れられるか……ハト派は賭けに出たんだよ。彼らはセイレーンを倒すことが理念である。過去に大罪犯したタカ派の連中に主導権を握らせないためにもアズールレーンが人類の味方であることを知らせなければならんのだ』

 

「バカバカしい。セイレーンの侵略が続いているのに人類同士で争う余裕など無いのに」

 

『人は皆、強欲だよ。今もお互いに顔色を伺って弱みを握ろうとしているだろうな……さあ、中尉行き給え。アズールレーンが待っている。何もできないが……ファイターパイロットとしての誇りを取り戻してくれ』

 

「……了解、ストライク1出撃する」

 

 交流があったスタッフたちに見送られ始動する。速度が乗り離陸、俺はまた海へと戻った。仲間の仇を誇りを取り戻すため、戦える場を有るなら喜んで行かせてもらおう。

 

 飛び続けて1時間近く、途中で空中給油を経てアズールレーンの基地へ向かう。今の所、道中でセイレーンと遭遇していないこの海域はKAN−SENたちが制圧して安定しているレーダーにも映ってない。

 

「そろそろなんだが、無線で繋げてみるか」

 

「アズールレーン、アズールレーン。こちら、多国籍軍所属の亮・スウィートマン中尉である」

 

 呼び掛けに応じない。何か起きてるのか、不安になる。変な胸騒ぎがする。アズールレーンの方角から光が見える。まさかとは思うが

 

「交戦中か? 行かなくては」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃アズールレーンでは連日の出撃と迎撃により多くのKAN−SENが補給、整備を受けていた。その為、限られた戦力で警戒していたがセイレーンはそれを狙っていたかのように襲撃。

 

 それぞれ迎撃態勢に入るが

 

「ここを攻めてくるとは、姉さまはまだ整備中だというのに」

 

「何だ、一航戦。弱気か? 片割れが居なくなった途端これか」

 

「ほお、私を過小評価していたのか。まあいいこの戦いで姉様が居なくてもお前より上だということを教えてやる」

 

 方やユニオンが誇る正規空母、エンタープライズと方や重桜が誇る正規空母、加賀が揉めていた。国家間の対立……というよりライバル関係である。

 

「喧嘩してるのです……」

 

「ど、どうしよう綾波ちゃん」

 

「取り敢えず、対空砲火……眠い」

 

「もう皆さん! 真面目にやってください!」

 

 Z23の言うとおりである。アズールレーンは限られた戦力に対しセイレーンはそれ以上の戦力。ここを落とされる訳には行かないのだ。他のKAN−SENも合流し集中火力でセイレーンの艦載機を撃ち落とすが……とても捌くのは難しい。

 

 空母たちも奮闘してるが流石の物量には骨が折れるようだ。 

 

「皆様! お下がり下さい!」

 

「ベルファストさん!」 

 

 駆逐艦たちに向かって艦載機が仕掛けてくる。駆逐艦を庇うように立つベルファストに艦載機からミサイルが放たれようとしていたその時

 

『ストライク1、FOX2』

 

 ベルファストの眼の前で爆ぜた。無線で聞こえたのは男の声とジェットエンジンが唸る轟音。彼女たちの頭上を飛ぶのは

 

『聞こえるか? こちら亮・スウィートマン中尉。航空支援要員として当基地に配属となったが、随分な盛大な歓迎会だな。俺も混ぜてくれ』

 

 一機の戦闘機、セイレーンの艦載機とは違うシルエット

 

『コールサインはストライク1だ。これよりアズールレーンの艦隊に航空支援を開始する』

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人のKAN−SENがやられそうだった。直ぐにミサイルを撃って撃墜する。まずは一機

 

 機関砲で3機の艦載機を落とす。だが、敵だって反撃する。2機の艦載機に取りつかれしつこい。振り抜けそうにない。

 

『早く撃ち落とさないと!』

 

『なりません。あの戦闘機に直撃してしまう可能性があります』

 

「大丈夫だ、君たちは好きなように戦えればいい」

 

 さて、この機体ならできる芸当がある。それは

 

「よっと!」

 

 機体を垂直に傾け減速。レーダーで2機通り過ぎるのを確認して平行に戻し背後を奪ってミサイル2発を撃ち込み撃墜する。

 

「艦載機を出してるなら何処かにセイレーンの空母があるはずだ」

 

『そこのお前、中々やるな』

 

「あんたは?」

 

『私か? 私は加賀だ。重桜の正規空母だ。お前の腕を見込んで頼みたい。姉様、同じ空母の赤城、飛龍、蒼龍を含め緊急出撃したKAN−SENが合流しようとしている。支援してくれ』

 

「了解、支援する」

 

 IFFを作動させアズールレーンの応援を支援に向かう。HUDで表示された味方の反応へ接近し艦載機を叩き落とす。彼女たちに無駄な弾を撃たせる訳にはいかない

 

「スウィートマン中尉だ。支援する合流を優先せよ」

 

『プリンツ・オイゲンよ、あらエスコートしてくれるのかしら?』

 

「そうだ。戦ってるKAN−SENがいる、合流を」

 

 機関砲とミサイルを駆使して艦載機を落とし囮になって攻撃を引きつけ味方機に援護してもらう。上手いこと連携ができて加賀たちの元に味方艦隊を合流させる。

 

「何処だ、何処に空母がいるんだ」

 

 レーダーを見て確認した時、新たな反応が現れた。その方向へ向かうと艦影が見えた。艦載機が発艦されてる限り目標だ。

 

「敵の空母と巡洋艦を見つけた。これより対艦ミサイルで撃沈する」

 

 対艦ミサイルは射程が非常に長い。2発発射して撃沈、あとは残党だ。バレルロール、スピリットS、インメルマンターンを駆使して躱し反撃。KAN−SENの阻害にならないように飛ぶ。最後の艦載機を落とし戦いが終わる。

 

「終わったな……」

 

『そうだな。助かった、お陰で敵を撃退できたようだ』

 

「それはいいんだが、燃料が心ともない。滑走路に着陸したい」

 

『分かった。輸送機がよく来るから大きい滑走路が南東にあるそこに』

 

「了解、地上で会おう。お嬢さん」

 

 誘導灯に導くままに着陸態勢に入る。勝てた、だが何だろう。まだ胸騒ぎがする。奴らとは長い戦いになりそうだ。

 

 それでもいいこの身果てるまで戦い続けてやる。散っていた仲間たちの分まで  

 

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