ラッセンの戦い ―Battle of Lassen― 作:みん提督
原作はすみからすみまで知ってるわけではないので、間違い等あるかと思いますが、ご容赦下さいまし。
さて、プロローグです。お楽しみください。
デス・スターの破壊と、同盟軍のヤヴィン4撤退作戦から少し時間を遡ったある星系。
その星は、共和国時代に勃発した戦争、"クローン戦争"で使用されていた両軍の軍艦がそこかしこに散らばっており、さながら軍艦の墓場というべき有り様だった。
終戦から20年以上が経つ今でもあまりに膨大すぎる数の艦は全ての解体が終わっておらず、完全に放置されている艦も少なくなかった。
その星ではこうした艦の解体によって生計を立てる解体者の集団、解体者ギルドがあったが、星の環境もあってあまり治安がいいとは言えず、犯罪者が横行するのもしばしばだった。
当然、盗みも多く、窃盗傷害、窃盗致死は日常茶飯事だったが、しかし。
その日の盗みは普段より何千倍も大きなものだった。
「おい!なぜ
小汚ない身なりの解体者の男たちは、すぐ背後で鳴動する
「知るか!兎に角逃げるぞ、ここにいたら巻き込まれる!」
背後で鳴動するそれは、辺りに散らばる部品や切断された船体、多数のギルド作業員、そしてお粗末な居住区さえも破壊し、
その巨獣の名は……
「なぜ、あれが……起きるんだ……戦争の残骸、ヴェネター級スター・デストロイヤー!!」
その巨獣の名は、ヴェネター級スター・デストロイヤー『ブライト』。
クローン戦争を戦い抜いた武勲艦の1人だった。
暗い宇宙に浮かぶ1つの惑星、その眼前にいくつもの航跡が光る。それらは次第に数を増やし、やがて大きな編隊を組むと、その前方に巨大な軍艦が現れた。何もない空間から突如として現れたそれは共和国再建のための同盟軍、通称同盟軍または、反乱軍とも呼ばれる銀河で最大規模を誇る帝国反抗組織の同盟艦隊旗艦、『ホーム・ワン』である。
座乗する司令官アクバー提督は反乱軍、ひいては銀河最良の戦術家と名高く、彼の前には圧倒的物量を誇る帝国軍でさえ苦戦を余儀なくさせ、その頭脳は帝国さえも欲するほどだ。
そんな彼が、この惑星を訪れた理由はある作戦の進捗の確認と、それに関する作戦会議のためだった。
副次的に、反乱軍本拠地の選定も兼ねられていたが、これは重要度が低かった。
さて、『ホーム・ワン』は惑星軌道上に設置された宇宙ステーションに入港し、アクバー提督をステーションへと招き入れた。
「提督、お待ちしておりました。どうぞこちらへ、既に将校たちは集まっております」
宇宙ステーションの司令官がアクバー提督を迎える。
「うむ。首尾はどうかね?」
「問題ありません。現在のところ、全て順調です」
宇宙ステーションの外周部を歩き、併設されている造船所を眺めながら報告を受けるアクバー提督。
造船所には多数のフリゲートやコルベット、さらには主力艦も入渠しており、まさしく圧巻と言うべき眺めであった。
「件の艦は?」
アクバー提督の質問に、司令官が笑みを浮かべながら答える。
「準備はほぼ完了しました。艦長やクルーも、もう集まっております」
「結構」
艦の作業の様子を見るために造船区画へ向かうアクバー提督。
といってもステーションの下部がそうなので、エレベーターで下へ行くだけだが。
エレベーターを出るとより鮮明に多数の艦艇が見えた。
その中に、一際目立つ艦影があった。
白い船体に特徴的な赤いラインとマークを携え、2本の角のようなブリッジを持つ巨大戦艦。
かつて、銀河中の全ての宙域で数えきれないほどの姉妹艦たちと共に、銀河のために戦っていた、知らぬもの無しの戦艦。
「おお……これがヴェネター級スター・デストロイヤーか……相変わらず美しい艦だ」
感嘆の言葉を漏らすと、アクバー提督は眼前に浮かぶその艦に、しばし釘付けとなった。
「ご存じなので?」
司令官が訊ねるので、アクバー提督は当然だと前置きして述べた。
「私も、クローン戦争に共和国側で参加していたからな。母星の上空に浮かぶのをよく見たよ。あの時はこれほど巨大な艦とは思わなかったがね」
珍しく子どものような笑顔を見せるアクバー提督を司令官は意外に思っていた。
笑み自体は時折見せるものの、こんなにはしゃぐような顔をするのは見たことがなかったのだ。
「……提督?」
だが、あんまり見入ってるのでは事が進まない。
少し気は引けたが、とりあえず話を進めることにした。
「あ、あぁ、すまん。つい夢中になってしまった……オホン、作業の進捗はどうかね?」
咳払い1つでまたいつものアクバー提督に戻る。こういったタイプの指揮官たちは、感情の切り替えが相変わらず素早い。
「はい、復元作業は概ね完了。兵装やセンサー類は流石に古すぎたので、我が軍のモノに換装しています。格納庫も規格を変更し、クルーも80%の召集が完了しました」
手元のタブレットを見ながら、司令官はテキパキと説明をすませる。
「うむ。出来ればもう2~3隻ほど欲しかったが、贅沢も言ってられんな。帝国軍の追跡は?」
「今のところはありません。ですが、廃棄されたモノとはいえ、スター・デストロイヤーであるのに変わりありせん。帝国軍の追跡は時間の問題でしょう」
戦力の拡充はもちろん、ある作戦のためにこの艦が必要だったのだが、それよりも大きな問題が1つ、反乱軍にはあった。
「しかし、これで一先ずはモン・カラマリ以外にも扱える主力艦の整備が出来ましたね」
「全くだ。反乱軍主力艦のほぼ全艦が私たちモン・カラマリしか扱えないとなると、まるで人手が足らんからな」
反乱軍が現在保有しているほぼ、唯一のスター・デストロイヤーに対抗可能な主力艦がモン・カラマリにしか扱えないモン・カラマリ・クルーザー(MCシリーズ)だったのだ。
元よりモン・カラマリは水の惑星モン・カラ出身の種族。帝国との戦争で辛くも宇宙へ逃れた者たちが、反乱軍に所属している。アクバー提督もその1人だ。
そのため、全体的に数が少ない。しかし、モン・カラマリ・クルーザーは貴重な戦力で需要は尽きない。
そのため、モン・カラマリ兵士たちの任務の増大や戦死率の拡大を招き、軍内でも問題視されていた。
そこで、ヴェネター級などの旧共和国、帝国軍主力艦などを鹵獲し、運用することでモン・カラマリ兵士の負担を減らそうという試みが浮上したのはある意味当然と言える。
『ブライト』はその初号艦となる。
だが、問題がなかったわけではなかった。
「ですが、なにより艦が古すぎてあちこちにガタが来ています。まともに動かせるようには、なんとか持っていきますが、それでも五分五分ですね」
古すぎるがために、保守管理に人員を割いてしまい、結果的に運用クルーや、コストが増大したのでは意味がない。
だが、そこは仕方のないことだとアクバー提督は思う。
何しろ20年以上前にとっくに現役を引退した艦で、その間全く放置されていたのだ。
無事に起動し、ここまで運べただけでも奇跡といえるだろう。
「自動化やドロイドのカバーで何とかするしか無いな。鹵獲艦は手っ取り早く戦力化できるのが利点だが、その点今回のは難解だな」
アクバー提督が言うと、突然後ろから声をかけられた。
クローン戦争中に何度も聞いたことのある声だった。
「それに関してはご心配なく。元々
「待て、まさか君は……」
アクバー提督が言うと、彼は……少々老けてはいたが、確かにあの独特な憎まれ口のような声に聞こえた。
まさかと思うが、顔を見て確信する。
なるほど、秘策とはこのことか。
アクバー提督はアンティリーズから聞いていた秘策というのを思い出した。
「お久しぶりです、アクバー提督。コマンダー・ブラウン……失礼、ブラウン"提督"、ただいま参りました。」
そこにいたのは間違いなく、モン・カラで共に戦っていたクローン・トルーパーの1人、"元"コマンダー・ブラウンだった。
こうして、反乱軍は来る帝国軍の反抗に備えるべく、着々と準備を進めていた。
しかし、帝国もそれは同じだった。
如何でしたか?
初めてのSWですが、お楽しみ頂けたでしょうか?
今後は5~6話程度の連載を予定しています。
気まぐれに投稿するので気長にお待ちください。
では。