ラッセンの戦い ―Battle of Lassen―   作:みん提督

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第2話です。

おっさんたちがだらだら喋ってるだけですが、どうかご容赦くださいまし……




第2話 作戦会議

アウター・リムの辺境のそのまた辺境の名も無き惑星。

そこには数百年前に知的種族(おそらく人間)が居住、開発したと思われる古いステーションと造船所があった。

帝国はおろか、旧共和国のデータベースにさえその惑星は記されておらず、反乱軍のある兵士が偶然見つけたステーションは、数少ない反乱軍の修理、造船基地として重宝されていた。

そして今、モン・カラマリ製の滑らかなフォルムが特徴的なクルーザーや、銀河にありふれるコルベットやフリゲートに混じり、異質なシルエットを持つ艦が胸踊らせる新たなる航海の日々を待ち、静かに佇んでいた。

 

 

ステーション発令区画にある大会議室。かつては食堂を兼ねていたと思われるこの部屋は、今では隔離された防音設備を持つ高官専用の会議室となっており、軍規や軍事作戦に関する会議を行う重要な部屋となっていた。

さて、その日も反乱軍高官がその部屋に一堂に会し、ある作戦について議論しようとしていた。

「さて、全員集まったかね?」

会議の議長も務める同盟軍艦隊総司令官アクバー提督は、集まった高官らに確認をいれる。

どの高官も数多の作戦で功績を上げた英雄たちだった。

「はい、提督。全員出席しています。欠員ありません」

「よろしい」

錚々たる面々を前に、アクバー提督は気を引き締める。

「ではこれより、惑星ラッセンの帝国施設破壊と、そこにある膨大な武器及び艦船奪取のための軍事作戦について、最終的な確認と調整を行おう。諸君の活発な議論に期待したい」

アクバー提督の開会宣言の後、銀河史に残る不思議な戦いの作戦会議が、いよいよ開始された。

 

 

「ではまず、作戦概要の前に惑星ラッセンについて」

ステーション基地司令官がホログラムを用意し、説明を始める。

指揮卓のホログラムが起動し、中央に銀河図が映し出される。

「惑星ラッセンは、コア・ワールドから外れた場所に位置し、ちょうど砂漠の星ジャクーの近くに存在します」

銀河図が縮小し、小さな星系を映し出す。そこには、ナブーやスカリフにも劣らないといえるほどの美しい姿をした星が見えた。

「美しい星です。かつては観光産業で潤っていた星ですが、帝国時代に入り、宇宙船の建造に必要不可欠な資源……具体的にはハイパードライブの製造に必要な鉱石が発見されると、帝国はこれに目をつけます」

ホログラムは一気にラッセンの地表に飛び、その地表にある帝国の採掘施設を映し出す。

「当初は穏健にコトを済まそうとした帝国が、惑星そのものを超高額で買い取ろうと打診しましたが、これにラッセン王族は猛反発。激しい論争となりました」

今度はラッセンの上空に飛ぶと、2隻のスター・デストロイヤーを含めた帝国艦隊が映し出される。

「それから数ヶ月が経つと、艦隊が派遣され、1週間の睨み合いの後、遂に開戦。当初は優勢を保ったラッセン王国軍ですが、帝国の物量には敵わず、1ヶ月の攻防の後、敗北」

ホログラムは帝国艦隊とラッセン艦隊を映し出し、戦闘概要を表示した。

確かに、最初はコルベットとスター・ファイターが主力の小さな艦隊が確実に帝国艦隊を足止めし、善戦しているように見えた。

しかし、海とも称される帝国艦隊の波状攻撃には敵わず、無惨に砕け散って行くラッセン艦隊が映る。

痛ましい映像だった。

「惑星は占領され、残党は逮捕。一部の兵士や王族は脱出に成功したものの、残された惑星住民は奴隷となり、強制労働に従事させられています」

続いて、ホログラムにラッセン軌道上に浮かぶ帝国施設が映される。このステーションの倍はあろうかという巨大施設で、同じく造船所が併設され、日夜軍艦を生み出し続けている。

「その後、帝国は資源とエネルギーの有効活用のため、惑星軌道上に巨大ステーションを建設。ここではラッセンを含めた周辺惑星の統治を任されるモフ・ナミエが常駐し、圧政を敷いています。また、併設される造船所ではスター・デストロイヤーを含む様々な艦が生産され、帝国の恐怖の象徴として君臨しています」

帝国施設は圧巻の一言に過ぎるほど巨大で、まさに恐怖の象徴。

ひどく無機質で感情を感じられないそれは、まるで星を喰らう怪物のようにも見えた。

「ですが、それも間も無く終わります」

司令官はホログラムを切ると、集まった高官らに声高に告げる。

「我々が、この施設を破壊するからです」

高官らの顔に緊張が走る。

さて、いよいよここからが、会議の本番だ。

 

 

「まずは参加メンバーのおさらいです」

高官らの内でも前席に座る将校たちが1人ずつ立ち上がり、司令官による紹介を受ける。

「まず、主要機動戦力となります、スター・ファイター中隊は7個。いずれも、各戦線で武勲を立ててきた名パイロットたちです。今回は特例召集となります」

各中隊隊長が立ち上がる。何れも素人目にも只者には見えないオーラに包まれ、まるで生まれついての戦士のように堂々としていた。

「各中隊と、その隊長たちを1人ずつご紹介いたします。バレット中隊、ロング中佐。スコーン中隊、ラッセン将軍。キング中隊、スミス少佐。ブラウン中隊、マルダー大佐。バイオレット中隊、ミーア大尉。ガス中隊、シーザー中佐。そして、特殊部隊であるドライ中隊、シール中尉。以上7名」

7人の中隊隊長たちの中には今回の作戦目標で、辛くも祖国を脱出した王族の1人である、ニュー・ラッセン将軍の姿もあった。

祖国を脱出した後、彼は初期反乱運動に加わり、そこで予てよりもあったパイロットとしての採用を完全開花。

敵ファイター10機に囲まれ、その内3機を撃墜して逃げ切るなど、錚々たる戦果を上げていた。

今回はスター・ファイター中隊の総指揮も執ることになっている。

祖国奪還の作戦とあって、彼はより一層覚悟を固めていた。

「次に、艦隊指揮官です。コチラは、クローン戦争中にはコマンダーを務め、後の帝国誕生時に軍から離反し、反乱運動を展開していたブラウン提督です」

ブラウン提督は静かに立ち上がると、老化が早いクローン特有の白髪混じりの髪を携えながらも、一本の鉄骨が通っているようなまっすぐな背筋に、貫禄と威厳を併せ持っていた。

「そして、ブラウン提督の補佐官を務めるコーネル大佐、旗艦ブライト艦長、バーミンガム大佐。そして──」

参加する主な将校たちの紹介が終わると、議事の進行役はブラウン提督にバトンタッチされた。

「ここからは、作戦そのものに関する確認となる。この作戦の成否は、ガス、ドライの両中隊の働き如何にかかっているといっても過言では無い。特にドライ中隊は、今後の反乱軍の活動そのものにも影響すると心得て欲しい」

高官、特に作戦参加メンバーに緊張が走る。元コマンダー故の威圧感は未だ健在であると、改めて実感する。

「……さて、少し脅かしすぎたな。ここからは少し気楽に聞いて欲しい。なに、今すぐに作戦が始まるわけではないからな」

メンバーの緊張が少し解けたのか、控えめな笑い声が響く。

人生経験豊富だからか、彼は人の心を掴むのが上手かった。

「さて、まずは参加兵力のおさらいだ。先述のスター・ファイター中隊7個と、これの母艦となるブラッカの解体所から盗……有り難く平和的に(・・・・・・・・)調達したヴェネター級スター・デストロイヤーが1隻。それと、同じく平和的に(・・・・)調達したミューニフィセント級が2隻。コチラは損傷が激しかったため、ほぼ新造レベルだが火力はピカイチだ。さらに、おなじみのCR-90コルベット3隻と、ネビュロンBフリゲート2隻、スフィルナ級2隻、1隻は輸送型だ。と、レイア姫が用意してくれたペルタ級1隻、初期反乱運動にも使われた艦で、信頼性も抜群だ。そして、GR-75輸送船4隻、ブラハトック級が4隻。合計19隻の艦隊、なかなかだろう?」

ホログラムに表示される艦隊は、確かになかなかなモノで、初期反乱運動の頃と比べると、反乱軍の規模拡大を思わせた。

「さて、これほどの艦隊ながら、主戦力はあくまでスター・ファイター中隊だ。特に重要となるのは先の通り、ガス、ドライ中隊だ。その中でも、ガス中隊は奇襲成功の成否に関わっていると言える」

ガス中隊隊長シーザー中佐が頷く。彼は元帝国軍研究者で、科学部隊に所属していたが、冤罪をかけられて帝国から亡命。

後に反乱軍に加わって、パイロット兼技術士官となった異色の経歴を持つ男だった。

少し態度が鼻につくところもあるが、誠実な男である。

「帝国施設は巨大なリングが3つ重なった基幹構造から三方に造船所や宇宙港が伸びる特徴的な形をしている。だが、今回の目標はあくまで艦船、武器の奪取となる。そのため、無用な破壊はなるべく避け、敵守備艦隊を殲滅するのが最優先目標となる」

ホログラムに映る帝国艦隊。反乱軍艦隊にも負けじ劣らずの規模だ。

「スター・デストロイヤーやフリゲートばかりが目立つが、最優先目標はこの艦だ」

スター・デストロイヤーのような楔形の船体と、艦の上下に4つずつドーム形の構造物を持つ変わったシルエットの艦だった。

「こいつはインターディクター・クルーザー、コイツをどうにかしなきゃ、艦隊は迂闊に攻撃を仕掛けられなくなる」

「提督、その艦は一体どのような艦なのでしょうか?」

1人の将校が質問する。確かに、この艦は数も少なく、前線でこれと対峙したことのある兵士は少なかった。

「それについては私が説明しよう」

と、突然シーザーが話し始める。彼は元帝国軍科学者で、その点に関してはブラウンよりも知識があった。

「ここにいる者なら、ハイパー・スペースに時折発生する重力井戸は知っているだろう。この艦はそれを人為的に発生させ、ハイパードライブ中の艦船を無理やりリアルスペースに引きずり出す装置を搭載した、帝国軍の最新鋭の軍艦だ」

ホログラムに映し出される特異なスター・デストロイヤーをにらむ。

「つまり、コイツが惑星上空に居座っている限り、我が軍は奇襲をかけることも、その後逃げることも出来ない。速力と展開力では向こうの方が圧倒的だ。勝ち目はない」

将校たちに不安な表情が過る。

「では、どうすれば……」

「簡単なことだ」

相手を挑発するようにニヤリと笑うブラウン。

これこそが、今回の作戦の大きな肝だった。

「敵にバレないように近付けばいい。つまり、」

ここで初めて、ラッセンが口を開く。

「スター・ファイターで敵のセンサーを掻い潜って急接近、これしかねぇよ」

「……てことはまたいつも通りってわけですか」

バイオレット中隊隊長、ミーアがぼやく。そう、同盟軍の主力、肝心要はいつもスター・ファイターだ。巨大な軍艦が何十隻あっても結局はスター・ファイター頼みだ。

「そう言うわけで、まぁ、規模が違うだけでやることはいつも通りだ。気楽に行こうじゃないか」

どこか楽観視し、なるようになるとまで言うほどのブラウンだが、こう言った時にはむしろ気が楽になるというものである。

彼の人望も、そうして形作られている。

「さて、作戦を詰めていこう」

 

 

その後三日三晩作戦が練られた。各将兵の経験と信頼ある兵器に任せ、様々な意見が出され、議論された。

 

作戦は完璧。それを遂行する戦力も整いつつあった。

 

だが、帝国軍も指を咥えて見ていたわけではなかった。

一部の将兵たちは来るであろう反乱軍を迎え撃たんと、着々と準備を進めていた……………

 

 




さて、反乱軍サイドは一区切りです。

次回は帝国サイドとなりますので、お楽しみに(いつも通り不定期です)

4話辺りから本格的な戦闘シーンが始まる予定なので、も少しお待ちください。
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