宗谷ましろのブルーマーメイド勤務録   作:鉄玉

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はいふりの漫画読んでたら急に昔書こうとしてやめた奴の続きが思い浮かんできて書いてたら一話分になってたので投稿しました。


㊙︎RATt事件調査報告書

4月6日

横須賀女子海洋学校公開実習開始。この時はすごくワクワクしていてまさかあんなことが起こるなんて思ってもいませんでした。

 

同日20時頃

大型直接教育艦武蔵(以後武蔵)艦長知名もえか以下4名を除 く武蔵乗員26名がRATtウイルス(以後RV)に感染、所属不明の貨物船に砲撃を行う。なお、該当する貨物船はブルーマーメイドの保有する情報からは見つからず未だに所属も行方も分かっていない。

 

同月7日5時頃

直教艦アドミラルシュペーにRVの影響と思われる電子機器の不具合が起こる。

当時RVは西之島新島の潜水艦が発生源だと考えられていたがこの事例から恐らく何者かが意図的に起こした人災だった可能性がこの事件にはあると考えられる。

日本の学生艦ではなくドイツ艦を狙ったことから黒幕の狙いはドイツに対してなんらかのアクションを起こすことだったことが予想される。他にもいくつかの国から日本に対して学生艦を送っていた、あるいは送り込んでいる最中だったのにも関わらずこのタイミングで事を起こしたと言うことはドイツでなければならない理由があったのか、そのタイミングでなければならなかったのかは定かでは無いが何か理由があったに違いない。

 

同日6:00

教員艦猿島(以後猿島)以下10隻西之島沖に到着。武蔵、航洋直接教育艦晴風(以後晴風)は到着せず。なお、晴風より機関トラブルにより遅刻の報告あり。武蔵は連絡がこず理由不明(のちの調査によりこの時武蔵はRVに感染していたことが判明)。

武蔵もまた西之島新島が原因ではなく何者かが人為的にRVを蔓延させた可能性が高い。これに関しては学生の中に共犯者がいた可能性が否定できない。武蔵感染のタイミングがおかしいことから後に武蔵に対して大規模な捜査が行われたがこれらの証拠はRATt事件の混乱に紛れて隠滅を図られていたようで証拠の発見はできなかった。

 

同日9:02

晴風西之島新島沖に到着。同時に猿島より砲撃を受け晴風は送信機、第ニ魚雷発射管の自発装填装置、炊飯器が故障。訓練魚雷により猿島を撃沈。(炊飯器は後に和住媛萌により修理された)

 

同日夕方

晴風反乱の報告。

これにより晴風は如何なる港にも寄港できなくなった。理不尽すぎます。

 

同月8日12時頃

晴風、シュペーより砲撃を受ける。同時にシュペー副長にして心の友、ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュバイク・インゲノール・フリーデブルク(以後フリーデブルク)を保護する。

 

同日16時頃

直接教育艦比叡、五十鈴、磯風、涼月、照月の5隻の位置情報を失う。

 

同月9日夜

晴風伊201からの襲撃を受けるもこれを撃退。

 

同月13日 時刻不明

RATを保菌するネズミのような生物、通称RATtを入れた通販会社Abyssの箱を晴風水雷員の松永理都子、姫路果代子の両名が漂流物から回収。

緊急だったとはいえ勝手に開けるのはブルーマーメイドの卵としてはよくなかったですね。遺失物横領罪に問われてもおかしくないです。

 

同日夕方

晴風艦長岬明乃以下4名を拘束。

そういえばこの時のトイレットペーパー一年分の残りってどうなったんでしょうか?

 

同日日没

大艦長五十六がRATtを捕獲。晴風砲術長立石志摩の手に渡る。その数十分後、立石はRVに感染し晴風に補給を行うため近づいていた補給艦間宮、工作艦明石及び護衛の航洋艦2隻に対し発砲。フリーデブルクにより取り押さえられる。

RATtは晴風衛生長鏑木美波医師により管理される。

 

そこまで読んだところで思わずため息が出て目の前の人物に声をかけた。

 

「納沙さん」

 

「なんですかシロちゃん」

 

「もう学生じゃないんだから私見は書かずに報告書は事実だけを簡潔に書いてくれ。あと職場ではしろちゃんではなく宗谷さんもしくは宗谷一正と呼ぶように」

 

「えーシロちゃん冷たーい」

 

「冷たくない。これ書き直し」

 

「あ、じゃあこっち渡しておきますね」

 

そう言って赤文字で㊙︎と書かれたRATt事件調査報告書と書かれた書類を出してきた。

 

「なんだそれは」

 

「私見の載っていないちゃんとした調査報告書です」

 

「初めからそっちを出せ!」

 

思わずそう怒鳴った。

 

「は〜い。けどどうして今更七年も前の事件を今更掘り起こそうと思ったんでしょうね」

 

「私に聞くな。岬さんか知名二監に聞いてくれ」

 

「えーそれはちょっと…。学生の頃ならともかく今は無理ですよ」

 

二人とも海洋高校卒業後は大学を飛び級して一年で卒業、今は二等保安監督官。飛び級自体は艦長や副長を務めた人間なら割とあることだ。私もニ年飛び級して卒業しているからそこまで驚く事でもないけど、三年飛び級は大和型の艦長を務めた人でも滅多にいない。多分真霜姉さん以来だから十年ぶりくらいだ。その他にも私の学年では私と比叡、時津風、天津風、明石、間宮の艦長が二年飛び級しているし一年飛び級については他の艦の艦長や副長が飛び級していて、晴風からも知床さんや西崎さんあとは柳原さんが飛び級している。本来なら二年飛び級も例年だと一人か二人だったのに私達の学年は六人も飛び級している。これだけでどれほど私達の学年が優秀な年だったかわかるだろう。

 

「そうだな、次かその次あたりには二人のうちどっちかが安全監督室室長になるって言われているくらいだしいくら同級生でも簡単には話せないか」

 

「そうじゃなくて」

 

「他に何か理由があるのか?」

 

「なんというか学生の頃と雰囲気がだいぶ変わったじゃないですか。だから話しかけにくくて」

 

確かに雰囲気は大分変わった。昔は天真爛漫というか、無邪気というか、そんな言葉が似合っていた岬さんが今は冷血とか冷徹という言葉の方が似合う人になっている。

知名二監も昔と違ってどこか人を寄せ付けないような雰囲気があるし二人とも随分と印象が変わった。

 

「知名二監は情報調査隊の隊長だし岬さんは警備救難部の部長だからな。情報調査隊は言わずもがな、警備救難部も何かと大変だし学生の頃みたいにはいかないだろ」

 

私みたいな情報調査隊の新人係長でさえ知りたくもなかったような事実を知ることがあるくらいだ。そのトップともなれば色々思うこともあるだろう。

警備救難部だってそうだ。最近は私達が学生だった頃以上に事故が多くなっているしそれに伴って海難事故での死者も増えている。全員を救うつもりでも救えない命もある。多分それを実感したからあそこまで人が変わったんじゃないだろうか。

 

「そうなんですけど、だからこそ今回のこの再調査もなんか変というか…」

 

「何が変なんだ?」

 

「今回私が調査したことに新しい事実はないんですよ。確かに学生の頃は知りもしなかった事実は有りますけどそれは当時知ることができなかっただけで今は簡単に知ることができるものばっかりなんです。階級の高い二人なら尚更簡単に知ることができたでしょうし新たに知ることができることもほとんどないんですよ。なのにその再調査をあの二人が依頼した理由って一体なんだったのかなって」

 

確かに私もそれは感じていた。

 

「けど当時と違うことが一つあるだろ。当時はドイツ側からシュペーに対する捜査が出来なかったからシュペーの詳しい情報がなかったけど今回はドイツから資料の閲覧許可が出たんだろ。何か新しい事実はなかったのか?」

 

「そうですね…。あっ、私の証言が消されていたんですよ!」

 

「消されていた?」

 

「はい。正確にはミーちゃんから聞いたことなんで情報としての精度に問題があったから消されたのかもしれないですけど」

 

「それは知らなかったな。何が消されていたんだ」

 

「シュペーの感染時期についてです。私はミーちゃんから午前5時ごろに電子機器に異常があったことを聞いていてそれも伝えたんですけどそれについてどこにも載っていなかったんですよ」

 

「…調書はどうだ?」

 

最終的な報告書に載っていなくても調書には流石に載っているだろうともさ思って尋ねたが帰ってきた答えは私の予想とは違っていた。

 

「そっちにも載っていなかったんですよ。不思議ですよね」

 

その答えに私は思わず考え込んでしまった。納沙さんは今年海洋大学を卒業して情報調査隊に配属されたばかりだから気付いていないみたいだけど調書から証言を消すというのは尋常なことではない。私も配属されてニ年経つがそんな事一度も聞いたことがないしそんな資料自体見たこともない。

 

「ドイツ側の調査報告書にそれは載っていたのか?」

 

「いえ、載っていませんでしたね。だから気になってミーちゃんにも電話で聞いてみたんですけど忘れちゃったみたいです。他の人にも聞いてくれたんですけど覚えている人がいなかったみたいなんですよ」

 

「納沙さんの思い違いって事はないか?」

 

「それはないです。個人的につけていた仁義のないナレーション風の航海日誌に書いていましたから間違いないです」

 

それなら間違いない。そうなると気になるのはミーナさんが本当に忘れたのかという事だ。そもそもドイツ側の調査報告書にも載っていないと言うのが解せない。その辺りに今回の再調査の理由があるのだろうか。

 

「取り敢えずその事についても知名二監に伝えておく。ご苦労だった納沙三正」

 

「いえいえ、心の友シロちゃんの頼みとあればたとえ火の中水の中どこにでも行きますよ!」

 

相変わらず大袈裟な表現が多いけどそれも七年の付き合いでそれも慣れた。

 

「あ、それと今晩久しぶりに晴風艦橋メンバーで集まって飲み会をしようって話になったんですけどシロちゃんもきますよね」

 

「行けるけどそういうのはもう少し早く言ってくれ」

 

「は〜い、わかりました。シロちゃん参加っと」

 

明らかに聞き流しながらそう言いながらタブレットになりやら書き込んでいる。

 

「艦橋メンバーって事は岬さんも来るのか?」

 

「りんちゃんが誘ったんですけど忙しいからいけないって断られちゃったみたいです」

 

「そうだろうな。昨日も商店街船が一隻座礁して警備救難部はかなり忙しそうだったからな」

 

「本当に最近事故が多いですよね」

 

「ああ。だからうちの部署からも何人か手伝いに行かせる話も出ているらしいぞ」

 

つい昨日自分の上司の課長が話していたのを思い出した。情報調査隊も人手不足なのに上は何を考えているんだと随分と怒っていた。

 

「へーそうなんですか」

 

「私達みたいな下っ端から送られる可能性が高いんだから他人事じゃないぞ」

 

「えっ!そうなんですか!?」

 

自分は行く事はないと思っていたのか納沙さんは驚きをあらわにした。

 

「仕事に慣れてなくて役に立たない新人とベテランならベテランを残すだろ。実際はどうなるかはわからないが一応心の準備くらいはしておいてくれ」

 

課長がその話をしてきたという事は自分は行く事になるのだろうなと思いながらその時には納沙さんも巻き添えにしようと密かに決心しながら告げた。




完全に見切り発車なので次の更新は未定です。先にもう一つ書いてる方を完結させてから本格的に書き始めます。
ただ予想より評価良ければ続きをすぐに書きます。
多分次の話は多分居酒屋での飲み会です。
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