────まあ、結果から言うと襲撃というのはただの勘違いであり、今はその生存組合『モラトリアム』と一緒に夜ご飯を食べている。ちなみに沙織ちゃんと沙南ちゃんは元々この生存組合のメンバーだったらしい。そして食事をしているとつい眠たくなってしまい、俺はそのまままぶたを下ろし夢の中に入っていく。そして──────。
「え……!?」
目が覚めると俺は、手足が台上に固定されたまま寝かされていた。普通に考えるとこの生存組合の人がやったと考えられるのだが、なにかの薬を盛られたのか俺の頭は何も考えられなかった。
「なんだよこれは!」
俺が狼狽えていると、扉が勢いよく破られた。
「だ、誰だ!?」
咄嗟にその方向に目をやると、来栖崎さんが立っており、俺の手足の鎖を断ち切ってくれた。
「ったく、私たち、まんまと引っかかったみたいね」
そんなことを呟きながら部屋を出てここまでの経緯を話してくれた。どうやらこの生存組合のリーダー『千妃呂』さんが俺の事をこの世界の唯一の男ということで解剖して実験しようとしていたらしい。それを聞いた俺は開いた口が塞がらないのであった。
「てか沙織ちゃんと沙南ちゃんはどこなんだろ?」
「分からないけど……、でもここに来るまでには合わなかったわよ」
「ん〜、じゃあまずは二人を助けないとだな」
そして彼女たちを助けた後に俺はホールへと急いだ。ちなみに来栖崎さんは先に行ってしまったので俺がそれを追いかける形となった。そしてホールから女性の悲鳴と怒声が響いてきたので俺はさらに足を早める。
「何やってるんですか!?」
部屋では、来栖崎さんが千妃呂さんに刀を突きつけていた。
「なに、ってそりゃあお仕置きに決まってるじゃない」
「は?! その人傷だらけじゃないか!」
そんな会話を繰り広げていると今まで黙っていた千妃呂さんが来栖崎さんに罵声を浴びせた。
「このバケモノがっ!!」
するとそれを聞いた来栖崎さんの動きが止まり、そして周囲の空気がピリついたものになるのを肌で感じた。
「大体何よそのあんたの夢って!! ハハッ、笑っちゃうわ、人に戻るって、バケモノが人間に戻れるわけないじゃない! しかも戻ったら────」
「笑うなよ……。……笑うんじゃねぇよ! 人の夢ってのはなあ、あるだけで希望の塊なんだよ!」
「ケツ、パ……?」
「それにあんた、沙織ちゃんと沙南ちゃんに何をしていたんだ!?」
夢氷姉妹は遠目から見てもわかるくらい衰弱していた。この短時間でこんな状態になってしまったということだ。
「なっ、なんであんたにそんなこと言われないといけないのよ!?」
俺の拳に力が入る。
「第一この二人はわたしのメンバーなんだから何したっていいじゃない!」
「……違う。この姉妹は、あなたの所有物なんかじゃない!」
来栖崎さんが言葉を放つ。
「だから、命令する。今すぐここを出ていってくれ」
え? とキョトンとした顔で答える千妃呂。だが来栖崎さんの喝で即座に動き出し、荷物をまとめ始める。
「……ありがとう。────ると」
その言葉を放つ来栖崎さんの顔はとても晴れやかな、ひまわりのような笑顔だった。
「当たり前だよ。人もヒューマギアも、それにゾンビも笑顔にするのが、俺たち仮面ライダーだからさ」
「笑顔の住まいに住ませなきゃな……はいっ、アルトじゃ~ないとっ!!」
「……!! ッ、ほら、わたしたちも早く寝るわよ」
「そうだな……」
また渾身のギャグがスルーされた……。────と、そんなこんなで波乱万丈の一夜は終わりを告げた。