翌日、或人たちは鳳凰郡司学校への道中にあるショッピングモールへと足を運んでいた。
「しっかし、シャワーが浴びれないとなるとキッついな」
「シャワーの場所くらい教えて欲しかったです。はい」
「せめて下着ぐらい着替えてぇよ。……マジで」
そこで少女たちは、年相応というかなんというか……まあ、こんな世界で生きていても彼女たちは年齢は低いので、みんなして愚痴をこぼしていた。
「ま、デパートに戻ってからでもいいんじゃないか? 風呂ぐらい数日抜いたところで変わらないんじゃないか?」
と、まるで女子心のわからない或人はデリカシーの欠けらも無い言葉を彼女たちになげかける。
「はぁ……これだから童貞は」
「な、ななななに言ってるんですか姫片さん?!」
姫片さんの言葉に動揺を隠せない或人はいつものギャグが全くもって思い付けないでいた。
「だってよアド、或人のやつ、まだ来栖崎と○○○○してねぇんだってよ」
などといつもと違ってさっきからずっと喋っていないアドに向かって話しかける姫片。
「は……? ……粉物あんた……またカカされたいの? 或人じゃないとって感じなんだけど」
忘れていたのに思い出して苦しいと言った様子で苦しみ出す或人。流石に全くと言っていいほど女性経験のない或人にはあの全裸カカシは忘れたいようだ。
「それ或人のクソつまらねぇギャグじゃん。んな仲いいのに奥手なこった」
そして来栖崎が襲いかかる前にゾンビの襲撃にあったことでこの喧騒はお開きとなった。
「変身!」
『ライジングホッパー!』
或人はゼロワンに変身し、そして少女たちは各々の武器を携えてゾンビへと向かっていく。そしてゼロワンの必殺技『ライジングインパクト』で終わりを迎え、或人は変身を解除する。
「ってことで覚えておけ童貞」
この場には……というかこの世界にたった一人の男であるため、或人は無視を出来ないのであった。
「なんで男が俺しかいないんだよ……」
「年中無休で女がいい匂いするわけでもねぇし、毛だって剃らないとボーボーになんだよ。あたしらが普段、どんなに気を使ってキープしてるか知らねーだろ」
話を聞いている間は、そのことを絶対に想像しないようにしていた或人。
「なにいってんだよ。別に男俺一人なんだしいいだろ、俺そういうの気にしないよ?」
またもやデリカシーのない発言をしてしまった或人。
「そーいう問題じゃ────ねぇんだよっ!」
「がふっ?!」
或人は姫片にみぞおちを蹴られたことによって悶絶する。
「てか話変わるけどさー。甘噛さんって意外に細かいこと言わないんだな」
「ふふっ、或人様のそういう水を割ったような性格は好きですよ……」
「あ、ごめんっ!」
またやってしまった……。と或人が先に謝っておく。
「いえいえ、わたくしは永久脱毛しておりますのでムダ毛処理はいりませんし。それに────」
一呼吸おいて甘噛は衝撃の事実を平然と口に出す。
「今朝、シャワー浴びてきましたし」
「「ふっざけんなよおまえッ!?」」
一同が驚愕の声を上げる。
「お、おいてめぇ朝風呂浴びたってほんとかよ!?」
姫片は甘噛に問い詰める。
「はい。シャワー室が奥にありまして、ペットボトルに水も汲まれてましたので」
(それは言うべきだと思うよ?!)
と、或人が心の中でツッコミを入れていると、またもや喧嘩が始まってしまった。
「ちょっとヒサギンもリッチャンも! 落ち着いて! ほら、着いたよ!!」
アドはその喧嘩を仲裁し、モールへの到着を知らせる。ポートラルのメンバーたちは知らぬ間に目的の場所であるショッピングモールへとたどり着いた。
「あれは確か『メグリエ』じゃないか。渚輪区随一を謳っているモールだった気がするが」
姫片は流石三静寂の姉貴、博識だなと関心する。
「と、言うことでみなさん!! 一旦ここで休憩しましょう!」
或人がそう宣言する。そしてそれを聞いたアドはすぐさまにショッピングモールへと駆け出す。
「あ、そうだ、来栖崎さん。ちょっと用が」
「ん、なに?」
来栖崎は気だるげに返事する。
「来栖崎さん。モールに着いたらさ、ドラッグストアに寄らないか?」
「さ し ず す る な」
来栖崎は威圧的に返す。
「違うって、風呂入ってなかったからさ、もしかしたら制汗剤とか売ってるかもしれないから」
「じゃあ、行こうか」
或人は夢氷姉妹を連れて来栖崎と共にモールの中に入る。……それが、神峰の罠とも知らずに……。