虚無之王   作:おにぐも

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原初の赤

俺は領土に着いてすぐに能力の確認を始めた。

ある程度わかってはいるが自分の力であるのだから誰よりも詳しく知っていなければならない。

 

俺の種族は破面(アランカル)ということになっている。

種族と言っても俺以外にはいないがな。確か竜魔人(ドラゴノイド)もミリム一人だったか?

 

固有スキルは『無限再生』『万能感知』『魔王覇気』

魔力感知は万能感知の一部のようだ。

ユニークスキルは『虚閃(セロ)』『虚弾(バラ)』『反膜(ネガシオン)』『探査回路(ペスキス)』『鋼皮(イエロ)』『超速再生』

究極能力(アルティメットスキル)は『虚無之王(タルタロス)

【思考加速】【解析鑑定】【森羅万象】【未来予知】【響転(ソニード)】【黒翼大魔(ムルシエラゴ)】【黒虚閃(セロ・オスキュラス)】【王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)】【刀剣開放第二階層(レスレクシオン・セグンダ・エターパ)】【虚数空間】【多次元結界】【共眼界(ソリタ・ヴィスタ)

前の世界とほとんど同じだ。思考加速や虚数空間、未来予知は便利だな。

戦い慣れている能力が多いから訛ることもない。だがとりあえずギィが居ると言っていた氷土の大陸に行くか。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

一面の銀世界。辺りは全て氷で覆われている。何も存在しない、それほどに静かな空間。

そこに佇む城。ひどく幻想的なセカイ。

虚圏を連想させるような景色。感覚。とても懐かしい。

 

 

「よぉ、さっき振りだな」

 

銀世界に浮かぶ二つの存在。

一人は赤。暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)の二つ名を持つ原初の悪魔。そして真なる魔王の一人。深紅の髪を揺らし、其の名に相応しい傲慢な笑みを浮かべる。

一人は黒、いや、白とも言える。この世に唯一の破面。真なる魔王の一人だが、まだ二つ名はない。黒髪の左部に白い仮面を身につけ、目の下には翡翠の仮面紋(エスティグマ)が現れ、その首下に空く漆黒の穴は、虚無。表情は氷の様に冷たく、動かない。

 

正反対。それは外面だけではない。

一人は好奇心旺盛。一人は一つの物事に忠実。

 

 

だが、本質は同じ。

この世界の強者であり、自らの目的を果たすために動く者。

一人は、自分の飽きを補うために。一人は、自分の感じたモノを信じるために。

 

「能力の確認は終えた」

 

黒髪は言う。

 

「そうか。つまり戦いに来たってことでいいんだな?」

 

赤髪は其の口元を楽しげに歪める。

 

「ああ」

 

黒髪も無表情に応える。

 

「ここだったらある程度俺たちが本気を出して戦っても影響はないだろう。まあ一応結界は張るけどな」

 

「そうか」

 

そう、彼らが本気で戦えば、それはこの世界に多少なりとも影響を及ぼすだろう。それ程の最強格。

この世界の頂点である創造主に最も近しい才を持つものなのだ。

 

「鎖せ『黒翼大魔(ムルシエラゴ)』」

 

黒髪が言う。

其れと共に辺りを渦巻く膨大な魔素。手には光の槍(フルゴール)

赤髪は油断なく笑う。悪魔たるもの怯えることはない。

 

「へぇ、其れがお前の能力か」

 

赤髪は悟る。これは究極能力ではあるが種族固有の能力でもある。これをコピーしても精々力が増すのみだと。

 

黒髪は悟る。帰刃を使用しても勝利には及ばない。それ程相手は強者であり、己の認めるべき者であるということを。

 

唯両者とも考えることは同じ。互いに強者であり慢心など不要。只々思うがままに戦う。

 

黒虚閃(セロ・オスキュラス)

 

これは開戦の合図であり、お互いに気を向けていない。にもかかわらず、其の黒い光線がたどった場所には大地がむき出しになる。

 

 

 

ただ静かな空間に、突如として鳴り響く轟音。

其れは単に剣と槍が交わった音。強者同士の戦いにして成せる音である。

 

 

熱龍火覇(ナパームバースト)

 

虚弾(バラ)

 

 

爆煙。しかし両者は止まることを知らない。

 

「ルス・デ・ラ・ルナ」

 

「フッ、中々やるじゃねえか」

 

「受け止めている癖によく言う」

 

確かに黒髪の技は強かった。普通ならば一撃だろう。()()()()()の話だが。

現在の素の実力は赤髪の方が上であり、彼の持つ剣は神話級(ゴッズ)である。

 

「お前の強さはまだまだこんなものじゃないだろ?」

 

「言ってくれるな。だがいくら同じ魔王と言えどそう簡単に手の内を見せる訳にもいかない」

 

そう、普通手の内とは相手に見せないものである。其の言い分は赤髪も納得出来るものであった。

 

「じゃあここで止めておくか」

 

「ああ、其の方がいいな」

 

お互いに理解していた。自分と同等に戦える者などそうそう居ないと。これ以上戦えば世界への影響など頭に入らなくなるかもしれない。

故に、互いの意見は一致する。

 

「久し振りに楽しかったぜ」

 

「そうか」

 

赤髪は笑う。良い退屈しのぎになったと。

黒髪は思う。これが楽しいという気持ちなのだと。

 

お互いに目的は満たした。

こうして魔王同士の壮絶なる戦いは終わりへと向かった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

ギィと戦った。予想通りだったとは言え、フルゴールを受け止めたのには少し驚いた。

ギィには二段階目はまだ見せないほうがいいだろう。存在自体は気づかれていそうだがな。

 

「お前に紹介する。ミザリーとレイン、俺が前に召喚した悪魔だ」

 

ここは白氷宮というらしい。

緑の髪と青の髪か。少しカラフルだな。

 

「あら、ギィ。新しい客が来ているのなら私も紹介してくれたっていいじゃない」

 

突如として現れたのは真っ白な女。まあ何か来るのはわかっていたが。

此奴は強いな。ミリムに少し近い雰囲気がする。

 

「私は”白氷竜”ヴェルザード。あなたが新しい魔王ね」

 

「ウルキオラだ」

 

「これで大体の紹介は終わりだ。他にも悪魔は居るが紹介する程でもないだろ。そういえば、お前は従者は作らねえのか」

 

「今は必要ない。必要だと思った時に作ればいい」

 

今は従者が居てもいいことはない。逆に守られたりするのは面倒だ。

 

「フッ、お前らしいな。」

 

レインとやらが紅茶を持ってくる。流石というか、美味いな。

 

「お前はこれからどうするんだ?俺は適当に魔王を集めるつもりだが」

 

「俺は目的を果たすだけだが、時間がかかるモノだから忙しくはない。むしろ暇だな。人間に擬態でもして旅でもしようと思う」

 

「お前の目的って何なんだ?」

 

「ああ、「心」を知ることだ」

 

「へえ、其れだったら旅をするのはいい選択かもな。お前が知りたいモノは一人では知ることが出来ないだろうからな」

 

言われてみればそうだ。俺はあの女や死神に会うまで、全く理解出来なかった。

多種族との交流か。其れを考えれば従者の一人ぐらい居てもいいかもしれん。

 

「ギィ、先程お前は魔王を集めると言っていたが、もう少し知性的なのを頼む。あれらが増えては煩い」

 

「其れは保証できねえな。一応気には止めておくが。まあ其の気持ちがわからないわけでもない」

 

憂鬱というのは嫌な気持ちだ。

 

「ああ、旅をするんだったらこの間渡した茶会の会場への転移道具なくすなよ」

 

「わかっている。ではまたな」

 

 

旅と言ってもまず俺は人型になれるのか。其の練習からだな。

暇ではあるが、俺が破面になる前の虚無感に比べたらマシなものだ。其の面ではミリムやラミリスの様な煩い奴らにも助けられているのかもな。

 

 

 

 

 

 

「………心か、あいつの究極能力は恐らく『虚無之王(タルタロス)』。虚無が心を知るとは、難儀なものだな」

 

 

 




書いていると思うんですけど、やはり鰤の技名とかクソかっこいいです。
思わず帰刃させてしまいました。
ヴェルザードって白いし氷だからシロちゃんを思い出します。

早く原作の所書きたいんですが、旅の話を幾つか書こうと思います。
旅途中はウルキオラがアホに見えるかもしれない。

今の所従者は適当に作るつもりですが、作って欲しくなかったり、こんな従者はどう?とかの案があったら感想にぜひ書いてほしいです。書いてくれたら喜ぶ。


リムルの虚空之神とこの話の虚無之王って名前がすごく似てました。ウルキオラもいつか虚無崩壊を覚えるでしょう。
タルタロスは奈落の神です。余談ですが、配偶者はガイアらしいです。ミリムのペットだった……
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