寄生獣 ~第2部~   作:aimo0314

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第2話 事件

 梅雨の中休みで夏の太陽が顔をのぞかせていた蒸し暑い日だった。午前中の営業回りが一段落すると歩いていた通りにあった喫茶店に新一は入った。新一はウェイトレスに頼むと、一番奥まった場所にある死角の多い席をあてがってもらった。

 

「いやー、ここは涼しくて天国みたいだー」

 

 新一はそういうと席に腰を掛けた。店内の客はまばらである。新一は手にぶら下げていた鞄とスーツの上着を隣の席に無造作に放った。

 

「ご注文は何にいたしましょうか?」

 

 ウェイトレスが注文を取りに来たため新一はランチセットを頼んだ。ウェイトレスがいなくなると新一はお冷の水を一気に飲みほした。

 

「生き返るなあ」

 

「シンイチ、つめたい。左手を使って飲んでくれ」

 

「あー、はいはい。まったく、お前は暑くても全然平気なんだな」

 

「基本的にはな」

 

「ふーっ」

 

新一はそう大きくため息をつくと椅子の背もたれにもたれかかった。

 

「随分疲れているようだな」

 

「ああ、毎日大変だよ」

 

「頭を下げるのがか?」

 

「……色々とあるんだよ。まー、営業だから仕方ないけどさ」

 

「何で悪いこともしていないのに頭を下げるんだ?」

 

「仕事をもらうためだよ」

 

「不思議だな。わたしには自分の商品に自信がないから予め謝っているようにしか見えなかったぞ」

 

「頭を下げるのも仕事のうちってわけ」

 

「仕事を辞めてしまえばどうだ?」

 

「そんな訳にもいかねえだろ。家族を養っていかなけりゃならないし」

 

「そうか。仕事というのはよく分からないな。人間がその余分な欲望をすべて捨て去れば労働の大部分は消滅すると思うんだがな」

 

 ウェイトレスが近づいてくる気配がしたため、ミギーは姿を消した。ウェイトレスが料理を運んでくると、新一はそそくさとそれを平らげた。食事が終わると新一は直ぐに席を立ち、代金を支払って店を出ると近くにあった公園に入った。

 

「宇田さん、今度は出るかなあ?」

 

 新一はそう言うとベンチに腰掛け、携帯電話を手に取った。昨日の夕方から夜にかけて宇田の自宅に何度か電話をかけていたが、宇田は不在のようだった。新一は宇田の番号を選択すると、コールボタンを押した。しばらくコール音が続いたが、5コール目に繋がった。

 

「はい、もしもし」

 

「あ、もしもし、宇田さんですか?」

 

「……はい、そうです。」

 

 眠そうなぼんやりした声が返ってきた。

 

「宇田さん、新一です。ご無沙汰しています」

 

「あ、ああ、新一君か。久しぶりだなあ。元気にしていたかい?」

 

 宇田は打って変わって元気な声でそう答えた。

 

「あ、はい。宇田さん、もしかして寝ていましたか? すみません。突然電話しちゃって」

 

「いや、いいんだよ。気にしないで。最近シフトが変わって夜勤になっちゃってさ。それより電話をくれて嬉しいよ。どうかしたのかい?」

 

「はい、実は、話が唐突で驚かないんで欲しいんですが……宇田さんと俺たち、命を狙われているみたいなんです」

 

「えっ?」

 

 宇田はそう言うと一瞬沈黙した。まだ状況が把握できていないようだった。

 

「実は、ミギーが昨日戻ってきまして……」

 

「え、そうなのかい?」

 

「はい。それで、ミギーから聞いた話なんですが、『仲間』の数が急激に減っているっていう話しなんです。何者かによって抹殺されているって」

 

「それは、僕たちも狙われているってことかい?」

 

「はい。恐らく……」

 

宇田はまだ寝ぼけている頭を必死に回転させているようだった。

 

「新一君、敵っていうのは一体誰なんだい?」

 

「それが、ミギーもまだそこまでは分からないらしくて……」

 

「そうなんだ……」

 

「とにかく、身の回りで何か変なことが起こったり、誰かに狙われているような感じがしたら直ぐに逃げてください」

 

「うん、分かったよ。新一君。ジョーにも伝えておくし用心するよ。でも、何だか物騒で怖いなあ、ははっ」

 

「宇田さん、こっちでも何か分かったらまた連絡します。あと、何か助けが必要な状況になった時は直ぐに連絡をください」

 

「うん。新一君の方も何かあったらすぐ助けに行くから連絡頂戴ね」

 

 新一はその後、近況などについて宇田と少し情報交換すると電話を切った。

 

「宇田さん、大丈夫かなあ」

 

「非常に危険な状態であることは確かだな。でも、それは俺達も同じなんだぜ、シンイチ」

 

「ああ、分かってるよ」

 

 ミギーは新一の暗い顔を覗き込んだ。

 

「シンイチ、ついでに言っておくと、今日の朝方にまた一人仲間が死んだ」

 

「えっ……そうか……。くそっ、何かまるで死刑の執行に怯えている囚人みたいな気分だな」

 

 新一はしばらくベンチに座り考え事をしているようだった。が、やがて立ち上がると午後に回ることになっている客先に向かった。

 

 

********************

 

 

「えっ、佐倉さんが失踪した?」

 

 

新一は思わず大声を上げて聞き返した。新一は商品の大口の納入先であるある商社に来ていた。佐倉と呼ばれる人間の代理として新一に面会していた若い男は新一の様子に少しひるんだ様子だった。

 

「え、ええ。そうなんです。もうかれこれ二週間くらいになるんですが、連絡を取ろうにも取れない状態でして……」

 

「何か、失踪前に佐倉さんに変わった点は?」

 

 新一は仕事の話はそっちのけにして続けざまに男に問いかけた。

 

「いえ、それが特に変わった様子はなかったのですが……今までにも無断欠勤なんてしたことがない人だったんで……本当に突然でして……」

 

「そうですか」

 

「昨日、警察にも一応届出を出したんです。自宅にもいませんでしたし、親戚関係もすべて当たってみたのですが情報がまったくなかったので……事件に巻き込まれている可能性もありますし……」

 

 男はあまり新一の顔を見たくないのか伏し目がちに話をしている。新一は先刻交換したばかりの名刺にちらりと目をやると男に向かって言った。

 

「あのう、篠宮さん。もし可能でしたら佐倉さんのご自宅の住所を教えて頂くことはできませんか?」

 

「え、住所ですか?」

 

 篠宮は少し驚いたのか顔を上げ、新一に視線を向けるとそう答えた。

 

「あ、はい。えーっと、佐倉さんには色々と懇意にしてもらっていたので、もし事件に巻き込まれているとしたら、何か役に立ちたいんです」

 

 新一は強い目で篠宮を見つめた。篠宮は気圧された様な少し怯えた表情を浮かべていた。

 

「あ、はい……。そういうことでしたらたぶん大丈夫だと思いますが、念のため上司に確認してきますね」

 

 そう言うと篠宮は席を立った。

 しばらく待っていると篠宮は佐倉の住所と電話番号が書かれた紙を手に戻ってきた。「佐倉は独り暮らしをしていたので、大家の人に話しを聞けば色々と教えてもらえると思います」篠宮は紙を渡す時に新一にそう告げた。新一は礼を言うと紙を受け取った。

 仕事の話しも一通り終わり、客先のビルを出ると新一はミギーに問いかけた。

 

「ミギーどう思う?」

 

 ミギーは手のひらに口と目を出して答えた。

 

「何がだ?」

 

「佐倉さん、お前の仲間でもう殺されちゃったのかっていうこと」

 

「それは分からないな」

 

「……ミギー、佐倉さんの家に行ってみようと思うけどいいよな?」

 

 新一の問いかけに対してミギーは何かを考えている様だったが間もなく答えた。

 

「ああ、いいだろう」

 

 

:::::::::::::::::::

 

 

 その日、新一は仕事が終わるとその足でそのまま直ぐに佐倉の家に向かった。街の中心部からは電車で小1時間ほど離れており、駅に着いた時には既に日がどっぷりと暮れていた。過疎化が進んでいるのか空き家が多いようで、この時間になっても明りのついていない家が目立った。

 

「ひやー。結構田舎だなー」

 

 新一は買ってきた小さな地図を見て道を確かめるとそう言った。

 人影もなかったため、ミギーも瞳を出して周囲の様子を観察していた。街灯の少ない薄暗い道を15分ほど歩くと目的地に着いた。篠宮から受け取った紙に書かれていた住所には2階建ての小さなアパートが建っていた。

 

「ここか……」

 

 新一はアパートを見上げると小さくつぶやいた。築30年は経っていそうな古びたアパートだった。紙に書かれている部屋の番号を確認すると、新一は2階へと登る階段に足をかけた。と、その時だった。1階の一室のドアが開いたかと思うと、一人の男が出てきた。

 

「ん?」

 

 男は新一の姿を見つけると訝しげそうな視線を送った。歳は40前後に見え、髪はやや長めで頬がこけており無精ひげが生えていた。

 

「あんた誰だい?」

 

「あ、すいません。大家の片ですか?」

 

「先ずは俺の質問に答えろ。お前は誰だ?」

 

「あ、泉新一と申します」

 

 男は相変わらず怪訝そうな目つきで新一を見つめている。

 

「おい、2階に行こうとしているみたいだが、2階には住民は1人しかいないぜ」

 

「あ、そうだったんですか? 実は佐倉さんの家に伺おうと思っていたのですが……」

 

「……佐倉か……」

 

 新一の言葉を聞くと男は不機嫌そうな顔をしてそうつぶやいた。

 

「あんた、佐倉の親類かい?」

 

「いえ、……職場の知り合いです」

 

「そうかい。だったら悪いことは言わねえ。変に首は突っ込まないでそのまま引き返した方がいいぜ」

 

「あのう、どういうことでしょうか?」

 

 新一が問いかけると男はひどく面倒くさそうな顔をした。同じことを既に以前に何度も別の人間に説明しており、飽き飽きしているような表情だった。

 

「この辺はとにかく物騒なんだ。俺はもう15年ここにいるが、10年程前にも失踪事件が何件かあったんだ。それに、佐倉の素性は誰もよく知らねえ。お前さんだって変なことに巻き込まれたくねえだろう?」

 

「……もしよろしければもう少し詳しく教えて頂けませんか?」

 

 男は新一のその言葉を聞くと小さく舌打ちをして言った。

 

「お前、一体佐倉の何なんだよ。どうなっても知らねえぜ」

 

 そう言うと男は踵を返して自分の部屋に入っていき、直ぐにまた出てきた。

 

「付いてきな」

 

 男はそう言うと新一の前に出て階段を上り始めた。「あ、はい。ありがとうございます」新一はそう礼を言うと男の後について行った。

 男は佐倉の表札が掲げれられている部屋の前に着くと鍵を開けた。

 

「大家の野郎がホントはいるんだけど、事件が起きてから俺にこの部屋の鍵を預けて逃げやがってね」

 

「ショックを受けられたんですか?」

 

「ははっ、ちげーよ。警察やらお前みたいな奴がうようよ訪ねてくるだろ? あいつ面倒くさがって全部俺に押し付けていきやがっただけだよ。……ほらよ、入りな」

 

 新一は男の後について部屋に入った。男は電気をつけた。

 

「どうだ、きれいなもんだろ?」

 

 部屋の間取りは1DKで非常に狭かった。男の言うように部屋の中は非常にこざっぱりしていた。物がほとんどなく一言で言えば生活感の感じられない部屋だった。

 新一は何か手がかりになるようなものがないかと必死に視線を巡らしながら答えた。

 

「はい、確かにきれいですね」

 

 男は部屋の窓を開けた。

 

「今日の朝、警察の連中が来てよ、この部屋を見せたんだよ。そうしたら、あいつら、『これは自殺かも知れませんね』って言いやがった」

 

 男は挑戦的な瞳で新一を見ていた。

 

「部屋が異常に片付いていたからだっていうことだ。だけど、俺は絶対に自殺ではないと思った。目撃したからだ。恐らく佐倉を殺った奴を」

 

「見たんですか! どんな奴だったんですか」

 

 新一は思わず勢い込んで男に質問を浴びせた。男は新一の変化に少し驚いた様だった。

 

「……お前、何か関係あるのかよ?」

 

「……すみません。佐倉さんは特別な人だったのでつい……」

 

 男は窓枠に腰を下ろして顔を外に向けた。

 

「まあ、いいや。俺には関係のない事だしな。見たと言ってもはっきり顔を見たわけじゃない。ちょうど外で物音がしたから外に出たんだ。そうしたら、女がそこの角を曲がっていく姿を見たんだ」

 

 男は右手の人差し指で外を指差したまま新一の方に向き直った。

 

「ものすごい勢いだった。姿は見えなかったが、恐らく女が追いかけていたのは佐倉だ」

 

「女、ですか?」

 

「そうだ。女だった。それもあれだけ動けたんだからかなり若いはずだ。髪は黒くて割と長めで黒っぽいシャツを着ていたな」

 

「その女は、どこへ?」

 

「さあな。俺は追いかけなかったしな。ただ、警察にその話をしたら、奴らはあそこの辺りを調べていたみたいだな」

 

 男は再び窓の外を見ると指を指して言った。新一も男の脇から外を見た。男の指し示す方向には工場の様な建物があった。

 

「今は使われていないんだ。あの工場。もしかしたら佐倉はあそこで殺られたのかも知れないな」

 

「そうなんですか」

 

 新一はしばらく工場の様子を眺めていたが、街灯におぼろげな姿が映し出されているだけで細部はよく見えなかった。まるですべてを飲み込むブラックホールの中心がそこにあるかのように、どことなく畏怖を感じさせる雰囲気が漂っていた。

その後、新一は男の許可をもらって部屋の中を一通り物色したが、予想はしていたものの特段変わったものは見つからなかった。

 別れ際に新一が男に礼を言うと男は新一に忠告した。

 

「俺はこう見えて色々な人間に会ってきたからわかるが、佐倉は普通に見えて実はヤバいタイプの人間だ。下手に首突っ込むと巻沿い食うぜ」

 

 新一は男の忠告に改めて謝意を伝えると男と別れた。そして、ゆっくりと歩き出すと100mほど離れている工場に向かった。工場の施設はかなり老朽化が激しいようだった。近づくにつれて徐々に浮かび上がってくる陰影の濃い建物の姿はさながら要塞のようだった。

 工場の入口に達すると新一は立ち止まった。入口はバリケードの様なもので封鎖されていた。新一は周囲を見回した。人影はなく、警察の人間も特にいないようだった。

 

「ミギー、壁を飛び越えるぜ」

 

「ああ、気をつけろよ、シンイチ」

 

「大丈夫だ」

 

 新一はそう言うと数歩後ずさりし助走をすると、2m程の壁を一気に飛び越えた。

 土の柔らかい地面に着地すると新一は顔を上げて周囲の様子を見回した。工場の中の敷地は雑草が生い茂り、非常に見通しが悪くなっていた。道路沿いの街灯のある場所だけがぼんやりとした光で浮かび上がっているだけで、敷地の奥の方は漆黒の闇に包まれていた。

 

「ミギー、どっちへ行く?」

 

 ミギーは数本の瞳を伸ばし周囲を観察すると左方向を指して言った。

 

「あっちへ行ってくれ」

 

 新一はミギーの言われた方向に歩き始めた。

 

「ミギー、お前って夜目は利くわけ?」

 

「シンイチ、見えないのか?」

 

「何もみえましぇーん」

 

「人間の目というのは不便なんだな。虫や猫でも暗闇は見通せるんだぜ。暗闇が見通せなっていうのは、生物的に見て致命的な欠陥なんじゃないのか?」

 

「さあー、俺に言われてもねえ」

 

 ミギーは不意に地面に視線を向けた。

 

「シンイチ、気をつけろ。足元に大きな溝がある」

 

「へいへい、分かりやした」

 

 新一は敷地の内部をミギーのガイドに従って進んでいった。200m程歩いただろうか。ミギーは新一に指令を出した。

 

「シンイチ、次の角を右」

 

 新一はミギーに言われる通り右に曲がった。すると、ミギーから続けざまに指令がきた。

 

「シンイチ、あそこの物陰」

 

 新一は物陰の近くに近づいて行った。すると、警察が現場検証をしたと思われる跡が残されていた。

 

「このマークがついている部分は血痕?」

 

「ああ、たぶんな……」

 

 そう答えるとミギーはじっとその血痕を凝視した。

 

「ミギー、どうかした?」

 

「シンイチ、遠くからでよく分からなかったが、ここまで近くに来たことによってはっきりと痕跡を感じることができた」

 

「……何の?」

 

 新一はミギーに問いかけた。ミギーは少し間を置くと答えた。

 

「……仲間がここで死んだ」

 

「……佐倉さんか?」

 

「分からないが、恐らく」

 

「死体は警察が回収したんだろうか?」

 

「いや、佐倉を殺した女が回収したはずだ。ここには血痕のマークしかないだろう?」

 

「うん? まあ確かに」

 

新一は血痕の飛び散り方を観察していた。ミギーは何かを考えている様だった。

 

「……何となく分かったような気がする」

 

 そう、ミギーがおもむろに言った。

 

「へっ? 何が?」

 

「敵の狙いが」

 

「狙い?」

 

「ああ、敵の狙いは恐らくわたしの仲間を抹殺することにある」

 

「……いや、それは前から分かっていたことなんじゃないの……?」

 

「シンイチ、わたしは今まで敵がわたし達を抹殺するのは何らかの目的を達成するための『手段』として行っているのではないかと考えていたんだ。しかし、この現場を見て、何となくそうではない気がしてきた。つまり、敵の目的はわたし達を抹殺すること自体にあるということだ。これは結構大きな違いなんだぜ」

 

「いまいち違いが分からないんですが……」

 

「つまり、敵にとってわたし達の存在自体が何らかの問題になっているってことだ。そんなことが問題になる奴らって一体どんな奴らだと思う?」

 

「……うーん、政府とか?」

 

「うーん、おしいけど違うぞ、シンイチ。恐らく、今わたし達の前に立ちはだかっている敵はわたしの誕生に深く関わっている者である可能性が高い」

 

「それって、つまり……」

 

「ああ、敵はひょっとしたらわたしの生みの親かも知れないな」

 

「でも、さっきの話しだと敵は若い人間の女っていうことだぜ、ミギー」

 

「シンイチ、わたし達の仲間だって皆人間の姿をしているんだぜ」

 

「ん? そう言われればまあそうだけど」

 

 と、その時だった。ミギーは不意に視線を上げると新一に言った。

 

「……シンイチ、隠れろ。誰か来る」

 

 新一はミギーに言われると後ろを振り返り、素早くその場を離れて物陰に身を隠した。間もなく懐中電灯を照らして3・4人の人間が先刻新一とミギーがいた場所までやってきた。

 

「どうやら警察の人間が来たようだな。もういいだろう。シンイチ、ここから立ち去ろう」

 

 ミギーはそう言うと人間たちがいる方向とは逆の方向に視線を移した。新一は物音を立てないようにそっと立ち上がるとミギーの指し示す方向に向かって歩き出した。

 

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