ちょうど、自分の力を理解した頃。
僕のもとに手紙が届いた。
『夏油 傑様。あなたに魔法処への入学を許可します』
その手紙を両親に見せると、大喜びだった。
「やったわ!! 良かったわね、傑! 貴方なら絶対合格するって信じていたわ!!」
「お母さん? 僕、何もテスト受けてないよ?」
「魔法処は魔力さえあれば、入学できるんだ。素晴らしい才能なんだよ」
「くれぐれもローブを白くしないようにね」
そして、なんだかんだあり、僕は女の子みたいな薄いピンクのローブを着て、巨大なウミツバメに乗っていた。
両親に色々文句を言いたいが、泣いて喜んでいて人の言うことを聞いてはくれない。
なんでも、母さんは魔法の名門に産まれたのにも関わらず、スクイブだったらしい。スクイブって何?
でも、魔力って、この力の事なんだろうか。
お父さんとお母さんはあのおばけが見えないようだったけど???
すごいスピードで、人の目にも見えないウミツバメにのってしばらく。
豪奢なお城へとついた。
そして、授業を受けることとなった。
おばけを見える子がいるかと思ったけど、全然だった。
ガッカリしていると、闇の魔術に対する防衛術の前田先生から呼び出しを受けた。
真っ黒クロスケのローブを見ていると、心底羨ましいと思う。
薄いピンクや趣味の悪い黄金のローブよりはよほどオシャレだ。
「君は、魔力と呪力の両方を持っているね」
「魔力と呪力?」
「お化け……呪霊を見る力……呪力を持つ者を呪術師という。君は、呪術師の才能があるということだ。大事なのは、魔法界も呪術界も、一般の世界からは姿を隠しているということ。学校に通うことがとても重要視されるということだ」
「はぁ」
「ということで、君は特別授業を受ける。というのも、授業と並行して一般常識も学び、呪術に対して予習をし、呪術高等専門学校に入学した後は二つの学校に通わなくてはならないからだ。本来は17歳まで通うのだが、この場合呪術高等専門学校に合わせて19年まで伸びる。そして、卒業と同時にどちらの世界で生きるか選ぶこととなる」
「はぁ」
「ちなみに、呪術高等専門学校は心を壊したり死んだりが多い魔窟だ。呪術界は魔法界を知らないが、魔法界は呪術界を知っている。魔法界の秘匿の法律は絶対で、命よりも優先せねばならない。命だけは守れるよう、サポートはあるが、サポートしきれないときもある」
「ええ……」
「私は魔法処を選んだよ。出来る限りサポートするから、頑張って18歳まで生き延び給え。辛いかもしれないが、これは強制であり、様々な可能性を生徒に残すためだ」
それから、私は色々な勉強をするようになった。
前田先生は、呪術高専で常識を知らず、周囲はそんな前田先生を一般家庭を知る常識の指針と頼ってくるため、死ぬ気で常識を学んだらしい。私は困る事がないようにと熱心に教えてくれた。
呪術師は少ないらしく、一個下の直哉だけだった。直哉は京都校に行く予定なので寂しい。
彼は呪術師の名門の出らしく、呪術界について色々と教えてくれた。
その代わり、私も魔力が発現して手のひら返しで接触してきた祖父母から聞いた情報だったり物資だったりを融通した。
直哉は絶対に呪術師を選ぶらしい。
「本当は当主を目指すんにロスにしかならんからこんなとこ通いたくないのやけどな。したくないからって落ちこぼれになるんもプライドが許さんし、あのパパを洗脳した魔法界が怖いし……仕方ないから、19までは言う事聞いたるわ」
「直哉も大変だね。私はどうしようかなぁ。魔法界、向いてないと思うんだよね。でも、術式もきついしなぁ」
「傑くんは両方向いてるで。術式は凶悪やし、魔法の成績もええし、名門やろ。当主目指し」
「ええ?」
「そんで、魔法と呪術の併用可能に法改正したって。僕じゃどれだけ頑張っても無理や。こっちじゃ一般出やからな」
「ああ、そうか……。呪術師、死亡率高いものね。わかった。頑張ってみる」
「約束や。僕は呪術師として傑くんを助ける」
「私は魔法使いとして直哉を助ける」
そうして、縛りは結ばれた。