魔法使い夏油は呪術師を辞めたい   作:かりん2022

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一年生の夏休み、前半

 時は経ち、夏油は呪術高専高等学校一年生、直哉は魔法処中等部三年生になっていた。

 

「あーっ 悟と硝子と一緒に遊びたい!! カエルチョコとか、絶対悟喜ぶのに!」

「見るのはともかく、食べるのは嫌がるんちゃう……? それに、そういうイタズラグッズは小中学生までやろ……」

「自分だけ楽しもうって? なんとかならないかなぁ」

「確かにまだ自分、中学生やけど話し合うやつおらんもん。そういうのって仲ええ子とするもんやろ」

「こら、集中しろ。二人共」

 

 魔法処で担任となった前田先生の授業を受けながらの会話である。

 

「クィディッチの世界大会、せっかく日本でやるのに!!」

「そないにどうしても言うんやったら、当主に相談してみたら?」

「お祖父ちゃんに?」

「せや。名家なんやろ、ちょっとの我儘は通るかもしれん。黙っててもらうよう縛りしてもらうとか、記憶を預かるとか」

「そうかな……」

「僕も甚爾くんとクィディッチ見たいし。ついでにお願いしたって。縛ったやろ。魔法使いとして、僕のこと助けたってよ」

「そうだね。直哉と私だけで行くのは寂しいよね。交渉してみるよ」

「やった」

「お前ら、集中しろと言ったろ……」

「「集中してまーす」」

 

 前田先生は、はぁぁと肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「記憶預かるか縛るなら一緒に遊んでいいって! 前田先生と直哉と甚爾さん? の一家も誘っていいって」

「凄いやん、さすが魔法の名家! 先生も抱き込むとはやるわ!」

「ただ、これには数日がかり、複数人必要な任務を用意する事が必要だ。前田先生が呪霊を用意してくれるから、上手いこと誘導してもらえるかな」

「任せたって! 縛ったとおり、呪術師として助けたるわ!」

「助かるよ」

 

 そうして、決行日が訪れた。

 

「傑。この任務、なんかきな臭い……なんだその楽しそうな顔」

「え!? そ、そんな事ないよ! ほら、早く行こう!」

「怪しい……」

 

 訝しむ2人を誤魔化しながら、車で山の麓に生き、山奥まで歩いて行く。

 そこには、「ドッキリ」と看板を持った冴えない呪術師と彼に連れられた幼い女の子と男の子がいた。

 

「はあ? ドッキリ?」

「どういう事?」

「全員揃ってないから、これ読んで、もうちょっと待ってて」

 

 夏油はいそいそと懐から旅のしおりを取り出す。

 

「旅のしおりって?」

「直哉に頼んで、任務に見せかけた小旅行を企画しました!!」

「は? 直哉って、禪院 直哉?」

「せやで! 傑くん、待った?」

「こっちもいま来たところだよ」

「ああ? どういうことだ。任務じゃねえのか。……恵。津美紀」

「傑くんプロデュース、食い倒れ&スポーツ観戦の旅や! 楽しみやろ?」

「私と直哉プロデュース、だろ」

「……阿呆らし」

「くだんねー。この忙しい時に、いいのかよ」

「スポーツ興味ないんだけど」

 

 まさかのブーイングに、夏油と直哉はショックを受けた様子である。

 

「お願い! 今回だけでいいんだ。皆で遊びたかったんだよ!」

「世界大会が日本で開催されるなんてめったに無いんや! 堪忍な、甚爾君……! 3日間、ちゃんと依頼料も払うから……!」

「えーと、これ、本当に記憶預かりサービス利用してもらえるんですか?」

「はぁ? なんだよそれ」

「ああ、秘密のツアーで、口外しない縛りを結ぶか記憶を預かってもらうかしないとなんだ」

「なにそれ?」

「怪しいんですけど」

「じゃあ、悟と硝子が嫌だって思ったらその時点で帰っていいから! お願い、一緒にスポーツ観戦したいんだよ!」

「変なスポーツだったりしねぇ? エッチなのとか」

「健全なスポーツだよ! 何だったら、3日間フルで付き合ってくれるなら悟と硝子で、1つずつお願い聞いてあげるから……!」

「甚爾くん、僕からもお願いや……! 僕で出来ることで難しゅうないことやったら1つ言うこと聞くから」

 

 三人はため息を付いて承諾する。

 

「お父さんとお出かけ、嬉しいな」

「だう!」

 

 津美紀と恵は甚爾の側による。健気な子達である。

 

「それでは、これから移動の呪具を使います。ちょっとクラっとしますが、安全なのでご安心ください」

「縛るか?」

「縛ります」

 

 そうして、前田先生の姿現しで、目的のキャンプ場についたのだった。

 キャンプ場では、ローブ姿の人達がにぎやかに騒いでいた。

 

「うわ、変な服」

「これから悟たちも似たようなの着てもらうから」

「テントはもう用意してありますよ。私とは別ですが、直哉くんと夏油君達は一緒です。いいですよね?」

「前田センセー、ありがとうございます」

「前田センセー、ありがとうな」

 

 指し示されたのは小さなテントである。

 

「ちっさ!」

「中は案外広いから大丈夫だよ」

 

 直哉が先に入り、夏油が全員の背を押す。

 

「……マジ?」

 

 確かに、中は広かった。

 一人用テントぐらいに見えたのが、もう邸宅と言っていいくらいのサイズだ。

 

「空間拡張率えっぐ! さすが夏油家やなぁ」

「まあね」

「??? 夏油家ってなんかあんの? 一般出じゃなかったけ? そもそも呪力感じない……」

「ふふ。じゃあ、その服じゃあこっちじゃ目立つから、着替えようか。ローブ色々用意したから、好きなの選んでよ」

「着替えたら、簡単に事情と注意事項を説明するよ。今日はテントの中で過ごして慣れてもらって、明日はスポーツ観戦で、明後日は食べ歩きして終了! この日のために、お菓子やゲーム、いっぱい用意してたんだ」

「津美紀ちゃんと恵くんのために、比較的安全なお菓子もあるんやで! 百味ビーンズとか!」

「それは危険だろ……普通の味が当たる確率少数点以下だし。カエルチョコにしておきな」

「チョコはちっさい子は駄目なんやなかったか? そもそも、カエルチョコはマグルには好かんやろ」

「わかった。着替えるから、事情ちゃんと説明しろよ」

「はあ、あの服ダサくてきたくないんですけど」

「おら、着たぞ。さっさと説明しろ」

 

 そんなこんなで、服を着替えてきた3人に、2人は説明した。

 

「はあああー!? 魔法使い!?」

「はいはい、当主候補様は多彩なことで」

「政府機関あるわけ? それで呪術界にも見つかってない? マジで?」

 

「そうそう。証拠なら好きなだけ」

 

 そうして、箱を開けるとカエル型の生きたチョコが飛び出した。

 

「あんまり食べられへんお菓子は開けんといて。傑くん、カエルチョコ眺めるばっかで苦手やん」

 

 直哉がカエルチョコを食べるのにドン引きする一同。

 夏油は楽しそうにお菓子やゲームを説明していく。

 

「……傑、直哉と仲いいの」

「魔法使いで呪術師、私以外で直哉だけなんだよ。学年も近いし。OBだったらもう少しいるらしいけど」

「そもそも、僕、呪術師になるから、魔法学ぶの無駄やしな―」

「私は魔法使い予定だけど、呪術を学ぶのは無駄とは思わないけどね」

「! 傑、呪術師やめんの!?」

「法律の関係で両立難しそうなんだよね」

 

 なんだか悟は機嫌が悪そうだと夏油は困り顔をする。

 皆で楽しみたくてきたのに。

 

「なー、甚爾くん! 恵くんと津美紀ちゃんとゲームしよ!」

「傑。行けば?」

「直哉としてもつまらないよ。私は悟と硝子と遊びたくて誘ったんだ」

「だってさ、くぅず」

 

 悟は何故か機嫌を直して、それから私と悟と硝子は思う様楽しんだ。

 

 

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